書籍『人を動かす』や名言などで有名なデール・カーネギーとはどんな人だったのでしょうか?何を行い、現在にどんな影響を与えたのでしょうか?
本記事では、日本でデール・カーネギーのトレーニングを提供する研修会社としての知見も踏まえて、デール・カーネギーがどんな人か、経歴や代表作、また、彼が開発したデール・カーネギー・トレーニングを紹介します。
また、こちらに動画の概略解説もありますので、ご覧になりたい方は併せてご覧ください。
<目次>
デール・カーネギーとは
デール・カーネギーは米国の講演家・作家であり、リーダーシップやコミュニケーション、プレゼンテーション、ストレス適応などの分野における権威として、現在も評価されている人物です。
デール・カーネギーの略歴
まずデール・カーネギーの人物像、略歴を紹介します。
デール・カーネギーは1888年に米国ミズーリ州の農家に生まれました。カーネギーは教師を志して州立大学に進学します。
大学を卒業後は、中古車や日用品の販売職、雑誌記者などを経験したのち、俳優を目指してニューヨークへと移り住みます。俳優を目指しながら、さまざまな職業を転々としていた時期はカーネギーにとって苦難の時期でもありました。
カーネギーの転機となったのは、YMCAが主催していた社会人向けの夜間学校で、弁論術講座の講師を担当したことでした。学生時代にディベート大会で弁をふるった能力と人柄を生かせるコミュニケーション講座の講師という仕事はカーネギーの天職でした。
カーネギーは講義で登壇を続ける中で、生徒たちに必要なのは単なる話術や人前での上手な話し方のテクニックではなく、対人関係の根本にあることに気づきました。
当時、生徒たちの悩みに応える適切な教材が無かったため、カーネギーは教材の開発も独自に行いました。
デール・カーネギーの業績
YMCAで転職を見出したデール・カーネギーは、その後独立して、コミュニケーションやリーダーシップ、セールス、スピーチなどのスキルを教える研修機関を設立します。
それが現在のデール・カーネギー・アソシエーションであり、100か国以上で公式パートナーがプログラムを提供し、累計1000万人以上が受講するという規模へと成長しています。米国大統領や著名な経営者やビジネスリーダー、軍人などもこぞって参加しています。
また、カーネギーは講座を通じて磨き上げたカリキュラムや教材をもとに、書籍『人を動かす』や『道を開ける』『カーネギー話し方教室』といった著書も多く出版しています。 以下で、代表的な著書について解説していきます。
デール・カーネギーの代表的な著書
本章では、カーネギーが著した代表作である「人を動かす」「道は開ける」「カーネギー話し方入門」の3冊を解説します。
書籍『人を動かす』
『人を動かす』は、カーネギーが講義で伝えているノウハウや蓄積した経験を体系的にまとめた書籍です。
当時、ごく普通の一般市民にも分かりやすく、かつ実践しやすい内容で書かれたコミュニケーション技術の書籍は稀であり、『人を動かす』はベストセラーとなりました。
『人を動かす』には、私たちが良好な人間関係を築き、人に影響を与えて人生で成功を収めるために、どのように行動してどのように人とコミュニケーションを取ればよいかの原則がまとめられています。
まとめられた原則は、発売から80年以上が経過した今でも通用するものであり、全世界で1500万部以上を売り上げるベストセラーとなっています。
『人を動かす』は大きく「人を動かす3原則」「人に好かれる6原則」「人を説得する12原則」「人を変える9原則」の4つのパートから構成され、全部で30の原則が紹介されています。
HRドクターでは、これら30の原則の概要を一覧で解説した記事を提供していますので、ご興味あればご覧ください。
書籍『道は開ける』
1948年に出版された『道は開ける』は、『人を動かす』と並ぶデール・カーネギーの代表作です。仕事や家庭、人間関係など、日々の生活でストレスを感じることは誰にでもあります。
仕事や家庭、人間関係など、日々の生活でストレスを感じることは誰にでもあります。悩みやストレスがあまりにも大きくなってしまうと、心身の健康に影響を及ぼしたり、幸せや成功を妨げてしまったりするものです。
とくに現在はストレス社会とも言われ、ビジネスパーソンを始め、あらゆる人にとってストレス対応力は非常に重要なものとなっています。
『道は開ける』は、こうした悩みやストレスといった誰しもが直面する物事への対処方法が書かれています。
本は「悩みに関する基本事項」「悩みを分析する基礎技術」「悩みの習慣を早期に断とう」「平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法」「悩みを完全に克服する方法」「批判を気にしない方法」「疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法」の大きく7つのパートに分かれており、ストレス・マネジメントの具体的なノウハウを事例を踏まえた物語調で解説しています。
書籍『カーネギー 話し方入門』
前述の通り、デール・カーネギーがはじめに天与の才を発揮したのは「話し方教室」の講師という仕事です。
カーネギーは、正しい方法を学び、意欲的に取り組むことで、あらゆる話し方やスピーチの悩みは克服できると説きました。
カーネギーが編み出したスピーチ術は、単なるテクニックではなく、深い人間洞察に根ざした方法論です。そんなカーネギーのスピーチ術のエッセンスをまとめたのが『カーネギー 話し方入門』です。
