
近年では、終身雇用の崩壊もあり、人材の流動化が進み、転職は当たり前のものとなっています。とくにZ世代の新卒や若手がもつ企業への帰属意識は下がっており、「入社当時からいつ転職するかを考えている」と言われるほどです。
上記を背景として、新卒や中途人材の早期離職も増加している傾向があります。苦労して採用した人材の早期離職を防ぐには、以下のポイントを押さえて、採用活動に取り組むことが大切です。
最大のポイントはリアリティショックの軽減
まず、早期離職を生む最大の理由は、入社後に感じる「こんなはずじゃなかった!」というギャップです。HR領域では、入社後ギャップを、「リアリティショック」や「リアリティギャップ」と呼びます。
リアリティショックが起こる理由は、入社前に想像していた“バラ色の世界”のような理想と現実の職場にギャップがあることです。一方で、人材を獲得するうえでは、“バラ色の世界”とまではいかなくとも、ある程度の魅力づけが必要となることも事実でしょう。
したがって、早期離職を防ぐうえでは、「現実」と「魅力付け」のバランス、また、現実の伝え方などが大切になってきます。
採用分野では、「現実をきちんと伝えていく」ことをリアルスティックジョブプレビューといって、現実的な仕事情報を事前開示していくことで、リアリティギャップによる早期退職やモチベーションダウンを防ぐことができます。
配属先の社員を採用面接に参加させる
リアルスティックジョブプレビュー施策の一つに、配属先のリーダーや先輩社員に面接や説明会に参加してもらう方法があります。
たとえば、専門性が高い職種で採用する場合、該当職種の経験がない人事担当者は、求職者からの質問に対して、明確な返答ができないことが多くなります。
できなければ、配属先の社員にも面接に参加してもらう、また、面談などの機会をつくることで、質問に対して明確な回答をすることができます。
また、実際に該当職種で働いている社員やマネージャーであれば、魅力づけと共に、大変さやまだ未整備の状況などをうまく伝えていくこともできるでしょう。
仕事の大変さや組織の未整備な点も具体的に伝える
リアルスティックジョブプレビューでは、自社に不都合な点を隠しすぎないことも大切です。
たとえば、女性求職者から「子育てママが管理職になるのは大変ですか?」という質問があったと仮定します。実際に管理職になっている子育てママ社員がいれば、以下のような“リアル”を伝えて求職者にイメージしてもらうもの一つです。
- リモートワークなので、ある程度は仕事しやすいです。ただ、やはり急に熱を出してしまって迎えに行かないといけなくて、仕事に穴をあけてしまうことなどはあります。
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- そこでメンバーやパートナーに迷惑をかける、助けてもらうことがあるのも事実なので、補助される分、普段の業務でのパフォーマンスやコミュニケーションを通じて、助けてもらえる状態をつくることは心がけています。
上記は一例ですが、どのような仕事にも大変なところはありますし、どのような組織も未整備の部分はあるでしょう。そうした大変さや未整備の部分を誠実に伝えることが大切です。
採用時に伝えている待遇・勤怠などと実態にズレを起こさない
絶対にNGなことは、待遇や勤怠などで採用時に伝えている情報と実態でズレを起こすことです。
- 有給休暇はとりやすいです。いつでも申請してください(⇒実際はとりづらい)
- 土日出社はほとんどありませんよ(⇒月1回は土日勤務がある)
- 給与は25万円スタートです(⇒入社時は手当てがつかず23万円スタート)
待遇や勤怠などは、数字などでも示されるため、ズレがあるときに非常に分かりやすいものです。したがって、こうした部分でズレがあると、「企業への不信感」が一気に高まります。
企業への不信感が生じると、定性的なニュアンスや小さなギャップまで含めて、「意図的に隠していたんじゃないか…」「騙された」…」という感覚が生まれていきます。そうなると、仕事へのモチベーションは低下しますし、企業側からフォローすることも難しくなります。
オンボーディングの仕組みを整える
オンボーディングとは、組織への定着や戦力化を目的とする受け入れ施策・仕組みの総称です。新卒・中途を問わず、新人が組織に馴染んで活躍するためには、業務知識をインプットするだけでは不足しています。
たとえば、人間関係を作ったり、組織で使われている共通言語を理解したり、組織内にある“暗黙の了解”的な明文化されていないカルチャーに馴染んだりする必要があります。
逆に言うと、こうしたプロセスをケアしてあげないと、新人が感じる「居心地が悪い」「勝手がつかめない」という感覚がなかなか解消されず、モチベーションダウンや早期離職、成長の停滞などにつながります。
オンボーディングの仕組みは具体的には以下のようなものです。
- 経営層や現場とのウェルカムランチを実施する
- 共通言語や自社の価値観などを、新人研修で教える
- ブラザー・シスター制度を導入する
- 新人向けの相談窓口を開設する
- 現場配属後に人事からのフォロー面談を実施する など
オンボーディングは、以下の記事で詳しく解説していますので、ご興味あればご覧ください。