キャリア自律支援サービス|活用のポイントや事例、おすすめサービスを紹介

終身雇用制度と年功序列はほぼ完全に崩壊し、成果主義・ジョブ型が普及する中で、定着とエンゲージメント向上に向けて、従業員のキャリア自律支援は欠かせないものとなっています。

 

本記事では、おすすめのキャリア自律支援サービスに加えて、サービスの選び方や導入の流れ、企業の活用事例を解説します。従業員のキャリア自律支援を検討している方は、参考にしてください。

 

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、執行役員・取締役等を歴任後、現在に至る。

キャリア自律が必要とされる背景

変化の激しい現代社会において、個人が主体的にキャリアを考え、選択していく「キャリア自律」の重要性が高まっています。背景には、日本型雇用の限界や価値観の多様化、就業期間の延長などがあります。

 

キャリア自律は、企業と従業員の双方にとって必要不可欠な要素となりつつあります。この背景を理解しておくことはキャリア自律支援を実施する際にとても重要です。

 

若手・優秀層の離職防止とエンゲージメント強化

従来の終身雇用や年功序列といった日本型雇用制度は、完全に崩壊したといえるでしょう。職種の専門化や技術進化やそれに伴う新たな職種の誕生、グローバルトレンドへの追従などを踏まえて、雇用制度は成果主義と転職が当たり前の状態へと変わっています。また、大手企業ではジョブ型人事への移行を始まっています。

 

若手や優秀層ほど、自分のキャリア形成を真剣に考えてる、また不安を抱いており、「転職を経てキャリア形成していく」という考えを当たり前に持っています。その中で、キャリア自律支援をすることで、離職防止をすることが不可欠です。”キャリアへのもやもやとした不安”を放置しておくと、エンゲージメント低下や離職へとつながります。

 

また、現在の高度な知的労働、またリモートワークにおいては、エンゲージメントがパフォーマンスに直結します。その点でも、“いまこの職場で、この仕事をしている意味づけ”につながるキャリア自律支援が大切です。

 

価値観や働き方の多様化に伴うキャリア支援の多様化

ワークライフバランス等の価値観も広がり、働き方も従来の「同じ企業でのキャリアアップ」だけでなく、「転職によるキャリア形成」「専門性の追及によるプロフェッショナルやCXOとしてのキャリア」、さらに副業、複業、フリーランス、起業なども一般的となり、個人のキャリア観や人生観は多様化しています。

 

こうした中で、組織内での昇格・昇進というキャリアパスの提示だけでは従業員の動機付けはできなくなっています。起業は従業員一人ひとりの価値観に合わせたキャリアビジョンの明確化を支援し、いまの仕事に意味づけしてもらうことが必要となっています。働き方の多様化と個の尊重が重視される現代において、一人ひとりに合わせたキャリア自律の支援が、組織全体の活性化につながる重要な要素となっています。

 

シニア層に対するキャリア支援の必要性

少子化に伴う労働力不足の中で、定年延長や再雇用制度の活用が進み、社員の就業期間は長期化しています。その結果、40代後半~50代の中高年層で、役職定年やライフステージの変化を見据えたキャリアの再設計や、リスキリングの重要性が高まっています。

 

60代以降も働き続けてもらうことを前提とした場合、スキルの再獲得やアップデートによって、シニア世代が活躍できる環境を整備する必要があります。60代以降も含めた長期的な視点でのスキルアップ・キャリア形成支援が、企業の持続的成長には欠かせません。

 

また定年延長などを考えると、役職定年以降の時間もかなり長くなってきます。その時間をやる気を持って、また、30代40代のロールモデルとして過ごしてもらうためにもキャリア自律の支援が重要となります。

 

キャリア自律を支援するメリット

キャリア自律支援は、従業員個人の成長促進だけでなく、組織全体の持続的成長に直結する投資といえます。従業員のエンゲージメント向上による生産性の向上、イノベーションの促進による競争力強化、そして優秀人材の定着など、企業にとって多くのメリットがあります。それぞれ解説します。

