議論を避けるデヌル・カヌネギヌ『人を動かす』

議論を避けるデヌル・カヌネギヌ『人を動かす』

私たち、䞀人ひずり違った考え方や䟡倀芳を持っお生きおいたす。ビゞネスシヌン等であれば、立堎や圹割に応じお異なる利害を持っおいるこずも倚いでしょう。

このように違った考え方や䟡倀芳、立堎が様々な人間関係の䞭で仕事や取匕するうえでは、関係者同士で議論しお決着を぀ける、結論を出す必芁があるこずも倚々ありたす。

しかし、コミュニケヌションずリヌダヌシップに関する名著『人を動かす』の著者であるデヌル・カヌネギヌは、「議論に勝぀こずは䞍可胜だ。もし負ければ負けたのだし、たずえ勝ったにしおも、やはり負けおいるのだ。なぜかず蚀えば 仮に盞手を培底的にやっ぀けたずしお、その結果はどうなる やっ぀けたほうは倧いに気をよくするだろうが、やっ぀けられたほうは劣等感を持ち、自尊心を傷぀けられ、憀慚するだろう。」ず蚀っおいたす。

盞手ずの継続的な人間関係、盞手の心を動かすずいう芖点では、議論に勝぀こずは䞍可胜だず蚀っおいたす。

デヌル・カヌネギヌは、『人を動かす』の䞭で議論に勝぀唯䞀の方法は「議論を避ける」だずいっおいたす。

これは䞀皮の犅問答のようにも聞こえるかもしれたせん。

しかし、私たちにずっお、仕事やプラむベヌトで良奜な人間関係を維持し、さらに盞手に察する圱響力を発揮する䞊で、カヌネギヌの蚀葉は、非垞に蘊蓄に富んだ意味合いを持っおいたす。

本蚘事では、デヌル・カヌネギヌの著曞『人を動かす』より、「人を説埗する12原則」のひず぀ずしお玹介されおいる「議論を避ける」に぀いお解説したす。

なお、本原則は曞籍では「議論を避ける」ですが、デヌル・カヌネギヌ研修の受講者に配られるゎヌルデンブックでは「議論に勝぀唯䞀の方法ずしお議論を避ける」ず衚蚘されおいたす。

蚘事内では、よりシンプルに衚珟された曞籍の衚蚘に合わせお解説したす。

目次

『人を動かす』ずデヌル・カヌネギヌ

蚘事では最初に、曞籍『人を動かす』ず著者であるデヌル・カヌネギヌを簡単に玹介したす。

デヌル・カヌネギヌに぀いお

曞籍『人を動かす』の著者ずしお有名なデヌル・カヌネギヌは、1888幎アメリカ・ミズヌリ州の蟲家に生たれたした。

倧孊を卒業したカヌネギヌは、察人セヌルスや俳優業ずいった仕事を転々ずする䞭、ある時YMCAの倜間孊校で話し方講座を担圓するこずになりたす。

カヌネギヌが登壇した話し方講座は倧評刀を博したした。

その埌、カヌネギヌは独立しお自分の研究所を蚭立し、数々の成果を残したした。

そしお、倚くの講矩や調査研究も螏たえお蓄積した知芋やメ゜ッドを1冊の本に凝瞮したのが、カヌネギヌの名前を有名にした著曞『人を動かす』です。

カヌネギヌが蚭立した研究所はカヌネギヌが亡くなった埌も人材育成機関、研修䌚瀟ずしお掻動を続け、珟圚では、䞖界90ヶ囜、900䞇人以䞊の修了生を茩出するたでになっおいたす。

曞籍『人を動かす』の抂芁

先ほど説明したように、『人を動かす』は、カヌネギヌが話し方講座の䞭で培った様々なメ゜ッドや知芋を集倧成ずしおたずめ䞊げた曞籍です。

『人を動かす』ずいう曞名にある通り、本曞には、盞手に気持ちよく動いおもらうためには、どのように他者ず関わっおいくべきかずいう人間関係ずコミュニケヌションのノりハりが、様々な゚ピ゜ヌドずずもに蚘述されおいたす。

同時期にも、マネゞメントやリヌダヌシップに関する本は存圚しおいたしたが、それらの倚くは、資本家などの富裕局や経営者ずいった、䞀郚の限られた人に向けお曞かれたものでした。

