
共通言語の必要性についてお話しすると、「そうですよね。すごく分かります。何を共通言語にしてどう浸透させればいいのか?」とよく質問いただきます。
共通言語を考える基準として大切なことは、「人ってこうだよね?」「人の関係性ってこういうものだよね?」といった時に、すべての社員が異論を唱えることができない、「それはそうですね…」と言わせる力があるかどうかです。
そのひとつが原理原則や古典と言われるようなものです。ジェイックで言えば、ドラッカー、『7つの習慣』、『人を動かす』などです。いずれも数十年以上の歴史があり、世界中で受け入れられてきた考え方です。
世代を超えて、世界中で受け入れられてきたものは多くの人にとって「腹落ち感」があります。組織は単一の世代で構成されているわけではなく、価値観の多様性も増している中で、納得感を得られやすいものであることが大切です。
また、共通言語を浸透させるためには、3つのポイントを押さえることが大切です。
まず「行動による学び」をしっかりと組み込むことです。人によって学習の仕方は異なります。さまざまな人がいるなかで、「考え方や理論のインプットで学ぶ」タイプもいれば、「行動することで学ぶ」タイプもいます。
だからこそ、「考え方のインプット」と「行動による学び」、2つをバランスよく組み合わせることがひとつめのポイントです。研修や浸透施策の多くが考え方のインプットになりがちなので、行動や体験部分をしっかりと組み込むことが大切です。
次にポイントになるのは、「タイムスペースラーニング」と呼ばれる学習手法です。アクティブラーニングなどでも知られる通り、実体験から導かれる学びは深く受け入れられやすく定着しやすいものです。だからこそ、まずやってみてもらう、体験してもらったうえで振り返るような学び方が有効です。
それも一気にインプットするのではなく細切れにして、少し学ぶ→実践してみる→振り返る→次を学ぶというのが「タイムスペースラーニング」のやり方です。ひとつめの行動による学びを若干重複しますが、ぜひ取り入れてください。
最後のポイントは「触れ続ける」ということです。人は一度腹落ちしても、徐々に忘れてしまうものです。当たり前の話ですが、触れ続けて思い出してもらう、実践し直すための場を作り続けることが大切です。
なお、共通言語を浸透させるうえで、やはり上司は重要な存在になります。上司が上述したようなポイントを理解して、「共通言語を浸透させる」ことを意図して1on1をやると、1on1の効果性も大きく変わってくるでしょう。
先に述べたように管理職と若手、上下からやっていくことが大切ですが、その中でも管理職はキーマンとなります。価値共創型マネジメントのコアになる共通言語、まず上司が共通言語をしっかりと理解、納得して、その上で浸透させる意図を持って取り組んでもらうことが必要です。
上司には、もちろんテクニカルなスキルも必要です。たとえば、ファシリテーションやコーチング、現場や顧客の声を事業につなげる力、マーケティング知識などです。
そして、これらのスキルを活かす大前提となるのが、現場から声を吸い上げる、組織内でスムーズなコミュニケーションが実践されることです。スムーズなコミュニケーションが実現すると、組織は徐々に変わってきます。逆にいうと、組織内のコミュニケーションが上手くいっていないと組織の変革はなかなか難しいものです。