 

従業員のエンゲージメントと生産性の向上

自身の強みやキャリアビジョンに沿って働ける従業員は、仕事に対する納得感が高まり、エンゲージメントも向上します。個人の成長と組織貢献が結びつくことで、従業員は日々の業務にも主体的に取り組むようになり、結果として生産性も向上するでしょう。

 

とくに知的労働やイノベーションが求められる現代において、エンゲージメントの高さが生産性やパフォーマンスに直結する比重は高まっており、キャリア支援を通じて組織活性化を図ることが必要です。

 

組織のイノベーション促進と競争力強化

多様なキャリアやスキルを持った人材が増えることで、チーム内の知見や視点が広がり、新たなアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。また、自律性の高い人材は変化に柔軟で、環境の変化に応じた対応を取りやすいことも大きな特徴です。

 

こうした特性を持つ人材が組織に多く存在することで、企業は市場の変化にも強くなり、持続的に競争力を保つことが可能になります。変化の激しい現代のビジネス環境において、自律的に考え行動できる人材の存在は、企業の持続的成長に不可欠といえます。

 

優秀人材の確保と離職防止

前述の通り、若手や優秀層ほど自身のキャリア成長に対して真剣に考えており、また、常に「転職や独立」と「在籍」を天秤にかけてフラットに比較しています。その中で漠然とした不安を放置せず、キャリアビジョンの明確化を支援し、ビジョン実現に向けて自社内でできるキャリア構築の選択肢を提供することが離職防止の有効な手段となります。

 

人材の流動化が進む現代において、優秀な人材の確保と定着は、企業の競争優位性を左右する重要な要素です。

 

キャリア自律支援サービスとは?

キャリア自律支援サービスとは、従業員が主体的に自分のキャリアを考え、行動できるようになることを支援する専門サービスの総称です。社内だけでは補いきれないキャリア支援を、専門的な知見を持つ外部の力を借りて実施するものです。

 

提供される支援の形態はさまざまです。キャリアについて考えるきっかけをつくるキャリア研修、個別のキャリア面談、従業員のキャリア自律度を測るサーベイやアセスメント、キャリア自律を後押しする人事制度の設計支援など、内容は多岐にわたります。単一の施策を提供するサービスもあれば、研修と面談を組み合わせるなど、複数を組み合わせて支援するサービスもあります。

 

キャリア自律支援サービスを利用する際には、自社の目的や対象者を明確にした上で、それに合ったサービスを選ぶことが大切です。目的に沿って活用することで、離職防止やエンゲージメント向上、キャリア自律の促進といった効果を得やすくなるでしょう。

 

次章以降で、代表的なサービスや選び方のポイントを紹介していきます。

 

おすすめのキャリア自律支援サービス7選

従業員のキャリア自律を支援するサービスは、研修や面談、サーベイなど、提供する会社によって内容や強みが異なります。代表的な7つのサービスについて特徴・主な支援内容・向いている企業を比較したうえで、各サービスを紹介します。自社の目的や対象者に合うサービスを選ぶ参考にしてください。

 

