
新入社員の早期離職はどういった理由から起きるものでしょうか。一言で集約すれば「ギャップ」です。ギャップは「事実としてのギャップ」に加えて「新入社員が頭の中で思い描いていた入社後と現実のギャップ」があります
開示されていた内容とのギャップ
仕事内容や給与、労働時間や休日など、求人票や面接時の説明と実際の条件が乖離していたような場合、当然ながら新入社員は強い不満と会社への不信感を抱きます。「仕事内容」や「給与」はもちろんですが、「長時間労働」や「残業」に対する若者の敏感さは10年前と比べると段違いです。
「労働時間が長い…」「有給がとれない…」「休日出勤がある…」といったことに対して、30代後半以上の世代が想像する以上に、ストレスや不満を強く感じる傾向にあるので、注意が必要です。定量的な待遇や勤怠に関するギャップは企業の責任としてすぐに解消する必要があるでしょう。
想像していた内容とのギャップ
大きな原因になっている一方で、対応が難しいのが「想像していた内容」とのギャップです。一概に企業側の責任とも言えず、応募者の経験や知識、先入観からもたらされるギャップもあります。例えば、『マーケティングと聞いて華やかな企画などを想像していたら、実際の仕事は地味なデータ分析や入力作業の割合が多かった』といったギャップです。
また、この数年で増えているのが『入社してすぐに企画業務に携われると思っていたけど、実際には店舗や営業を経験して3年かかることが分かった』といった時間軸に関するギャップもあります。
企業側からすれば現場や顧客を知ってもらうことは当たり前と感じますが、近年の新入社員は「下積みをする」という感覚や下積みが必要だと思う期間が昔と変わっています。新卒や既卒採用などで、華やかな仕事内容や仕事のやりがいで惹きつける際には注意が必要かもしれません。
もちろん、企業側が選考の中で情報を出していないことによる「想像とのギャップ」もあります。例えば「人間関係が良さそうなイメージ」を打ち出しているが、「実際の職場では意外と部門間や上下間の対立がある」といったケースです。
ここまで意図的ではないにしても、求人情報のみでは伝えきれない詳細な情報に対して、ギャップが生じることは良くあります。採用側の企業に悪意がなかったとしても、ギャップは結果的に早期退職の原因になりますので細心の注意を払いましょう。
自分の能力、適性とのギャップ
職務を遂行するための能力不足や適性との不一致が生じるケースもあります。例えば、同じ「営業職」でも会社によって「コツコツと仕事を積み重ねていくことで信頼される営業職」「スピーディーな対応やフットワークが成果につながる営業職」「提案力や分析力で勝負する営業職」「コミュニケーションとクロージングで結果を出す営業職」と千差万別であり、必要とされる能力や適性も変わります。
しかし、必ずしも応募者が違いを理解したうえで応募してくるとは限りません。応募者が自分自身の能力や力量、適性をちゃんと把握していない場合もあり、新卒などの若手、界未経験者の採用で特に能力・適性とのギャップは起こりやすい傾向業があります。若手層になるほど、「実績」で判断がつきませんので、採用企業側が“面接で見抜く目”を鍛える必要があります。
さまざまなギャップをどう理解すべきか
「最近の若者はすぐ辞める」と感じる人事や経営者の方もいらっしゃるかもしれません。確かにこの数年で明らかにギャップに対する耐性やギャップを我慢する感覚は変わっています。
「石の上にも三年」という誰もが知る諺がありますが、最近では通じなくなりつつあります。あえて言うなら、いまの若者は「石の上には3か月」です。冷たい石の上で我慢していられる、得たいものを得るために我慢できる期間が、昔の感覚とは違ってきています。
繰り返しになりますが、例えば「企画業務をやりたい」という新人に対して、業務を教える企業側としては『まず現場を経験して、顧客の顔や心理、商品やサービスのことを知って、初めて良い企画が考えられるようになる。企画業務に異動できるのは、早くても3、4年目だ』と考えるのは一般的と言えます。しかし、最近では『研修後の配属で、企画部に行けないなら辞めます』という新人も少なくありません。
このような常識・感覚の違いは、企業が思ってもみないところでギャップを生み、“すぐ辞める”原因になることもあります。新人の“常識”をすべて受け入れた方がいいという話ではありません。しかし“常識の違いがある”ことを理解しておくことが、ギャップの解消を行う、ケアするうえでは重要です。
退職理由に関しては以下の記事でランキング形式で詳しく解説しています。