仕事/価値観/組織が変化する中で経営者・管理職が理解すべきこと

更新:2024/01/06

作成:2024/01/05

リーダーシップのリスキリングサムネ_ピョートル氏v2
ピョートル・フェリクス・グジバチ氏
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役
株式会社TimeLeap 取締役
株式会社GA Technologies 社外取締役
連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。モルガン・スタンレーを経て、Googleで人材開発、組織改革、リーダーシップマネジメントに従事。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。ベストセラー『NEW ELITE』他、『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』『世界最高のコーチ』など執筆。最新著書は『心理的安全性 最強の教科書』『世界の一流は「雑談」でなにを話しているのか』。ポーランド出身。

 

<目次>

仕事と成果

あなたにとって「仕事」とは何でしょうか?仕事は単にオフィスに足を運び、パソコンを開いてメールを打つことではありません。仕事は成果を上げることであり、成果の定義は多岐にわたり、個人の視点にも依存します。仕事から何を得るか、仕事を通じて何をもたらすかを考え続けることが組織、個人の成長にとって不可欠です。

 

職場は、成果を上げる場所と言い換えることができますが、成果にだけ焦点を当てると、職場環境が張り詰め、人に対して厳しい場所になる可能性があるため、成果と、人に対する優しさのバランスが重要となります。

 

そして、皆さんが組織作りをする立場にいる場合、社員が集中し、好奇心を持ち、落ち着いて仕事ができる環境を作ることが重要です。僕は長い間、組織開発とリーダーシップ教育を行ってきましたが、組織作りにはさまざまな要素があり、オフィス環境や企業文化も大切な要素です。

 

ここで、「成果」という言葉について、皆さんに再度考えていただきたいと思います。

 

成果にはさまざまな側面があります。例えば、タスクの完了による成果やプロジェクトの結果による成果が考えられます。また、売上の向上も成果と言えるかもしれません。

 

しかし、それ以上に、皆さんの会社が社会にどのような価値を提供しているかを考えていただきたいです。

 

僕の個人的なミッションは「誰もが自己実現できる世界をつくる」ことです。そして、これを実現するために、人を巻き込み、刺激を与え、潜在能力を最大限に発揮し、成果を生み出すお手伝いをしています。

 

人が集まり、そこで何が生まれるかを重要視しているため、ミッションとビジョンを明確にし、逆算して成果を仕組み化し、ビジネスモデルを構築し、その中で人がどのように行動するかが肝です。

 

仕事とは?

 

また、組織において強力なマネジャー層が存在することは非常に重要です。マネジャーはパフォーマンスをマネジメントし、コーチングを通じてチームメンバーのパフォーマンスを向上させる役割を果たします。

 

経営者が信頼できるマネジャー層を持つことで、組織全体のパフォーマンスが向上し、経営者の負担が軽減されます。マネジャーの仕事をしっかり理解し、信頼し合える関係を築くことが、組織の成功に不可欠です。

 

価値観の変化とキャリア

成果を生み出すのは個人だけでなく、チームが関与しており、個人のパフォーマンスにはプライベートも影響していると理解する必要があります。これには健康問題や家庭問題なども含まれます。

 

価値観、大切にするもの、信念、何を正しいと考えるか、どんな希望があるかによって、人々の行動が変わります。そのため、皆さんは組織を経営の観点から見るだけでなく、個々の人間性の尊重、という観点からも見る必要があります。

 

世代によって変わるパラダイム

主な社会情勢特徴傾向
第1世代世界大恐慌、wwI、電化製品の登場規律正しい家庭で育った世代。家族やコミュニティ、国家への忠誠心が強い。共同活動に献身的。上下関係を重んじる。
第2世代冷戦、月面着陸、公民榷運動、ベトナム戦争、女性解放運動、オイルショック私生活より仕事を優先する熱心な働き手。
第3世代チェルノブイリ原発事故、ベルリンの壁崩壊、日本バブル崩壊、インターネット登場、就職氷河期前世代より独立心や順応性が高くテクノロジーに精通した世代。ワークライフバランスを重視する。
第4世代9.11、イラク戦争、SNSの出現、3.11(東日本大震災)最も教養が高く、人種の多様性に富んだ世代。活動的でテクノロジーに精通し、社会意識が高い利他的。