会社・サービス特徴主な支援内容向いている企業
キャリア面談サービスKakedas社外の国家資格キャリアコンサルタントと1対1で相談できる、日本最大級のキャリア面談プラットフォーム。性格診断やキャリアコンサルタントの経歴等を踏まえて、相談者が相談相手を選べる社外キャリアコンサルタントとの1対1面談、性格特性を踏まえた相談候補の提案、個人を特定しない組織分析レポート心理的に安全(評価や人間関係への影響を気にせず本音を話せる)な相談機会を設けたい企業、相談窓口の運用負担を抑えたい企業
キャリア自律支援プログラム(Kakedas)キャリア研修とキャリア面談Kakedasを組み合わせ、具体的な行動につなげる複合プログラム強みにフォーカスしたキャリア研修と、研修前後の1対1面談効果的なキャリア研修を実施したい企業
パーソルワークスイッチコンサルティングキャリア資産の可視化し、行動と内省のサイクルを通じて行動変容を支援するサービスキャリア資産診断、ワークショップ、グループ・個別メンタリング、セルフマネジメント支援社員のキャリア資産や施策効果を可視化し、研修後の行動変容まで継続的に支援したい企業
パソナ経営層・管理職・従業員の各階層に向けたキャリア自律支援社員意識調査、キャリア研修・面談、人事制度の構築支援など組織全体でキャリア自律支援を進めたい企業
リクルートマネジメントソリューションズ企業の事業成長と社員の自律的な成長を支援する、人材育成・組織開発サービスキャリアデザイン研修、キャリア志向の可視化、組織変革支援など対象層や課題に応じて、研修を中心に支援したい企業
日本マンパワー組織や従業員のキャリア自律の状態を可視化するサーベイ型サービスキャリア自律度の測定、組織課題の分析、施策検討の支援など現状を数値で把握し、キャリア施策の検討につなげたい企業
プロティアン・キャリア協会プロティアン・キャリア理論に基づく越境学習型プログラムプロティアン・キャリア自律セミナー、ワークショップ、越境学習など越境学習を通じて、キャリア自律や次世代リーダーの育成を進めたい企業

 

キャリア面談プラットフォームKakedas

外部のキャリアコンサルタントによるキャリア面談を提供する日本最大級のキャリア面談プラットフォームがKakedasです。営業、マーケティング、管理部門、エンジニア、研究職などの様々な職種経験、また、ワーキングマザー、海外駐在、管理職、副業経験など多様なバックグラウンドを持った国家資格キャリアコンサルタントが登録しています。

 

Kakedasの特徴は従業員とキャリアコンサルタントのマッチング精度の良さです。登録されたキャリアコンサルタントの中からAIによって相性の良い相談候補が選び出されます。また相談者はキャリアコンサルタントのプロフィール等をキーワード検索することも可能です。これによって、相談者は自分が相談したいキャリアコンサルタントを選ぶことができます。

 

守秘義務を持ち、相性の良い外部キャリアコンサルタントに相談ができるからこそ、従業員もキャリアについての悩みを相談しやすくなります。相談者は安心して本音を話すことができ、自己理解を深めることができます。

 

Kakedasは以下のような悩みを持つ企業におすすめです。

  • 離職率が高い原因が分からない
  • 従業員の気持ちが不明瞭
  • 従業員が相談できる環境が無い
  • 会社と従業員の間に壁を感じる

 

Kakedasでは、キャリアコンサルタントのレポート、アンケート、対話データを分析して、個人を特定されない分析レポートとして、組織にフィードバックします。そのため、組織側では「従業員の本音をつかみ改善の手を打てる」ようになり、キャリア自律支援に向けた有効な施策につなげることができます。

 

以下のURLでKakedasの導入企業事例なども掲載していますので、参考にしてみてください。

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キャリア面談プラットフォーム|Kakedas(カケダス)...
キャリア面談プラットフォーム|Kakedas(カケダス)...

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キャリア自律支援プログラム(Kakedas)

Kakedasの提供するキャリア自律支援プログラムは、キャリア研修とキャリア面談Kakedasを組み合わせたサービスです。

 

キャリア研修でキャリア自律について考え始めるきっかけを作り、1対1のキャリア面談で具体化、行動への落とし込み、そして、継続フォローを提供します。

 

キャリア研修は、「強み」にフォーカスしたプログラムとなっており、自己効力感を向上させ、前向きにキャリアビジョンを描くと共に、現在の仕事とキャリアを結びつける柔軟性を持ったプログラムになっています。

 

パーソルワークスイッチコンサルティング

パーソルワークスイッチコンサルティングのキャリア自律支援の特徴は、可視化や独自の内省サイクルを通して、行動変容を促し、社員のキャリア自律を実現することです。

 