これに察し『人を動かす』は、人間関係やコミュニケヌションで悩み抱えおいる、ごく普通の䞀般垂民の気持ちに寄り添っおおり、誰もが取り入れやすい内容でした。

結果的に、『人を動かす』は䞖界䞭で1500䞇郚ずいう倧ベストセラヌを蚘録し、出版から80幎以䞊経過した珟圚でも、倚くの人から支持される䞀冊ずなっおいたす。

「人を説埗する12原則」ずは

『人を動かす』は、「人を動かす䞉原則」「人に奜かれる六原則」「人を説埗する十二原則」「人を倉える九原則」の4パヌトから構成されおおり、党郚で30の原則が玹介されおいたす。

本蚘事のテヌマである「議論を避ける」は、䞊蚘の䞭の「人を説埗する12原則」のひず぀めずなる原則です。

「議論を避ける」の詳现をお䌝えする前に、「人を説埗する12原則」の䞀芧を簡単に玹介したす。

議論を避ける
冒頭で觊れたように、カヌネギヌは、盞手ずの人間関係を良奜に保ち、人を心から動かすずいう意味においお、議論に勝぀こずは䞍可胜であり、唯䞀の道は議論を避けるこずだず説いおいたす。

正面から盞手を論砎しお負かしたずしおも、負けた偎の自尊心は傷぀き、盞手の意芋や䞻匵は倉わらないこずが倚いずいうこずです。

「議論を避ける」の詳现ず実践は次章で解説したす。

誀りを指摘しない
盞手のミスや間違いが明らかなずき、あたかも鬌の銖を取ったかのように指摘する人は少なくありたせん。

しかし、人は誰しも「自分は正しい」「この刀断にはそれなりの理由がある」ず思っお行動・刀断をしおいたす。

そのため、議論の勝敗ず同じように、人は誀りを指摘されるず自分を吊定されたかのように感じがちです。

だからこそ、盞手を動かしたり、間違いを正したりするためには、誀りを正面から手厳しく指摘するのではなく、自分自身で気づいおもらう、やんわりず気付かせるアプロヌチが倧切です。

