本記事は、全2部構成でお送りします。Vol.1は下記よりどうぞ。
<目次>
- キャリア相談でもっとも出てくるワード
- AI解析から見えてきた3つの早期退職パターン
- 働きがいが高い会社=キャリア自律への取り組み
- キャリア自律の取り組み
- キャリア自律支援を促すキャリア研修
- キャリア自律を促すキャリア面談
キャリア相談でもっとも出てくるワード
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「Kakedas(カケダス)」では60分の対話データをすべてテキストデータにして、個人を特定できない形で解析をかけています。上記は相談の中で出てくるキーワードをダイジェストで抜き取ったものですが、入社半年の新入社員の社外1on1の中で出てくる単語トップ3を見てみると「不安」「先輩」「キャリア」の3つが出てきます。
テキスト解析では、たとえば「不安」という単語にどんな単語や形容詞等が紐づいているか等も解析をかけられますが、「不安」という言葉でいうと、「キャリアや未来が見えない」という部分が不安につながっていることが分かります。
同時に、こういった相談を上司にできいているかと言うと、配属されたばかりでは我慢してしまっている新人も多いでしょう。また、上司との関係性や今後のキャリアに悩んでいる時に若手が見ている人というのは歳の近い「先輩」であることも分かりました。
「先輩」という単語に紐付く言葉の解析をかけていくと、良い影響を与えている先輩と悪い影響を与えている先輩がいることがわかります。
辞めたいと思っている新人というのは、「先輩が辞めてしまった」「OJTトレーナーが会社の愚痴を言っている」「先輩に愚痴を言うと先輩が同調してしまう」といったケースが多くみられます。
たとえば、先輩も善意でガス抜きのつもりで同調していても、新人からすると「やっぱりこの会社はダメなのか」となってしまっていることも生じるわけです。
裏を返すと先輩がポジティブな発信をしたり、イキイキと働いていたりすると、「今は不安もありますが、やっぱり頑張りたいです!」という前向きな言動が出てくることも見えています。
これまでは新人と上司という関係性が注目されがちですが、実際に分析してみると実は2〜3年目の先輩社員が与えている影響がかなり大きく、この若手層に教育や研修をやっていく必要もありそうなことが分かります。
新人からすると若手社員層は、年齢が近い分何でも話しやすい一方で、先輩が疲弊しきっていたり、会社の愚痴を言ったりしていると、新人のモチベーションを下げる結果になっているということです。
AI解析から見えてきた3つの早期退職パターン
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AI解析から見えてきた3つの早期退職パターンについて見ていきます。
まず「仕事と職場のストレスに関する悩み」というのは急増しています。
10代から20代のメンタル不調者の発生率は右肩上がりに上昇しています。とくにコロナ以降に入社する新人というのは、コロナ以前の新人と比べるとオンライン活用が当たり前になっている分、リアル出社、通勤、リアルの人間関係・飲み会といったものにもストレスを溜めている感覚です。
また、「タイパ」意識というのもあります。タイパはタイムパフォーマンス、つまり時間効率です。これも若手の特徴であり、たとえばZ世代は「映画やYouTubeを2倍速で見たい、通常速度で見ているのはタイパが悪い、ましてCMが入るなんてありえない」といった傾向があります。
タイパ意識は仕事やキャリア形成への意識にも反映されており、たとえば先輩を見ていて「3年経ってもなかなか昇格できない、やりたい仕事に就けない」と感じると、優秀層ほどさっさと会社に見切りをつけ、転職するというケースも増えています。
3番目は、先ほど紹介したように先輩の影響で退職しているケースです。部門配属後は上司が直接マネジメントするのではなく、OJT担当の先輩を付けたり、また、それとは別にメンターやブラザーシスターとして若手の先輩社員をアテンドするケースも増えています。
これらはもちろん良いことですが、同時に、若手社員の教育やマインド形成をしっかりしておかないと、先輩の言動が新人の悪影響を与えたり、ただ愚痴を一緒に言い合う仲間になってしまったりするということです。
働きがいが高い会社=キャリア自律への取り組み
若手が定着するためには、どうしたらいいのかということで取り組み事例を見ていきたいと思います。
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上記は、2024年版の「働きがいのある会社ランキング(GPTW)」に伴って発表されたデータです。働きがいの高い会社というのは、定着率が高く、生産性も高いという相関があることがわかっています。
そして、働きがいが高い会社(ランキングに応募して認定された企業)と、そうではない会社(認定されなかった企業)を比較すると、働きがいが高い会社は9割がキャリア自律への取り組みを実施しており、認定されなかった会社と有意に差があります。
キャリア自律というのは、社員1人1人が「自分のキャリアは自分で作っていくのだ」という主体的な考えを持っている状態です。キャリア自律ができていないと「うちの会社は何もしてくれないから、私は成長できない」というように、学びも仕事の取り組み姿勢も受け身になってしまいます。
キャリア自律の取り組み
具体的なキャリア自律の取り組みについても見ていきます。
もちろん定着率を高める上で、給与や残業管理、ハラスメントといった衛生要因の改善は大切で、まずは業界や職種的な平均値までは改善することが必須です。同時に、働きがいを作るうえでは、動機付け要因としてキャリア自律等の取り組みが大切になってきます。
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上記は、働きがいのある会社ランキングで上位に入っている会社が取り組んでいるキャリア自律の施策例です。
最近、キャリア開発研修を実施している企業が増えており、キャリア自律を推進する上での入り口となる施策です。
また、上司からのフィードバックや上司との1on1も大切です。上司との1on1の満足度が高い若手社員は退職意向が減少するというデータもあります。
ただし、上司面談や評価面談の際に、仕事やキャリアをどうしていきたいか聞かれても、日常の業務に追われる中で、普段から自身のキャリアのことをしっかり考えている人のほうが少ないでしょう。
