人材採用において、上の章で紹介した7つの問題が起こる場合、採用活動のなかで以下の理由や原因のいずれかに該当する可能性が高いです。
採用したい人材が明確化されていない
自社の採用ターゲット(=どういう人材を求めているのか?)を言語化できていない状態です。もしくは、言語化された内容が、以下のように漠然としたものになっている可能性もあります。
- 優秀な人材がほしい
- 次世代リーダーを担える人材がほしい
- 活躍できそうな人材がほしい
- デキる営業がほしい など
採用ターゲットを明確化しなければ、母集団形成をするうえでも媒体選びやメッセージ発信がうまくいきません。また、選考過程でも合否や評価が面接官の主観に依存してしまい、結果的にミスマッチや現場ニーズとのズレが生じることもあるでしょう。
採用市場の動向を把握していない
採用市場には、景気や経済動向の影響を受けやすい特徴があります。たとえば、近年の採用市場には、以下のようなトピックやトレンドがあります。
- オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド採用の定着
- 新卒市場における早期採用の加速
- エンジニア採用ニーズの増加による理系採用の難易度アップ
- いよいよ始まる大卒新卒の少子化
- 正規雇用からフリーランス市場への人材移動
- リモートワークや副業の可否などの新たな企業選びの軸
- ダイレクトリクルーティングの普及
- リファラル採用、アルムナイ採用、SNS採用などの活性化
トレンドに振り回される必要はありませんが、上記のような採用トレンドやトピックを押さえることで、自社の求める採用ターゲットの動向を知り、時代に合った採用手法を選択できるようになります。
また、大前提として、設定した採用ターゲットの採用の難易度や採用市場での相場観などを知らなければ、現実的に難しい採用計画を組んでしまうこともあるでしょう。
自社の採用力と採用人材に適した採用手法を使っていない
たとえば、データサイエンティストやAIエンジニアなどの高度IT人材を求めているにも関わらず、求人の出稿先が、事務職やサービス業なども取り扱う総合型の媒体求人では、高い効果は得にくいでしょう。
また、ネームバリューが低い中堅・中小企業やベンチャー企業、また、不人気といわれるような業界の企業が、大手企業や人気業種の企業と同じように大手の採用媒体に広告を出しても、求職者から注目されづらいです。
自社の業種や知名度などに加えて、採用ターゲットに見合った媒体、自社の採用力に見合った媒体、そして、採用ターゲットに向けて魅力が伝わる求人広告やメッセージを作るノウハウなどは採用力の一つです。
魅力が表現できていない
たとえば、社員にとって働きやすく、メンバーの満足度も高く、業績も良い企業があったと仮定します。
しかし、人事担当者が、自社の魅力を募集要項や面接でうまく表現できなければ、求職者は「注目した企業で働いてみたい!」とは思えません。
採用活動のなかで表現すべき魅力は、自社の良いところを箇条書きに並べたものではなく、「採用ターゲットにとっての魅力」である必要があります。
採用ターゲットを明確化したうえで、ターゲットが魅力に感じる要素はどのようなものか、自社のどの要素を打ち出すことが有効かを考えて取り組んでいきましょう。
応募・参加プロセスにハードルがある
たとえば、募集要項に以下のようにハイレベルな要件を並べすぎると、大半の求職者が非該当となり、応募を断念してしまいます。
- SaaSサービスの法人営業経験3年以上
- 海外拠点での営業経験 もしくは海外留学経験がある人(3年以上)
また、会社説明会や面接の会場がアクセスの悪い場所にあったり、開始時間がかなり早かったりすることもハードルになります。
応募当初から志望度が高い求職者が多いわけではない中堅の中小企業やベンチャー企業などは、応募初期のプロセスで、応募・参加プロセスにハードルがあると母集団が減ったり、ステップ率が下がったりしがちです。
たとえば、応募プロセスがいまの時代に「履歴書・職務経歴書を郵送」の場合、一気に求職者数は減少します。逆に、ある企業では、求人媒体の応募時に「エントリー理由の記入」をなくしただけで応募数が20%増えたという事例もあります。
マーケティングの基本といわれる4Cの一つが「Convenience(利便性)」です。求職者にとって、応募や参加プロセスが「めんどくさい」状態は、自ら採用課題をつくってしまっている状態です。
選考手法や面接官に課題がある
母集団形成まではできているものの、面接官の資質や選考のやり方に問題があると、採用ターゲットの適正な見極め・魅了付けが難しくなります。
特に面接官は、求職者にとって企業の顔であり、志望度を左右する存在です。そのため、たとえば、面接官が一方的に見極めるような面接をしていると、選考中の辞退、内定後の辞退が増加しがちです。
また、選考手法でも、適切に見極められるプロセスになっていない、面接官のスキルや主観に依存してしまっているケースもあります。
また、採用を急ぐあまり、求職者から見て、「安易に内定が出てしまう」ような面接プロセスの場合、“自分がしっかりと見て選ばれた”感覚が得られず、辞退につながりやすいでしょう。
人事部門と現場でズレがある
たとえば、「コミュニケーション力の高い人材がほしい」というニーズに対して、人事部門と現場の認識に以下のようなズレがあると、現場で配属後のミスマッチが生じやすくなります。
- 人事部門:話す力や交渉力の高い人材がほしい
- 現場(営業部門):顧客と信頼関係をうまく築ける人材がほしい
上記のような定性的な要件に対するとらえ方のズレはよくありますし、また、高度な専門職の採用や、人事が該当職種の経験がない場合、人事が見極めをすることが難しくなります。
現場の管理職や幹部が選考に関わることも大切です。