価値観によって言葉の意図が変わります。そして、世代が変わると、価値観が変化する傾向があります。私たちは、複数の世代が組織に同時に存在している社会で生きているのです。

 

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例えば、産業革命以来、効率化が重要視され、集約労働を良しとするパラダイムがいまだに続いています。ただし、最近では「効率」の重要性が薄れてきており、むしろ成果に焦点を当てるべきだと考える人も増えています。

 

このパラダイムの特徴は、とにかく効率化を優先し、自分たちの仕事が社会に与える影響など深く考えることなく手を動かし、せっせと働いて家計を支えることを美徳とすることです。

 

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また、別のパラダイムとして、大量生産と大量消費が挙げられます。これはバブル時代から続いており、このパラダイムでは、裏側で誰が苦労しているかについてはあまり考えられていません。

 

楽しみや美味しいもの、魅力的なものを身の周りに集めることが美徳とされています。要するに、仕事とは何かを買うための手段であり、ボーナスを受け取れば冷蔵庫を買う、といった考え方です。

 

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しかし、現在は社会価値起点を重視するパラダイムシフトが進んでいます。この新しいパラダイムでは、誰が苦労しているか、仕組みはどうなっているかを深く考え、社会問題を解決することが仕事の基盤とされています。このパラダイムの特徴を理解し、社会的な価値に焦点を当てることが大切です。

 

組織内で異なる世代が存在し、それに伴い異なる思考パターンが混在しますが、それをハックすることで新しいビジネスの可能性が見えてくることもあります。

 

このアプローチは、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のような企業において、人それぞれがもつ本能や価値観を理解し、実際の行動をプロダクトの設計に反映させることで成功しています。価値観が行動に及ぼす影響や、それをプラスに活用する方法を考えることは、組織開発においても重要です。

 

価値観はキャリアを選択する大事なファクター

組織内の従業員は、自身の持つ価値観に応じて、キャリアや仕事を変えていくことがあります。各個人は、人生のステージごとに、どの方向に進むか、どの選択をするかを考えなければなりません。それは、仕事を優先するか、家庭を優先するか、お金のために働くか、仕事を楽しむか、といった選択も含まれます。

 

一方、自分自身が何を必要とし、何が重要で、何を望んでいるかを考えないと、ただの仕事中毒のようになってしまう可能性があります。

 

価値観が多様であるため、働き方も異なることがあります。また、組織のビジネスモデルに応じて求められるものも異なります。その中で、個人のポテンシャルを最大限に発揮し、希望や承認、喜びを感じる方法を見つけることが重要です。

 

成果を上げるためには成果を求めることが重要ですが、人々が協力し、協力的に行動するためには、人間関係を大切にすることもポイントです。

 

あなたの選択は

 

テクノロジーの進化による変化

次に、学びについてお話します。学びは、パラダイムを解放する大きな要素です。自分が慣れ親しんできた方法や考え方を忘れ、新たなアプローチを受け入れることは重要です。

 

近年、テクノロジーと情報の進化が急速に進んでおり、これにより働く環境や働き方に大きな変化が生じています。これによって、マネジメントとリーダーシップの本質的な変化が起きていると言えます。

 

情報のアクセス性が向上したことで、個人や組織は以前よりも多くの情報にアクセスできるようになりました。これは意思決定の質を向上させ、より効果的なビジネス戦略の立案や実行を可能にしました。たとえば、自分の健康状態をモニタリングし、それが仕事に与える影響を評価することができ、健康に関する重要な決定を下す手助けとなります。

 

また、情報のアクセス性が高まったことで、遠隔地からでも仕事を行うことが容易になりました。これにより、フレキシブルな働き方やリモートワークが一般的になり、地理的な制約を乗り越えて人材を活用できるようになりました。

 

これは、マネジメントとリーダーシップにおいて、リモートチームの効果的な指導やコラボレーションを促進する新たなスキルが求められることを意味しています。

 

組織のあり方が、現在は固定的なものではなく、ますます流動的になっている傾向があります。その組織のあり方に合わせて、どのようなマネジャーやリーダーが必要とされるか、という問題が浮上しています。

 

