「誤りを認める」の詳細と実践
まず原則「誤りを認める」について詳しく解説していきます。
1.誤りを認めないとどうなるのか?
私達は人間ですから、何をするにしても完ぺきではなく、人生の中でミスや間違いはつきものです。だからこそ、「もし自分が間違っていると分かった時にどうするか?」ということが重要です。
自分が誤っていることに気づいたのであれば、素直に間違いを認めることが大切です。
しかし、私たちは年齢や経験を重ねたり、立場が上がったりするにつれて、「それはこうだったので…」「でも、○○○じゃないですか?」といった形で、言い訳や誤魔化しをしてしまいがちです。とくに、ビジネスにおいて責任者や管理職になるほど、プライドや面子を気にして、間違いを認められないところもあるでしょう。
プライドや面子以外にも、「誤りを認めれば無能だと思われるかもしれない」「責任を追及されるかもしれない」という不安もあるでしょう。従って、立場や責任がない人でも、素直に自分の誤りを認めることは勇気が必要かもしれません。
カーネギーは以下のように、もし自分が間違えたのなら素直に、自分から先に言ってしまうに限ると強調しています。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
確かに、自分を相手に置き換えて考えると、変に言い訳されるよりも素直に間違いを認めてくれた方がよっぽど印象が良いでしょう。
間違いを認めたからといって、相手が自分を嫌う、無能だと断定するといったことはそうありません。むしろ、誤りを認めず、クドクドと言い訳を口にしたりする方が、人から嫌われたりマイナス評価をされたりすることになるでしょう。
相手や周囲の人からあれこれ指摘される前に、自ら非を認め謝ることで、相手も寛大な態度を示しやすいものです。「負けるが勝ち」ではありませんが、変に言い訳をするよりも、誤りを認めるほうが有効なのです。
2 過ちを認めることは、相手の重要感を満たすことになる
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
繰り返しになりますが、カーネギーはとくに相手から批判される状況であるときほど、素直に誤りを認め、相手よりも先に自分の落ち度を批判せよと説いています。
前述した通り、相手に指摘される前に、まず自分の誤りを認める、ということが最善の手です。相手の指摘で誤りに気付いたのであれば、言い訳や抗弁は口にせず、相手の指摘に感謝し、自分のミスをしっかりと受け入れましょう。
間違いを指摘してくれた人に対して、「あなたのおかげで間違いに気が付くことが出来ました。」と感謝したら相手はどう思うでしょうか。また、ミスによって引き起こされてしまうかもしれない事態やリスクの重大さの認識をきちんと示したらどうでしょうか。きっと相手の自己重要感は大いに満たされることでしょう。
相手の指摘に感謝し、自分の過ちを認めるということは、『あなたの意志を尊重しています』というメッセージを相手に伝えることになります。つまり、過ちを認めることが、相手の自己重要感を満たすことにもなり得るのです。
3 自分の過ちを速やかに認めることは、人間的な成長を後押しする
カーネギーは『人を動かす』の中で、アメリカの南北戦争において、南軍の総司令官であったロバート・リー将軍のエピソードを紹介しています。
リー将軍は、ゲティスバーグの戦闘で部下のピケット将軍が突撃して失敗した責任を一人で背負いました。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)”
カーネギーは、歴史を紐解いて「誤りを認める」ということの難しさと素晴らしさを説いています。
立場や責任が重くなればなるほど、自分の過ちを素直に認めるということは、困難で勇気の要る行為になるものです。逆に言えば、自分の誤りを素直に認めるということは、自分の人格を高めることにもつながるものなのです。
4.自分の誤りを素直に認めるために大切な事
お伝えしたように、自分の誤りを認めることは難しいものです。私達はどうすれば、素直に自分の誤りを認めることができるようになるのでしょうか。
私達が自身の誤りを認めようとする際、「自尊心を傷つけられる」「責任問題になるかもしれない」「自分の無能をさらけ出して周囲からどう思われるか分からない」といった不安が生じるものです。
そこで役に立つのが、『人を動かす』と並ぶリーダーシップ開発の名著『7つの習慣』、第1の習慣「主体的である」の考え方です
書籍『7つの習慣』は、私たちが望む人生を送る上で不可欠な習慣が全部で7つ紹介されており、著者のスティーブン・R・コヴィー博士が、「7つの習慣を実践する上で最も重要な習慣」であると、話しているのが、第1の習慣「主体的である」です。
第1の習慣「主体的である」は別名、“選択の習慣”です。
瞬間的な恐れやネガティブや感情に惑わされず、自分の価値観や信念、またありたい姿に則って責任ある選択をすることこそが「主体的である」ということです。主体的になれば、自身の過ちや失敗も素直に認めることができるでしょう。
コヴィー博士は、主体的な姿勢と態度を身に付けるカギとなるのが、人間だけが持つ「4つの力」であると言います。
- ①自覚:自分の置かれている状況を客観的に把握する力
- ②想像:経験や目の前の情景を超えたその先を想像する力
- ③良心:物事の分別や善悪を区別し、自分の言動が原則と一致しているかを判断する力
- ④自由意思:外的な影響に縛られることなく、意思決定できる力
仮に自分が過ちを犯してしまった時、4つの力を以下のように活用するのです。
- ①自覚:自分の行動や感情を客観視する。自分が失敗を犯し、また、それを認めることへの恐れ、阻害するプライドがあることを自覚し受け入れる。
- ②想像:仮に自分が言い訳して誤りを認めないときに何が起こるかを想像してみる。相手がどう思うか?自分自身に誇れる選択になるかを考えてみる。
- ③良心:過ちと向き合うのか?それとも誤魔化して逃げるのか?どちらのあり方が正しいのかを自分に問う。
- ④自由意志:自分に問いかけた結果に基づいて、自らの意思と責任で選択する。
このように4つの力を意識して行動することで、恐れやプライドに邪魔されず、自分自身に誇れる選択、必要であれば過ちを認める選択ができるようになるでしょう。







