書籍『人を動かす』は、「人を動かす3原則」「人に好かれる6原則」「人を説得する12原則」「人を変える9原則」の4パートから構成されており、全部で30の原則が紹介されています。
本記事のテーマである「喜んで協力させる」は、「人を変える9原則」の締めくくりとなる原則です。
「人を変える9原則」では、相手との関係を損ねることなく、相手に自ら変わってもらうために重要な9つの原則が書かれています。
「喜んで協力させる」の詳細に入る前に、本章では「人を変える9原則」の一覧を簡単に紹介します。
1.まずほめる
人に指摘や助言をしたい時に、いきなり改善点やアドバイスを伝えてしまうと、相手は自分の行動や思考を否定されたと感じ、こちらの話に耳を貸さなくなってしまう可能性があります。
「まずほめる」の原則では、相手の良い点や成功した点を率直に褒めたてから、その後に改善点やアドバイスを伝えることで、相手の重要感を満たしたうえで、よりよくなる手段として改善点やアドバイスを伝える方法を提案しています。
2.遠まわしに注意を与える
人間は自分の行動や思考を正当化する傾向が強く、批判されると反発してしまうという心理を持っています。そこで大切になるのが「遠まわしに注意を与える」原則です。
相手に悟られないようオブラートに包んで注意や苦言を与えることで、相手が自分自身で指摘や改善事項に気づいてもらうことが相手を動かすには有効です。
結果として、相手の自尊心を守りながら、相手の言動を変えることが可能になるでしょう。
3.自分の過ちを話す
「自分の過ちを話す」の原則では、相手の失敗を指摘したり改善を指導したりするときに、自分が過去に同じような失敗や苦労を経験していることを話すのがよいと提案しています。
自分も失敗してきたことを伝えることで、相手は自分が非難されていると感じず、こちらの指導を受け入れやすくなります。
自分の失敗を話すことは、相手の共感や信頼につながり、また、上から目線にならず、相手に助言やアドバイスを受け入れやすくする効果を生みます。
4.命令をしない
「命令をしない」の原則は、相手に一方的な指示や要求をせずに、自発的に行動させる方法です。
人は自分の行動を自分で決めたいという本能を持っており、一方的に命令することは、相手に無意識の反発心や不満を生み出すことにつながります。
相手にアイディアだけを提供して具体的なやり方は考えてもらったり、相手の意見や提案を尊重したり、相手に選択肢を与えたりすることが相手のモチベーションを高め、主体的な行動を生み出します。
例えば、「今日中にこのレポートを提出しなさい」と命令する代わりに、「このレポートの納期はいつだっけ?」あるいは「レポートを今日中に提出してほしいのだけど、どうしたら出来るかな?」と問いかける方が、相手の自主的な行動につながるわけです。
5.顔をつぶさない
「顔をつぶさない」の原則では、相手の自尊心やプライドを傷つけないようにすることの大切さを説いています。相手を人前で批判したり、叱責したりすれば、相手には反発心が生じます。
そうすれば、相手はあなたの言葉を聞き入れないモードに入ってしまいます。
それよりも相手の良い点や成功事例を認めたり、感謝や賞賛の言葉をかけたりする、また何か改善してもらう必要がある場合も「相手の顔を立てる」ことが大切です。
6.わずかなことでもほめる
人に対して誠実に褒めることが、相手の自尊心や承認欲求を満たし、さらなる行動を生み出すという原則です。
例えば、部下が目標達成できなかった時、目標未達を責めるのではなく、まずは部下が持っている長所や能力、できたプロセスをほめて、それを踏まえた上で次のアクションを提案していくほうが、部下の行動意欲を高める上では有効です。
このようにすることで、部下は自分の価値を認められたと感じて、アドバイスや助言を素直に聞く姿勢が生まれますし、褒められたプロセスを通じて業務にもより一生懸命取り組むようになるでしょう。
7.期待をかける
相手に対して期待や信頼を伝えることが、その人が良い方向に変わる行動を生み出すようになるという原則です。
この原則は、人は自分に対する他者の期待に応えようとする傾向があるとする、人間心理の法則「ピグマリオン効果」が基になっています。
例えば、教師が生徒に対して高い期待を持って接すると生徒の成績や態度が改善される、逆に、教師が生徒に対して低い期待を持って接すると、生徒の成績や態度が悪化することが実験で明らかになっています。
部下が仕事で成果を出せない場合でも、「あなたはもっとできるはずだ」「あなたは素晴らしい才能を持っている」「あなたに期待している」などの言葉をかけることが、部下の可能性を引き出し成長を促す上での糧になるわけです。
8.激励する
「激励する」ことは、相手のモチベーションや行動意欲を引き出す上でとても効果的です。「激励されている」と感じることで、相手からあなたへの信頼や好意も強まるでしょう。
ですから「あなたならきっとできる!」など、惜しみなく激励の声掛けをするようにしましょう。
ただし、激励する上では「誠実で真摯であること」「具体的で適切であること」に配慮して行う必要があります。言葉だけで相手を操ろうとしてもうまくいきません。
本当に相手を信じる、承認することが大切です。
9.喜んで協力させる
「喜んで協力させる」の原則では、相手に自分の考えや提案に賛成してもらうための方法を提案しています。この原則を適切に活用することで、喜んで協力させる状況を作り出すことも可能になります。
「上司や同僚の力を借りたいとき」「家族や友人に協力や応援を求めるとき」など、様々な人間関係のなかで相手に動いてもらいたいときに効果を発揮する原則です。
「喜んで協力させる」を実践するための具体的なアプローチ・伝え方は、次章で解説します。