クレドの浸透で有名なのが、世界トップランクのラグジュアリーホテルであるリッツ・カールトンです。リッツ・カールトンでは、6項目からなる企業理念「ゴールドスタンダード」の先頭にクレドを記載しています。
- クレド
- モットー
- サービスの3ステップ
- サービスバリューズ
- 第6のダイヤモンド
- 社員との約束
リッツ・カールトンの「クレド」
リッツ・カールトンにおけるクレドの文章は、以下のとおりです。
リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することを最も大切な使命とこころえています。
私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。
リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。
*引用:リッツ・カールトン企業理念「ゴールドスタンダード」
この文章を分かりやすくすると、「ホテルにお越しになられたお客様が『気分がいい』と感じてくださることが最も重要である」という意味です。
『気分がいい』に繋がる心のこもったおもてなしや快適さを提供することが、リッツ・カールトンで働く全社員の仕事であり、最も大切な使命であるとしています。
クレドに続くゴールドスタンダードの各項目では、クレドの考え方をより具体的な内容に落とし込むことで、リッツ・カールトンの価値観と理念を理解しやすくしています。
モットー
ザ・リッツ・カールトンホテルカンパニーL.L.C.では「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」をモットーとしています。この言葉には、すべてのスタッフが常に最高レベルのサービスを提供するという当ホテルの姿勢が表れています。
サービスの3ステップ
- あたたかい、心からのごあいさつを。
- お客様をお名前でお呼びします。一人ひとりのお客様のニーズを先読みし、おこたえします。
- 感じのよいお見送りを。さようならのごあいさつは心をこめて。お客様のお名前をそえます。
サービスバリューズ:私はリッツ・カールトンの一員であることを誇りに思います。
- 私は、強い人間関係を築き、生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得します。
- 私は、お客様の願望やニーズには、言葉にされるものも、されないものも、常におこたえします。
- 私には、ユニークな、思い出に残る、パーソナルな経験をお客様にもたらすため、エンパワーメントが与えられています。
- 私は、「成功への要因」を達成し、ザ・リッツ・カールトン・ミスティークを作るという自分の役割を理解します。
- 私は、お客様のザ・リッツ・カールトンでの経験にイノベーション(革新)をもたらし、よりよいものにする機会を常に求めます。
- 私は、お客様の問題を自分のものとして受け止め、直ちに解決します。
- 私は、お客様や従業員同士のニーズを満たすよう、チームワークとラテラル・サービスを実践する職場環境を築きます。
- 私には、絶えず学び、成長する機会があります。
- 私は、自分に関係する仕事のプランニングに参画します。
- 私は、自分のプロフェッショナルな身だしなみ、言葉づかい、ふるまいに誇りを持ちます。
- 私は、お客様、職場の仲間、そして会社の機密情報および資産について、プライバシーとセキュリティを守ります。
- 私には、妥協のない清潔さを保ち、安全で事故のない環境を築く責任があります。
引用:リッツ・カールトン企業理念「ゴールドスタンダード」
リッツ・カールトンの「クレド」浸透施策①朝礼
リッツ・カールトンでは、独自の朝礼「ラインナップ」によって、約40,000人もの全社員にクレドを浸透させています。
ラインナップとは、全社員に配られたクレドカードの内容を基にしたディスカッションです。毎日の朝礼で、その日に取り上げたクレドの一文について、以下のようなディスカッションをしていきます。
- あなたは、この文章をどのように理解していますか?
- あなたなら、このシーンでどのように行動しますか?
- この部分を具体的に言うと、どういう意味になりますか?
- この取り組みをする前に、知っておかなければならない知識はありますか? など
もちろんクレドの内容は、新人教育や各研修においても繰り返し伝えられますが、加えて社員同士のディスカッションや優れた実践事例の共有、ケーススタディを毎日繰り返すことで、クレドの浸透へ繋げているのです。
リッツ・カールトンの「クレド」浸透施策②2,000ドルの決済権
リッツ・カールトンでは、社員一人ひとりに「2,000ドルの決済権」などのエンパワーメントを与えることで、クレドの行動指針を実行に移しやすくすると共に、クレドの内容に本気で取り組むことを組織のメッセージとして伝えています。
「2,000ドルの決済権」とは、リッツ・カールトンで働くスタッフには1日上限2,000ドルを自由に使う権利が与えられているということです。
これだけ多くの決済権を与えられた社員は、企業から絶対的な信頼を寄せられていることを実感するでしょう。リッツ・カールトンのクレドに書かれた「お客様の『気分がいい』」を実現するとともに、働くメンバーとの信頼関係を強固にする仕組みです。
また、日本円で約20万円という金額の大きさは、「お客様の『気分がいい』」を実現するというクレドに対するリッツ・カールトンの本気さに対するメッセージとしても機能しています。