信頼関係を築くうえで重要なポイントを解説します。組織内で信頼関係を高めるための具体的な施策も紹介するので、ぜひご一読ください。
仕事を進めるうえで、周囲との信頼関係が必要不可欠です。チームメンバー同士の信頼関係がある状態であれば、仕事を効率よく進められるようになり、生産性の向上に繋がります。
組織内に信頼関係がないと、指示や確認を非常に細かく実施することになる、信頼して任せられない等の状態となり、生産性が落ちてしまいます。
本記事が組織内の信頼関係を高める参考になれば幸いです。
<目次>
信頼関係とは?
信頼関係とは、お互いに信じて頼れる状態です。仕事において相手との信頼関係があることで、最小限のやり取りでスムーズに進められるようになります。
具体的には「言わなくても理解してくれている」「指示を出さなくても仕事を任せられる」状態です。
すべてにおいて“阿吽の呼吸”であることが素晴らしいわけではありませんが、やはり信頼関係があると仕事のスピードが向上します。
仕事が完全に1人で完結するということは殆どありませんしので、効率よく終わらせるためにチームメンバーとの信頼関係が必要不可欠です。
仕事で成果を上げるためには、チームメンバー同士で信頼関係を構築するような行動が求められます。
信頼関係を築くメリット4つ
前述した内容と一部重複しますが、信頼関係を築くことで得られるメリットを4つ確認しておきます。
- 1.会話や情報共有が活発になる
- 2.生産性が向上する
- 3.人間関係のトラブルを減らせる
- 4.周りのメンバーからサポートを受けられる
順番に見ていきましょう。
会話や情報共有が活発になる
信頼関係がある状態だと、会話や情報共有が活発になります。プライベートの友人でも、信頼できる友人とそうでない人の2人がいた場合、自分のことを話したいと思えるのは前者のはずです。
仕事の場でも同様で、信頼関係のある人を優先して会話や情報共有をしたくなるものです。
仕事内容によっては信頼関係のない人に対して「この情報を与えて外部に漏らさないかな」と懸念してしまう場合もあるでしょう。
信頼関係のある人ほど、共有すべき情報を精査する手間が減るので、ストレスなくコミュニケーションを取れるようになります。
情報共有が活発になることで新しいアイデアが生まれやすくなり、成果の向上や新規事業に繋がることも期待できるでしょう。
生産性が向上する
冒頭で紹介した通り、信頼関係があれば最小限のやり取りで仕事を回せるようになるため、仕事が効率よく進み、生産性が向上します。
信頼関係のある人に対しては必要最低限の指示で仕事を任せられるため、マネジメント工数の削減も期待できます。
逆に信頼関係のない人に仕事を依頼する場合、適切に進めてもらうためにより多くの指示を送ったり、細かく確認したりする必要があります。
マネジメント工数が増えることで本来の業務に集中できなくなり、生産性が低下してしまう恐れもあるでしょう。
人間関係のトラブルを減らせる
信頼関係があれば、人間関係のトラブルも減少します。
たとえ自分とは異なる意見を言われたとしても、信頼関係のある人からであれば「どんな理由があるのか?」「どんな視点で見ているのか?」と理性を働かせることも容易です。
また、最終的に折り合えなくても「あの人が言うならいいか」と感情的にも受け入れやすくなります。
逆に信頼関係がない人から言われると「お前に言われたくない」「私の意見が正しい」といった感情が先走り、トラブルに発展してしまうこともあるものです。
当然、人間関係のトラブルが少ないほど仕事をスムーズに進められるようになり、生産性が上がります。
また、信頼関係のある人と一緒に働くことで職場の雰囲気もよくなり、ストレスなく仕事を進められるはずです。
周りのメンバーからサポートを受けられる
周りのメンバーからサポートを受けられることも、信頼関係を築くメリットの1つです。信頼関係がある人は例外なく、日ごろから周りの人に何かしらの貢献をしています。
そのため、いざ助けが必要になったときには、周りからすぐにサポートしてもらえます。
サポートを受けられることで、困難なことがあっても少ない労力で乗り切れるようになりますし、挑戦などもしやすく、高い成果に繋がるでしょう。
信頼関係を築くのが上手い人の特徴9選
信頼関係を築くのが上手い人には、共通の特徴があります。そのため、信頼関係を築くことに苦手意識を持っている人は、上手い人がやっている行動を取り入れることがおすすめです。
