少子高齢化によって生産年齢人口の減少が確実に見込まれる日本では、持続的な経済成長を実現していくことが重要な課題となっています。
課題解決のためには働きがいを持って働ける環境を整備するとともに、ワークエンゲージメントを向上させることが重要であるとされており、ワークエンゲージメントに関するさまざまな研究が行なわれています。
日本のワークエンゲージメント・スコア
日本を含めた16ヵ国のワークエンゲージメント・スコアを比較したShimazu,Schaufeli, Miyanaka, & Iwata(2010)によると、日本のワークエンゲージメント・スコアは他国と比較して低い傾向にあるとされています。

出典:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf
ただし、この結果はポジティブな感情や態度の表現を抑制する日本固有の風潮や文化、国民性が影響している部分もあると考えられ、国別で比較してスコアが低いからといって「日本人のワークエンゲージメントは低い」と言いきれるものではありませんので、注意が必要です。
雇用形態別のワークエンゲージメント・スコア

出典:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf
正社員と限定社員、正規雇用と非正規雇用といったように、ワークエンゲージメント・スコアを雇用形態などで比較してみると、正社員が3.41であるのに対し、限定正社員は3.51となっており、勤務地や仕事内容、労働時間などが限定されている限定正社員のほうが高い傾向にあります。これは意外に感じる人も多いかもしれません。
また、正規雇用と非正規雇用を比べた場合、「不本意での非正規雇用労働者」のワークエンゲージメントが全体的に低い水準となっているのに対し、「不本意ではない非正規雇用労働者」は高い水準となっています。

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つまり、正規雇用だからといってワークエンゲージメントが高いとは限らず、望んで今の職に就いたか否かが、ワークエンゲージメントに影響しているということです。
異動や配置に対する納得感や、仕事に対する意味づけ(キャリアや成長・待遇など)がとても重要であることがわかります。
年収別のワークエンゲージメント・スコア
ワークエンゲージメント・スコアを年収別に比較してみると、39歳以下の社員は年収の増加にともなってワークエンゲージメントが上昇する傾向があることがわかっています。

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一方で40歳以降は、年収増加とワークエンゲージメントは必ずしも相関しません。

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年収とワークエンゲージメントの関係にはさまざまな見解があり、例えば、Zeng, Zhou, & Han(2009)では「報酬の高いホテルのメンバーほどワークエンゲージメントが高い」ことを指摘していますし、看護師を対象にしたSimpson(2009)でも「報酬とエンゲージメントに統計的優位な正の相関がある」ことを言及しています。
しかし、以上の見解は年収を上げればワークエンゲージメントが高くなるという因果関係を示したものではなく、逆に、ワークエンゲージメントが高いからこそパフォーマンスが上がり、年収も高くなったと捉えることもできます。
ただし、年収は仕事へのやりがい・貢献・評価を示すものとして、ワークエンゲージメントに一定の影響はあると考えられます。
ワークエンゲージメントと組織コミットメント
ワークエンゲージメントは、組織コミットメントを構成する「企業の理念・戦略・事業内容を理解している」「担当業務の意義や重要性を理解している」「企業の組織風土に好感を持っている」のいずれとも相関関係にあることがわかっています。
上記の傾向も「ワークエンゲージメントが高まるから組織へのコミットメントが高まる」と断言できるわけではなく、「組織へのコミットメントが高まるからこそ、ワークエンゲージメントが向上する」という因果関係である可能性も示唆できますが、いずれにしろ、両者は密接に関係して相関していることは事実です。

出典:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf
ワークエンゲージメントと定着率・離職率
ワークエンゲージメントが高いと、新入社員の定着率は向上する傾向にあります。
人手不足企業であっても同様のことがいえ、ワークエンゲージメント・スコアが3以下の場合は新入社員の定着率(入社3年後)が低下している企業が多く、逆に、ワークエンゲージメント・スコアが4以上の場合は人手不足企業の多くで定着率が上昇しています。

出典:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf
また、社員全体で見ても、ワークエンゲージメントの高さと離職率の低下には正の相関があることが分かっています。

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ワークエンゲージメントと労働生産性
ワークエンゲージメントを高めると、社員個人の労働生産性は向上します。これも「社員個人の労働生産性が高いからワークエンゲージメントが向上している」という逆方向の因果関係も考えられますが、感覚としては、ワークエンゲージメントの向上が個人の労働生産性の向上につながる可能性は高いでしょう。
ワークエンゲージメントと労働生産性における正の相関は、人手不足企業においても同様の傾向が確認できます。

出典:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf
ワークエンゲージメントは企業の労働生産とも正の相関が見られ、ワークエンゲージメントのスコアが1単位上昇すると、企業の労働生産性が1%~2%程度上昇する可能性があると見られています。

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