『人を動かす』がビジネスパーソンにとって不可欠な理由とは?

更新:2023/07/28

作成:2023/05/11

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

デール・カーネギー「人を動かす」とは?|人を動かす原則を分かりやすく紹介

デール・カーネギーは、アメリカの作家であり、人間関係やコミュニケーション術の第一人者として知られる人物です。代表作「人を動かす」を通じて、カーネギーの名前を知った人も多いでしょう。書籍「人を動かす」は、その名の通り、人間心理への深い洞察を踏まえて、人間関係を築き、人に影響力を与えるための原則をまとめた書籍です。

本記事では、デール・カーネギー研修を提供する研修会社としての知見も踏まえて、カーネギーの「人を動かす」についての概要と、「人を動かす」の中でも中核となる「人を動かす3原則」について分かりやすく解説します。

<目次>

「人を動かす」の著者デール・カーネギーと「人を動かす」の概要

最初に「人を動かす」の著者であるデール・カーネギーと「人を動かす」の概要を紹介します。

デール・カーネギーとは?

デール・カーネギーは、書籍「人を動かす」や「道は開ける」などの著者であり、コミュニケーションやセールス、スピーチといった分野に関する研修プログラムの開発者としても名前を知られています。

 

カーネギーが生まれたのは、1888年、米国ミズーリ州の貧しい農家でした。カーネギーは苦労して学費を稼ぎ、地元の教育大学を卒業すると、食料や日用品の販売職に就きます。販売の仕事で成果を残したカーネギーは、その後、ニューヨークに移り住み、俳優を目指しますが、残念ながら役者として目立った成果を上げることはできませんでした。

 

カーネギーはある時、YMCAが主催する夜間学校で、社会人向けの話し方講座を担当することになります。彼の話し方講座は間に大好評となり、カーネギーはコミュニケーション分野の指導に自分の才能があることに気づきました。のちにカーネギーは独立して、自分の研究所を設立して、個人や企業にトレーニングを提供するようになります。

 

カーネギーの研究所は、現在では、デール・カーネギー・アソシエーションとして100年以上の歴史を持ち、世界90か国以上で研修を展開。米国大統領や著名なビジネスリーダーなど、900万人以上の修了者を排出するプログラムを提供しています。

 

そして、カーネギーが、自身の開発したプログラムの中でも中核となるデール・カーネギー・コースで教えている“人間関係とリーダーシップの原則”をまとめたのが、世界的なベストセラーとなる書籍『人を動かす』です。

デール・カーネギーについては以下の記事で解説しているので参考にしてください。

 

書籍『人を動かす』の概要

書籍『人を動かす』は、デール・カーネギーが1936年に出版した人間関係とリーダーシップに関する名著です。好ましい人間関係を構築し、影響力を発揮するための原則を実例豊かに紹介した本書は、世界中の人々から支持され、全世界で1500万部を超えるベストセラーとなっています。

 

「人を動かす」の本は、「人を動かす3原則」、「人に好かれる6原則」、「人を説得する12原則」、「人を変える9原則」の4つのパートから成り、全部で30の原則が紹介されています。

 

各章の順番にも意味があり、最初の章である「人を動かす3原則」では、続く「人に好かれる6原則」、「人を説得する12原則」、「人を変える9原則」の根底となる3つの原則が紹介されており、“人を動かす3大原則”、“人を動かす3大要素”などとも呼ばれます。

3つの原則を押さえたうえで、影響力を発揮する下地となる人間関係を築く、人に自分の意見を受け入れてもらう、人の成長や変化を促進するという順番で取り組んでいくことが人を動かす上でのポイントになります。

 

HRドクターでは、「人を動かす」に記されている30原則について一覧で解説した記事を用意しています。カーネギーが「人を動かす」原則全体を理解したいという方は、以下のリンク先をご覧になってみてください。

 

『人を動かす』がビジネスに活かせる理由

『人を動かす』の内容を理解し、実践することで、ビジネスで必要な様々なスキルが身につきます。それらを紹介します。

『人を動かす』で身につくスキル

デール・カーネギー・トレーニングでは、主に以下のようなビジネスで役立つスキルを身につけることができます。

コミュニケーション能力
  • ⇒相手から信頼される方法、相手の心に響く伝え方、聞き方、質問力、相手に影響を与えるフィードバック力
プレゼンテーション能力
  • ⇒相手の意思決定や行動を引き出すプレゼンテーションをする構成力、表現力、声の使い方、ボディランゲージ
リーダーシップ
  • ⇒自分自身や他者をリードするビジョン創造、コーチング、チームビルディング
営業力・交渉力
  • ⇒ニーズや課題を見抜く力、相手の本音を引き出すヒアリング、信頼関係の構築、効果的な提案や交渉をするセールスプロセスやテクニック

このように『人を動かす』によって、ビジネスで重要な能力を身につけることができます。

「人を動かす3原則」とは?

