キャリア自律支援サービス|活用のポイントや事例、おすすめサービスを紹介

更新:2024/04/16

作成:2024/02/16

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

キャリア自律支援サービス|活用のポイントや事例、おすすめサービスを紹介

終身雇用制度の崩壊や成果主義・ジョブ型の人事制度等、社会環境の大きな変化の中、理想とするキャリアを形成していくために必要とされているのがキャリア自律です。

 

企業に向けてキャリア自律を支援するようなサービスも増えている一方で、企業側も社員へのキャリア自律支援の必要性を感じながら、どう対応していけばいいのかと戸惑う経営陣や人事の方も多いかと思います。

 

本記事では、企業の方向けにキャリア自律支援の流れやポイントを解説しながら、具体的な事例やキャリア自律支援に役立つサービス、活用方法を紹介します。

 

<目次>

キャリア自律支援の流れとポイント

まず、キャリア自律支援の流れの概要と効果的な支援をするためのポイントを紹介します。

対象者を適切に分類してキャリア研修を実施する

キャリア自律支援の入り口となるのは、キャリア研修です。

 

ただ、キャリアに対して何を求めるのかというニーズや、一人ひとりが置かれている状況は様々です。

 

若手とシニア層とでは、育った時代背景や価値観も大きく異なります。また、出産・子育てというライフイベントの存在が大きな女性には、ライフイベントとキャリアの関係をどうとらえればいいかという啓もうや、キャリアと家庭を両立させるためのサポートも欠かせません。

 

効果的なキャリア研修を実施するためには、世代や性別等を踏まえて対象者を適切にセグメントして、それぞれに合った研修を実施することが重要です。

 

具体的なセグメントとしては、

  • ①キャリア自律の概念に馴染んでいる一方で、漠然とした不安が強い若手層
  • ②自分の現状や積み重ねてきたものを振り返り、方向性を決める必要のある中間層
  • ③キャリアの残り時間でどう組織に貢献するのかを考えてもらうシニア層
  • ④キャリア形成とライフイベントの両立等が生じてくる女性層

といった4つが大きな分類となるでしょう。

 

各セグメントが抱えがちな悩み等に合わせてキャリア研修内容を最適化させていくことで、研修効果を最大化させることができるようになります。

 

また、セグメントをさらに細かく分けていけば、よりきめ細やかな支援を行えるようになるでしょう。

 

とりわけZ世代の若手層は、転職が当たり前で、成果主義やジョブ型が浸透した中で就職している世代です。最初からキャリア自律の概念を持ち、早期のキャリア形成志向が強い一方で、仕事の経験が浅いからこそ漠然とした不安を抱えています。

 

具体的には「うちの会社でこのまま働いていて良いのか?」「成長できているか?」といった悩みや不安です。離職防止につなげるためにも、よりセグメントを細かくして的確な支援ができるようにすることも有効です。

 

具体的には、若手~中間層であれば、

  • 仕事に対する理解がまだ十分ではない新入社員層
  • 仕事に慣れて、マンネリ感や将来への不安が出やすくなる2年目3年目層
  • ある程度の仕事を覚えた中で他社や周囲との差が気になってくる20代中盤~後半層
  • 専門性が身についてきた一方で、プライベート面でも変化が出てくる30代層

といった形で、仕事に対する感覚や抱える不安に変化が生じるタイミングで、それに合わせた研修ができるようにすると、キャリア自律を支援するとともにエンゲージメントを高める上で有効です。

 

こうした階層に応じた研修を通して、キャリア自律を支援し、キャリアオーナーシップを持ってもらう。また、「働く意味」や「仕事のやりがい」についても明確にして、キャリアに対する不安を払拭していくということが、これからの時代に人材を確保するために重要です。

 


 

個別・継続のキャリア面談で自分事×行動につなげる

キャリア研修はキャリア自律を支援するきっかけですが、キャリア研修を1回実施すればキャリア自律が身につくというものではありません。

 