本書では「人前で話す前に必要な勇気と自信を養う方法」「テーマの選び方や準備方法」「話し手の態度と人格」といったテーマについて、偉大な話し手だったリンカーンやルーズベルト、マーク・トウェインなどの豊富な例を引きあいにしながら解説されています。
また、実際にカーネギーが登壇した話し方教室での生徒たちの体験談も紹介されており、非常に具体的かつ実践的な内容となっています。
デールカーネギーの考え方
デールカーネギーはコミュニケーションやリーダーシップ、スピーチなどについて研究し、良好な人間関係を構築し、他者に影響を与えられる人間になるための方法を教えてきました。このカーネギーの考え方の本質の部分は書籍『人を動かす』に書かれています。本章では、書籍『人を動かす』の内容を踏まえて、カーネギーの考え方を説明します。
人を動かす3原則
「人を動かす3原則」は、『人を動かす』に書かれている30の原則の中でも、基礎となるもので、別名「3大原則」や「人を動かす3大要素」とも言われます。
他の原則を使用する際にも、人を動かす3原則を理解していることが必要です。だからこそ、書籍の初めの章で解説されているわけです。
- 盗人にも五分の理を認める
- 重要感を持たせる
- 人の立場に身を置く
3つの原則は、それぞれ
- どんな相手に対しても批判や非難から入るのではなく、まずは相手の心情に関心を持ち理解を示す
- 相手の自己重要感「自分は価値ある人間だと誰かに認められたい欲求」を満たすことで、相手から信頼され、良好な人間関係を築く
- 相手の目線で求めるものや望むものを理解することで、相手が自ら動くようになるコミュニケーションを取る
というリーダーシップの根幹を示しています。人を動かす上で、カーネギーはこれらの考え方がとても重要だと強調しています。
人に好かれる6原則
人を動かすには、相手と良好な人間関係を作ることが必要です。だからこそ、人に好かれることが重要になります。そこで、『人を動かす』では次に「人に好かれる原則」が述べられています。
- 誠実な関心を寄せる
- 笑顔を忘れない
- 名前を覚える
- 聞き手にまわる
- 関心のありかを見抜く
- 心からほめる
人に好かれる6原則の根幹は、人が興味を持っているのは「相手」のことではなく、「自分」のことだということです。
テクニックで自分に関心を持たせようとするのではなく、相手の名前を覚える、相手への関心を示し、笑顔で相手の話を聞く。そして、相手の興味を探り、興味ある話題について質問し、相手のことをほめるといったアプローチが有効だとカーネギーは述べます。
人を説得する12原則
社会で自分の望む結果を得るためには、「人を説得する」ことも必要になってきます。権力や上下関係で無理やり従わせるのではなく、相手の心を動かすためにはどうすればいいか。相手を説得するための原則をカーネギーは以下のようにまとめています。
- 議論を避ける
- 誤りを指摘しない
- 誤りを認める
- 穏やかに話す
- “イエス”と答えられる問題を選ぶ
- しゃべらせる
- 思いつかせる
- 人の身になる
- 同情を寄せる
- 美しい心情に呼びかける
- 演出を考える
- 対抗意識を刺激する
ポイントは、相手の自尊心を傷つけず、むしろ、相手のプライドや感情をくすぐることで相手の納得を引き出すということです。
そのためには、誤りを指摘せず、相手に気付かせる。また、相手に喋らせて、思いつかせる。時には、うまく感情を刺激するように演出し、プライドや使命感に訴えることでモチベーションを高めてあげるといったことが有効だとカーネギーは考えています。
人を変える9原則
人を動かす上では、相手の考え方を変える必要が出てくることもあるでしょう。そんなときのためにカーネギーは人を変えるための考え方も説明しています。
人を導いたり成長を促したりするには、指示や命令では上手くいきません。相手自身のモチベーションや主体性を引き出し、人を変えるための原則をカーネギーは以下のようにまとめています。
- まずほめる
- 遠まわしに注意を与える
- 自分の過ちを話す
- 命令をしない
- 顔をつぶさない
- わずかなことでもほめる
- 期待をかける
- 激励する
- 喜んで協力させる
人を変えるためには、相手の顔をつぶしたり、命令したりしてはいけません。むしろ、相手をほめて聞く耳を持たせたり、また遠回しに注意をして自ら気づかせたりすることが大切です。また、期待をかけたり激励したりして変化のエネルギーを引き出すことが肝心です。
デール・カーネギーの研修プログラム
デール・カーネギーは自身の考え方、原則を教えて伝授する研修プログラムを作っています。
デール・カーネギー・トレーニングとは
カーネギーがYMCAの話し方教室の講義で伝えたノウハウや知見を世界的ベストセラーとなる書籍『人を動かす』にまとめましたが、カーネギーは書籍だけでなく、人生や仕事に役に立つ原則を誰もが手にできるための研修プログラムの開発・提供にも力を入れました。カーネギーが開発・運営した研修体系が、「デール・カーネギー・トレーニング」です。
現在、デール・カーネギー・トレーニングは、アメリカの売上トップ500社であるフォーチュン500社の90%以上で社員研修として導入されるプログラムにもなっています。
本章では、デール・カーネギー・トレーニングの中核となるデール・カーネギー・コースの解説、およびトレーニングプログラムを2つ紹介します。
デールカーネギートレーニングの歴史や目的、詳しい内容、受講者の声などは以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
デール・カーネギー・コースとは?