キャリア自律を軸に、成長に向けた課題の可視化から行動変容までトータルプロデュース。『キャリア資産』という指標で効果測定し、企業と個人が成長していけるよう、組織にあった自律社員育成を支援します。

 

キャリア自律支援 | パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社

 

パソナ

パソナのキャリア自律支援(セーフプレースメント・トータルサービス)は、従業員のキャリア自律を叶えるため、「経営層・人事」「管理職・上司」「従業員」それぞれの役割に向けてサービスを提供。

 

「自身のキャリア形成を会社に委ねている」といった従業員の課題。「部下のキャリア形成を支援するという管理職の役割を理解していない」といった管理職・上司の課題。「人事戦略が経営戦略に紐づいていない」といった経営層・人事の課題など、各階層における課題を解決し、従業員がキャリア自律でき、活躍できる組織体制作りをサポートしてくれます。

 

パソナのキャリア自律支援(セーフプレースメント・トータルサービス)

 

リクルートマネジメントソリューションズ

リクルートマネジメントソリューションズが提供するキャリア形成・キャリアデザインは、個人の資質に頼らない組織全体の成長を体系的に支援することが特徴。

 

大きく、若手層・中堅層・ミドル・シニア層と分け、各年代層における自律的キャリア形成の課題を明確にし、課題解決のポイントに合わせた打ち手を検討していきます。

 

管理職向けコーチング研修や1on1スキル研修、年代別のキャリア研修など、目的に合わせたサービスメニューが体系立てて用意されています。

 

キャリア自律支援 | 人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ

 

日本マンパワー

日本マンパワーでは、組織のキャリア自律度を可視化するキャリア自律サーベイを提供しています。

 

キャリア自律サーベイの特徴として、「キャリア自律度に関する設問が充実」「影響指標から施策検討が可能」「他社平均との比較が可能」などがあります。

 

サーベイの結果をきっかけとし、人と人、人と組織が「対話」を通して未来を創る関係へと進むことが、人と組織がキャリア自律をするうえで欠かせないと考え、人と組織が共に未来を創るための、人と組織の丁寧な対話の場も提供してくれます。

 

キャリア自律サーベイ|法人のお客様|株式会社日本マンパワー

 

プロティアン・キャリア

プロティアン・キャリア協会は、プロティアン・キャリア理論の普及による組織と個人のより良き関係の創出と個人の主体的な自己変革型キャリア開発支援を行っています。

 

個人と組織の関係性(組織開発)、個人の主体的なキャリア開発支援、に関する法人・個人向けの多様なサービスを提供しており、自律支援プログラムとして、「越境キャリア自律支援プログラム」を提供しています。

 

越境学習とは、ふだん勤めている会社を離れ全く異なる環境で働き新たな視点など得る学びのことです。実施することで得られる代表的なメリットとして、「キャリア自律」「リーダー育成」「イノベーション人材育成」「視野拡大」があります。

 

越境キャリア自律支援プログラム | 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会

 

キャリア自律支援サービスの選び方(選定ポイント)

キャリア自律支援サービスは、提供される支援内容や対象、運用サポートの範囲などがサービスによって異なります。自社の目的・対象者に合ったサービスを選ぶために、確認しておきたいポイントを5つ解説します。

 

導入目的と対象者に合っているか

まず確認したいのは、サービスが自社の導入目的と対象者に合っているかです。離職防止やエンゲージメント向上、キャリア自律の促進など、何のために導入するのかという優先順位を、最初に明確にしておきましょう。

 

あわせて、全社員を対象にするのか、若手や管理職、特定の部署など一部に絞るのかを整理しておくことも大切です。目的と対象者が定まると、必要な支援のタイプや規模を判断する軸ができ、サービスを選びやすくなります。

 

支援内容が自社の課題に合っているか

提供される支援内容が自社の課題に合っているかは、当然確認したいポイントです。キャリア研修や個別のキャリア面談、サーベイ、人事制度の設計支援など、サービスによって支援の内容はさまざまです。

