第4の習慣「Win-Winを考える」とは?
“Win-Win”はビジネスシーンでもよく耳にする言葉です。本章では、“Win-Win”とは何か?、“Win-Win”を理解するうえで役立つ6つの人間関係の捉え方、第4の習慣「Win-Winを考える」が意味することを解説します。
Win-Winとは?
「7つの習慣®」におけるWinとは「自分が望むもの」という意味です。したがって、英語そのままの意味である“勝利”であることもありますが、実現したい結果、満足いく成果といったもの、また、時には満足感や達成感、充実感といった感情的なものもWinの形です。
そして、Win-Winとは「お互いにWinを実現する」、つまりお互いに満足できる結果を手にしている状態を指します。そうなると、例えば“スポーツの勝敗”や“値引き交渉”など、「お互いにWinである状態は実現できないこともある」と考える人もいるかもしれません。たしかにそのとおりです。Win-Winはすべての場面で実現できるものではありません。
しかし、長期的・継続的に良い人間関係を築くためにはWin-Winを実現することが重要であり、相手のWinを知ろうとして、Win-Winを実現しようとする姿勢や考え方が重要です。だからこそ、第4の習慣はWin-Winを実現する、ではなく、Win-Winを考える、と表現されているのです。
以下では、Win-Winの関係構築に不可欠な「自立」とWin-Winの理解を深めるために役立つ人間関係の6つのパラダイムを説明します。
Win-Winの関係を築くためには個々が自立している必要がある
冒頭でも紹介したとおり、『7つの習慣』で紹介されている習慣はバラバラの習慣ではなく、つながりがあります。
繰り返しになりますが、第1~第3の習慣を実践することで個人の信頼性を高めて自立する、第4~第6の習慣を実践することでお互いが協力し合い相乗効果を発揮できるようになる、そして、第7の習慣で自分を高め続けるという構成です。
各習慣を本当に実践していくためには、手前の習慣が実践できている必要があります。つまり、相乗効果の発揮を目指す第4~第6の習慣を実践するためには、第1~第3の習慣を実践して自立している必要があります。
土台となる人格がなく自立していない状態で、他者とWin-Winの関係を築こうとしたらどうなるでしょうか。自立していない人は、責任感や主体的な判断がなく、価値観も明確になっていません。
この状態で周囲と信頼関係を築くことは困難です。まず、しっかりした人格の土台を備え自立できて初めて、私たちはWin-Winの人間関係を実現することができます。
人間関係の6つのパラダイム(捉え方・価値観)
コヴィー博士は、Win-Winとはテクニックやスキルではなく、人間関係への哲学であると言います。私たちは生きるうえでは、周囲の人とさまざまな関係を持っています。コヴィー博士によると私たちの人間関係は以下6つのパラダイム(捉え方・価値観)のいずれかで成り立っているといいます。
(1)Win-Lose
相手を打ち負かして自分のWinを得ようとする考え方。
(2)Lose-Win
相手との諍いや関係悪化を恐れるあまり、妥協したり相手に勝ちを譲ったりしようとする考え方
(3)Lose-Lose
相手がWinを得るのは何としても阻止したい、そのためには自分の損失もいとわないとする考え方
(4)Win
自分のWinをひたすら追求する考え方です。Win-Loseと違って相手の勝ち負けは重要ではありません。
(5)Win-Win
自分も相手も、お互いが満足できる結果を目指そうとする考え方
(6)Win-Win or No Deal
Win-Winが困難なときは、お互い合意のうえで「取引しない」という選択する考え方
Win-Winのパラダイムだけが、長期的な好ましい人間関係を実現する
コヴィー博士は、前章で説明した人間関係の6つのパラダイムのうち、長期的に好ましい人間関係を実現できるのはWin-Winだけであると言います。
コヴィー博士は、自分か相手、どちらが勝つか負けるかで物事をとらえる「二者択一」の考え方に警鐘を鳴らします。Win-Loseのパラダイムは相手を負かして自分の勝利を手に入れようとしますので、瞬間のWinは得られても、長期的に良い人間関係を築くことはできません。
逆にLose-Winのパラダイムでは、自分は一向に利益を得られず、感情的なしこりや禍根を将来に残したり、いつか我慢を爆発させたりすることになります。
私たちは往々にして、勝ち負けなど「二者択一」で物事を考えがちです。しかし、Winを得るためにはどちらかの犠牲が必要だと考えている限り、Win-Winの人間関係を構築することはできません。
人生を勝ち負けや競争ではなく、お互いが協力する場ととらえるのが、Win-Winの価値観です。Win-Winの本質は、どちらかが犠牲になってWinを得るというのではなく、「全員が満足できる方法がある」という考え方にあります。
もちろん、コヴィー博士はルールにのっとった健全な競争、例えば、“プロスポーツで勝敗を決める”ことを否定しているわけではありません。そのうえで、長期的に良好な人間関係を築くためにはWin-Winの価値観を持つことが必要である、と言っています。
お互い合意できないときの選択肢「Win-Win or No Deal」
Win-Winを目指すことは大切ですが、人間関係や交渉のなかで常にWin-Winを実現できるわけではありません。お互いWinを目指しても、双方にメリットのある解決策が見つからない場合もあるでしょう。そのときに知っておきたいのが、「Win-Win or No Deal」という価値観です。
「Win-Win or No Deal」とは、意見の違いを認めたうえで「合意しない」という選択をする価値観です。No Dealは、決して妥協ではありません。
お互いWinを期待できない場合は、勝手に相手に期待して幻滅したり、Win-LoseやLose-Winの価値観に戻ってしまったりするのではなく、意見や考え方の違いを認めたうえできっぱりと取引をしないという選択をすることが未来につながるのです。