信頼関係を築く行動①小さな約束を守る
端から見て些細と思えるような小さな約束もきちんと守る人は、信頼される傾向にあります。
小さな約束とは、例えば「時間を守る」「決められたことを必ずやる」など、ひとつひとつは誰でも出来ることであることが大半です。
逆に、小さな約束すら守れないような人は「こんなこともできないのか」と思われてしまい、信頼を失いかねません。
小さなことすらできない人に大きな仕事は任されないので、成長やキャリアアップの機会も得にくくなるでしょう。
組織の中には「大きな仕事を任せてもらえない」と不満に思っている人がいるものです。
ただ、意外とそうした人ほど、通常業務での成果、小さな約束を守ることを積み重ねられていなかったりするものです。
信頼関係を築く行動②行動と発言が一致している
言っていることとやっていることが一致している人は、「自分の発言に責任を持てる人」とみなされ、信頼されるようになります。
逆に、「口だけの人」は周囲から信頼されなくなるものです。自分が口にしたことは、必ずやり遂げる意識を持つようにしましょう。
信頼関係を築く行動③できないことは素直に断る
先ほどから「約束を守る」「口にしたことは必ずやり遂げる」といった内容を記載しましたが、これらが大事だからこそ、頼まれたことは何でも引き受けるのではなく、できないときは素直に断ることも大切です。
「信頼される」ためには言われたことをすべて引き受けるべき、と考えている人もいるかもしれません。
確かに、引き受けることで相手からの信頼が積みあがる側面もあるでしょう。同時に、何でもかんでも引き受けていると、自分のリソースの限界を超えてしまい、できないことが出てきます。
自分ができないことを引き受けてしまえば、結果的に約束を守れなくなり、却って信頼を損ねることにも繋がりかねません。信頼を落とさないためにも、できないと思ったら素直に断りましょう。
ただし、できないことでもできるようになるための努力は必要です。
引き受ける時点でリスクも共有したうえで、できるように精いっぱい取り組む、きちんと進捗を報告すれば、結果的にできなかったとしても信頼を落とさずに済むでしょう。
信頼関係を築く行動④間違いがあったときに素直に謝れる
信頼される人は、自分の判断や行動に誤りがあったとき、素直に謝るものです。人間、誤りやミスゼロにすることはほぼ不可能です。
しかし、間違いがあったときに素直に謝れないと、信頼を大きく落としてしまいます。
間違いが発覚した時、保身のために素直に認められない人、言い訳してしまうひともいます。そうした行為は逆に信頼関係を損ねるものです。自分の誤りは素直に認め、謝罪しましょう。
信頼関係を築く行動⑤周囲への感謝を口にしている
周囲の人から何かをしてもらうことが当たり前だと思っておらず、常に感謝の言葉を口にしている人も、信頼されやすい傾向にあります。
また、感謝の言葉を言ってもらえた相手の気分はよくなるので、チーム全体の雰囲気が上向くことにも繋がります。
チームで仕事に取り組む以上は、助け合う場面が必ず生じます。
普段から「やってもらえる、助けてもらえることは当たり前ではない」という意識を植え付け、感謝の言葉を口にできる環境を整えることが大切です。
信頼関係を築く行動⑥他人の気持ちや感情に配慮できる
信頼関係を構築できている人は相手の状況や感情に配慮して、話したり行動したりしています。もちろん仕事においては、相手の状況や感情を最優先にできるわけではないでしょう。
一方で、人は感情の生き物です。適切に配慮することで信頼関係が維持できますし、仕事もスムーズに進むものです。
逆に、自分の都合だけを中心に進めるような人は「自己中心的」とみなされてしまい、信頼を築くことは難しいです。
配慮するというのは大げさなことだけではなく、たとえば、忙しい部下に仕事をお願いするときに、ただ単に「これよろしく」というのと、「忙しいところ悪いけどこれお願いしていい?」と言うのでは、圧倒的に後者のほうがいい印象を受けるはずです。
立場が上がってくるほど、それだけ仕事の進行が重要なものになってきて、指示や命令をする権限をあたられることになります。
だからこそ、立場や権限だけで人を動かすことがないように注意が必要です。
信頼関係を築く行為⑦言い訳をしない
「素直に謝る」という行動とも関係してきますが、間違えたとき、上手くいかなかったとき、何かのせいにして言い訳をする人は信頼を失っていきます。