 

単一の施策を提供するサービスか、複数を組み合わせた支援かも含めて、自社の目的に合うかを見極めることが大切です。あわせて、自社と近い業種や規模、課題への支援実績があるかも確認しておきたいポイントです。近い実績があれば、相談内容の背景を理解してもらいやすく、自社の状況に合った支援を受けやすくなるでしょう。

 

面談担当者の専門性やマッチングの仕組みが整っているか

面談を伴うサービスの場合は、担当者の専門性やマッチングの仕組みも確認しておきましょう。まず見ておきたいのが、面談を担当するのが国家資格キャリアコンサルタントなどの有資格者かどうかです。有資格者であれば、キャリアに関する基礎理論や傾聴などのスキルが、一定の水準で担保されます。

 

また、キャリア相談は対話を通じて進めるため、相談者と担当者の相性も面談の質を左右します。職種や年代、性別、キャリア経験などをもとに、相談者自身が相性の良い相手を選べる仕組みがあると、安心して利用しやすくなるでしょう。

 

守秘義務と会社への共有範囲が明確か

従業員に安心して利用してもらううえで欠かせないのが、守秘義務と会社への共有範囲です。キャリアに関する悩みには、社内の上司や人事には話しにくいテーマが多くなります。

 

相談内容が会社にフィードバックされ、評価や人間関係に影響するのではないかと感じると、従業員は本音を話しにくくなります。従業員が心理的に安全な状態で相談できるかどうかは、サービス選びのなかでも特に重要なポイントだといえるでしょう。

 

運用支援やレポート、料金体系が自社に合うか

継続して活用するうえで確認しておきたいのが、運用面の支援やレポート、料金体系です。面談の予約や日程調整、対象者への案内、利用促進などをどこまで任せられるかによって、人事担当者の負担は大きく変わります。

 

また個人を特定しない形で相談テーマや組織課題をまとめたレポートが提供される場合は、従業員の悩みの傾向を把握し、人事施策や職場環境の改善に活かせます。レポートの内容や提供頻度、活用に向けた説明や提案があるかも確認しておくとよいでしょう。

 

料金体系は、月額定額制や従量課金制などサービスによって異なるため、自社の導入規模や目的に合うかを確認しておくことが大切です。はじめはトライアルから始め、段階的に拡大するケースも多いでしょう。本展開まで見据えて、拡大時にかかる費用も事前に確認しておくことが大切です。

 

キャリア自律支援サービス導入の流れとポイント

キャリア自律支援サービスを円滑に導入し、期待する効果につなげるためには、目的の整理から実施後の振り返りまで、段階を踏んで進めることが大切です。キャリア自律支援サービスを導入する際の流れとポイントを、4つのステップに分けて解説します。

 

導入目的と対象者を整理する

キャリア自律支援サービスの導入にあたり、最初に取り組みたいのが目的と対象者の整理です。たとえば、若手社員の離職防止、従業員のキャリア自律支援、エンゲージメント向上など、企業によって目的は異なります。

 

全社員を対象にするのか、若手やミドルシニア、特定の部署など一部の層に絞るのかを決めておきましょう。目的や対象者によって、必要な支援の内容や規模は変わってきます。

 

目的と対象者を最初に固めておくことで、その後のサービス選定や研修・面談などの実施設計がぶれにくくなります。導入を検討する段階で、この2点を整理しておくことが大切です。

 

課題に合ったサービスを比較・選定する

目的と対象者が整理できたら、それをもとに自社の課題に合ったサービスを比較・選定します。前述したキャリア自律支援サービスの選び方も参考にしながら、複数のサービスを比べて検討するとよいでしょう。

 

キャリア自律支援サービスには、研修や面談、サーベイなどさまざまなタイプがあります。整理した目的や対象者を踏まえて、どのタイプが自社の課題に合うのかを見極めることが大切です。

 