従業員がキャリアオーナーシップを持ち、主体的に行動できるようにするためには、キャリア研修後も継続したフォローを行うことが大事です。

 

本来「キャリア」はすべての人にとって究極の自分事ですが、終身雇用制や年功序列の文化が長かった日本では、「会社に与えられる」感覚も強いものです。また、日々忙しく仕事をしていると、中長期のテーマである自身のキャリア形成をきちんと考えることを忘れてしまいがちになります。

 

そのため、キャリア研修を1回やって終わりにするのではなく、個別のキャリア面談を通じて、自分事に落とし込んで行動につなげていけるように支援することが重要になってきます。

 

また、忘れてしまいがちなキャリア形成と向き合えるようにするためにも、定期的に立ち止まって考える機会を作ることも重要です。

 

個別・継続フォローには、上司や外部によるキャリア面談や1on1が有効です。

 

最近は1on1をサポートしてくれるサービスも増えており、面談日程を調整するカレンダー機能や、面談のやり取りを記録できるメモ機能、1on1の内容を分析してくれる機能などを備えており、質の高い1on1を実施する助けとなります。

 

 

また、キャリア面談は、評価者である上司や企業側である人事には本音を話しにくいとう側面もあり、外部のキャリアコンサルタントによるキャリア面談を提供するキャリア面談プラットフォームKakedas(カケダス)も、キャリア自律を支援するために有効なサービスです。

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キャリア相談プラットフォーム|Kakedas(カケダス)...
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人事制度などキャリア自律の促進環境を整える

キャリア自律の促進について、「キャリア支援をすると、逆に離職を促してしまうのではないか?」との不安の声もよく聞かれます。

 

確かにキャリア研修とキャリア面談を通じて「キャリア自律しよう」「こういうキャリアを形成したい」となったときに、それを組織内で実現できる環境がなければ、人材が流出してしまうことはあるでしょう。それを防ぐためには、人事制度などのキャリア自律の環境整備も大切です。

 

人事制度などのキャリア自律の促進環境をきちんと整えれば、キャリア自律の向上は従業員のエンゲージメント向上につながることは各種調査でも明らかになっています。

 

組織としてキャリア自律を後押しするための人事制度は、以下のような視点で考えるとよいでしょう。

 

キャリア自律を促進する人事制度は大きく分けると、

  • 1)新しい知識やスキルを学べる環境
  • 2)キャリア形成を実現するための環境
  • 3)キャリア形成に報いる評価制度

の3つが挙げられます。

 

具体的には、eラーニングツールやカフェテリア型の自己啓発、資格取得支援、副業の容認、社内異動や公募制度、成果主義の評価ややジョブ型の人事制度などです。

 

特に、人材が外部に流出してしまうのを防ぐためには、組織内を「市場化」する社内異動や社内公募制度を整備しておくことも有効です。

 

 

企業におけるキャリア自律支援の事例

本章では、効果的なキャリア自律支援を実施している企業の事例について紹介します。紹介する事例は、厚生労働省による「グッドキャリア企業アワード」の中からピックアップしています。それぞれの事例について詳しく知りたい方は、各事例に記載したリンク先のURLよりご覧ください。

事例1. 明治安田生命保険相互会社

明治安田生命保険相互会社は、各種生命保険や年金商品などの金融商品や生命保険業務を取り扱う企業です。同社はキャリア自律支援として、以下のような取り組みを行っています。

 

人事情報を一元管理した「タレントマネジメントシステム」の構築

明治安田生命保険相互会社では、職務履歴や研修履歴、保有資格や評価といった人事情報を一元管理したタレントマネジメントシステムを全職員が閲覧できるようにしています。

 

そうすることで、目標とするロールモデルの検索やそれに必要な知識やスキル、どういったキャリアの選択肢があるのかといった情報が得られるようにし、組織内でキャリア自律ができるようにサポートしています。

 