書籍『人を動かす』の中でも中核となる「人を動かす3原則」には、人を動かすための中核的な考え方や態度が示されています。「人を動かす3原則」に続く3章は、さらに具体的な方法や技術を紹介していますが、すべては「人を動かす3原則」に基づいています。本章では「人を動かす」を実践する上での基盤となる「人を動かす3原則」を詳しく解説します。

人を動かす3原則①「盗人にも五分の理を認める」

「盗人にも五分の理を認める」とは、人を動かすうえでは、どんな相手に対しても、批判からではなくまずは理解を示すことが大切であるという原則です。

 

人は自分の言動や考え方が正しい、少なくとも「やむを得ない事情があった」「自分の状況ではしょうがなかった」と思うものであり、正面から批判・非難されたところで行動を変えようとはしません。むしろ、自分の誤りを論理的に指摘されれば、相手に反発心やマイナスの感情を持つことになるでしょう。

 

カーネギーは、『人を動かす』の中で、様々な実話や逸話を用いて、「盗人にも五分の理を認める」原則の重要性や効果を説明しています。いくつか紹介しましょう。

  • アメリカの大統領だったエイブラハム・リンカーンは、南北戦争の最中に、自分の政策に反対する人々を批判する手紙を書きましたが、それを送らずに引き出しにしまっておきました。彼は相手の感情を傷つけることは避けるべきだと考えていたからです。
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  • カーネギー自身も、ある時、自分の講座に参加した男性が、自分の話に反対する発言をしたことに腹を立てました。しかし、彼はその男性を批判することはせずに、彼の意見に一部同意し、その上で自分の考え方を説明しました。すると、その男性はカーネギーの話に納得し、彼に感謝の言葉を述べるまでになりました。
  •  

  • ある女性は、夫が浮気していることを知りましたが、夫を責めることはしませんでした。彼女は夫に対して愛情や理解を示し続けました。その結果、夫は浮気相手と別れて妻に戻り、二度と浮気しないと誓いました。

カーネギーは、相手に理解を示す、相手を“やっつけない”ことが、人間関係やコミュニケーションにおいて極めて大切であると繰り返し主張しています。「自分は正しい!」「間違っていない!」と考えている相手に対して、まずその気持ちや立場を認めてあげることが大切です。相手を理解しようとする姿勢が安心感や信頼感を与え、相手を動かす第一歩になります。

人を動かす3原則②「重要感を持たせる」

人は「自分は重要な存在である」と他者から認めてもらいたいという強い欲求を持っています。

 

しかし、中世の王様や貴族でもない私たちは、そうそう手放しで他人から認めてもらえる機会があるわけではありません。だからこそ、人々は「あなたは大切な存在ですよ!」と自分に敬意を払って示してくれる人に対しては、好意や信頼、協力心、忠誠心、友情、愛情といったポジティブな感情を抱きます。

 

誰しもが抱いている「自分が重要な存在でありたい」という欲求を満たしてあげることで、相手から相手を動かす上で不可欠な信頼関係を得ることが出来るのです。

 

「重要感を持たせる」原則を実践することで、私たちが得られるであろう主な効果・恩恵を以下に挙げます。

  • 重要感が高まった人は、自分に自信を持ち、ポジティブな気持ちになります。また、重要感が高ければ、ストレスや不安にも対処しやすくなり、精神面にもプラスの効果が生まれます。
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  • 重要感は、相手のモチベーションや意欲を引き出す上でも効果を発揮します。重要感が高まると、相手は自分の目標に向かって積極的に行動できるようになります。また、新しいことに挑戦したり、学習する意欲も向上したりするでしょう。
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  • 相手に重要感を持たせることで、相手の協力や信頼を得やすくなります。なぜなら、ほとんどの人は、自己重要感を実感させてくれた相手に対し、親しみや好意を持ち、協力したい気持ちになるからです。

人を動かす3原則③「人の立場に身を置く」

私たちが「人を動かしたい」と思うのは、突き詰めると、自分が利益を得たり、自分の目標を達成したりするためです。

 

しかし、人はあなたの欲求を満たすために動きたいとは思いません。人が最も関心あるのは、あなた自身と同じように「自分自身のこと」なのです。

 

だからこそ、人を動かしたいと思うならば、相手のなかに強い欲求を起こす必要があります。

 