言い訳することが習慣化している人には、どこかのタイミングできちんとフィードバックしてあげることも大切です。
言い訳が習慣化すると信頼も失ううえに、自分の非を顧みる機会を失ってしまうので、自己成長も見込めなくなります。
信頼関係を築く行為⑧他人の悪口や文句を言わない
納得いかないことがあったときに、悪口や文句を言わないことも大切です。悪口や文句を口にしてしまうと場の空気が悪くなってしまい、生産性の低下にも繋がります。
また、自分の前で誰かの悪口や文句を言っている人は、「別の誰かの前では自分の悪口や文句を言っているかもしれない。人の陰口をたたく人だ」と思われて信頼を失うものです。
周囲から悪口や文句が出てきたときは「どうすればいいと思う?」と、代案を求めてみるのがおすすめです。
改善点やできる方法を提案してくれるだけでも、悪口や文句から建設的な議論に生まれ変わることがあります。
信頼関係を築く行為⑨嘘や隠し事をしない
信頼関係の構築が上手い人は、嘘や隠し事をしません。
嘘や隠し事が発覚してしまうと「他にも何か隠しているのではないか」と勘繰られてしまうものですし、「あの人は嘘をつく人」だと思われてしまうものです。
もちろん仕事の中では、周囲にオープンにできないことも生じます。
周囲から「隠し事をしている」と思われないためには、普段から共有できるものはきちんと共有したうえで、「こういう条件に該当するものは共有できない」と伝えることが大切です。
信頼関係を築けないことで生じるリスク
信頼関係を築けなければ、仕事の手間や人間関係のトラブルが増えるリスクがあります。また、組織内に信頼関係を築かない人が1人いると関係者全員の足を引っ張ってしまうこともあり得ます。
仕事の手間が増える
信頼関係を築けないために、仕事の手間が増えてしまうことはよくある話です。信頼関係がないと、マネジメント業務とチェック工程が増えがちです。
信頼関係がない人に仕事を振るときは、事細かく指示を出したり、進捗をチェックしたりすることになります。また、作業が完了した後もしっかりできているかチェックしなければなりません。
結果として、余計な仕事が増えたり、やるべき業務に手が付けられなかったりして、生産性の低下に繋がります。
人間関係のトラブルが増える
信頼関係がない人がいるだけで、人間関係のトラブルが増える傾向にあります。
前述の通り、人から何か言われたときに、信頼関係のある人からであれば異なる意見であっても、すんなり受け入れられるものです。
しかし、信頼関係のない人から言われると、たとえ正論だとしても感情的に受け入れられなくなってしまいます。つい反発してしまい、トラブルにも発展しかねません。
信頼関係を築く5つのポイント
信頼関係を築くために押さえるべきポイントは、以下の5つです。
- 1.信頼される人格を磨く
- 2.自分が相手を信頼する
- 3.人の話をしっかり聞く
- 4.ポジティブな姿勢を持つ
- 5.相手の立場を考えて行動する
1つずつ解説します。
信頼関係を築くポイント① 信頼される人格を磨く
人格を磨いていけば、自ずと周囲からの信頼は付いてきます。人格を磨くには先述の「信頼関係を築くのが上手い人の特徴」で紹介した9つの行動を取り入れることです。
信頼関係を積み重ねる行動は、一つひとつは小さいことです。しかし、積み重ねた結果が信頼性の根幹となります。
小手先のコミュニケーションテクニックを磨いたとしても、肝心な信頼性がなければ信頼関係を作ることはできません。
信頼関係を築くポイント②自分が相手を信頼する
周囲からの信頼を得るためには、自分が相手を信頼することも大切です。信頼関係は、相互の想いがあって初めて成り立つものです。
信頼するためには、まずは周囲の人に関心を持つことから始めましょう。関心を持つことで初めて、その人の行動を見るようになり、新たな気づきを得られます。
いきなり相手のことを信頼するのは難しいと感じる人は、最初のステップとして、関心を持つことから始めてみてください。
信頼関係を築くポイント③人の話をしっかり聞く
相手が話しているときは途中で遮らずに、自分の意見があったとしても最後まで聞いてから伝えるようにしましょう。
話を最後まで聞いた段階で、ようやく相手の言いたいことがわかるケースは往々にあります。
人の話を最後まで聞く、真剣に聞くことは簡単なように見えて、意外と多くの人ができていないものです。
聞いた話をしっかり理解した上で自分の意見を伝えれば、相手に受け入れられやすくなり、信頼関係を築けるようになるでしょう。
