
キャリアパス制度を導入するときには、以下の流れで自社の仕組みを設計していきましょう。
組織ビジョンの構想
キャリアパスは、自社の組織ビジョンに紐づくものでなければなりません。本章でいう組織ビジョンとは、中長期的に成し遂げたい以下2つのことになります。
- どのような組織を作りたいのか?
- 目標の組織をつくるために、どういう人材を獲得・育成したいか?
たとえば、管理職の平均年齢が40代の組織があったと仮定します。40代の組織で、管理職の平均年齢を30代まで下げるには、自社の管理職に必要なスキル・資質を持つ人材を獲得し、かなり早く育て上げる必要が出てくるでしょう。
また、市場で通用する専門性を持ったスペシャリストが多数在籍する組織にしたいと考えるなら、管理職とスペシャリスト、それぞれに向けた昇格や人事評価制度を整備する必要があるでしょう。
上記のようにキャリアパス制度を作成するうえでは、組織ビジョンを考えてみることが非常に大切になってきます。
等級制度の整備
大枠のイメージが見えてきたら、まず、組織に求められる階層と、それぞれの業務内容を明確にします。明確にしたうえで、各階層の業務に必要なスキル・知識・経験などを洗い出していきましょう。
階層は、主任・係長・課長・部長などの役職=ポジションで設定するのがわかりやすいでしょう。
ただし、“新任の課長”と“部長になる一歩手前の課長”では、求められる役割が当然変わってきます。そのため、“課長”という大きな括りで一つの階層にするのではなく、たとえば、課長の役職をいくつかの等級に分けたほうが適切な教育支援などもしやすくなるでしょう。
人事評価制度の整備
次に、等級制度と人事評価制度を連携させます。具体的には、最初に明確化した組織ビジョンからブレイクダウンするイメージで、「どういう仕組みを採用するのか?」「何をどのように活用するのか?」などを決めていきます。
人事評価の項目は、企業から従業員へのメッセージです。
極端な話、たとえば、営業部門の評価項目を、売上などの数字だけにしたと仮定します。もちろん、営業成績が重要であることは間違いありませんが、売上の数字だけで評価されるとなれば、「短期的に自分の売上をどうあげるか?」だけに従業員の意識が向かってしまうでしょう。
結果として、チームワークや中長期的な種まき、顧客との信頼関係などがないがしろにされてしまう可能性も出てきます。こうした問題を防ぐためにも、人事評価制度の項目や基準は、慎重に決める必要があります。
給与制度の整備
人事評価制度と給与制度を連携させます。給与制度を考えるうえでは、市場相場を意識した給与制度にする必要があります。
近年では、転職が当たり前になり、雇用が流動化するなかで、従来よりも転職のハードルは圧倒的に低くなっています。リモートワークが浸透したことも拍車をかけています。
そのため、優秀な人材を獲得する、また、自社につなぎ留めるうえで、市場相場と同等もしくは同等以上の待遇を実現する重要性が増しているでしょう。今まで年功序列で給料や待遇を決めてきた場合、今後の採用力を上げるためにも、給与制度の再整備は特に重要となってきます。
制度の周知
新しいキャリアパス制度を導入すると、従業員が課長などの職位を目指したり、給料アップを狙ったりするうえで、努力すべきポイントが明確になってきます。キャリアパス制度を設計したら、従業員に制度の目的や内容をきちんと説明し、理解・納得してもらうことが大切です。
研修の実施
キャリアパス制度は、導入すればOKではありません。新しい制度に基づいた評価や人材育成、組織づくりを進めていくには、現場の従業員を指導・評価する“評価者”の視点や価値観を変えることが大切になります。
制度の公正さを担保し、効果性を高めていくにも、評価者教育も必要です。評価者教育は、たとえば、以下のような内容になります。
- 新キャリアパス制度の趣旨やコンセプト
- 目標設定の意味と方法
- 評価で生じやすいバイアス
- フィードバックのやり方・ポイント
評価者教育の具体的ポイントは、以下の記事をチェックしましょう。
また、従業員向けにも研修は必要です。新しいキャリアパスに基づく昇格研修、また、キャリアパスを考えてもらうためのキャリアプラン研修などです。