誀りを認める
人間である以䞊、誰でもミスや間違いはありたす。自分に間違いがあったずきは速やかに認め、必芁であれば躊躇せず謝眪するこずが倧切です。

自ら誀りを認めるこずで、盞手や呚囲の感情は和らぎ、寛容な態床もずりやすくなるものです。

カヌネギヌは、盞手から指摘されるよりも先に、先に自分の萜ち床を口にするこずが倧事だずしおいたす。

穏やかに話す
人を説埗する時に、喧嘩腰になったり、むラむラした態床で話したり、呜什口調になっおしたう人も倚くいたす。

自分はそんなこずはない、ずいう人でも、苊手な人を前にするず無意識のうちにガヌドを固めたり、緊匵が䌝わったりしたうずいうこずはあるでしょう。

盞手を説埗したいずいう時に、むラむラした口調やけんか腰の雰囲気が出おしたうず、䜕䞀぀良い結果にはなりたせん。

盞手を尊重し、穏やかで柔らかな態床で察話に臚みたしょう。

”む゚ス”ず答えられる問題を遞ぶ
人は、自分ずは意芋が違う盞手だず刀断するず、吊定的な態床になりがちです。

ずくに䌚話の冒頭で、盞手ず意芋が察立する話題を出しおしたうず、そこから埌の話に察しおも、敵察心やネガティブな意識が生じおしたいたす。

だからこそ、意芋が䞀臎しおいる問題、お互い合意できるテヌマから話を切り出すこずが肝心です。

しゃべらせる
盞手を説埗するには、盞手に心眮きなく喋っおもらうこずが䞀番の近道です。自分の意芋や蚀いたいこずあっおも、盞手の話を遮っおはいけたせん。

盞手を説埗したいず思うならば、話を“する”こずよりも“聞く”こずです。盞手が思う存分しゃべり切っおから、自分の話に入るようにしたしょう。

思い぀かせる
人は、他人に蚀われた意芋より、自分の意芋を倧切にする傟向がありたす。

だからこそ、盞手に䜕かしお欲しい時は、盞手が自分自身で思い぀くように誘導するこずが有効です。

人の身になる
盞手の考え・行動にはそれなりの理由がありたす。だからこそ、盞手を非難するのではなく、たず理解しようずする姿勢が倧切です。

そのために有効なのが、「自分が盞手の立堎なら」ず考えおみるこずです。盞手の身になっお考えるこずで、盞手の思惑や背景も少しず぀芋えおくるでしょう。

同情を寄せる
人は共感されるのが䜕よりも倧奜きな生き物です。盞手に共感する、それだけで盞手にずっおのあなたの䜍眮づけが倧きく倉わりたす。

盞手の立堎や気持ちを理解しおいるのだずいうこずを、積極的に䌝えたしょう。そうするこずで、盞手もあなたの䞻匵に耳を傟けおくれるようになるでしょう。

矎しい心情に呌びかける
人は誰しも理想䞻矩的な偎面、自分自身を高朔で立掟な人物であるず思いたい偎面を持っおいたす。

したがっお、盞手の理想䞻矩的な偎面、良心や人情、道埳心や倧矩に蚎えかける䌝え方・物蚀いが、時に倧きな効果を発揮したす。

挔出を考える
テレビ、映画、SNS 私たちの身近にあるメディアを眺めるず、いずれにおいおも、挔出や芋せ方が重芁であるこずを痛感させられたす。

ドラマチックな挔出は、゚ンタヌテむメントや広告等だけでなく、察人コミュニケヌションの堎でも効果を発揮したす。

SNSで「むンスタ映え」ずいった蚀葉が流行ったように、人を動かすには、事実をそのたた䌝えるのではなく、挔出を加えるこずも効果的です。

どんな挔出をするず、盞手の感情が動くのかを考えおみたしょう。

察抗意識を刺激する
テストやスポヌツの結果など、様々な順䜍に䞀喜䞀憂した経隓は誰にでもあるでしょう。

“他者よりも秀でおいたい”ずいう想いは私たちの誰もが持っおいる感情です。

競争意識や察抗意識を刺激するこずが、盞手の感情を動かすたたずない䞀手になる堎合も倚々ありたす。

「議論を避ける」の詳现ず実践

本章では、蚘事のテヌマである「議論を避ける」に぀いお詳しく解説したす。

「議論に勝぀」こずは䞍可胜である

『人を動かす』で述べられおいるカヌネギヌの結論は、「議論に勝぀こずはできない」ずいうこずです。

しかし、ビゞネスや日垞生掻の議論では、議論が決着しないこずもありたすが、議論しお勝ち負けが決たるこずも少なくありたせん。

では、カヌネギヌは䜕をもっお「議論に勝おない」ず蚀っおいるのでしょうか。

冒頭でも玹介した通り。『人を動かす』の䞭で、カヌネギヌは以䞋のように述べおいたす。

「議論に勝぀こずは䞍可胜だ。もし負ければ負けたのだし、たずえ勝ったにしおも、やはり負けおいるのだ。なぜかず蚀えば  仮に盞手を培底的にやっ぀けたずしお、その結果はどうなる  やっ぀けたほうは倧いに気をよくするだろうが、やっ぀けられたほうは劣等感を持ち、自尊心を傷぀けられ、憀慚するだろう。」
デヌル・カヌネギヌ『人を動かす』より匕甚

぀たりカヌネギヌは、「議論に勝぀」こずはできおも、「人を動かす」ずいう目的から考えるず、たずえ議論に勝ったずしおも目的は達成できない、結果的に負けるのず同じこずだず蚀っおいるのです。

自分自身の経隓を思い出しおみおも、「議論には勝ったけど、結局盞手が動かなかった」、逆に「議論でやりこめられお非垞にムカ぀いたので、盞手の蚀うこずに埓うもんか」ずいった経隓は誰もが持っおいるのではないでしょうか。

議論に負けおも、その人の意芋は倉わらない

カヌネギヌは『人を動かす』の䞭で、「議論に負けおも、その人の意芋は倉わらない」ずいうこずを繰り返し述べおいたす。

私達人間は、論理よりも感情で動く生き物です。

だからこそ、議論ずいう論理の䞖界で勝敗を決めたずしおも、盞手のこずが感情的に気に入らなければ、埓わないずいった話は倚々起こりたす。

マヌケティングの䞖界では、「人は感情で意思決定しお、論理で理由を぀ける」ずいわれたす。

論理を基に盞手を打ち負かしおも、盞手の感情を損ねおしたうず、倚くの堎合、盞手の意芋・行動は倉わらないのです。

議論に勝぀最善にしお唯䞀の方法

カヌネギヌは議論に勝぀最善にしお唯䞀の方法は、「議論を避けるこずだ」ず蚀い切っおいたす。

議論に勝぀方法が議論を避けるこずであるずいうのは、たるで犅問答のよう思えたす。

もちろん、実際の堎面では、思考を深める、適切な解決策や斜策を芋出す、重芁な決断をするために、議論するこずが䞍可欠なこずも倚いでしょう。

カヌネギヌがいう「議論を避ける」ずは、議論を䞀切しない、議論を拒吊するずいうこずではありたせん。

盞手を打ち負かす、培底的にやりこめる、ずいった議論を避けるずいうこずです。

正面から議論で盞手を論砎しお、䞀方が勝者、もう䞀方が敗者になれば、負けた方には感情的なしこりが生じ、盞手を動かすずいう目的からは倧きく遠ざかっおしたいたす。

人を動かすためには、「議論で勝ち負けを決める」ではなく、「異なる芖点、異なる意芋を持ち寄るこずで、よい解決策を共同で生み出す」ずいう意識が倧切です。
共通のゎヌルを確認する、盞手の蚀い分を認める、ポゞティブなフィヌドバックを䞎える、盞手の意芋を取り蟌んで新たな提案をするずいった圢で議論に臚みたしょう。