また、評価面談等であれば、どうしてもネガティブフィードバック等も生じます。ネガティブなフィードバックを受けた後にやりたいことを本音で聞き出すのは困難です。
また、上司にトレーニングをせずにフィードバックだけ強化したり、1on1をやらせたりしていると、逆に退職の決め手になってしまうという事例もあるので注意が必要です。
あとは、社外にキャリア相談窓口を作る、キャリアコンサルタントとのキャリア面談をさせるというのは、大手企業を中心に取り組み企業が増えています。
やはりキャリアの話を本音でしていくと、転職や離職の話題が入ってきたり、悩みやネガティブな感情が入り口になったりすることもあり、社内では相談しにくいという側面があります。だからこそ、社内と社外を組み合わせることが有効です。
たとえば、中堅社員に対してもキャリア研修と組み合わせて外部の相談機関を置くというのは有効な施策です。簡単に言うと、キャリアの健康診断を会社の福利厚生として提供するということです。
また、従業員のキャリア自律の意識が高まってくると、スキル獲得に向けた配置変えや異動、社内公募制度も非常に有効です。ただし、これらの成長支援施策は、キャリア自律の意識が醸成されていない状態だと、逆に受け身の姿勢を作ってしまう側面などもあるので注意が必要です。
また、人事施策に関しては一連の施策がつながっていないケースも多くあります。たとえば、社内公募制度はあるけど、それまでにキャリアを内省したりや考えたりする機会を作っていないので公募が集まらないといった状態です。
また、きちんとキャリア研修をしないまま、キャリア面談を実施してキャリアシートを書かせようとしても書けない従業員が多く生じる、また、上司の面談が1on1や前向きなキャリア形成の話ではなく、業務レビューやネガティブフィードバックの羅列になってしまっているケースもあります。
キャリア自律支援を促すキャリア研修
ここまで紹介した通り、最近はキャリア形成に悩む若手が増えています。若手の場合、業務経験が少ない分、MUST-CAN-WILL等の手法でキャリアビジョンを描く手法はうまくいかないことも多く、弊社で提供して評判の良いキャリア研修についてご紹介します。
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上述の通り、一般的なキャリア研修というと「MUST-CAN-WILL」の3つを考えさせて、キャリアシートや年表などを書いてもらうというやり方が多くあります。しかし、上記の手法は今の時代、すべての対象にフィットするわけではありません。
3年後、5年後のキャリアといっても、若手からするとそこまで描いていません。描けないからこそ不安という側面も強いでしょう。
主体的にキャリア自律を促すためには、自信のない方や自分が何者なのかわからない方が増えている中で、本人の持っている強みにフォーカスするやり方が有効です。
強みにフォーカスするやり方として、ジェイックが取り入れているのはギャラップという会社が作った世界一使われている才能診断「ストレングス・ファインダー®」を用いる方法です。
診断結果を踏まえて、今の仕事で自分の強みをどう発揮していくのか、そして、選べるキャリアのバリエーションをどう増やしていくのかということを描いて上司と面談してもらう形にすると非常にスムーズです。
強みにフォーカスすることで、いまの仕事等にも当てはめやすく、一種のジョブクラフティングができるような形です。また、強みを生かすことは誰しもモチベーションが上がるため、昇進・昇格以外で貢献ポイントを見つけ、やりがいを感じられるようになるため、非常にお勧めのやり方です。
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キャリア自律を促すキャリア面談
キャリア面談については、先ほど紹介した通り、会社内の面談と外部窓口どちらが良いということではなく、組み合わせることが理想です。
人事や上司がキャリア相談にのるメリットは、仕事や事業、社内の制度や選択肢などを把握しており具体的なアドバイスができることです。一方で、デメリットは、社内の人は利害関係があり、本音で話しにくい、ネガティブな感情を口に出しづらく表面的なものになりがちということです。
特に若手ですと、自分の言葉をきれいに言語化できませんし、キャリア形成=転職というぐらいの価値観がありますので、上司や人事との面談が表面的になりがちです。
だからこそ、外部面談で、自分の本音を不安やネガティブなものもすべて吐き出して、価値観や気持ちを整理・言語化してもらったうえで、社内面談でサポートというのがスムーズです。
「社外とキャリア面談すると離職を促すことになるのではないか?」と不安視する方もいますが、実はキャリアカウンセリングを促せば促すほど定着率が高まるというデータもあります。
いまは情報はどこからでも入ってきますので、社内に囲い込もうとして客観的にキャリアを考える機会を与えずにいると、不安が募った時に転職エージェントに相談したり、ダイレクトリクルーティングに登録してみたりするわけです。むしろ、そのほうが離職率が高まってしまいます。
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私たちが提供している社外キャリア面談サービス「Kakedas(カケダス)」は、仕事や職場の人間関係、心や体の健康まで幅広いテーマを相談できます。そして、社外の有資格者が実施するからこそ、従業員は気兼ねなく本音を話して、気持ちを整理することができます。
また、紹介した通り、60分の対話データをすべてテキスト解析することで、人事や経営者の方には、エンゲージメントサーベイでは分からないような深い本音の解析データを提供します。
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対話を通じて、潜在的な本音や不満や課題の真因が炙り出されます。さらに他社との比較の中で離職リスクがどのぐらいあるのか、メンタルやプライベートの充実度、社員の傾向といったものも解析で分かります。
解析データを踏まえて、「新入社員にはこういう教育をした方がいい」「このデータをもとに上司との1on1をこう改善しよう」といった活用ができるようになります。関心があればぜひ、お問い合わせください。
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