デール・カーネギー・トレーニングの中でも、中心となるのが『人を動かす』で紹介されるリーダーシップやコミュニケーションを実践的に身に付ける「デール・カーネギー・コース」です。
中核となるこのデール・カーネギー・コースに、プレゼンテーションやセールスなどのトレーニングコースを加えた研修プログラム群が「デール・カーネギー・トレーニング」になります。
デール・カーネギー・コースの内容は、時代の変化に応じて改良を加えられ現在に至っていますが、その本質は変わりません。
現在まで1000万人以上の修了者を送り出していますが、その中の1人に、伝説の投資家として名高いウォーレン・バフェット氏がいます。バフェット氏は、テレビのインタビュー「デール・カーネギー・コースが自分の人生を変えた。」とまで話しています。
他にもアメリカ大統領や著名なビジネスリーダーなど、さまざまな人がデール・カーネギー・コースを受講しています。
デール・カーネギー・コースの研修内容
デール・カーネギー・トレーニングの中でも中核となるDCC(デール・カーネギー・コース)は、日本では【人を動かす】リーダーシップ&コミュニケーション研修として提供されています。
デール・カーネギー・コースは、以下の5段階の向上サイクルに基づいたプログラムとなっています。
- 1.自己表現力を高める
- 2.人間関係を築く
- 3.指導力を発揮する
- 4.ストレスを減らす
- 5.チームをリードする
前述のとおり、同コースはウォーレン・バフェット氏を始めとする、様々な職種や立場の人々が受講していますが、特に以下のような方にとってはまたとない効果的なプログラムとなるでしょう。
- 人間関係やコミュニケーションを通じて成果を上げる管理職や営業職の方
- コミュニケーションスキルや人間関係を強化したい方
- リーダーシップスキルを高めたい方
日本ではHRドクターを運営する研修会社ジェイックが、米国のデール・カーネギー本部と提携して、正式にデール・カーネギー・コースを提供しています。興味のある方は以下よりご覧ください。
関連サービス資料を
ダウンロードする

...
日本におけるデール・カーネギー・トレーニング
前述の通り、日本ではHRドクターを運営する研修会社ジェイックが、米国のデール・カーネギー本部と提携して、2つのデール・カーネギー・トレーニングを提供しています。
『人を動かす』リーダーシップ&コミュニケーション研修
『人を動かす』リーダーシップ&コミュニケーション研修は、米国のデール・カーネギー・コース(DCC)に該当するものです。
プログラムでは、実践的なワークやロールプレイを通じて、デール・カーネギーが提唱する「人間関係の30原則」の教えをベースにした、仕事で成果をあげるためのコミュニケーションスキルを身に付けることができます。
下記でデール・カーネギー・トレーニング『人を動かす』リーダーシップ&コミュニケーション研修の詳しい情報をご覧になれます。
関連サービス資料を
ダウンロードする

...
また、各コースは1名から参加できる公開講座としても提供しています。受付中の公開コースは以下でご覧になれます。
『人を動かす』プレゼンテーション・トレーニング
『人を動かす』プレゼンテーション・トレーニングは、米国ではハイインパクトプレゼンテーション(HIP)と呼ばれるプログラムです。
デール・カーネギーによる長年の教育現場での経験をもとに、プレゼンテーションで人を動かすためのノウハウを体系立てて学べる少人数プログラムです。
プレゼンテーション・トレーニングでは、「相手を動かす」プレゼンテーションスキルを体系的かつ実践的に身に付けます。
トレーニングは実践形式で、毎回実際にプレゼンテーションを実施して、ビデオで撮影して振り返ります。
プロの講師からフィードバックを受けながら、「ノウハウの吸収 ⇒ 実践 ⇒ フィードバック ⇒ 実践」を繰り返すことで、誰でも「人を動かす」プレゼンテーション力が身に付きます。
まとめ
記事では、米国の講演家・作家であり、リーダーシップやコミュニケーション、プレゼンテーションの分野における権威として世界中で知られているデール・カーネギーについて、経歴や代表作、また、カーネギーが開発したデール・カーネギー・トレーニングを紹介しました。
カーネギーが残した人との関わり方やコミュニケーションの方法は、ビジネスだけでなく、人生においても重要なスキルです。興味があれば、ぜひカーネギーの著書をお読みください。
また、効果的な話し方と人間関係について実践的に学べるデール・カーネギー・トレーニングにご興味をお持ちであれば以下を参照ください。
「管理職のマネジメント力を高めたい」「営業職の営業力をあげたい」とお考えの人は、以下のデールカーネギー研修の情報を参照ください。







