「議論を避ける」の詳細と実践
「議論を避ける」の原則を解説します。
「議論に勝つ」ことは不可能である
『人を動かす』で述べられているカーネギーの結論は、「議論に勝つことはできない」ということです。しかし、ビジネスや日常生活の議論では、議論が決着しないこともありますが、議論して勝ち負けが決まることも少なくありません。
では、カーネギーは何をもって「議論に勝てない」と言っているのでしょうか。
冒頭でも紹介した通り。『人を動かす』の中で、カーネギーは以下のように述べています。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
つまりカーネギーは、「議論に勝つ」ことはできても、「人を動かす」という目的から考えると、たとえ議論に勝ったとしても目的は達成できない、結果的に負けるのと同じことだと言っているのです。
自分自身の経験を思い出してみても、「議論には勝ったけど、結局相手が動かなかった」、逆に「議論でやりこめられて非常にムカついたので、相手の言うことに従うもんか!」といった経験は誰もが持っているのではないでしょうか。
議論に負けても、その人の意見は変わらない
カーネギーは『人を動かす』の中で、「議論に負けても、その人の意見は変わらない」ということを繰り返し述べています。
私達人間は、論理よりも感情で動く生き物です。だからこそ、議論という論理の世界で勝敗を決めたとしても、相手のことが感情的に気に入らなければ、従わないといった話は多々起こります。マーケティングの世界では、「人は感情で意思決定して、論理で理由をつける」といわれます。論理を基に相手を打ち負かしても、相手の感情を損ねてしまうと、多くの場合、相手の意見・行動は変わらないのです。
議論に勝つ最善にして唯一の方法
カーネギーは議論に勝つ最善にして唯一の方法は、「議論を避けることだ」と言い切っています。議論に勝つ方法が議論を避けることであるというのは、まるで禅問答のよう思えます。
もちろん、実際の場面では、思考を深める、適切な解決策や施策を見出す、重要な決断をするために、議論することが不可欠なことも多いでしょう。
カーネギーがいう「議論を避ける」とは、議論を一切しない、議論を拒否するということではありません。相手を打ち負かす、徹底的にやりこめる、といった議論を避けるということです。
正面から議論で相手を論破して、一方が勝者、もう一方が敗者になれば、負けた方には感情的なしこりが生じ、相手を動かすという目的からは大きく遠ざかってしまいます。
人を動かすためには、「議論で勝ち負けを決める」ではなく、「異なる視点、異なる意見を持ち寄ることで、よい解決策を共同で生み出す」という意識が大切です。
共通のゴールを確認する、相手の言い分を認める、ポジティブなフィードバックを与える、相手の意見を取り込んで新たな提案をするといった形で議論に臨みましょう。
『人を動かす』では、『片々録』という本からの引用で「議論を避ける方法」が書かれているので、以下に紹介します。
少し硬い表現もありますが、非常に実践の参考となる言葉たちです。
- 意見の不一致を歓迎せよ
- 最初に頭をもたげる自己防衛本能に押し流されてはならない
- 腹を立ててはいけない
- まず相手の言葉に耳を傾けよ
- 意見が一致する点を探せ
- 率直であれ
- 相手の意見をよく考えてみる約束をし、その約束を実行せよ
- 相手が反対するのは関心があるからで、大いに感謝すべきだ
- 早まった行動を避け、双方がじっくり考え直す時間を置け







