新人教育担当者が意欲的に指導するためには、事前準備やサポートも大切です。教育担当者の意欲を引き出し保つためのポイントを3つ紹介します。
教え方のトレーニングをする
プレイヤーとして業務内容を熟知しており、しっかり実行できたとしても、うまく他人に教えられるとは限りません。ましてや相手が入社したばかりの新人となれば、なおさら教えることは難しくなります。
そのため、OJTを任せる教育担当者には、事前に「教え方のトレーニング」を行なうことが効果的です。教え方がわかっていれば教育担当者も余裕を持って指導ができます。また、特別に研修を受けることは、“新人教育の担当者として選ばれた”ことの価値づけにもなり、教育担当者の意欲を引き出すことに繋がります。
OJTを担当する教育担当者向けの代表的なトレーニングとしては4段階職業指導法やラーニングピラミッド、経験学習モデル、コミュニケーションスタイル、フィードバックのやり方などがあります。
<4段階職業指導法>
アメリカで誕生したOJTのルーツとも言える指導方法です。非常に簡単ですので、個々のステップでの押さえるべきコツを学べば、簡単に実践できます。
- ステップ1:Show(やってみせる)
- ステップ2:Tell(説明する)
- ステップ3:Do(やらせてみる)
- ステップ4:Check(フィードバックする)
4段階職業指導法をより実践的にした「教え方」のポイントを以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
<ラーニングピラミッド>
7段階の学習法ごとに学習定着率を表したもので、ピラミッドの下に行くほど定着率が高いとされています。

| 階層 | 学習法 | 学習定着率 |
| 7 | 講義 | 5% |
| 6 | 読書 | 10% |
| 5 | 視聴覚 | 20% |
| 4 | デモンストレーション | 30% |
| 3 | グループ討論 | 50% |
| 2 | 自ら体験する | 75% |
| 1 | 他者に教える | 90% |
<経験学習モデル>
経験から学びをえるためのプロセスを論理化したもので、4ステップのサイクルを回すことでOJTが効果的になります。
・具体的経験(経験する)
↓
・内省的省察(振り返る)
↓
・抽象的概念化(次に向けて学びを得る)
↓
・積極的実践(実際に試してみる)
経験学習モデルに代表されるリフレクション、振り返りによって成長を加速させるポイントは下記で詳しく解説しています。
<コミュニケーションスタイル>
「ソーシャルスタイル」とも呼ばれるもので、コミュニケーションにおけるスタイルを4つに分類したものです。自分と相手のコミュニケーションスタイルを理解すると、コミュニケーションスタイルの違いにより感情的ないら立ちを減らすことができますし、相手が吸収しやすい形で指導することもできるでしょう。
- ドライビング(実行型)・・・冷静、現実的、行動的
- アナリティカル(分析型)・・・几帳面、慎重、論理的
- エミアブル(温和型)・・・控え目、愛想が良い、協力的
- エクスプレッシブ(直感型)・・・陽気、明るい、感覚的
<フィードバックのやり方>
新人教育に限らず、何かを習得する際にはフィードバックがとても重要です。フィードバックには大きく3種類があり、指導者は3種類を適切に使い分ける、組み合わせることが大切です。
- ポジティブフィードバック
- ネガティブフィードバック
- フラットなフィードバック
効果的なフィードバックのポイントは以下の記事で詳しく紹介しています。
負荷を減らすためのサポートを提供する
教育担当者は自分の業務を行ないながら新人教育をするケースがほとんどです。従って、OJTの計画づくりや新人育成をすべてOJTの指導者に丸投げしてしまうと、負荷はかなり大きくなってしまいます。
そのため、継続して新卒採用などを行なうのであれば、人事が主導してOJT指導者のための計画づくりのフォーマットを作成して、実際の作成を指示したり、過去の計画や振り返りを蓄積したりしていくことが有効です。
また、OJT指導中もマネジメントを丸投げするのではなく、新人と教育担当者の両方に対して精神的なフォローやサポートを提供していくことがおススメです。具体的には関係する各方面から下記のようなサポートを提供すると良いでしょう。
<教育担当者(OJT指導者)の上司>
- 計画や指導内容、目標設定の確認
- 中期的なキャリアプランや仕事の価値づけなどを通じた新人のモチベート
- 教育担当者とコミュニケーションを取りながらの進捗チェックとケア
<人事・教育部門>
- OJT計画の作成フォーマットや過去の計画・振り返りデータの蓄積
- 第三者的な立場での新人面談によるモチベーションUPや業務外の悩みへのケア
- 面談を通じた教育担当者(OJT指導者)と新人の関係性把握と必要なフォロー
<ブラザー・シスター>
- 会社・組織に馴染むことのサポート
- 新人の“聴き手”となることでの精神的なケア
成長を期待しすぎない
教育担当者に新人育成の期待を伝えることは大切ですが、一方でプレッシャーを感じさせてはいけません。新人の成長には一定の時間が必要となり、成長過程ではミスやトラブルは生じるものです。また、人によって成長の早さも異なります。
周りが「まだこれぐらいのこともできないのか」「(新人の)成長スピードは大丈夫か」といった言葉を投げかけてしまうと、教育担当者には大きな精神的負担がかかります。
教育担当者のストレスは、新人とのコミュニケーションにも影響しますし、教育担当者自体のモチベーションやエンゲージメントにも関わります。
人事担当や上司は、新人を戦力化させたり教育担当者の負荷を減らすサポート、プログラムをしっかりと充実させるとともに、新人の成長や成果を教育担当者の責任にしないことが重要です。