新卒の採用動向
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まずは、新卒採用のこれまでと、近年の動向を見ていきましょう。
現在の採用市場が形成されるまで
1950年代の後半までの学生は、大学の掲示板などを見て、掲示板に広告が出ている説明会に参加するぐらいしか就職先を見つける選択肢がありませんでした。
しかし、1962年にリクルートが求人広告だけを集めた大学新卒者向けの情報誌「企業への招待」を創刊することが転機となります。
その後、リクルートは1996年にリクナビの前身である求人サイト「RECRUIT BOOK on the NET」を開始したことで、“すべての学生が多くの求人情報を容易に見れる”現在の新卒採用市場の原型が形成されることになりました。
そして、個人情報保護の関係から大学におけるOBOG名簿が非公開となるなかで、リクルーター制度も下火となり、オンラインでの求人サイトが新卒採用の主流となります。
しかし、2010年代後半になると求人サイト一強の時代が終わりを遂げ、代わりに利用者が増えているのが、人材紹介(新卒紹介)やダイレクトリクルーティング(スカウトサービス)です。
直近では、学生の求人“広告”への信頼感も低下するなかで、オウンドメディアリクルーティングや採用マーケティングを導入する企業が増えてきました。
採用の早期化
新卒採用は在学生を対象とすることから、早期に動いたほうが優秀層、情報感度が高い層にリーチしやすいという特徴があります。それによって、昔から早期化と規制の強化が繰り返されてきました。
直近10年だけを見ても早期化が進んだことで、それに対する是正として、広報活動の解禁日(採用サイトでの説明会エントリーの解禁日)は以下のように後ろ倒しになってきました。
- ~2012年卒:大学3年次の10月1日
- 2013~2015年卒:大学3年次の12月1日(2ヵ月の後ろ倒し
- 2016~2021年卒:大学3年次の3月1日(3ヵ月の後ろ倒し
一方で、外資系企業やベンチャー企業など、経団連の採用指針を遵守しない企業の存在感も増すようになり、新卒採用の指針における形骸化が進んできました。
そして、2018年10月に、経団連が自分たちでは採用指針を制定しないことを発表したことで、早期化の勢いはさらに加速しています。2023年卒では、大学3年次の3月1日の内定率は28.6%となり、前年同期実績を7.5ポイントも上回っているというデータもあります(ディスコ調べ)。
ある程度回答者層がアクティブ層に偏っている傾向などもあると考えられますが、広報活動の解禁日にはすでに3割近い就活生は内定を得ているということで、かなり衝撃的な数字です。また、インターンを利用した採用活動も浸透しきった印象です。
出典:キャリタス就活2023 2023年卒 Vol.05 3月1日時点の就職活動調査〈速報〉
恒久的な「売り手市場」のスタート
今後は、景気状況の影響はありつつも、恒久的な売り手市場となっていくことが予想されます。
というのも、日本で少子化が叫ばれてきて長い期間が経ちますが、実は過去30年を見ると大卒の新卒採用市場は少子化の影響を受けていないどころか、大卒人数は増えているのです。
過去30年間では、前半20年間で大卒人数は大幅に増加、直近10年間はほぼ横這いという状況になっています。これは少子化を上回るペースで大学進学率が上昇してきたことが背景です。
しかし、近年では大学進学率も頭打ちとなり、いよいよ加速度的に新卒の減少が起こることが予想されます。つまり、景気変動を超えたところで、恒久的な売り手市場化が進んでいくと考えられます。
オンラインと対面を混合したハイブリッド採用
そういった売り手市場という流れのなかで、企業はより良い人材を得るためにオンラインを活用した採用も進んでいます。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックの調査データでは以下のような結果となり、コロナ禍をきっかけとしてオンラインと対面を混合したハイブリッド採用が浸透していることがわかります。
- 企業説明会・一次面接⇒6割前後が「オンラインでの実施」
- 最終面接⇒7割近くが「対面での実施」
今後も、地方学生、研究が忙しい理系・大学院生、アクティブで多忙な優秀層などにリーチするため、新卒採用の入り口をオンライン化する流れは続き、ハイブリッド採用が主流となると考えられます。
ジョブ型採用
新卒採用にジョブ型採用を取り入れる企業も増えてきています。
ジョブ型採用とは、「仕事に人を付ける」という考え方で採用することです。
日本での新卒採用は、昔からメンバーシップ型雇用(就“職”ではなく就“社”の考え方)が根底にあり、採用後もジョブローテーションのなかでさまざまな経験をしてもらい、管理職を育てるという考え方でした。
たとえば、新卒で東京営業部に配属された人材が、3年後に東北のコールセンターに異動になり、5年後に本社の人事部門に配属される……といったイメージです。
一方でジョブ型採用では、以下を明確に特定した雇用契約が結ばれます。
- 仕事内容
- 役割
- 待遇
- 労働時間
- 地位 など
つまり、就“社”よりも就“職”の色が強いのがジョブ型採用です。
新卒採用でもエンジニア層や研究職、幹部候補などを中心に、ポテンシャル採用だけでなく一種の即戦力採用が実施されるようになってきたことや、どこに配属されるかわからないことに不安・リスクがあるという学生も増えてきたことから、ジョブ型採用が進んできたのです。
また、ジョブ型採用をもう少し簡易化して、雇用契約は共通であるが配属先だけ確約するといった職種別採用を実施している企業も多くなっています。近年では、職種をより細分化したり、選考評価に応じて待遇条件が変わる形で運用したりする企業もあります。
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