信頼関係を築くポイント④ポジティブな姿勢を持つ
ポジティブな人には、人を惹きつける魅力があります。日ごろの発言でも前向きであるほど、周囲も惹きつけられてポジティブになり、場の雰囲気もよくなります。
逆に、人の批判や陰口が多いような職場で信頼関係を築くことは困難です。
周囲の人が悪口や文句などのネガティブな言動を発していた場合は建設的な意見を伝えてポジティブな方向性に持っていったり、無視したりすることです。決して同調してはいけません。
信頼関係を築くポイント⑤相手の立場を考えて行動する
相手の立場や状況を考慮したうえで接するようにすることも大切です。特に会社の場合、上司や部下をはじめ、さまざまな立場の人がいます。
立場が違えば置かれている状況や業務内容が大きく異なります。
相手の立場や状況を理解せずにやり取りをしようとすると、自分に悪意はなくても相手の反感を買ってしまうこともあるでしょう。
相手の立場を尊重した上で行動できるようになれば、お互いにストレスが溜まらず、スムーズに仕事を進められます。
組織内の信頼関係を高めるためのおすすめ施策3選
信頼関係は個々の間だけでなく、組織全体の風土としてもあるものです。
社員が組織内のメンバーのこと、そして、組織のことを信頼するようになれば、業務に対するエンゲージメントも上がり、生産性の向上に繋がるでしょう。
組織の信頼関係を高めるうえでおすすめの施策は、以下の3つです。
組織内の信頼関係を高める施策①お互いを知る時間を設ける
お互いを知る時間を設ければ結束が強くなり、信頼関係を築くきっかけになります。組織全体が忙しいとコミュニケーションが「目的的」になり、目的外の雑談が減る傾向にあります。
特に近年はリモートワークの増加によりメンバーが顔を合わせる機会が減少し、お互いのことを知る時間がほとんどありません。
お互いのことを知るためには、同僚や上司・部下といった業務の関係性以前にまず「人対人」として知り合うことが大切です。
意図的にアイスブレイクなどの時間を取り、相互理解を深められるようにしましょう。
コミュニケーションが生まれれば、他メンバーの仕事が自然と見えるようになったり、自分と異なる価値観を持っていることが分かるようになったりするものです。
組織内の信頼関係を高める施策②ゴールや課題、言葉を共有する
チームマネジメントの立場からはゴールや課題、改善点を共有することも大切です。同じ目的や認識を持つことで、共同作業が生まれやすくなります。
実際に同じ仕事をしていても、各々が持っているゴールや課題は異なるものです。ゴールや課題を共有して、メンバー間の認識をすり合わせることで1つの方向性に向かって協力し合えるようになります。
また、コミュニケーションにおいては共通言語を持つことも、非常に有効です。
特に仕事への姿勢やマインドセット、コミュニケーションなどに関する共通言語があると、業務上の信頼関係に繋がりやすくなります。
組織内の信頼関係を高める施策③称賛する風土を作る
メンバー同士で称賛し合える風土や習慣を作ると、組織内でオープンなコミュニケーションが取りやすくなります。
称賛や感謝の言葉が飛び交う環境を作るとチーム全体が話しやすい雰囲気になり、より多くの情報が共有されるようになります。
組織全体のコミュニケーションが活発になれば自然と信頼関係が構築され、よりよい仕事ができるようになるでしょう。
まとめ
殆どの仕事は、1人で完結することは少ない、周囲と協力して成果をあげるものです。だからこそ、成果をあげるためには周囲との信頼関係が必要不可欠です。
信頼関係が築けている相手とは、コミュニケーションもスムーズであり、また、依頼やチェックの手間も省けるため、生産性や成果が向上します。
反対に、信頼関係のない状態だと仕事の手間が増えて生産性が落ちるだけでなく、人間関係のトラブルが増えるリスクもあるでしょう。
記事内で紹介した「信頼関係を築く9つの行動」や「信頼関係を高める5つのポイント」などをぜひ実践して、周囲との協力関係を築いてください。
なお、組織内で信頼関係を構築するための第一歩は「相互理解」です。以下の資料では相互理解を深めるためのポイントについて、詳しく解説しています。
部下や後輩の気持ちがわからずに悩んでいる上司や、チーム内の人間関係をよくしていきたい管理職の方におすすめの内容となっているので、ぜひご参考ください。
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