もし誰かを動かしたい(相手に動いてほしい)なら、相手の立場に立って、相手が何を望んでいるのか、何に関心があるのか、何に喜びや満足感を感じるのかを見抜き、相手の望みを実現する方法やメリットを伝えることです。

 

相手が「あなたの依頼に応えることで自分の望むものを手に入れられるのだ」と理解すれば、相手はあなたの依頼を遂行するために、そして、自分の望みをかなえるために、きっと喜んで動いてくれるようになることでしょう。

「人の立場に身を置く」を実践することで、得られる効果は大きく2つあります。

 

まず、相手との信頼関係や協力関係を築くことにつながります。相手の立場に身を置くことで、相手は自分に理解や尊重があると感じ、好意や感謝を抱いてくれるでしょう。

 

また、相手の利益や幸福を考えて行動することで、相手もこちらに同じように対応してくれる可能性が高まります。「重要感を持たせる」とも通じる内容です。

 

もう一つは、相手の立場に身を置いて、相手が喜んで動く状況をつくることで、相手の能力や潜在力を引き出すことができるということです。

 

先生と生徒、上司と部下のような上下関係があれば、指示や命令でも人を動かすことは出来るかもしれません。しかし、あぁしろ・こうしろと指示や命令をされて、いやいや実施する行動に主体性や創意工夫はありません。

 

相手が喜んで動く状況をつくることで、相手が主体的に活動し、創意工夫して動いてくれるようになります。

人を動かす3原則がビジネスパーソンにとって不可欠な理由

前章で紹介した「人を動かす3原則」は、人を動かすための基本の原則です。管理職やビジネスリーダー、営業職や販売職など、人を動かすことが成果に直結する人はもちろん、それ以外のビジネスパーソンにとっても「人を動かす3原則」を実践することは非常に有効です。「人を動かす3原則」を押さえることでビジネスパーソンが手にいれられるものを確認しましょう。

① 信頼関係を築き、協力を得られやすくなる

ビジネスでは様々な人と関わる必要があります。業務で関わる人達、例えば上司や部下、同僚や取引先などは、それぞれに異なる価値観や目的を持って動いています。相手の言動や考え方を批判や非難せず、相手を理解し、認めることができれば、信頼関係を築きやすくなります。そして、信頼関係があれば、コミュニケーションもスムーズになり、相手から協力を得ることも容易になります。

② 仕事の成果につながる

人を動かす3原則を実践することで、周囲の人から信頼を得られるようになるのは前述のとおりです。信頼が得られれば、仕事で必要な情報や助言も集めやすくなり、仕事の効率や質の向上にもつながるでしょう。また、信頼されることで、自分の意見や提案が受け入れられやすくなり、仕事の成果に直結します。

 

さらに、3原則を実行すれば、周囲の人のニーズや利益を把握することも容易になりますし、双方にとって有益な解決策や提案を見つけることもできるでしょう。相手の反発や抵抗を減らし、納得や同意も引き出しやすくなります。ビジネスパーソンにとって重要な問題解決や交渉などの場面でも、人を動かす3原則は効果を発揮することでしょう。

③ 周囲の力を引き出すことが出来る

3原則を実践することで、周囲の人のモチベーションや自信を高めることもできます 。モチベーションや自信が高い人は、積極的に行動し、能力を発揮しやすくなります。これは、自分だけでなく、部下や同僚などの仕事のパフォーマンスにも影響します。仕事のパフォーマンスが高まることで、結果として、チームや組織の成果を大きく向上させる結果にもなるのです。

まとめ

記事では、カーネギーの書籍『人を動かす』の概要と、「人を動かす」の中でも中核となる「人を動かす3原則」についてお伝えしました。

 

カーネギーは、本書を執筆するにあたり、数多くの成功者やリーダーにインタビューしたり、自ら講演や研修を行ったりして、人を動かす方法を徹底的に研究しました。カーネギーの教えが、現代に生きる私たちビジネスパーソンにとっても、ビジネスで成果を上げるうえで大きなプラス効果をもたらすということは、記事の中でお伝えした通りです。

 

カーネギーの原則で大切なのは、実際に行動に移すことです。毎日少しずつでも「人を動かす3原則」を意識して、周囲の人々と接してみてください。きっと人生と仕事の成果に、変化が訪れることでしょう。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、デール・カーネギー・アソシエーションと連携して、日本で正式に「人を動かす」デール・カーネギー研修を提供しています。

 

「管理職のマネジメント力を高めたい」「営業職の営業力をあげたい」とお考えの人は、以下のデールカーネギー研修、セミナーの情報を参照してください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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