「人手不足」な理由を知らないと効果的な対策を打てない!?
中堅中小企業において人手不足が起こりがちな理由は、「労働人口の減少」「大手企業と中小企業の有効求人倍率のギャップ」「(大手企業と比較して相対的な)定着率の悪さ」の3つが挙げられます。中小企業が人手不足に陥るのは3つのいずれか、あるいは複数の要因が合わさって発生するものです。
なお、労働人口の減少は各企業レベルでは対策できないものであると同時に、今後も加速することが確定しています。今後を見据え、労働人口の減少に対応するための対策を講じていく必要があるでしょう。
大手企業と中小企業では有効求人倍率に大きな開きがある
まず、大手企業と中小企業では、有効求人倍率に大きな差があり、採用力に格差があります。有効求人倍率は「求人数を求職者で割った値」、すなわち「求職者1人あたりの求人数」を示すものであり、景況感を示す指標としてもよく用いられます。有効求人倍率が上昇し、採用市場が「売り手市場」となっているとき、企業の採用力が厳しく問われることになります。
リクルートワークス研究所が2019年におこなった調査(第35回 ワークス大卒求人倍率調査)によると、「従業員5,000人以上の大企業の求人倍率は0.37倍」なのに対して、「300人未満の中小企業は9.91倍」となっています。中小企業では、「10社で1人の人材を奪い合う」という状況になっています。
ニュース等で景況感を示す指標として有効求人倍率が示される場合、大手と中小の格差は可視化されません。有効求人倍率の全体的な変動に加えて、大企業と中小企業の格差を知っておくと、中小企業にとってどれほど人材確保が難しいかが明らかとなります。
定着率が悪く、人が辞めてしまう
採用した人材の定着状況も、人手不足と密接に絡んできます。当然ですが、採用した人材が定着しなければ、いくら苦労して採用できても水の泡になってしまいます。とくに人手不足で悩んでいるときほど、採用基準が甘くなったり、良いことばかり伝えてしまったりして、早期離職になるという悪循環が生じがちです。
厚生労働省が発表する「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)」によると、事業所規模(従業員数)が1000人以上では、入社3年以内の離職率は大卒25.0%、高卒26.0%ですが、100人以下(30~99人)になると、大卒39.3%、高卒46.0%まで高まります。統計的にみると、中小企業ほど人が辞めやすいのです
参考:新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)を公表します
仕事と人のミスマッチ
仕事が標準化されていない中小企業では「この仕事はAさんでなければできない」「Bさんはこの仕事しかできない」といった、仕事が人についている状況(仕事の属人化)になっていることが少なくありません。こうした状況では、繁忙期と閑散期のギャップを吸収できなくなり、人手が余っている部署と人手が足りない部署での不均衡が生まれるなどの問題が発生します。また、IT等を使った仕事の効率化が進められなくなってしまうなどの現象も起こりがちです。
事業の成長に対して、人の供給が足りていない
事業の成長も、人手不足の原因となります。事業成長は好ましいことですが、多くの場合、人手の供給は事業の成長を追いかけて行われます。また、採用活動を行って人材が入社するまでには一定の期間がかかります。そのため、事業成長の最中で、人手不足に対する不満が現場で高まっていくことは起こりうる現象です。
しかし、事業の成長スピードに人手を追いつかせようと採用を急ぐなかで、採用基準を曖昧にしてしまったり、採用のハードルをむやみに下げてしまったりすることは、長期的には組織にとって大きなマイナスとなります。事業成長と採用活動の足並みを揃えていくことは、経営陣の仕事です。






