
社員一人ひとりの働き方に合わせた制度設計
東宮オープンハウスグループでは、女性活躍に関して福利厚生やキャリア形成などに関するさまざまな制度を用意されています。どのような考え方の下で制度設計を行っているのか、また実際にどのような制度があるのかをお聞かせください。
小山内当グループでは、関連法令に基づく行動計画を策定し、先ほど紹介したLDH休暇、サニタリー用品の備品化、婦人科検診の費用補助、子育て中の社員が情報共有できる「mamaキャリコミュニティ」などの制度や補助を整備しています。
制度設計においては「やる気ある社員が活躍し続けることを支援する。そのために手厚く、柔軟性が高く使いやすい制度にする」という考えを軸にしています。制度を運用する人事部としては大変な面もあるのですが、女性活躍を推進するならば、やはり多くの社員に制度を使ってもらいたいのです。

出典:オープンハウス様「サステナビリティ 女性活躍推進」より
特にご紹介したいのが、2022年から始まった「OPENキャリアデザイン制度」です。これは業務経験3年以上・役職ありの社員が、子どもが6年生になるまで働く時間や年間休日などを自分でデザインできるというものです。
前身となる制度では、6時間までの時短勤務が認められていました。しかし、本当に社員それぞれが働きやすい環境になっているのだろうかと制度を見直し、営業職は1日あたり2時間〜、営業職以外は4時間〜と、1日の勤務時間を選べるように変更しました。
また勤務時間だけでなく、休日を平日から土日に変更するなど、休日とする曜日の変更も可能です。営業職はこれまで土日出勤が基本でしたが、この制度によって子どもと一緒に土日を過ごすこともできるようになりました。
また、最近スタートした制度としては、卵子凍結費用補助制度が挙げられます。これは卵子凍結に関して最大40万円まで会社が費用を補助する制度です。それから、月30万円までベビーシッター代を支援する制度を活用している社員も見られます。
東宮今話題の卵子凍結に関する制度まで用意されているのですね。女性のキャリア形成に関する研修なども実施されているのでしょうか。
小山内まさに今、女性のキャリア研修に力を入れているところです。当グループはこれまで新人研修や階層別研修などは実施していたものの、キャリア形成や女性向けの研修は未実施でした。現在は、若手女性研修や新人女性向け研修などを実施しています。
また、最近は外部講師による女性社員研修にも取り組んでいます。先日は営業で活躍してきた外部の女性執行役員に登壇してもらい、これまでのキャリアの歩みや、女性のキャリアに対する思いなどを話していただきました。当社にはまだ女性執行役員がいないため、社員にとって何らかの糧になることを期待しています。
今後は、先輩社員との座談会や懇親会など、キャリアの悩みに寄り添えるような施策にも積極的に取り組んでいきたいと思います。

東宮キャリアの悩みは何歳になっても尽きないと思います。とりわけ女性の場合、30歳前後では出産・育児などのライフイベントを考えると、一時的にキャリアを中断せざるをえない可能性が高まります。そのタイミングで初めて悩むというわけではなく、実はその前からずっと悩み続けているのです。
だからこそ、会社に制度や研修があり、お互いの考えや悩みを共有できる場があるととても心強いですね。
このような女性活躍に関わる取り組みを一気に進めるためには、強力な推進力が必要だったのではないでしょうか。
小山内それに関しては、社長の存在がかなり大きいと思います。社長がオフィスフロアにふらっと登場して社員とフランクに話したり、社長室で社員と談笑されている声を聞いたりすることがあります。自分から現場の声をキャッチしに行っているようです。
これまで整えてきた多くの制度には、社長の思いや、社長が直接聞いた社員の声が反映されています。例えばOPENキャリアデザイン制度は、小学一年生から仕事との両立が厳しくなる「小1の壁」を乗り越えたいという社員の声を反映して誕生しました。
これまで、思うように学童に入れないことを理由に退職者も出ていたこともあり、社長の「一定期間の短時間勤務を可能にして、女性社員が会社を辞めないで済むようにフォローしたい」という想いを受けて、人事部の方で制度に落とし込んでいきました。
また、世の中では、時短勤務者の給料が低いのは仕方のないことだと考えられていると思います。しかし社長は時短勤務者のつらい声を受け止め、どうにかしたいと人事部に打診してきました。
そこで、すぐに給与の計算方法を見直して調整を行い、時短勤務でも給料が下がりすぎないように制度を改定。結果として、時短勤務者の給与を数万円引き上げています。
それから卵子凍結補助制度も、社長が社員の声を拾ったことをきっかけに制度化に向けて飛躍的に加速しました。
社長は日頃から「社員に還元したい」という強い思いを持っており、私たちと社長が向かっている方向は同じです。制度を細かく調整するのは苦労を伴いますが、理想を実現させる方法を考えることは私たち人事部の大切な役割だと思っています。
大切なのは当事者意識の醸成

