曽山様:弊社ではイノベーションを起こし続ける企業となるためには、「変化の習慣」「経営の率先垂範」「セカンドチャンスの事例」という3つが大事だと考えています。
「イノベーションしたい」「新規事業したい」と言っているにもかかわらずうまくいっていない会社は、どれかが欠けているかもしれません。弊社も昔は同じ問題にぶつかっていました。
まず1つ目の「変化の習慣」については、簡単に言えば会社が常に変わっていこうとする習慣があるかどうかという話になります。弊社では「あした会議」というものがあり、経営陣が会社を変える議論を定期的に行っています。
同様に一般企業でも役員合宿などが行われているかと思いますが、例えば新しい投資分野を決めたり、戦略・事業を決めるなど、人やお金の配置を大きく変える意思決定を毎回行える議論の場があれば、その会社に変化の習慣はあるということです。
弊社の「あした会議」では、役員だけではなく一般社員と一緒にチームを編成し、中長期での課題解決案や新規事業案など、会社を変化させる提案をしています。社員を巻き込んでやることで、より実効性が高くなります。
それを2006年から年1~2回の頻度で行った結果、累積で約30社の会社が設立され、売上は少なくとも4000億円が累計で生まれており、変化の習慣により生まれた成果は大きいです。
2つ目の「経営の率先垂範」については、新規事業を社員にやってほしいなら上の立場にある人がやった方がいいということです。これは前述のビジョン浸透のためにまず経営陣から率先して実践することにも共通しており、まずは先に立って模範を示すこと。弊社でいえば「あした会議」がまさにその形になります。
そして3つ目の「セカンドチャンスの事例」ですが、これはあるメンバーが挑戦し、失敗したとしても、再度機会を得て活躍している事例を指します。この挑戦→失敗→活躍という流れが1人の中で起きていて、そのケースの蓄積があると、メンバーは皆、セカンドチャンスあると信じてくれるようになります。
もしまだそうした蓄積がなければ、セカンドチャンスを掲げても残念ながら絵空事に聞こえてしまいます。社員のセカンドチャンスや、チャレンジ自体を応援するというのはもちろん必要ですが、その事例の蓄積がなければ社員は空虚に感じてしまいます。
弊社でも、20年以上前には「セカンドチャンスはほとんどない」という声もあったのは事実ですし、事業の立ち上げに失敗すると退職していく人もいました。その反省があって、役員自身が挑戦・失敗・活躍を経験し、その蓄積を行っています。
いろんな会社の経営者の方とお話をすると「ビジョン、バリューや文化の浸透が難しい」という話題が出てきますが、成功事例ができて文化として定着するまでには時間がかります。これが難しさの理由です。研修もとても効果的ですが、同時に事例が積みあがってはじめて効果が見えてくるのです。