いつでもキャリアの相談ができる窓口の設置

明治安田生命保険相互会社は、上記の取り組みに加えて、社内外のキャリアコンサルタントによる相談窓口を設置し、いつでも仕事やキャリアについての相談ができるように体制を整えています。

 

人事運用・人事制度担当者等とも連携することで、相談者の個別の状況に応じたキャリアコンサルティングができるようにしています。

 

こうした取り組みにより、キャリアビジョンの策定が容易になり、自発的にキャリア開発に取り組む職員が年々増加しているという結果を出しています。
(参考:「グッドキャリア企業アワード2022」好事例集|明治安田生命保険相互会社)

 

事例2.株式会社JTB

株式会社JTBは、日本の最大手の旅行会社であり、JTBグループを統括する事業持株会社です。同社のキャリア自律支援の取り組みとしては、以下の3つがあります。

 

社員と会社の関係性を変えていく「カルチャー改革」の実行

株式会社JTBは、「会社が社員を育てる」のではなく「会社は社員の一人ひとりの自己発揮・自己実現を支援する」という『社員と会社の関係性を変えていく』ことをカルチャー改革の一つとして位置づけ、「キャリア改革」を掲げました。

 

こうした意識改革の取り組みにより、自発的に職場で学ぶ風土が根付き、多様な教育・挑戦機会への申込みが増えるなど、社員の主体性を高めることに成功しています。

 

社内育成プラットフォームの運営による学びの機会の提供

社内育成プラットフォームである「JTBユニバーシティ」では、年間800本以上の集合研修やウェビナーの実施といった学びの機会を提供しています。

 

この他にも、多様な挑戦機会として、海外や専門領域への派遣研修や異業種交流研修への参加の支援を行い、視野を広げ刺激が得られるようにしています。

 

キャリアを考える多様な「対話」の機会の創出

株式会社JTBでは、人事評価制度で利用するチェックシートの中に、ビジョンの記入だけでなく、自身の強みと弱みを把握したうえで新たな挑戦を具体化し、それを上司と共有するようにしています。

 

上司との面談の質を向上させるためのキャリア面談サポートキットの作成や、「JTBキャリアサイト」における自己理解や仕事理解を促す情報提供といったことにも力を入れ、多様な情報提供や対話の機会を設けるようにしています。

 

これにより、多くの社員がキャリアについて考える機会が得られるようになっています。
(参考:「グッドキャリア企業アワード2020」好事例集|株式会社JTB)

 

事例3.社会福祉法人 平鹿悠真会

社会福祉法人 平鹿悠真会は、秋田県で特別養護老人ホームなどの運営を行っています。女性が多い職場として、以下のような取り組みを行っています。

 

ワークライフバランスに配慮した働きやすい職場づくり

介護の仕事では、優秀な職員であっても、仕事と家庭を両立させながらキャリアを積み上げていくことには体力的な困難さがあり、離職につながってしまうというケースが多くあります。

 

そのような中、社会福祉法人 平鹿悠真会では、産休育休取得希望者に対しては数回にわたる「育児面談」を実施し、仕事と家庭の両立をサポートするとともに、会議録の送付、説明を行うなどのフォローをすることで、スムーズに職場に復帰できるようにサポートを行っています。

 

子供が体調を崩した時にも、休暇が取りやすい体制を整えており、事業所内託児所の利用により産休前の働き方を維持できるようにもなっています。このような取り組みにより、復帰率は創設以来100%に達しています。

 

研修制度や資格取得支援による専門性の向上をサポート

専門性の高い国家資格の取得を後押ししていることも、キャリア自律支援の大きな特徴です。資格取得を希望する職員に対して「人材育成面談」を実施し、取得に向けた情報提供を行いながら合格への支援をすることで、専門性の向上を図れるように後押ししています。

 

この取り組みにより、介護職員21名全員が介護福祉士資格保有者となり、組織としても人材の確保に役立っています。
(参考:「グッドキャリア企業アワード2022」好事例集|社会福祉法人 平鹿悠真会)

 