東宮各種制度の整備と並行して、当事者である女性社員の意識醸成も重要だと思います。女性社員の当事者意識やキャリアへの意識を高める取り組みについて、ぜひお聞かせください。
小山内女性社員の当事者意識は、社長が朝礼や表彰式などの場を通じて期待を込めたメッセージを頻繁に発信していることから醸成されていると感じます。
このような社長の姿勢は、男性管理職の意識を変化させる上でも重要です。先ほど、業務の量とともに質も重視するようになったとお伝えしましたが、男性管理職の中にはその考え方に賛同していない人もいます。そこで社長が日々働きかけを行ったり、人事部が男性向けの管理職研修を実施したりするなどして、理解を深める努力をしています。
また今年から管理職の女性は、人事部を管掌する管理本部長(執行役員)と一対一の面談を実施しています。このように悩みや目標設定を話す機会を設けることが、少しずつではありますが女性社員のキャリア意識を高める助けになっていると思います。

東宮最後に、女性活躍推進に関する今後の展望について教えてください。
小山内女性活躍推進グループが始動して早3年が経ちました。ここ数年でかなり多くの制度を整備してきましたので、今後は制度の浸透や、社員一人ひとりへの細かなフォローなどを実施していきたいと考えています。
オープンハウスグループには、性別問わず活躍できる環境があります。成果を出せば誰でも認められるという環境は、仕事も家庭も全部の希望を叶えたいという意欲の高い女性に、非常に適していると思います。
そう考える方には、ぜひ当社にお越しいただきたいと思いますし、今いる社員が自らのキャリアを追求できるよう、さらに充実した環境を構築していきたいです。
東宮多くの企業が働きやすい環境づくりに力を入れていますが、制度が充実しても社員が利用できないという“心理的な壁”が生じていることもあります。その点、オープンハウスグループでは、社長や人事部の働きかけによって、さまざまな壁を突破できているようでした。
現場の声をキャッチして意思決定を迅速に行い、制度へ反映させていく。そんなスピード感と柔軟性がすばらしいと感じました。
現代の女性にとって「働くこと」はごく当たり前であり、重要なのは「どの会社で働くのか」です。結婚や出産、子育てによって働き方が変わっても、平等に評価され、給与に反映され、生活も保証される。そのような環境がある会社が、今後多くの女性に選ばれていくのではないかと思います。
本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました!
【本記事内容はPDFでも提供していますので、こちらからダウンロードしてください】
株式会社オープンハウスグループ
管理本部 人事部 次長
女性活躍推進グループ長
小山内 悠子氏
早稲田大学卒業後、オープンハウスに入社。開発事業部で戸建用地の仕入営業に配属され、1年目に最優秀新人賞を受賞。3年目に女性の働きやすい制度作りのため、経営層とダイバーシティ推進委員会を発足。27歳でマネージャーとして売上トップを獲り、30歳で次長に昇格。出産、育児休業を経て、営業復帰後、現在は女性活躍推進リーダーとして女性活躍推進の舵を取る。
株式会社ジェイック 執行役員
株式会社Kakedas 取締役
東宮 美樹氏
ジェイックにて、コミュニケーション改善や主体性発揮、エンゲージメント強化の研修を中心に活躍。自身の経験を踏まえた女性活躍やキャリア研修、イクボス育成などの研修も評価が高い。2023年にはキャリア面談プラットフォームを提供する株式会社Kakedas取締役に就任。