職場で嫌いな人がいると感じるのは、誰にでもあります。そのような状況にどう対処すればよいか悩む人も多いでしょう。しかし、嫌いな人との関係をうまく処理できれば、人間関係がもっと楽になり、職場全体の雰囲気や生産性を向上させることが可能です。
今回は「神セブン」という職場での人間関係に対する新しい視点を紹介し、職場のコミュニケーションを円滑にしたり、チームのパフォーマンスを上げたりするための具体的な方法を詳しく解説します。
<目次>
- 職場における人間関係の課題
- 職場で7人の神を選抜する
- 職場で自分にとっての「神」を選抜するメリット
- 神セブンを選抜する基準
- 「神セブン」の活用方法
- 神セブンと関係を深めるためのステップ
- まとめ:快適な職場環境には「神セブン」の存在が必須
- 著者
職場における人間関係の課題
職場で「この人はちょっと苦手だな」と感じた経験は誰しもあるでしょう。特に、価値観や考え方が異なる相手と接すると、違和感やストレスが生じると言われています。
私たちが人間関係に悩む理由
私たちが人間関係に悩む理由には、価値観の違いや性格の不一致、職場での行動が気になるなど、さまざまな要因が関わっています。
その際にキーポイントとなるのは「感情」です。「感情」は私たちの思考や行動に大きな影響を及ぼします。たとえば、特定の人に対する嫌悪感を抱くと、相手の些細な言動でも「余計に気になってしまう」「悪意があるように感じてしまう」場合も少なくありません。
ネガティブな感情が引き金となり生産性が低下する
ネガティブな感情が引き金となり、意識的にコミュニケーションを避けたり、関わりを持つこと自体が億劫になったりすると、スムーズな情報共有ができなくなりチーム内での協力や連携が滞りやすくなります。それが結果的に、職場での生産性やパフォーマンスの低下に繋がってしまうのです。
だからこそ、時々で生じたネガティブな感情が職場においてどのように影響するかを冷静に見つめるのは、私たちが働きやすい環境を築くための第一歩となります。
相手を尊重して建設的な関わり方を心がける
職場はさまざまな年代・文化・背景を持つ人の集まりであり、異なる価値観が共存する場です。全員と完全に調和するのは難しいかもしれませんが、職務を全うする上では冷静かつ建設的な関わり方が求められます。
建設的な関わり方の一例として、相手の長所やスキルを認識し、それを尊重する姿勢を持つことが挙げられます。たとえ性格が合わない相手でも、その人が職場に貢献している部分や、自分にはないスキルを持っている可能性は多いにあります。こうした長所に目を向ければ、相手を尊重しつつ、冷静に評価できるようになるでしょう。
職場で7人の神を選抜する
上述したようなことを頭では分かっていても、相手が苦手な人や嫌いな人だと「建設的なコミュニケーションをすることが難しい」と感じる場合もあるでしょう。ここでは、快適な職場環境を作るために有効な「神セブン」の考え方を詳しく解説します。
快適な職場環境を作るためにはサポートメンバーの存在が欠かせない
「神セブン」の考え方は、職場内で信頼できる存在を選び、サポートネットワークを築くための新しいアプローチです。職場で深く付き合える人間関係を意識的に見つけて活用する一連のプロセスを指します。
心理学に「2:6:2の法則」があるのをご存じですか?この法則では、どんなグループでも優秀な20%の人たちが成果を引き上げ、中間の60%が安定的に貢献し、残りの20%は貢献度が低いとされています。
実は、「2:6:2の法則」は人間関係にも当てはめられます。つまり、私たちは職場の全員と必要以上に親しくする必要はなく、信頼できる少数としっかり関係を築くことで、職場のパフォーマンス向上が可能です。
ただし「神セブン」と名前がついていますが、絶対に7名を選抜しなければいけないわけではなく、状況に応じて人数を増減させても問題ありません。
あくまでも、サポートネットワークを築く目的は「職場において、自分にとって心地の良い人間関係を作ること」です。人数にとらわれることなく、自分にとって最適な人数、ポジションを選ぶようにしましょう。
自分にとっての「職場の神」を選抜する意味
職場において神の役割を担うメンバーは、さまざまな視点や知識を持ち、自分が困ったときに頼りになる存在です。具体的には「専門知識に長けた人」「職場の情報に詳しい人」「癒しを提供してくれる人」といった役割ごとに人選することで、どんな局面でも必要なサポートが得られます。
