「人を説得する12原則」は、相手との人間関係(人に好かれる6原則)を作ったうえで上で、相手を説得するために役立つ具体的な方法が書かれています。
【人を説得する12原則】
10.議論を避ける
11.誤りを指摘しない
12.誤りを認める
13.穏やかにお話す
14.イエスと答えられる問題を選ぶ
15.しゃべらせる
16.思いつかせる
17.人の見になる
18.同情を寄せる
19.美しい心情に呼びかける
20.演出を考える
21.対抗意識を刺激する
10.議論を避ける
「議論を避ける」とは、相手を論破しても相手の考えが変わることは期待できないので避けるべきであるという原則です。カーネギーは、ベンジャミン・フランクリンの言葉を引用してこの原則を説明しています。
「議論したり反駁したりしているうちには、相手に勝つようなこともあるだろう。しかし、それはむなしい勝利だ ── 相手の好意は絶対に勝ち得られないのだから」
相手を論破しても、得てして相手の反発や敵意を招くだけの結果に終わってしまうになり、相手を動かす結果にはつながらないのです。相手を動かすためには、小さな勝ちは譲ってしまったほうが上手くいくことも多いものです。
11.誤りを指摘しない
人は自分の間違いを認めたくないものです。従って、相手の誤りを指摘すると、相手は自分を守ろうとして、却って自分の考えに固執するようになりますし、自分の正しさを証明しようとして反論するものです。例えば、「やむを得なかった」「こういう事情があるのだ」「事情も知らないくせに…」といった形です。
相手の感情的な反発を招いてしまえば、相手を心から動かすことはできません。たとえば、理屈で論破したところで、相手は言い訳して行動しないものです。
相手に反発されないように、注意や指摘するにはどうすればいいのでしょうか。ポイントはあなたが指摘するのではなく、相手に自分で気付かせること、もしくは自分で気付いたと思わせることです。“教える”のではなく、“気付かせる”アプローチこそが有効です。
12.誤りを認める
「誤りを認める」原則は、自分が間違っていることに気づいたら、誤りを認め、すぐ素直に謝ることの重要性を示しています。
どんな人も、多かれ少なかれ、間違いを犯すものです。そして、間違いをしてしまった時に、自分の間違いを隠したり、言い訳したりすれば、相手は不信や怒りを募らせるでしょう。
自己重要感と似た概念ですが、人は「自分の方が相手よりも優秀である」という自己有用感を欲しています。先に自分の落ち度を認めて素直に謝罪することで、相手の自己有用感は満たされ、それを維持するために「許す」という選択肢を選ぶ確率が高まります。自ら誤りを認めることで、相手の許しを得やすくなり、その先での対応や打開策も相手に承認してもらいやすくなるのです。
13.穏やかに話す
意識して穏やかで物腰柔らかな話し方・態度を取ることが大切です。
人は声のトーンや表情の厳しさ、態度の強さなどによって、相手の感情や態度を判断します。もし、強い口調や、高圧的な態度で接すれば、相手は自分への敵意や威圧感だと解釈して、あなたに対して警戒態勢をとるでしょう。それでは、コミュニケーションはうまく進みません。
穏やかに話すことで、相手はあなたを「友好的な人物」であると捉え、好意的な印象を持ち、あなたに対して心を開いてくれるでしょう。
14.イエスと答えられる問題を選ぶ
相手からポジティブな返事を引き出したいときは、相手が同意できる話題から話を始める、できるだけ相手が「イエス」と答えやすい質問を選ぶことが有効です。会話の冒頭から連続して「イエス」と答えてもらうことで、相手に、「この人は自分の側にいる、自分の仲間である」という印象を与えることができます。
例えば、営業で、顧客へのヒアリングを終えて商品・サービスを提案する場面を想像してみてください。「今まで伺ったお話を整理していいですか?」「御社の課題はこれでしたね?」「解決する必要性を感じているということでしたね?」「解決策を選ぶうえでは、この要素で考えたいという話でしたよね?」「そうしたら、これらをクリアしているサービスがあれば聞かれたいですか?」といった流れで話していくと、相手は「イエス」を繰り返してくれるでしょう。
そのうえでサービスを提案する流れになれば、相手はより真剣に聞いてくれますし、商品への評価も前向きなコメントを得られる確率は高まるでしょう。何かについて相手の同意を得たいのであれば「イエス」と答えられる問題から入っていくことが大事です。
15.しゃべらせる
人を説得するうえでは、相手をしゃべらせ、相手の話を聞くことが重要です。