また、支援内容や運用サポートの範囲、料金体系は、サービスによって異なります。複数のサービスを比較しながら、自社の目的や対象者、予算に合ったものを選びましょう。

 

研修・面談を実施し、個別・継続でフォローする

キャリア自律支援の入口になりやすいのはキャリア研修です。キャリア研修は、従業員が自分のキャリアについて考え始めるきっかけになりますが、一度実施すればキャリア自律が身につくものではありません。

 

研修で得た気づきを自分事に落とし込み、具体的な行動につなげるためには、研修後も個別のキャリア面談などを通じて継続的にフォローすることが大切です。日々の業務に追われると、中長期的なテーマであるキャリア形成について、きちんと考えることを忘れてしまいがちです。そのため、定期的に立ち止まり、自分の経験や強み、今後の方向性を振り返る機会を設けることも重要です。

 

個別の定期的なキャリア面談は、自分の経験を振り返るだけでなく、他者からのフィードバックを受けることで、自分の強みを認識したり、自分では気づかなかった可能性に気づいたりするきっかけにもなります。また、環境やライフステージの変化により、興味や仕事との向き合い方は変わってくるものです。こうした変化に合わせて、継続的にフォローしていくことが大切です。

 

レポートを組織改善・振り返りにつなげる

キャリア自律支援を実施するうえでは、現状把握も大切です。サーベイや面談結果、アンケートなどの内容を組織改善につなげていくことが大切です。

 

「心理的に安全な場」と「組織にとって役立つフィードバック(レポーティング)」が両立できていると良いでしょう。たとえば個人を特定しない形のレポートであれば、キャリアへの不安や人間関係、働き方の悩みなど、従業員の本音の傾向を可視化し、組織課題の把握や人事施策に活かせます。

 

把握した課題は、育成施策や配置の検討、研修、マネジメントの改善など、具体的な打ち手につなげていきましょう。キャリア自律支援は、実施して終わりではありません。利用率や満足度、相談テーマの傾向、見えてきた組織課題などを定期的に振り返ることで、対象者の選び方や案内方法の見直しにもつながり、キャリア自律支援の効果を高めやすくなるでしょう。

企業におけるキャリア自律支援の事例

本章では、効果的なキャリア自律支援を実施している3社の事例を紹介します。明治安田生命保険相互会社と株式会社JTBは、厚生労働省による「グッドキャリア企業アワード」の好事例から、中道リース株式会社はKakedasの導入事例からピックアップしています。

 

それぞれの事例について詳しく知りたい方は、各事例に記載したリンク先のURLよりご覧ください。

 

事例1. 明治安田生命保険相互会社

明治安田生命保険相互会社は、各種生命保険や年金商品などの金融商品や生命保険業務を取り扱う企業です。同社はキャリア自律支援として、以下のような取り組みを行っています。

 

人事情報を一元管理した「タレントマネジメントシステム」の構築

明治安田生命保険相互会社では、職務履歴や研修履歴、保有資格や評価といった人事情報を一元管理したタレントマネジメントシステムを全職員が閲覧できるようにしています。そうすることで、目標とするロールモデルの検索やそれに必要な知識やスキル、どういったキャリアの選択肢があるのかといった情報が得られるようにし、組織内でキャリア自律ができるようにサポートしています。

 

いつでもキャリアの相談ができる窓口の設置

明治安田生命保険相互会社は、上記の取り組みに加えて、社内外のキャリアコンサルタントによる相談窓口を設置し、いつでも仕事やキャリアについての相談ができるように体制を整えています。人事運用・人事制度担当者等とも連携することで、相談者の個別の状況に応じたキャリアコンサルティングができるようにしています。

 

こうした取り組みにより、キャリアビジョンの策定が容易になり、自発的にキャリア開発に取り組む職員が年々増加しているという結果を出しています。

 

(参考:「グッドキャリア企業アワード2022」好事例集|明治安田生命保険相互会社)

 