キャリア自律を促すポイント

どのような要因がキャリア自律を促進するのかについて、約600人の正社員を対象としたアンケート調査に基づいた論文があります。本章では、研究調査の結果も踏まえて、効果的なキャリア自律支援を実施するためのポイントを解説します。

 

*なお、本研究調査の対象は正社員のみであり、また、女性は独身もしくは既婚無子に限定されていますので、調査結果を読み解くうえでは注意が必要です。女性のキャリア自律支援については、後ほどあらためてご紹介します。

自らの強みを知り自己理解が深まるようにする

まず自律的に動けるようにするために重要になってくることは、自分の強みや弱み、価値観を知ることです。

 

研究では、アンケート調査結果を統計学的に分析する中で、転機経験や仕事経験からの学びがキャリア自律に関係することが示されました。経験を振り返ることで自己の価値観や興味への気づき、自己理解が深まり、職業的自己イメージを明確化することがわかっています。

 

また、自分はどのように組織に貢献できるのか、どんな仕事にやりがいを感じるのかなどが明確になることでキャリアプランを描きやすくなります。

 

日本は真面目な国民性と課題克服型の教育制度等を通じて、自分の弱みや課題に目が行く傾向にあります。逆に「自分の強みは何なのか、よくわからない」という方は多いものです。とくに仕事における「強み」は、本人は当たり前にできてしまうことであり、それが強みであると気づいていないことも多くあります。

 

そこでお勧めなのが検査等の活用です。たとえば、世界で2,300万人が受検した強み診断「ストレングス・ファインダー®」があります。これは34個に分類された強みから、自分の強み上位5つがわかる検査です。こうったものを活用することで、自分の強みを理解し、強みを成果に結びつけるやり方を身に付けることができます。

 

HRドクターを運営するジェイックでは、ストレングス・ファインダー®研修を提供していますので、ご興味あればご覧ください。

上司のキャリア支援力の強化も重要

部下にとって身近な存在であり、最も身近な支援者である上司は、キャリア自律に大きな影響を及ぼす存在です。

 

研究調査においても、上司とのやり取りがキャリア自律に関連することが示されており、上司が部下とのキャリア面談などを通じて、部下のキャリアについて真剣に話し合い、積極的に支援していくことが求められるとしています。

 

上司から部下への支援を適切に行うためには、上司の部下に対するキャリア形成支援の役割を明確にすると共に、上司のキャリア面談、キャリア支援力を強化することが有効です。

 

上司の支援力強化を考えるうえで問題となるのが、「対話力」のリスキリングです。多くの日本企業で管理職層の中心となっている40代50代などは、入社当初は終身雇用や年功序列が当たり前だった世代です。

 

Z世代を始めとする若手世代とは価値観や考え方に大きな隔たりがある場合もありますし、自分たちがコーチングやキャリア自律の支援などを受けてこなかったからこそ、そうしたアプローチを部下にするためのスキルが不足しているケースも多々あります。

 

上司から部下へのキャリア支援の実践施策となる1on1について、適切な1on1はエンゲージメントを高める一方で、満足度が低い1on1は、何も実施しないほうがエンゲージメントは高くなるといったデータもあります。つまり、上司のキャリア支援力、対話力を高めないままに1on1を導入することは大きなリスクとなります。

 

今の時代に合った対話力を身につけ、若手世代と信頼関係に基づき、部下をポジティブな感情にして動かせるようになるためにお勧めなのが、デール・カーネギーの「【人を動かす】リーダーシップ&コミュニケーション研修」です。

 

デール・カーネギーが長年教育の現場で培ってきた「人間関係の30原則」を身につけることで、役職やポジションによる“圧”や命令、説得に頼ることなく、相手を引っ張っていけるようになります。

人的ネットワーク構築の支援も有効

キャリア自律を促す環境整備の一環として、人的ネットワークの構築を支援する取り組みも有効です。

 

研究調査の結果では、上司や社内外の関係者からの支援と学びがキャリア自律に関連することが示されました。キャリア自律を高めるためには、自ら上司や職場関係者との積極的な関係を構築し、支援を得ていくことも重要です。