カーネギーは「多くの人が“相手の考えを変えよう”とたくさん話しすぎる」と指摘しています。自分が話しても、相手の真意を聞き出すことはできません。また、相手は「意見を押し付けられている」と感じて反発心を感じ、抵抗します。
誰かを説得したいなら、自分が話すよりも相手の話を聞くことが遥かに大切です。相手の話を聞くことで、相手に「自分に関心を持ってくれている」という印象を与え、信頼感や好意を抱いてもらえるでしょう。また、相手の話を聞くことで、相手の興味・関心や状況も見えてきます。相手に共感したり、質問したりする中で、自分の考えを提示したりするタイミングや方法も見えてくるでしょう。
16.思いつかせる
人は、他人から言われたことよりも、自分自身で思いついた考えやアイデアを大切にするものです。
だからこそ、誰かを説得したい時には、相手に思いつかせることが有効です。思いつかせるアプローチを取ることで、相手に「自ら考えた」「自分で決めた」感覚を提供し、相手の意思決定や行動を後押しすることが出来ます。「自分で考えて決めた!」と感じれば、実行するうえでも主体性を発揮し、優先順位を高めてくれるでしょう。
たとえば、営業であれば、商談の良さを一方的に語るより、「もし、この商品を選ぶとしたら、何が理由になりますか?」という質問をして、相手に自ら商品のメリットを考え、選ぶ理由を考えてもらうといったアプローチが有効です。
17.人の身になる
「人の身になる」ことは説得する上で大事なポイントです。
人を説得するためには、相手にこちらの考えや提案に納得してもらう必要があります。しかし、自分の意見を押し付けたり、論理的に説明したりするだけでは、相手はなかなか納得してくれません。
相手の視点から物事を見て、自分が相手の立場だったらどう思うか、どう感じるか、どうしたいかを考えることで、相手を動かすことができるでしょう。人は自分の感情や欲求に基づいて行動します。相手の身になって考え、相手の欲求に訴えることで説得することができるのです。
18.同情を寄せる
「同情を寄せる」は、相手の立場に立って考え、相手の気持ちになって共感することの大切さを示しています。同情を寄せることで、相手は自分自身が理解されていると実感し、あなたのことを信頼するでしょう。
ただし、同情を寄せるときは、誠実に行うことが求められます。口先だけで、「分かります、分かります!」などと相槌を打っても信用はされません。
相手の感情に「同感」できないときは、「共感」しましょう。同感と共感をうまく使い分けることが「同情を寄せる」を実行するポイントです(同感は「あなたと同じように思います」、共感は「あなたはそう思ったのですね」という意味です)。
同感と共感の違いを詳しく知りたければ、以下をご覧ください。
19.美しい心情に呼びかける
相手の高潔な感情や理想に訴えることが、時に相手を説得することにつながります。
人は心のどこかで「自分は高潔な人間である」「道徳的で倫理を大切にする存在だ」と思いたがっています。だからこそ、相手の美しい心に訴えかけることで説得ができる可能性があるのです。
例えば、誰かに寄付を依頼するときには、「寄付することで社会的に困窮している人が救われる ⇒ 寄付してくれるあなたは弱者の困窮を見逃さない高潔な人物なのだ」と伝えることが有効かもしれません。
20.演出を考える
誰かを説得する上では、演出も大事です。自分の考えや提案を単に言葉で伝えただけでは、なかなか相手は動いてくれません。しかし、演出を考えることで結果が変わるかもしれません。
ただ言葉で説明するのではなく、具体的な事例やエピソード、比喩やイメージなどを用いて、相手の感情や想像力に訴えることで、結果が納得してくれることはよくあることです。大勢の前でプレゼンテーションをするのであれば、スライドやグラフィックなどを使って、視覚的に分かりやすく説明したり、話の進行に合わせて効果的な演出を考えたりすることで、聞き手の興味を引きつけることができるでしょう。
人は感情的な動物であり、理屈だけで動くわけではありません。相手にとって興味深く、印象的な演出を考えて工夫してみましょう。
21.対抗意識を刺激する
人は誰でも「他人より優れていたい!」「自分が1番でありたい!」といった競争心を心の中に持っているものです。こうした競争心に働きかけることも、人を説得するうえで有効です。
とりわけ、競争心が強い相手には挑戦や競争の機会を与えて対抗意識を刺激すると、やる気やパフォーマンスを向上させることができるでしょう。
たとえば、「これは正直難しい仕事だけど、うちのメンバーの中でもあなたのスキルと専門性があれば対応できると思うんだ」と言われたら、部下は「自分の能力を認められている」と感じると同時に、「何とかやってやろう」という気持ちが芽生え、高いモチベーションで仕事に取り掛かるかもしれません。
