キャリア自律とは?
最近よく耳にするようになった「キャリア自律」とは、いつ、どのようにして生まれてきたのか、また、具体的にどのようなものなのかについて確認します。
キャリア自律とは?
キャリア自律とは、自らが主体となってキャリアビジョンを描き、実現に向けて継続的な学習や行動を継続していくことです。
「キャリア自律」という言葉は、最近HR業界では頻繁に聞かれる言葉となり、大手企業においては、この10年ほどで取り組んでいることが当たり前の取り組みともなっています。
「キャリア自律」の概念は、日本の多くの労働慣習が米国から取り入れられているのと同じように1990年代半ばの米国において生まれたとされます。
米国では、1980年代後半から1990年代初めにかけて、経済停滞とグローバル化に対応するために大量の人員削減が行われ、雇用の流動化や安定した長期雇用の崩壊が起こりました。長期雇用の崩壊は、従業員の組織コミットメントやロイヤリティ、モラルの低下を招きました。
こうした問題を受け、優秀人材の確保、従業員のモチベーションやコミットメントを確保するために、長期雇用の保障に代わるものとして、企業は社員にエンプロイアビリティ、つまり「雇用される能力」を高める機会を提供する必要性が提唱されるようになりました。
このように企業と労働者の関係性が変化する中で提唱された概念が「キャリア自律」です。この概念が、日本でも終身雇用の崩壊と雇用の流動化等が起こった中で、優秀人材の定着や従業員のエンゲージメント向上を目的に導入されているわけです。
「自律」と「自立」の違い
キャリア自律は、確固たる自分の意思を持ち、周囲や状況とうまく向き合いながら自己実現を目指していくという考え方です。
「自律」と似たような言葉に「自立」がありますが、キャリア自律で使われるのは「自律」です。自立は、他者に依存せずに一人でやっていける状態という意味であり、経済的自立、精神的自立といった形で使われます。
キャリアの場合、本来、キャリアは自分が作る、自分でしか作れないものであり、その意味では元から自立が前提だということもできます。ただし、同時にキャリアは組織や社会とのかかわりの中で築かれるものであり、自分一人で作れるものではないという捉え方もあるでしょう。
特に、これまでの日本では企業が従業員に終身雇用を保証する代わりに異動などの人事に対する強い力を持ち、ある種従業員のキャリアに対して主導権を握っていた状態です。その意味では、日本の労働者はキャリア形成を会社に「依存」してきた状態であり、「他律」されてきたキャリアを歩んできた傾向にあります。
そうした状態に対し、個人が主体的にキャリアを描き、作っていくという意味も込めて「キャリア自律」という言葉が使われています。
キャリア開発やキャリア形成との違い
キャリア自律と似たような言葉として「キャリア開発」や「キャリア形成」といった言葉もあります。
キャリア開発やキャリア形成は、誰が主導するかということに対するニュアンスはなく、キャリアアップやキャリア実現を目指して学習・成長するプロセスを指しています。従って、会社が従業員に対して提供するキャリア開発やキャリア形成もあれば、個人が資格取得や自己啓発に取り組むようなキャリア開発もあります。
一方で、キャリア自律は、キャリア開発やキャリア形成に対して、個人が主体性、リーダーシップを発揮するという点にウェイトが置かれています。