事例2.株式会社JTB

株式会社JTBは、日本の最大手の旅行会社であり、JTBグループを統括する事業持株会社です。同社のキャリア自律支援の取り組みとしては、以下の3つがあります。

 

社員と会社の関係性を変えていく「カルチャー改革」の実行

株式会社JTBは、「会社が社員を育てる」のではなく「会社は社員の一人ひとりの自己発揮・自己実現を支援する」という『社員と会社の関係性を変えていく』ことをカルチャー改革の一つとして位置づけ、「キャリア改革」を掲げました。こうした意識改革の取り組みにより、自発的に職場で学ぶ風土が根付き、多様な教育・挑戦機会への申込みが増えるなど、社員の主体性を高めることに成功しています。

 

社内育成プラットフォームの運営による学びの機会の提供

社内育成プラットフォームである「JTBユニバーシティ」では、年間800本以上の集合研修やウェビナーの実施といった学びの機会を提供しています。この他にも、多様な挑戦機会として、海外や専門領域への派遣研修や異業種交流研修への参加の支援を行い、視野を広げ刺激が得られるようにしています。

 

キャリアを考える多様な「対話」の機会の創出

株式会社JTBでは、人事評価制度で利用するチェックシートの中に、ビジョンの記入だけでなく、自身の強みと弱みを把握したうえで新たな挑戦を具体化し、それを上司と共有するようにしています。

 

上司との面談の質を向上させるためのキャリア面談サポートキットの作成や、「JTBキャリアサイト」における自己理解や仕事理解を促す情報提供といったことにも力を入れ、多様な情報提供や対話の機会を設けるようにしています。

 

これにより、多くの社員がキャリアについて考える機会が得られるようになっています。

 

(参考:「グッドキャリア企業アワード2020」好事例集|株式会社JTB)

 

事例3.中道リース株式会社

中道リース株式会社は、総合リース業を手がける企業です。同社は中堅社員のキャリア自律支援として、以下のような取り組みを行っています。

 

集合研修から個別のキャリア面談への切り替え

中道リース株式会社では、社員が生き生きと働き続けられるように、45歳になった社員を対象に「キャリアプラン研修」を毎年実施。自分自身の人生を棚卸しして、これからのライフプランや将来像を描くという内容の研修を行っていました。しかし、社員一人ひとりのライフプランは多種多様であり、集合研修では一人ひとりに合わせた対応が難しく、研修後の満足度もあまり高くないという課題がありました。

 

そこで、集合研修に代わる施策として、社外のキャリアコンサルタントと1対1でキャリア相談できるKakedasを導入しました。従来の研修対象に合わせて45歳の社員を中心とし、あわせて36歳の社員も対象としています。

 

導入の決め手となったのが、価値観診断をもとに、自分に合ったキャリアコンサルタントを選べる仕組みと、企業への分析レポートを作成してもらえる点です。個別に相談するうえでは、相談する社員と相談相手との相性が大切になります。キャリアコンサルタントの年齢や性別、経験なども踏まえて、社員自身が相談相手を選べる点が評価されました。

 

分析レポートによる組織課題の可視化

Kakedasでは、面談で得られたデータを個人が特定されない形で分析し、企業向けのレポートとして提供します。

 

中道リース株式会社では、分析レポートによって、若手社員の育成方法や社内におけるロールモデルの有無など、社員から直接は伝わりにくい本音や組織課題が可視化されました。以前から部署内で話に上がっていた課題もレポートに表れたことで、組織課題が改めて明確になりました。今後は、改善に向けた施策を検討する判断材料のひとつとして活かしていきたいとしています。また、レポートの内容は社長とも共有され、組織課題に対して社内で共通認識を持てたことは、大きな価値があったと評価されています。

 

(参考:Kakedas導入事例|中道リース株式会社)

 

キャリア自律支援サービス導入時の注意点

キャリア自律支援サービスは、導入すれば効果が出るというものではありません。社内の受け皿づくりや従業員への説明、社内施策との連携など、あらかじめ押さえておきたい点があります。

 

