チームのやる気を高めるには、先述のやる気の阻害要因を排除することが基本となります。以下のような施策が有効です。
公正な人事評価
まず、公正かつ透明性の高い人事評価制度(報酬制度・等級制度)を整備します。大切になるのは、管理職やリーダーなどの評価者教育も行なうことです。
評価者教育では、以下のような内容を指導しましょう。
- 人事評価制度の趣旨
- 目標設定
- 評価で生じやすいバイアス
- フィードバックのやり方・ポイント
公正な人事評価を行なえば、たとえば、「評価が低い理由」なども説明できますし、評価を高めるためのポジティブなフィードバックも行ないやすくなります。
また、「なぜAさんの給料は自分より高いのだろう?」などの相対的な違和感も解消しやすくなるでしょう。
人事評価の見直しポイントは、以下の記事をチェックしてください。
適切な人材配置
たとえば、自分が不得意な仕事をずっと任されていると、やる気とともに集中力なども低下し、ミスが多くなり、評価も下がる…という悪循環に陥りやすくなります。
高いやる気を維持するには、それぞれの適性・能力・パフォーマンスに合った人材配置や役割分担をすることが大切です。
また、定期的な1on1などを通じて、「業務負荷が適正かどうか?」をヒアリング・調整していくことも大切でしょう。
「強みを生かす」という視点も重要です。著名な経営学者・ドラッカーは、何冊もの著書のなかで“強みを生かすことの重要性”を以下のように繰り返し述べています。
- 「成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みからは何も生まれない」
- 「人のもつあらゆる強み、活力、意欲を動員することによって全体の能力を増加させることである」
- 「組織の目的は人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある」
強みを生かせる人材配置を行なえば、メンバーのやる気は高まり、結果としてチーム全体の能力アップや生産性向上につながっていくでしょう。
強みを測定するにはストレングス・ファインダー®という診断も有効です。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、世界2,300万人が受けた強み診断を使い、強みの生かし方、強みを生かすマネジメント方法が身につく「ストレングス・ファインダー®研修」を提供しています。
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仕事の意味づけ
企業では、組織全体の事業計画⇒部門⇒チーム⇒個人…と、全体から個人に目標が落とし込まれていくのが一般的です。上記の流れは、組織全体の目標達成に向けては非常に合理的なやり方です。
一方で、全体から個人へと目標を分解していくと、各個人にとって自分の目標は “与えられたもの”になりがちです。
たとえば、上司から「今年度は1,000万円の売上達成を目指そう」といわれた場合、メンバーは「上司から“与えられた目標”を達成するために活動する」という心理になりがちです。
受け身の心理状態では、1,000万円という数字は“他人事”ですし、やる気が高い状態にはなりづらいです。
大切になるのは、「今年度は1,000万円の売上達成を目指そう」という目標に対して、以下のような意味づけをしていくことになります。
- 「1,000万円達成したら、ボーナスが増える…」
- 「1,000万円達成で増えたボーナスで、妻に指輪を買おう…」
- 「自分が1,000万円達成すれば、先輩Aさんも喜んでくれる…」 など
目標の意味づけとは、与えられた仕事や目標に対して「自分にとってどのような価値・メリットがあるか?」を考えることになります。
1on1などを通じて実施したり、ワークショップなどを通じて実施したりしてもよいでしょう。
自分が意味付けした内容を振り返ることで、主体性や積極性といったやる気につながる要素が高まりやすくなります。
権限委譲(エンパワーメント)
権限委譲とは、個人のパフォーマンスを最大限に引き出し、自分で判断・行動できるように促すことです。
組織のなかには、権限委譲が不向きなメンバーも存在しますので、一律に権限委譲することが絶対的に正しいわけではありません。
しかし、主体性や積極性の高いメンバーには、適切な方法で権限委譲をしていくことがよいでしょう。
自分で意思決定して仕事を進められる自己決定権が与えられると、「自分のことを自分で決めたい」という欲求が満たされ、内発的動機付けが強化されていきます。
権限委譲の流れや注意点は、以下の記事をチェックしましょう。
コミュニケーション機会の確保
メンバーのやる気を維持するには、適度なコミュニケーション機会を確保することも大切です。特にリモートワーク下では、コミュニケーションが事務的・業務的な会話が増える傾向にあります。
リモートワーク下でメンバーのやる気低下を防ぐには、たとえば、MTGの冒頭で意図的に雑談を入れたり、定期的な1on1をしたりして、「最近も自己啓発は続けているの?」「あの課題は落ち着いた?」などの声がけを行ない、“自分はあなたに関心を持っていますよ”という姿勢を見せる、また人間的な交流を生み出すことがポイントです。
もちろん、メンバー側から気兼ねなく相談や質問ができる信頼関係を築いておくことも大切になります。
適切な承認とフィードバック
人は、承認に向かって行動するものです。そのため、極端なことをいえば、承認欲求を重視したフォローを繰り返し行なえば、メンバーのやる気は高まりやすくなります。
ただ、承認欲求を満たす“褒め言葉”や“フィードバック”は、外発的動機付けです。
そのため、承認やフィードバックだけでメンバーをコントロールしようとすると、耐性がついて、効果性が下がります。また、メンバーが依存的になる側面もあるでしょう。
やる気を低下させないためには、上司からの承認やフィードバックはたしかに必要です。ただ、内発的動機を高めるアプローチと並行することも必要になります。