さらに、個人の自己表現や自己実現が重要視される傾向が強まりました。情報の自由な流通により、個人は自身のアイデンティティや価値観をより明確に認識し、それを仕事に生かすことができるようになりました。したがって、マネジメントとリーダーシップは、個人の多様性と自己実現をサポートする方法に焦点を当てる必要があります。

 

対話・学びによる組織変革

 

管理の方法

 

製品やサービスの提供だけでなく、仕組みを構築し、その複雑さに打ち勝つ仕組みを作ることが大切です。そして、その仕組みを誰のために構築するかを考える必要があります。

 

もちろん、利益を上げることは資本主義の前提ですが、その利益が何のために生まれるかが圧倒的な差別化を生む要素です。すべてを自力で行うのではなく、多くの組織やコミュニティを巻き込み、複雑さに打ち勝ち、価値を生み出すことが大切です。

 

KPI(Key Performance Indicators)を全て経営者が決めるという組織作りはもはや通用しなくなり、ボトムアップ型の組織が求められています。

 

ピラミッド型の組織構造は、場合によってはまだ有効なこともありますが、複雑な仕事、つまり集合知が必要とされる仕事では、柔軟に人々を巻き込むことが非常に重要です。さらに、学習と変革を怠ると、新しいテクノロジーの導入が遅れ、時代遅れになる可能性が高まります。

 

テクノロジーの進化により、新たなビジネスチャンスやリスクが生まれています。これに対応するためには、変化に適応し、イノベーションを推進する力が必要です。個人や組織がミッションに共感し、柔軟に変化に対応できる文化を築くことが、成功への鍵となっています。

 

また、マネジメントとリーダーシップはもちろん異なるものです。鵜飼のような考え方では、管理という側面があります。何を管理するかは状況に応じて異なりますが、リソースや目標、プロセスを管理することが、皆さんのマネジメントにおける重要な仕事です。

 

しかし、人々を鵜飼のようにコントロールできるわけではないのです。複雑でスピードの必要な課題に対処し、優秀な人材を集め、その人材を支援することが皆さんの仕事です。管理統制から共創型のリーダーシップへの転換が求められているのです。

 

以前は勤勉さや知能が重要視されていましたが、現在ではそれが必ずしも優先事項ではなくなっています。なぜならば、皆さんが既に導入しているテクノロジーや今後導入されるテクノロジーは、皆さんの勤勉さや知能に替わって課題を解決する手段として活用されるからです。

 

一部のルーチンな作業が自動化・効率化されたことで、人の役割や仕事の内容も変わってきています。この変化に対応するために、新しいスキルや価値提供の方法を見つける必要があります。

 

成果を上げるためには、率先して動く行動力と、想像力、そして情熱が必要です。何を解決したいのか、問題をどのように定義するか、他の人々をいかに巻き込んで成果を上げるかを考えることが、これからの仕事の核心です。

 

従業員を厳格な枠に固定し、外部の世界を閉ざすような組織作りはもはや通用しません。個々の従業員が会社を基盤として自己実現を果たせる場所であるべきです。

 

これからの仕事の進化や、将来の展望について考えると、自分のキャリアや直近の計画、資産運用、子供の教育など、我々はこれまでの前提とは異なる未来を予測しなければなりません。10年後には、10年前や20年前に仕事をしていた世代が退職し、従来の仕事に慣れた人々が組織を離れるかもしれません。

 

このような変化があるため、会社という存在が将来どのように変わるか、正確に予測することは難しいです。実際、ほとんど予測がつかない状況です。

 

このような状況から、個人のキャリアや所属の定義がどのように変わるかについて、答えが存在しない未知の世界に突入しています。そのため、好奇心を持ち、集中して、何が重要かを学び続ける必要があります。何が成功に寄与するのかを理解し、学び続けることは今後の仕事において不可欠です。

 

この新しい状況に気づくことは重要で、用意されたカリキュラムに従って1つずつ学ぶ従来の方法ではなく、未知の中で新しい知識を探求し、得た知識を日々の生活で活用していくという、新しい学び方が求められているといえるでしょう。

 

従業員が自分は何のために生きているのか、仕事の目的は何か、何を大切にしているのか、これらを明確にし、自己開示ができるような環境を築くことが重要です。具体的には、フラットで心理的安全性の高い環境を作ることがポイントです。

 