自分にとっての最強メンバーが揃えば、職場の問題やストレスに柔軟に対処でき、毎日安心して楽しく働ける環境が整うのです。
職場で自分にとっての「神」を選抜するメリット
職場のメンバーを自分の神として認定するメリットは3つあります。それぞれ詳しく紹介します。
①必要な情報や助言を迅速に得られる
職場には多様な専門知識を持つ人々がいますが「どのような場面で誰に何を頼むべきか」を明確にしておけば、悩みの時間を短縮し、スムーズに業務を進めることが可能です。
問題が発生したときに「どう対処すればいいのだろう」と悩む、無駄なストレスも軽減されるため、結果として生産性の向上にもつながります。
②孤独感が減り、心理的安全性が向上する
神と認めたメンバーとの信頼関係を築けば、職場で孤立せずに、安心して働ける環境が整い、自分にとっての心理的安全性も向上します。
心理的安全性が育まれた職場は、意見交換や新しい提案がしやすくなり、仕事の質や職場の満足度にも大きな影響を与えます。特に難しい課題に直面したときに、気軽に意見を聞ける存在を持っておくのは、心の安定を保つためにも重要です。
③相互的な成長とチームの結束が促進される
信頼できる神を持っていると、ただの情報共有を超えた相互的な関係が構築され、成長が促進されます。また、自分が他の人にとっての「知識の神」や「癒しの神」として役立てば、お互いが職場で必要とされる存在であると実感でき、組織内での役割に自信が持てるようになります。
こうした相互関係の構築が、職場の雰囲気を良好に保ち、チーム全体の成果を向上させる原動力となるのです。
神セブンを選抜する基準
職場における神を持つ意味やメリットが理解できたところで、メンバーを選ぶ際の基準を見ていきましょう。
役割を明確にする
職場のメンバーを神として認定する際には、それぞれの神に持たせる役割を明確に定義するのが重要です。自分の心地良い、また成果をあげられる職場環境を作り出すために、どのような人物が周りにいると良いのかを洗い出すところからスタートしてみるのがおすすめです。
ここでは神の例を3つ挙げてみます。
- 「困った時に助けてくれる神」:職場で問題に直面した際に的確なアドバイスや助力をくれる存在です。普段から多くの状況に精通し、頼れる人物が適任でしょう。
- 「楽しみを共有できる神」:仕事の合間にリラックスできる関係性を築くことで、ストレスを解消し、仕事への意欲を維持するのに役立ちます。
- 「情報に詳しい神」:社内外の知識や業界動向に敏感で、自分にとって重要な情報源となります。
ここで挙げた神様はあくまでも一例であり、どんな神がいたほうがいいかは、人によっても異なります。自分にとってふさわしいポジションの神を決めて、厳正なるメンバー選びを行いましょう。
信頼できる人を選ぶ
神として選抜されるメンバーは、必ずしも直属の上司や同僚である必要はありません。別の部署やグループ会社の社員なども含めて、信頼できる人をリストに加えるのが効果的です。
他部署で情報網が広い人や、グループ会社に出向している人など、仕事上でサポートが期待できる貴重な存在はメンバー入りを検討してみても良いでしょう。
選ぶときのポイントは、自分の部署やプロジェクトという狭い範囲にこだわらず、視野を広げて適材適所の神を確保することです。そうすれば、業務効率を上げつつ、多様な視点からのサポートを受けられる環境が整います。
「神セブン」の活用方法
神の選抜が終わったら、次はどうしたら効果的に活用できるかを考えていきましょう。
状況と目的に応じて神を使い分ける
「神セブン」は、状況や目的に応じて使い分けるのがポイントです。
たとえば、プロジェクトの進行が停滞し、解決策が見つからない状況に陥ったとき、知識豊富な「知識の神」にアドバイスを求めることで、視点を変え、解決の糸口を見出せるかもしれません。「知識の神」は、職場での問題解決を加速させ、安心感を与える重要な役割を担います。
また、ストレスが溜まったときには「癒しの神」と気軽に話し、リフレッシュの時間を取れば、心の負担が軽減され、モチベーションが回復します。安らぎのひとときが、次の挑戦へと前向きに進むためのエネルギーとなってくれるでしょう。
