
管理職に求められるスキルを分類した理論としては、カッツ理論が有名です。カッツ理論は、管理職に求められるスキルを「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分類しています。
下図の通り、管理職のなかでも、マネジメント範囲が広がっていくに連れて、テクニカルスキルの比率は減少して、ヒューマンスキルの比重が拡大。さらに上級管理職から経営者層になると、コンセプチュアルスキルの重要性が増してきます。
本章では、管理職に求められる7つの能力をカッツ理論も踏まえながら紹介します。

PDCAやKPIなど目標管理スキル
管理者の重要な仕事は、目標を設定し、達成に向けた計画を立て、実行・効果検証・改善を繰り返しながら、達成することです。
したがって、目標管理スキルは管理職にとっても必須のテクニカルスキルといえます。目標管理を実行するためには、KPIマネジメントやPDCAサイクルにG(ゴール/目標)を足したG-PDCAサイクルなどの運用能力が必要となるでしょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは、物事を整理したり筋道立てて思考したりするためのフレームワークです。
ロジカルシンキングは状況を正確に把握したり、相手の話を正確に理解したり、メッセージを論理的にわかりやすく伝えたりするために必要不可欠なスキルです。
先ほどの計画立案や目標管理、KPIマネジメント、G-PDCAサイクルを的確に実行するうえで、根底として必要になるスキルです。
マネジメントにおけるメンバーとのコミュニケーションは、相手の感情にも配慮する必要があり、ロジカルなコミュニケーションだけで十分というわけではありません。しかし、情緒的・感情的なやり取りを除いた状況や計画の説明、メンバーからのヒアリングなどでは、ロジカルシンキングが欠かせません。
ゴールを示して先導するリーダーシップ
管理職にはリーダーシップの発揮も求められます。有効なリーダーシップのスタイルは組織の状況や管理職の強み、メンバーの特性などによって異なりますが、組織の向かう方向とゴールを示して先導するという大枠は変わりません。
自ら動いて成果をあげるのではなく、人を動かしてより大きな組織の目標を達成する管理職にとって、「人を動かす」ために本質的に求められる能力です。
意思決定力(決断力)
意思決定力(決断力)はリーダーシップの根幹となる要素で、管理職がリーダーシップを発揮するうえで不可欠な能力だともいえます。
ビジネスにおける意思決定は正解が分からないことが多く、リソースも不足し、状況も変化していきます。その中で意思決定を繰り返すことで、管理職は物事を前に進めていきます。
意思決定のプロセスでは、メンバーや関係各所の意見を聞くことが大切ですが、最終的な意思決定は管理職自身の責任と判断で下すことが多くなるでしょう。
調整力・交渉力
他部署や取引先など、社内・社外の関係者との調整や交渉には、相手と対等な関係を築きながら、適切に自己主張を行なうためのコミュニケーション技術が必要です。
自分の主張をわかりやすく伝えるとともに、相手の立場や考え、また主張を正確にくみ取り、お互いのWin-Winを目指すコミュニケーションが求められます。
動機付け
目標を達成するには、何がメンバーのモチベーションを上げるのか(下げるのか)を理解して、メンバーそれぞれに最適なアプローチを行なう必要があります。
メンバーの動機付けを行なうには、心理学者デイビッド・マクレランドが提唱した「欲求理論」を活用するのがおすすめです。
欲求理論は人の動機を「達成動機」「権力動機」「親和動機」「回避動機」の4つに分類した理論です。人によってどの欲求が強いかが異なり、相手のタイプに応じた働きかけが有効です。
コーチング
動機付けとも関連しますが、メンバーの内発的動機や主体性を引き出すためにはコーチングの技術も有効です。
リーダーが一方的にメンバーに教えるティーチング、また、リーダーがすべてを意思決定して動かしていく指揮命令のスタイルだけでなく、質問によって相手の意見や考えを引き出すコーチングを適切に活用しましょう。