壁を作り、お城のような組織が主流だった時代は終わり、現在は価値共創の時代です。組織内外の壁を取り払い、連携しやすい環境を作ることが求められています。組織内での協力と連携、外部とのパートナーシップを強化し、変化に柔軟に対応する準備を整えることが不可欠です。

 

環境変化にともない、リーダーシップを発揮するためのスキルも変化しており、リーダーは、新たな視点でリスキリング(学び直し)を行い、組織や個人の成果を最大化するための努力をすることが必要です。

 

「組織におけるマネジメントの重要性」

皆さんが使用しているGoogleの製品は、氷山の一角に過ぎません。実際には多様なサービスを展開しており、そのためにGoogleは、最新のテクノロジーを理解して活用できる人材を採用し、その人の周りにチームを編成します。それがGoogleの組織開発の基盤です。

Googleが提唱する、マネジメントに必要な8つの行動模範

  1. 良いコーチであるか?
  2. チームを勢いづけ、マイクロマネジメントをしていないか?
  3. メンバーが健康で過ごし、成果を挙げることに関心を払っているか?
  4. 生産的かつ成果主義であるか?
  5. チームの良き聞き手であり、コミュニケーションを活発に取れているか?
  6. メンバーのキャリア形成を手助けしているか?
  7. 明確なビジョンと戦路を持っているか?
  8. チームにアドバイスできる技術的な専門知識を持っているか?

Googleの場合、世界で最も革新的な人材を招き、彼らが成長できるようにサポートします。そのプログラムを構築するのが人事の仕事です。

 

マネジメントについての考え方はそれぞれ異なるかもしれませんが、良い組織を作り、組織内で個人が認められ、尊重されるために、チームを構築することが非常に重要です。組織に方向性や戦略がなければ、成果は得られません。

 

そして、個人がどのようにサポートされ、チームが成功するかを考える際に、マネジメントの定義を具体的な要件に落とし込むことが不可欠です。

 

ここまでの話をまとめると、組織を構築する際に重要なのは、強力なリーダーを適切に配置し、そのリーダーが周囲をどのように支援するかです。達成力の高い組織を構築するために、コーチング型のマネジャーやリーダーを育成することが不可欠です。

 

共創型のマネジメントやイノベーション重視のアプローチは、組織が変化に適応し、新たな価値を創造するために有効な方法です。自分の仕事を見つめ直し、どの部分が自動化や効率化される可能性があるか、どの部分で自分の独自の価値を提供できるかを考えることが重要です。

 

組織としてメンバーがイノベーションに貢献できる環境を整えることが必要です。柔軟性のある行動や協力を実践し、新しいアイデアやアプローチを歓迎する文化を育てることが、競争力を高める一環となります。

 

今後ますます変化が速まるビジネス環境で、価値の創造と競争力を保つために、自己評価と組織の進化が必要です。

 

コミュニティと雑談

我々は、さまざまなコミュニティに所属しています。たとえば、飲み仲間やチームスポーツに参加しているかもしれません。自分がこれらのコミュニティで活動している理由は、その人間関係を築くことや、チームメンバーとの関係性を楽しむことに置き換えることができるでしょう。

 

コミュニティに所属することを通じ、他のメンバーとのつながりを感じることができ、それによってエンゲージメントが高まります。

 

ここで、なぜ雑談が重要かと言うと、我々が共同で結果を生み出すためには、まず信頼関係を築かなければならないからです。信頼があるからこそ、人々は協力し合うのです。

 

議題に入る前に雑談の時間を設けて、相手の現状を理解し、相手の思考パターンを把握することが非常に重要です。これは、強みを発見し、活用し、チームを構築するための基盤となります。相手が現在どのような状況であり、将来どのようになりたいのか、そのギャップについての会話を行えることが、信頼関係を構築する上で大切です。

 

皆さんはおそらく今日、誰かと接する機会があるかと思います。家族であったり、コンビニの店員であったり、どんな相手であっても、その接触の中で、その人がどのような状態にあるのか、何が必要なのかを、好奇心と関心を持って観察してみてください。

 

その人に集中して見ることで、直感的にさまざまなヒントが得られるでしょう。相手の顔の表情や言葉遣いなどから、細かいことに気づくことができるはずです。

 

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