 

先ほどご紹介した株式会社JTBの事例を見ても、異業種交流研修への参加の支援などを行うことで刺激を与えて視野を広げ、積極的な挑戦を後押しすることに成功しています。

 

こうした事例をもとに異業種交流や海外派遣といったことをやろうとした時、多くの人は自分と異なった考えの相手との関係構築に戸惑ってしまうものです。

 

そこでお勧めなのが、「7つの習慣®」研修です。この研修では成功者に共通する原理・原則を身につけることで、主体性を発揮できるようになり、また、異なる考えを持つ相手との間でWin-Winの関係を構築できるようになります。

 

7つの習慣®を身につけることで人的ネットワークを形成する力が高まり、キャリア自律を促すことが期待できます。

以上が、研究調査に基づいたキャリア自律を促すためのポイントです。効果的なキャリア自律支援のために、ご参考いただけますと幸いです。
(参考:堀内泰利、岡田昌毅、『産業・組織心理学研究』、2016年、第29巻、第2号、73-86、「キャリア自律を促進する要因の実証的研究」)

 

女性のキャリア自律支援

少子化が進む中で社会的に女性人材の活躍が必要不可欠なものとなり、多くの企業で女性活躍の取り組みが進んでいます。本章では、結婚・出産というライフイベントの影響が大きく、育児と仕事の両立に課題を抱えがちな女性社員のキャリア自律をどう支援していけばいいのかを解説します。

女性活躍とキャリア自律支援の重要性

人手不足が深刻化して人材確保の難易度が高まる中、女性社員が長く働き続けられる、活躍する職場づくりは多くの企業にとって重要なテーマの一つとなっています。女性人材の活躍支援は、性別による役割分担の考え方が根強く残っているケースもありますし、ロールモデルの不在といった問題が生じることもあります。

 

女性人材が活躍できるようにするためには、本人の努力だけに任せるのではなく、組織としても積極的にキャリアを構築できるように支援し、環境を整えていく必要があります。

 

先ほど触れた明治安田生命保険相互会社の事例でいうと、タレントマネジメントシステムにより目標とするロールモデルを検索できるようになっており、キャリアプランを描きやすいようにサポートされています。また、どのような知識やスキルが必要なのかといった情報も提供されており、実際に学び、目標とするキャリアを築いていけるようになっています。

 

「どのように活躍していけばいいのか分からない」という女性社員がキャリア自律できるようにするためには、このような「描く⇒学ぶ⇒築く」のサイクルを回せるような仕組み作りが有効な支援策の一つです。

 

 

インポスター症候群への対応

女性のキャリア自律支援においては、インポスター症候群に対処することも必要な取り組みの一つです。

 

多くの企業で女性採用が増えて、活躍するプレイヤー人材も増える中で、女性管理欲の登用に苦戦している企業は少なくありません。こうした企業で生じているのがインポスター症候群の課題です。

 

女性は男性と比べて自分を過小評価してしまうインポスター症候群になりがちな傾向があります。結果的にプレイヤーとして十分な成果をあげていて、昇進の話があっても「やっていける自信がありません」と断ってしまうようなケースもあります。

 

インポスター症候群の背景としては、自分の強みを正しく認識できていないということや、不安の強さといったことが挙げられます。そのような問題に対処していくのにお勧めなのが、キャリア自律支援プログラムです。

 

キャリア自律支援プログラムでは、前述した才能診断ツールであるストレングス・ファインダー®を活用することで自分の強みを認識し、どのように強みを発揮していけばいいのかを学ぶことができます。自分の強みを認識し、それを発揮していけるようになることで自己肯定感が高まり、自分に自信が持てるようになります。

 

また、キャリア相談プラットフォームのKakedasを組み合わせて活用することで、外部のキャリアコンサルタントが上司には直接言いづらい不安に寄り添いながら、メンタル面でのサポートをしてくれます。「自分にやっていけるだろうか」という仕事への不安を払拭することで、女性人材のキャリア自律を支援することができます。

