「穏やかに話す」の詳細と実践
本記事のテーマである原則「穏やかに話す」について詳しく解説します。
私たちの態度・話し方で、コミュニケーションの結果は大きく変わる
私たち人間は、一人ひとりそれぞれ違った考え方を持っています。また、立場等の違いによっても、異なる利害や思惑が生まれることもあるでしょう。従って、ビジネスや日常生活の中で、相手と意見や見解の食い違いが生まれることは、しばしばあります。
相手と意見や見解で食い違いが生じた、相手の主張に納得できない、受け入れられないという場合、私たちの口調や態度につい感情が出てしまうこともあるでしょう。しかし、感情的な態度や話し方で相手に接すれば、相手と対立関係に陥ってしまい、相手を説得できないどころか、人間関係にヒビが入ってしまう結果にもなりかねません。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
カーネギーは上記のように話しています。“反抗と憎悪”というと大げさですが、相手が警戒心や反発心を抱いていれば、こちらが言っていることは半分ぐらいしか耳に入らない、端から断固として受け入れないと決めている、といったことになりがちです。
「自分自身がそういった状態で相手の話を聞いたことがある」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。相手がこのような状態であれば、いかに論理を尽くして説得しようとしても、相手の心を動かすことは難しいでしょう。逆に言えば、相手に対して警戒心や反発心を生じさせない穏やかな態度・話し方で接することで、会話の方向性、得られる結果は大きく変わる可能性があるのです。
穏やかな態度・話し方は、意識と習慣で自分のものにできる
誰かを説得する際は、まず「私はあなたの味方ですよ」というメッセージを相手に伝えることが肝心です。そのための第一歩が、穏やかな態度・話し方で相手に接するということです。
カーネギーは以下のように言っています。
(デール・カーネギー『人を動かす』より引用)
穏やかで落ち着いた雰囲気の話し方の人と、対話するシーンを想像してみてください。
安心して楽しく会話できそうだ、自分の意見も聞いてもらえそうだと思うのではないでしょうか。このように、落ち着いた雰囲気の話し方や口調、加えて、相手との共通点や相手と合意できる話題から話に入っていくことはとても有効です。
「あ、この人は自分の味方なんだな」と相手に受け入れてもらえるよう、穏やかな雰囲気の話し方、物腰で接することを心がけましょう。
穏やかな態度・話し方は、習慣化することで、確実に身に付けることができるものです。特に、接客業や営業職など、周囲と心地よい人間関係を築きたい人、初対面の相手に好印象を持ってもらいたい人は、穏やかな態度と話し方を普段の人間関係の中で意識して習慣づけることをお勧めします。
アンガーマネジメントで感情をコントロールする
ここまでで、穏やかな口調、物腰柔らかな態度で接することが人間関係においてとても大切だとお伝えしました。しかし、普段の仕事や私生活の中で、相手の対応にイラッとしれたり、感情的になったりする場面もあるものです。
このような状況で「穏やかに話す」を実践するために役立つのが、怒りや苛立ちといった感情と上手く付き合うアンガーマネジメントの技法です。
普段は落ち着いて物腰の柔らかな人でも、イライラが溜まってくると、「不機嫌になり、物や人に当たる」「虫の居所が悪くなり、友達や家族に愚痴をこぼす」といった、怒りや不機嫌さが表に出てきてしまうことは少なくありません。
このような「怒り」の感情はどこから来ているのでしょうか。
怒りの感情が生まれる源は、主に自分が大切にしている「~すべきだ」「~であるべき」という価値観が、他者によって裏切られたり、非難、侵害されたりしたときに生じると言われます。
たとえば、「時間は守るべきだ」と考えている人は、遅刻したりや会議で長々とくだらない話を続けたりする人に対して、より強い苛立ちを感じることでしょう。また、人一倍責任感が強い人であれば、無責任な言動、他責にする人を見かけると、「許せない!」という怒りがふつふつと湧いてくるかもしれません。
このように、怒りの感情を生み出している要因は、「他人」であると同時に、「自分自身の価値観(大切にしたい規範)」であったりもするのです。従って、まず自分自身の価値観を客観的に把握し、「自分はどんな刺激や出来事に反応しやすいのか?感情的になりやすいのか?」を明確にすると、アンガーマネジメントにとても役立ちます。
次に大事なポイントは、怒りというのは一種の生理反応だということです。
怒りやイライラが生じたとき、無理やり「これぐらいで感情的になってはいけない」「この程度で怒るべきではない」と言い聞かせて、“怒らないようにする”、“自分の感情に蓋をする”と感情的にしんどくなってしまいます。
アンガーマネジメントでも「怒るときには怒り、怒らなくていい場面では怒らないようにする」という考え方を基本に据えています。大切なのは、「怒りに任せて行動しない」ことであり、「怒りに任せて行動して、望む結果を得られなくなる」事態を避けることです。
怒りの感情への対処法として、アンガーマネジメントには、いくつかのやり方があります。
その中で最もシンプルな方法が、怒りのピークである「最初の6秒をやりすごす」というものです。怒りの感情は、瞬間的に沸き起こるものであり、約6秒でピークがやってきます。この6秒の間に行動してしまうと、怒りに身を任せた態度や振る舞いにつながってしまいます。したがって、最初の6秒間をやり過ごすことが肝心です。
怒りの感情を感じたら、いま自分が怒っている原因、怒りの原因となった自分の価値観を紙や手のひらに書いてみる、あるいは、またはその場をいったん離れクールダウンしてから戻ってくるなどを行うと良いでしょう。
怒りを感じた時、感情的になる時間をやり過ごせることができれば、衝動的に人間関係を壊すような言動を取ったり、感情的な態度や物言いになってしまったりすることを避けられるでしょう。
アンガーマネジメントの実践については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。