ここでは、キャリア自律支援サービスを導入する際の注意点を3つ解説します。

 

人事制度など社内の受け皿を整える

キャリア自律の促進について「キャリア支援をすると、離職を促してしまうのではないか?」との不安の声もよく聞かれます。確かに、キャリア研修やキャリア面談を通じて「キャリア自律しよう」「こういうキャリアを形成したい」となったときに、それを組織内で実現できる環境がなければ、人材が流出してしまうことはあるでしょう。

 

こうした不安に対しても有効なのが、社内の受け皿を整えておくことです。組織としてキャリア自律を後押しする人事制度は、大きく分けると、以下の3つが挙げられます。

 

1)新しい知識やスキルを学べる環境
2)キャリア形成を実現するための環境
3)キャリア形成に報いる評価制度

 

具体的には、eラーニングツールやカフェテリア型の自己啓発、資格取得支援、副業の容認、社内異動や公募制度、成果主義の評価やジョブ型の人事制度などです。特に、人材が外部に流出してしまうのを防ぐためには、組織内を「市場化」する社内異動や社内公募制度を整備しておくことも有効です。

 

キャリア自律を支援するのであれば、その先にあるキャリアを組織内で実現できる選択肢も、あわせて用意しておきたいところです。

 

従業員に利用目的と守秘義務を丁寧に説明する

キャリア自律支援サービスを導入しても、従業員に目的が伝わらなければ、利用率は上がりにくくなります。導入の目的やメリットを伝えないまま運用を始めると、「相談したことが評価に影響するのではないか」と不安を持たれ、利用をためらう従業員も少なくありません。

 

そのため、相談内容が評価に影響しないことや、守秘義務が徹底されていることを、従業員に丁寧に伝えることが大切です。会社へのフィードバックが個人を特定しない形で行われることも、あわせて説明しておくとよいでしょう。

 

また、導入時の周知だけで終わらせないことも重要です。社内報やメールでの定期的な案内に加えて、実際に利用した人の声を共有するなど、継続的に利用を後押しする工夫を続けていくことで、利用が定着しやすくなります。

 

単発で終わらせず、社内施策と連携させる

キャリア自律支援は、一度実施して終わりにするのではなく、継続的な取り組みとして設計することが大切です。研修や面談を単発で実施するだけでは、従業員の気づきが具体的な行動につながりにくくなります。

 

また、面談や研修を通じて見えてきた課題を、社内の制度や人事施策とどう連携させるかも重要です。社内の1on1やキャリア研修、人事面談、異動・公募制度などと組み合わせることで、キャリア自律支援の効果を高めやすくなります。

 

キャリア自律支援サービスの活用は、あくまで支援の一つです。社内施策との連携を前提に設計することで、従業員のキャリア自律を組織として支えていくことができるでしょう。

 

キャリア自律支援プラットフォームKakedas

キャリア自律を高めるためには、上司による支援も重要になることはご紹介しましたが、上司や人事は、評価や人事権を持っている「利害関係者」である側面があります。そのため、社内での1on1では、部下の側は自分の評価への影響を気にして本音を言い出しづらいということも出てきてしまいます。

 

転職や待遇、働き方などの要素ともリンクするキャリアの相談は、とくに上司や人事にしにくいテーマのひとつです。そこでお勧めなのが、外部のキャリアコンサルタントによる面談を提供するキャリア相談プラットフォームのKakedasです。

 

Kakedasサービスでは、登録されたキャリアコンサルタントの中からAIによって相性の良い相手が選び出され、相談者はその中から自分が相談したいキャリアコンサルタントを選ぶことができます。守秘義務を持った外部のキャリアコンサルタントが面談を担当することで、相談者は安心して本音を話すことができ、自己理解を深めることができます。

 

また、相談者の本音は、本人を特定されない形で上司や組織にフィードバックされ、キャリア自律支援に向けた有効な施策につなげることができます。

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キャリア面談プラットフォーム|Kakedas(カケダス)...
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