さらに、プロジェクトの初期段階で「アイデアの神」とブレインストーミングを行ったり、「サポートの神」に進行を確認してもらったりすれば、計画のスムーズな進行が可能です。これにより、仕事の進捗がしっかりと管理され、プロジェクトの成功も近づきやすくなります。
神との関係は相互的なのが理想
神セブンとの関係は一方的ではなく、相互的な状態が理想です。一方的に情報をもらったり、何かをしてもらったりするのはテイカー的な思考であり、いつも恩恵をもらってばかりでは相手もいい気はしないでしょう。
相手から信頼される人材であるためには、自分もまた「他の人々にとっての神」として選ばれる存在になる必要があります。そのためには、積極的に他のメンバーの相談に乗り、適切なサポートやフィードバックを行う姿勢が大切です。
自分の得意分野に関する知識を共有したり、共通の趣味でリフレッシュを図ったりすれば、周囲にとって有益な存在となり、より深い信頼関係が生まれます。
自分自身も「誰かにとっての神」としての役割を担うことで、職場全体の結束が高まり、チームの成功にもつながります。
神セブンと関係を深めるためのステップ
神との良好な関係を築くためには、それぞれの神に合わせた関わり方をすることが大切です。そうすることで、より信頼と協力を基盤とした関係が築かれ、結果として職場で安心して働ける環境が整います。
以下では、多くの人が必要とするであろう3つの代表的な神との関係を深める方法を紹介します。
「困った時に助けてくれる神」との関係性の深め方
定期的に相談の機会を持ち、「頼りにされている」と感じてもらえれば、相手の協力意欲はグッと高まります。サポートを受けたときには感謝の気持ちとともに、具体的に何が助かったのかを言葉にして伝えましょう。
相手の負担になりすぎないように「お世話になる」だけでなく、自分でもできる限りの努力を見せる姿勢を持つと、より健全で対等な関係を維持できます。
「楽しみを共有できる神」との関係性の深め方
仕事以外でも共通の話題や関心を持つことで、リラックスした関係が築きやすくなります。ランチや休憩時間を活用して気軽に話し合ったり、趣味や興味について話したりすると、自然体での交流が進みます。
お互いの人生観や価値観に共感し合えれば、より深いつながりが生まれ、仕事上での困難を軽減する力にもつながるでしょう。
「情報交換ができる神」との関係性の深め方
定期的に情報交換の場を持つと、最新の情報や知識を得られるだけでなく、自らも役立つ情報を提供することで対等な関係を築けます。
情報のやり取りを通じて「ギブ・アンド・テイク」の精神を持ち、相互にサポートし合う関係を育んでいきましょう。自分が得た知識やヒントを積極的にシェアし合う姿勢を持つと、相手に対して信頼と尊敬を表せます。
まとめ:快適な職場環境には「神セブン」の存在が必須
今回の記事では、「神セブン」という職場における人間関係に対する新しい視点をご紹介しました。
職場で頼れるサポートメンバーの存在を意識的に選び、深い関係を築くことは、仕事の質を高め、快適な職場環境を創り出すための有効な手法となります。
職場で全員と仲良くするのは現実的ではないかもしれませんが、自分の神を厳選する方法なら、今からでも手軽に取り組めます。これを機に、あなただけの「信頼できるサポートメンバー」を選んでみてはいかがでしょうか。
著者
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小野 みか氏
一般社団法人日本心理的安全教育機構代表理事
合同会社MYGIFT 代表社員
1978年生まれ東京育ち。牧師である父親が運営するプロテスタント系教会で育つ。教会の結婚式で牧師と新郎新婦が行う「結婚教育」に豊かな人間関係の秘訣が全て詰まっていると気づき、教会の枠を超えて誰でも学びが受けられるように講演・研修活動を始める。全国35を超える地方自治体や、官公庁、上場企業の講師として全国を飛び回り活動をしている。
登壇回数は600回超、動員実績はのべ30,000人を超える。参加者満足率98%と高い評価を維持し、国内最大手の結婚相談所にてマリッジアドバイザー教育、3万6千人を有する会員向け教育事業の企画プロデュース及び筆頭講師も務める。
タカラトミー、出雲市などと共同で女性向け人生ゲーム「出雲縁結び人生ゲーム」を監修、女性が魅力あふれる人生の選択をゲームを通して体感できるようなイベントも開催している。