女性活躍に不可欠な男性上司の育成

女性人材の活躍を支援する上では、職場環境を整えることも重要です。出産・子育てというライフイベントの影響が大きな女性にとって、ワークライフバランスに対して理解のある職場が働き続けていくうえで大きな支えになります。

 

事例でも触れた社会福祉法人 平鹿悠真会のケースのように、出産しても職場に復帰しやすいように体制を整え、子供の急な体調不良にも対応できるように休暇を取得しやすくすることで、女性人材の定着を図ることができます。

 

女性が多い職場であれば、こうしたワークライフバランスに対する理解は得られやすいものですが、これまで男性中心でやってきたという職場ともなると、なかなか理解が得られない場合もあるでしょう。女性が働きやすい環境にするためには、上司や管理職の意識を変え、仕事と家庭の両立を応援できるようにすることが重要です。

 

男性中心の職場の意識を変え、女性人材も活躍できるようにしていくのにお勧めなのが管理職のための「イクボス」教育プログラムです。

 

「イクボス」とは、「育児」と「ボス」を掛け合わせた造語であり、同じ職場で働く人のワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援できる上司のことです。

 

イクボス研修では、イクボスとしての考え方を身につけるとともに、イクボスとしてどのように部下とコミュニケーションを取っていけばいいのかについて学ぶことできます。家庭を抱える女性部下との接し方がわかるようになることで女性部下を定着させられるようになり、ハラスメントの防止にも役立ちます。

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管理職のための「イクボス」教育プログラム...
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キャリア自律支援で重要な継続・個別フォロー

キャリア自律支援は、きっかけを作るキャリア研修、自分ごとにするキャリア面談、キャリア形成の意欲を支援する人事制度といったものを組み合わせて実施することが大切です。本章は、その中でも重要なキャリア面談について改めて確認します。

仕事経験を振り返る機会を確保する

自己理解を深めることが、キャリア自律を高めることにつながります。そのため、キャリア研修実施後には定期的に立ち止まって、自分の経験を振り返る機会を持てるようにする必要があります。

 

個別の定期的なキャリア面談は、自分の体験を振り返るだけでなく、他者からのフィードバックを受けることで自分の強みを認識したり、自分では気づくことができなかった可能性について気づいたりするきっかけとなります。

 

また、環境やライフステージの変化により、興味や仕事との向き合い方は変わってくるものです。変化にうまく対応し、自分らしいキャリアを築いていけるようにするためにも、継続して個別フォローを行うことは重要です。

 

キャリア相談プラットフォームKakedas

キャリア自律を高めるためには、上司による支援も重要になることはご紹介しましたが、上司や人事は、評価や人事権を持っている「利害関係者」である側面があります。そのため、社内での1on1では、部下の側は自分の評価への影響を気にして本音を言い出しづらいということも出てきてしまいます。

 

転職や待遇、働き方などの要素ともリンクするキャリアの相談は、とくに上司や人事にしにくいテーマのひとつです。

 

そこでお勧めなのが、外部のキャリアコンサルタントによる面談を提供するキャリア相談プラットフォームのKakedasです。

 

Kakedasサービスでは、登録されたキャリアコンサルタントの中からAIによって相性の良い相手が選び出され、相談者はその中から自分が相談したいキャリアコンサルタントを選ぶことができます。守秘義務を持った外部のキャリアコンサルタントが面談を担当することで、相談者は安心して本音を話すことができ、自己理解を深めることができます。

 

また、相談者の本音は、本人を特定されない形で上司や組織にフィードバックされ、キャリア自律支援に向けた有効な施策につなげることができます。

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キャリア自律は、すぐ身につけられるというものではなく、根気強く一人ひとりと向き合っていく必要があります。キャリアに対する不安を払拭し、社員が生き生きと活躍する組織にするために参考になれば幸いです。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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