
前章までの内容を踏まえて、外発的動機づけを導入・運用するときのポイントを解説します。
外発的動機づけの乱用・依存にならないようする
外発的動機づけは、組織をマネジメントする上で、「外部から望む成果・好ましい行動に向けた動機づけ」をできる非常に有効な手段です。一方で、外発的動機づけには、内発的動機づけを損ない、報酬への依存を生むリスクもあります。
前述の通り、外発的動機づけは繰り返すことで報酬への慣れが生じ、「どんどん強い報酬にしていかないと効果がなくなる」「報酬がない状態に不満が生まれる」ところに行きつく危険性もあります。
従って、外発的動機づけを運用するなら、「どういう組織を作りたいか?」を明確にしたうえで、望む組織作りを阻害しないように外発的動機づけの乱用・依存に注意したり、次に述べる内発的動機づけとのバランスをとったりすることが大事です。
外発的動機と内発的動機のバランスを考える
外発的動機は、即効性が高く、外部から目標達成や仕事に対するモチベーションアップを働きかけることを可能にします。一方で、質の高い仕事を自らの意思で主体的かつ継続的に行なうには、内発的動機づけが重要です。
したがって、中長期的な成長を考えるうえでは、外発的動機づけで短期的なモチベーションを作りつつも、内発的動機づけを促進する取り組みを継続的に実行することが大切になります。
具体的には、仕事のやりがいや価値を確認するような研修、「顧客の声」の共有、ミッション・ビジョンの浸透、「自分にはできる」という自己効力感を高めるマネジメント、現場の意思決定へと参画してもらい自己決定感を高める等の取り組みが、内発的動機づけにつながります。
金銭的報酬と精神的報酬のバランスも考える
外発的動機づけを適切に運用するためには、金銭的報酬だけでなく精神的報酬もバランス良く取り入れることが大切です。
金銭的報酬は即効性が強いものの、仕事への内発的動機づけを損ねるリスクも高くなります。また、金銭的報酬に代表される物理的な報酬は、定量化されやすく、耐性が生じやすい特徴があります。
そのため、外発的動機づけを運用する際には、社内表彰や抜擢などの名誉、上司や企業からの承認やフィードバック、顧客や同僚からの感謝といった精神的報酬を適切に組み合わせることがおススメです。
業績以外の評価も取り入れる
営業成績や売上などの業績だけで評価した場合、短期的な結果につながらない業務がおろそかになったり、直接的に業績を担わない部門のモチベーションが落ちたりしやすくなります。
したがって、業績以外にも、仕事の質、イノベーション、他部門や他者へのサポート、ミッション・ビジョン・バリューの実践といった「業績以外の評価」を評価対象として取り入れることがおススメです。
「業績以外の評価」という部分では、メンバー同士でお互いの働きや貢献に感謝を送るようなthanksカードや、ピアボーナスなどの仕組みも良いでしょう。
自社独自の報酬を取り入れる
外発的動機づけの報酬には、金銭、昇進・昇格、表彰、フィードバックなどのほかに自社独自の価値観やバリューを反映したり、メンバーの成長を促進したりするような独自の報酬を取り入れることもおススメです。
具体的には、以下のようなものです。
- 視察や研修を兼ねた報奨旅行
- “一流”の仕事を体験するような企画
- 見聞を拡げるような長期休暇と費用補助
- チームなどでの報奨旅行の費用補助
- 社内での挑戦機会