
採用基準を決めるには、「すり合わせ」が必要です。現場や上層部がどのような人材を求めているのか把握するなどして、人物像の明確化を行いましょう。人材像を明確化する際には、ヒアリングだけではなく、社内で活躍している人材の特性を調査することも大切です。
上層部から現場までヒアリング
採用基準を決めるには、現場と人事、上層部で意見を一致させることが重要です。実際に現場で業務に従事する従業員は、どのような人材が必要であるか明確な判断基準を持っているはずです。
一方で、現場の要望は短期的になりがちであったり、採用市場の状況を把握していなかったりする場合もあります。従って、現場の声だけでなく会社的にどのような人材を育成したいのか、会社の方針と一致しているかの確認も欠かせません。
採用を担当する人事は、現場の声と上層部の意見をすり合わせて採用基準を言語化することが大切です。
活躍する社員の特性を把握
採用後に配属する部門や職種、階層によって、必要とされる人物は異なります。まずは現場で求められている人物像を把握し、設定しましょう。
活躍する人物は、資格や経験だけで判断できるものではありません。従って、採用基準を考えるうえではコンピテンシーと呼ばれる『行動特性』や、行動特性のさらに裏側にある価値観や動機などを示す『特性』が大切です。また、仕事内容によっては『地頭』も大事です。
自社で活躍する社員がどのような特性などを持ち、どのような行動をしているのかを把握して、適切な採用基準の作成につなげると良いでしょう。
具体的には、インタビューやアンケートを通して活躍している社員に共通する特性を把握し、モデル化します。候補者が同じような性質を持っている場合、活躍の可能性は高くなるでしょう。
社員調査をする際には、価値観やコンピテンシーの分析ができる『適性検査』を用いるのも非常に有効です。適性検査を使うと価値観や思考パターン、動機などを定量化できます。
活躍している社員(ハイパフォーマー)と活躍していない社員(ローパフォーマー)の検査結果を比較することで、より有効な採用基準を作ることができるでしょう。
求める能力やスキル、ペルソナの設定
新卒採用は採用後に育成できない特性やコンピテンシー、地頭を重視することが大切です。一方で、中途やキャリア採用においては、培ってきた能力やスキル面による判断も生じてきます。
まず、求める能力やスキル面を明確にするには、必須(MUST)と希望(WANT)の2軸で設定することが大事です。必須の能力やスキルをMUST、できればあったほうがいい能力やスキルをWANTとして、今回の募集で優先したい要素を決めます。
社内ですり合わせを行ったうえで、応募者向けの募集要項にも明示しておくと、ミスマッチが生じにくいでしょう。
また、求める特性や能力・スキルが決まったら、そこからさらに「ペルソナ」を設定し作ると良いでしょう。ペルソナは、特性やコンピテンシー、求める能力やスキルを併せて、具体的にはこういう人物、というものを具体化したものです。
たとえば、人物像としては『事務経験者でワードやエクセルの処理を担当しており、出産・育児をきっかけに退職したが、一段落したため仕事復帰を考えている女性』のようなイメージです。こうして「人としての姿」を想像できる、人物イメージが『ペルソナ』です。
ここに、考え方や行動特性として、『単純な事務作業も安定して継続作業が可能で、コミュニケーションもオープンで、就業意欲も高く、フルタイム勤務を希望している』などの情報が加わってくると、求める人物像がよりくっきりしてきます。
こうして、人物像がわかるくらいにペルソナを設定することで、採用基準だけでなく、求人広告や説明会、面接などにおけるメッセージやメインターゲットの一貫性につながります。
社内での見解の相違を防ぎやすくなりますし、受け入れる側も入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
採用過程で面接を行うなかで、能力やスキルといった面に加えて、転職理由や会社選びの基準なども併せて聞くなかで、その人の「人物像」がどのようなものであるかを理解して、あらかじめ設定しておいた採用のペルソナと比べていきます。
「合致」することが必ずしも採用の可否とイコールではありませんが、自社にフィットする人材かどうか、大きく規格外でズレてしまったり、ミスマッチを生じてしまったりすることを、防ぐことができるでしょう。
なお、ペルソナを設定するときは、理想を高くしすぎないことも重要です。高い理想を掲げると、基準に見合う人物が少なくなり、採用が難航します。
また、ペルソナを絶対的イメージとして固くつくりすぎてしまうと、該当する人物がいないこともあります。