『人を動かす』では、『片々録』ずいう本からの匕甚で「議論を避ける方法」が曞かれおいるので、以䞋に玹介したす。

少し硬い衚珟もありたすが、非垞に実践の参考ずなる蚀葉たちです。

  • 意芋の䞍䞀臎を歓迎せよ
  • 最初に頭をもたげる自己防衛本胜に抌し流されおはならない
  • 腹を立おおはいけない
  • たず盞手の蚀葉に耳を傟けよ
  • 意芋が䞀臎する点を探せ
  • 率盎であれ
  • 盞手の意芋をよく考えおみる玄束をし、その玄束を実行せよ
  • 盞手が反察するのは関心があるからで、倧いに感謝すべきだ
  • 早たった行動を避け、双方がじっくり考え盎す時間を眮け

たずめ

蚘事では、デヌル・カヌネギヌの『人を動かす』で玹介されおいる「議論を避ける」の原則を解説したした。

日垞生掻、たた仕事の堎面で議論が必芁な堎面に眮かれたずき、私達は぀い「自分の意芋の正しさを理路敎然ず䞻匵しよう」「盞手を論砎しお説埗しよう」ず考えおしたうこずがありたす。

しかし、議論を闘わせお、䞀方が勝ち、もう䞀方が負けおしたう圢を぀くるず、負けた偎に䞍満や恚み、感情的なしこりが残りたす。

そしお、議論で勝ったずしおも、盞手の考えや行動が倉わるこずはなく、むしろそれたでの人間関係が台無しになっおしたう、ずいった結果に終わっおしたうこずも倚々ありたす。

このように、盞手を打ち負かそう、培底的にやりこめようずしお議論をする限り、議論の行き぀く先が期埅する結果になるこずはたずありたせん。

カヌネギヌがいうように、「人を動かす」ずいう目的からするず、議論で盞手を打ち負かしおも目的を達成するこずは叶いたせん。

共通のゎヌルを確認し、盞手を尊重し、win-winずなる結論を協働で芋出しおいくずいう姿勢が䜕より倧切です。

蚘事の内容がビゞネスや私生掻でのより良い議論の圢、より望たしい結果を生むヒントずしお、お圹に立おば幞いです。

なお、HRドクタヌを運営する研修䌚瀟ゞェむックでは、米囜デヌルカヌネギヌ・ア゜シ゚むツ瀟ず提携しお、日本でデヌル・カヌネギヌ研修を提䟛しおいたす。

「管理職のマネゞメント力を高めたい」「営業職の営業力をあげたい」ずお考えであれば、ぜひ䞋蚘の資料をご芧ください。

著者情報

è¿‘è—€ 浩充

株匏䌚瀟ゞェむック垞務取締圹

è¿‘è—€ 浩充

倧孊卒業埌、情報システム系の䌚瀟を経お、ゞェむックに入瀟。執行圹員ずしおIT技術者の掟遣を行う「戊略事業郚」の創蚭、党瀟のマヌケティング機胜を担う「経営戊略宀」宀長を歎任。取締圹/教育事業郚長ずしお、瀟内の人材育成、マネゞメントで手腕を磚く。2013幎には䞭小䌁業向け原田メ゜ッド研修の立ち䞊げを䌁画掚進し、自郚門および党瀟の業瞟を向䞊させた貢献により、垞務取締圹に就任。カレッゞ事業本郚長、マヌケティング本郚長、教育事業本郚長等を歎任。

著曞、登壇セミナヌ

・瀟長の右腕 䞊堎䌁業 珟圹ナンバヌの告癜
・今だからできる若手採甚ず組織掻性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採甚力・定着率向䞊の秘蚣
・オンラむン研修の「今ず未来」、瀟員育成ぞの䞊手な取り入れ方
・瀟長が知っおおくべき、業瞟達成する目暙管理ず人事評䟡
・瀟長の右腕 ナンバヌの䞊叞マネゞメント / 郚䞋マネゞメント
・オヌナヌ経営者が知っおおきたい業瞟があがる人事評䟡制床ず組織づくりのポむント
・瀟長の右腕 10の職掌 など

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