「美しい心情に呼びかける」の詳細と実践のポイント
まず最初に、記事のテーマである「美しい心情に呼びかける」の詳細と、実際の人間関係の中で活用するためのポイントを詳しく解説します。
1.私達は誰もが、心の底では良い人間でありたいと思っている
冒頭で触れたように、「困っている人の力になりたい」「できることであればなんとかしてあげたい」といった美しい気持ちは、私達の誰もが持っているものです。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
カーネギーは『人を動かす』の中で、人はみな美しく理想主義的な傾向を持っていると話しています。
当記事のテーマである「美しい心情に呼びかける」とは、人が持つ「美しく理想的な人間でありたい」「自分を美しい立派な人間だと思いたい」という心情に訴えかけることで、相手の考えや行動を期待する方向に導いていく原則です。
カーネギーは、美しい心情に呼びかけた具体例として、大富豪として世間の注目を集めていたロックフェラー二世のエピソードを紹介しています。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
ロックフェラー二世は、自身の子供の写真が世間にさらされることを何としても避けたいと考えていました。
しかし、彼は「子供の写真を新聞に載せるなんて、言語道断だ!」と主張するのではなく、「あなた方の中にも子供のある方がいておわかりだと思いますが、あまり世間が騒ぎ立てるのは、子供にとってかわいそうです」と、記者たちの美しい心情、道徳心に訴えかけたのです。
こう呼びかけられて、「子供たちが犠牲になってもいいから話題にしよう」と言える人はほとんどいないでしょう。
このように「美しい心情に呼びかける」ことは、人間として当たり前の気持ち、良心に背いた行動に強い嫌悪感を持つ私達に対して、強く訴えかけるものなのです。
2.「美しい心情に呼びかける」の原則は、どんな時にも効果を発揮するのか?
お伝えしたように、人としての道徳心や高潔さ、大義名分などに訴えかけられると、ほとんどの人は頷き、Noとは言えなくなるものです。
一方で、ビジネスなどで相手を説得したり動かしたりすることを考えると、「言っていることは分かるが、“美しい心情に呼びかける”原則は、あまりにもヒューマニズムや情緒的に過ぎるのではないだろうか。実際の状況では、キレイごとや理想論で切り捨てられてしまいそうだ…」このように感じる人もいるかもしれません。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
上記に引用したように、カーネギーも美しい心情に呼びかけることが役に立たない、通用しないこともあると話しています。相手を説得するに当たっては、別のやり方・アプローチが効果を発揮する場面も多々あるでしょう。「美しい心情に呼びかける」原則は、どんな場面に通じるわけではありません。
ただ、いろいろな手を検討して効果が表れなかった時には試してみる価値はあるでしょう。自分の“人を動かすための手札”のひとつとして、ぜひ考えてみてください。
3.「ピグマリオン効果」によって、人は期待するように育つ
カーネギーは「美しい心情に呼びかける」の章の最後に、以下のジェイムズ・トーマスという人の言葉を紹介しています。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
繰り返しになりますが、私達はみな「誠実で良い人間でありたい」と思っています。表現を変えると、「自分は誠実で立派な人間である」と思いたいのです。だからこそ、他人から信頼されて“誠実で立派な人物”として扱われると、その相手の期待を裏切ることは、なかなかできないものです。
逆に言えば、良い人間でありたい、誠実な人間になりたいという心情に働きかけ、相手を信じるメッセージを送り続ければ、人は期待に応えてくれるようになるということです。
この話を聞いて、教育や人材育成で馴染みのある「ピグマリオン効果」を思い出した人もいるかもしれません。「ピグマリオン効果」とは、「他者から期待されることで、学習成績や仕事の成果が向上する心理効果」です。
カーネギーのいう「美しい心情に呼びかける」というのは、信頼や期待のメッセージを相手に送り続けることでもあります。
このように考えると、この原則は人を説得する場面だけでなく、職場の人材育成でも活用できる考え方にもなるのです。
HRドクターでは、部下を持つ上司・管理職向けに、部下メンバーの成長につなげるための褒め方、期待のかけ方を分かりやすく解説した記事を用意しています。ピグマリオン効果を活用した部下育成のやり方として、ぜひ参考にしてみてください。







