採用CXの設計では、カスタマージャーニーのフレームワークを使うことがおすすめです。
カスタマージャーニーでは、まずカスタマー(採用CXの場合には求職者)が自社を知ってから入社するまでのプロセスをいくつかの“ステージ”に区分けします。
採用CXにおけるステージ区分の例
- 「自社の存在を知る(認知)」⇒「エントリー」⇒「説明会参加」⇒「面接」⇒「内定」⇒「内定承諾」⇒「入社」
そして、各ステージで、求職者がどんな心理を抱いているか、どんな体験をするか、どんな不安があるかといった求職者視点を想像して、対応するコンテンツやコミュニケーション提供を考えていきます。
この章では、採用CXにおいて、各ステージで引き出したい求職者の感情や行動、そのために用意すべきコンテンツや提供すべき体験を解説します。
認知
【引き出したい求職者の感情・行動】
- こんな企業があるんだ!
- 〇〇って面白そうな企業だな!
【用意すべきコンテンツ】
- プレスリリース
- SNS(公式・社員)
- 自社サイト(公式・採用)
- 業界メディアへの社員インタビュー記事などの投稿
- 求人サイトへの出稿
- SNS、ダイレクトリクルーティングなどによるスカウトメッセージ
- 就職フェア
- 自社セミナーの開催
認知のフェーズでは、伝えたい内容をデザイン・文字・写真・映像などのコンテンツ形式と織り交ぜて準備していくことが大切になります。
これらのコンテンツを“どんな印象を与えたいのか”、“そのために何がキーワードになるか”等をしっかりと決めて、一貫性を持って提供することが大切です。
エントリー
【引き出したい求職者の感情・行動】
- この企業のもっといろんなことが知りたい
- 面白そうだし、説明会に行ってみようか
この段階では、エントリーを気軽なものにする(提出物の簡略化など)、あるいは、エントリー時点で以下のような求職者の不安や疑問を解消するための情報を提供することが大切です。
- エントリー後、どのような流れになるんだろう?
- いつ連絡が来るのだろう?
- まだ企業の理解も浅いし、志望度も「すごく高い」というわけではないのでいきなり面接といわれたら困るな
もちろん提供体験として、エントリー後は求職者を待たせず、すぐに対応することも大切になります。
説明会参加
求職者は、説明会の参加で生じた以下の感情から、面接に進んでいきます。
【引き出したい求職者の感情・行動】
- この企業なら、自分の力を発揮できそうだ
- この先輩方と一緒に働いてみたいかも
- 自分が働くイメージが具体化できてよかった
- 不安や疑問がすべて解消したぞ
【用意すべきコンテンツ】
- 職場見学
- 自社の紹介ムービー
- 人事部門や現場リーダーの説明
- 説明会の配布資料 など
説明会の参加に際して、手間を感じたり不快に感じたりするポイントが生じないように注意しましょう。
また、オンラインでもリアルでも、説明会に参加した際に、困惑や気まずい思いをすることなく、明るく迎え入れてもらえる体験が大切になります。
求職者がたどるプロセス(申し込む ⇒ 案内が届く…)といったことを細かく想像しながら、引っ掛かるプロセスが生じないように、また、喜びや嬉しさの感情を作り出せないか考えていきましょう。
面接
【引き出したい求職者の感情・行動】
- 自分の話を聞いてくれる良い面接官だった
- 「自社で活躍できるスキルがある」と太鼓判を押されたぞ
- 採用条件に合わなかったけど、良いフィードバックをもらえたから次も頑張れそうだ
- この企業は、自分のことを採用してくれそうだ(就職活動もこれで終われるかな?)
【用意すべきコンテンツ】
- 優秀な人材の選考状況にスケジュールなどを合わせる姿勢
- 志望度を引き出す質問
- 面接フィードバック
面接でも、対面であればwelcomeボードなどを使い、不安や緊張を抱いてくる求職者にどのような体験を提供するかを考えることが大切です。
また、面接の日程調整から実際に参加して終わるまでに“不快”や“不満”が生じる状況にどんなものがあるか?しっかりと考えて排除することも大切です。
なお、面接~内定のプロセスでは、“不合格通知”という分岐も生じます。企業によっては、不合格になる人が90%以上ということも珍しくないでしょう。
不合格になった求職者にどういう体験をしてもらうか、不快や不満が生じないように、自社に良い印象を持ってもらえるようにすることも大切です。
内定
【用意すべきコンテンツ】
- 内定通知メール(面接内容やポジティブフィードバックを盛り込んだもの)
- 社長による内定出しの演出
内定は選考プロセスにおいて、求職者の感情をもっともポジティブに高めたい瞬間です。どのような“体験”にすることが有効かをしっかりと考えましょう。
たとえば、内定通知と一緒に、評価ポイントなどを記載した人事や面接官からの手紙を渡すなども有効でしょう。
内定承諾
求職者は、以下の想いから内定を承諾します。
【引き出したい求職者の感情・行動】
- ほかと比べても、この企業がいちばん良さそうだ
- 人事の◯◯さんにもお世話になったから、この企業の内定を承諾しよう
- この企業で働くことを決めたぞ
【用意すべきコンテンツ】
- 1日体験入社
- 条件交渉
- 社内イベント
- 内定者フォロー(不安や問題の解除)
内定~内定承諾までの間に、どんなコミュニケーションをすれば良いかをしっかりと考えましょう。
不安を解消するためにどんなタッチポイントが有効か、また、不快に感じるコミュニケーションにどんなものがあるか、さらに内定辞退する際に不要なストレスを与えないことも大切です。
入社
【引き出したい求職者の感情・行動】
- この企業で頑張るぞ
- インターンシップでお世話になった◯◯さんみたいな営業になりたい
- この部署なら、自分でも馴染めそうだ
- 研修で何を覚えられるのか、今からワクワクする
【用意すべきコンテンツ】
- ウェルカムランチ
- 既存社員への告知
- 配属先のメンバーに紹介する機会
- 自社のミッション・ビジョンや共通言語を学ぶ機会
- ブラザーシスター制度
- 悩みなどへのフォロー体制 など
入社時に「歓迎されている」ことを感じ、意欲を高めてもらえるようにすることが大切です。出社初日のコミュニケーションを求職者視点で考えてみましょう。
入社後の受け入れに関しては、下記のオンボーディングの考え方が参考になります。