「演出を考える」を実践するためのポイント
「演出を考える」原則の詳細と活用するためのポイントを解説します。
1.なぜ「演出」が重要なのか?
冒頭で触れたように、商品・サービスがあふれた現代社会の中で、売れ行きの違いを生み出すひとつの要因は、広告やプロモーションであり、そこでなされる「演出」です。
たとえば、最近では、飲食店に行ったり、空港でお土産を買おうと思ったりすると、お店の歴史や商品の開発ストーリーが紹介されていることがよくあります。
あれもひとつの「演出」です。
単に
と書かれているよりも、例えば、
と書かれていると、何となく「美味しそう」「注文してみよう」と思ったりするものです。これも一種の演出です。このように演出には人を動かす力があるのです。
演出はなぜ重要なのか。カーネギーの言葉を引用しながら、改めて見ていきましょう。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
『人を動かす』の本が出版されたのは、1936年のことです。商品やサービスの種類やバリエーションは、現代よりも圧倒的に少なかったに違いありません。しかし、上記に引用したように、カーネギーはこの時代においても既に「現代は演出の時代」だと強調しています。
現在、私たちが普段目にしているテレビやインターネット、スマートフォンで流れている広告は、ほとんどすべて「演出」です。何の「演出」もされずに、私たちの目に触れる商品・サービスは殆どないと言ってよいでしょう。私たちは普段から「演出」に慣れっこになっているともいえます。
上述したような“飲食店における商品の開発ストーリー”なども、20年前はまだ珍しいものでしたが、今では当たり前のものとなり、始めた見た時のような驚きや感動はなくなっているでしょう。
このようにカーネギーの時代以上に「演出」に慣れ親しんでいる現代だからこそ、カーネギーがいう「事実に動きを与え、興味を添える」演出は、当時以上に重要な役割を担っています。
2.「演出」は、人を説得する上でも重要になる
私達の日常生活では、相手への頼み事、商談の交渉…など、他人を説得して動かしたい状況がしばしば訪れます。しかし、この時も、依頼をそのまま伝えただけでは、相手は期待するように簡単には動いてくれないこともあるでしょう。
「演出」は、人を動かしたり説得したりする上でも重要です。
例えば、忙しそうにしている上司に、依頼や相談があるとしましょう。
この時、もし「部長、今お時間よろしいですか?」といきなり切り出せば、「申し訳ない、いま忙しいので、また今度にしてもらえるかな」と返されてしまうかもしれません。しかし、たとえば、「部長、○○の件で”今1分だけ”お時間よろしいですか?」と伝えれば、「1分だけなら…話を聞こうか」と時間をもらえる可能性は高まるかもしれません。
実際には、上司が質問をしてくると、話は1分で終わらず5分、10分と続くこともあるかも知れません。しかし「1分だけ」と加える事で、忙しい上司も「手短に報告してくれるなら…」と、その場で時間をくれる可能性は高まるでしょう。このように「いま1分だけ」と添えるのも、相手の関心を惹きつけるある種の「演出」です。
「演出」は大々的なものばかりではありません。相手の状況、気持ちを考えたうえで、ちょっとした「演出」を心掛けると、人の気持ちは動くものです。
3.「演出の達人」から学びを吸収する
人の関心を引いたり、説得したりする上で、演出が重要であることをお伝えしました。
では、実際にはどんな演出をすればいいでしょうか。
どんなタイミングで、どのように伝えるか?・・・演出の仕方や工夫を考え出すと、無限というぐらいのバリエーションがあります。だからこそ、「実際の場面でどんな演出を取り入れればいいのか、なかなか分からない…」という人もいるかもしれません。
そこで、ビジネスや私生活で相手を動かす効果的な演出を身に付ける方法として、お勧めなのが「演出の達人」の行動から学びを得るというものです。
“人を動かす演出のうまい事例”は、気を付けて見てみると、身の回りに意外とたくさんあるものです。
たとえば、新規開拓の営業電話で相手に興味を持たせるトーク、食品売り場で新商品を手に取ってもらうマネキンさんの声掛けの仕方、また、メンバーの気持ちを動かすことがうまい管理職や幹部、上司や他部署への頼みごとがうまい同僚…など、「演出の達人」は身近にもいるものです。
「人を動かす演出」にアンテナを立てていると、どんどん工夫やテクニックを発見できます。
営業の仕事であれば、同じ商品・サービスを提案しているのに、どんどん契約を決めてくる人もいればそうでない人もいます。売れている人は、どんな風に伝えているのか、そこにアンテナを立てておくと、多くの学びがあります。
他に、YouTubeなどの動画を参考にしても良いでしょう。たとえば、YouTuberとしても活躍中している講演家、インフルエンサーの鴨頭嘉人(かもがしら よしひと)さんの動画なども参考になります。
https://www.youtube.com/c/kamohappy
鴨頭さんは講演でもトークショーでも、常に人を沸かせる「演出の達人」です。話す内容は、当たり前のこと、一見ありふれたテーマも少なくありません。しかし、鴨頭さんは、ありふれた内容でも、時には場を沸かせ時にはしんみりさせながら、伝えたいメッセージをスゥっと相手の頭の中に浸透させていきます。
鴨頭さんは日本有数の講演とセミナーのプロですから、なかなか同じように・・・というわけにはいかないかもしれません。しかし、緩急やテンポの付け方、本題を伝える前にどんな前置きをして、どのタイミングで切り出すのか・・・といった相手を惹きつける話し方の演出は、商談やプレゼンなどで大いに活用できるものでしょう。
このように身近にいる「人を動かす達人」から、演出のやり方を吸収する習慣を付けることがお勧めです。







