人間力は、ビジネスの場において望む成果を長期的・継続的に得続けるために必要不可欠な要素です。能力やスキルと対になる概念で、わかりやすくいえば「この人を信頼していいのか?」といった人格や器量です。
人間力はスキルや能力ではなく、考え方やあり方であり、小手先のテクニックで短期的に鍛えることはできません。良い習慣を身に付け、継続的に取り組んでいくことが重要です。記事では、人間力を高めるための10の方法を紹介します。
<目次>
人間力を高める10の方法
人間力とは、人としての考え方やあり方です。一朝一夕で身に付くものではなく、習慣として継続していくことが重要です。ここでは、人間力を高める10の方法を紹介するので、ぜひ毎日の習慣に取り入れてみてください。
主体性を身に付ける
主体性とは、「自らが当事者である」という認識のもと、自ら問題を解決したり、良い成果を出すために自ら考え、行動したりすることをいいます。
主体性を身に付けるには責任感を高めるとともに、衝動に左右されず自己をコントロールする「一時停止」と、一時停止したあとの「選択」を習慣にすることが効果的です。刺激と反応の間にワンクッションを置くことで、選択の自由が生まれ、主体性を発揮しやすくなります。
影響の輪に集中する
影響の輪は、大ベストセラーのビジネス書『7つの習慣』で紹介されている考え方で、自分が関心を持っていることを「関心の輪」、関心の輪のうち自分がコントロールできることを「影響の輪」と呼びます。
例)
- 関心の輪:自分の評価、上司の機嫌、顧客の意思決定、景気、明日の天気など
- 影響の輪:仕事への取り組み方、自分の態度や言葉、健康管理など
影響の輪に集中することで「変えられないもの、影響できないこと」に無駄なエネルギーを使うことがなくなります。また、「自ら選択し影響を与えられる」影響の輪に集中することは、主体性の発揮にもつながります。
多様な見方を知る
人は物事をありのままに見ているわけではなく、自分なりの見方や考え方を通して物事を解釈しながら見ています。見方や考え方は、これまでの体験、価値観などを通じてできるものですので、十人十色です。
どのような物の見方や考え方を選択するかは自分次第で、多様な見方を知ることが思考や行動を大きく進化させるきっかけとなります。また、自分とは違う見方の存在を意識することは、他者理解や尊重にもつながります。
ありたい姿を思い描く
人間力を高めるには、自分は最終的にどうなりたいのか、何を成したいのか、といったことを明確にすることも大切です。
自分自身の存在意義や使命、働く目的などを文面化したり、自分が大切にしたい価値観を明確にしたりすることで、意思決定や行動の軸がブレなくなります。一貫性を持った決断や言動は周囲からの信頼にもつながります。
ありたい姿がなかなか思い浮かばない場合は、まず過去を振り返ってみるのが効果的です。以下の項目を書き出し、それぞれどのような共通点があるのかを考えてみましょう。
・ これまでに達成感や充実感があったこと ・ 尊敬する人、あこがれの人 ・ 好きな言葉、好きな映画、好きなキャラクター、好きな場面など ・ 大切にしたい価値観、キーワード |
自身の判断・行動の軸を明確にする
「ありたい姿を思い描く」と近い部分になりますが、自分の軸を明確にしましょう。
人間力の高い人は「自分はこうありたい」という軸があり、自分の軸に基づいて一貫した考え方や行動をします。その時々の状況や気分によって行動が変わることがなく、周りの人からも「この人なら任せられる」と信頼されやすい傾向にあります。
また、判断・行動の軸が明確になれば、自主的に行動できるようになるというメリットもあります。
目的意識を持つ
仕事でも日常でも、「目的」を意識することで意味や価値を見出しやすくなります。目的意識を持つためには、まず目的を明確にすることが大切です。
「今の作業は何のためにやっているのか」という目的があるかないかで、仕事のやり方は変わりますし、仕事に対するモチベーションも維持しやすくなります。退屈になりがちな作業にもやりがいを感じやすくなり、自分の成長につながります。
振り返りの習慣を持つ
どんなに優秀な人材でも、一日24時間を完璧な状態で過ごすことは難しいです。一日のなかでうまくいったこと・うまくいかなかったこと、そして成功・失敗の理由を振り返り、「もしもう一度やるならどうするか?」を考えることで、次回はより質の高い対応ができるようになります。
振り返りの際には、状況や自分の言動は客観的に、自分の内側で起こった感情や思考は主観的に振り返ることがポイントです。両者を併せて考えることで振り返りが深まり、成功の再現性だけでなく、言動の改善性も高めることができます。
他者に敬意を払う
私たちは日々さまざまな人と関わり合いながら生活や仕事をしています。人間力を高めるためには他者への敬意や思いやりが欠かせません。ビジネスの場においては、メンバーや上司、部下など、まずは身近な相手に関心を持つことから始めてみましょう。
相手に敬意を払ったうえでコミュニケーションを図れれば、信頼関係が築きやすくなるほか、意見の対立も調整しやすくなるでしょう。
他者を理解しようと努める
他者に敬意を払ううえでも、まずは他者を深く理解しようと努める必要があります。性格や価値観、働く目的、将来のビジョンなど、相手のことを理解することで自分も相手から理解され、良好な人間関係を構築することができます。
相互理解が深まることで効果的なコミュニケーションが実現し、仕事の効率やモチベーションの維持、やりがい、自分の成長にもつながります。
良い習慣を作る
上に挙げた各ポイントは一朝一夕で身に付くものではなく、長期的に継続し、習慣にすることではじめて身に付くものです。
良い習慣は良い人間性をつくり、悪い習慣は悪い人間性につながります。日々の仕事、生活において望ましい習慣を継続することで、思考や行動が変わり、定着していくため、人間性を高めるには普段の生活習慣を見直すことがとても重要です。
人間力を鍛える本やセミナー、研修を紹介
人間力を高めるためには、人間力の概念をしっかりと理解したうえで良い習慣を継続することが大切です。人間力は書籍やセミナー、研修などで学ぶことができるので、積極的に取り入れることをおススメします。
人間力の向上につながる本
以下は、おもにビジネス場面における人間力の向上につながるセルフマネジメントを学べるおススメの10冊です。
- 「論語の読み方」
- 「生き方」
- 「人を動かす」
- 「7つの習慣」
- 「経営者の条件」
- 「サーバントリーダーシップ」
- 「仕事の思想」
- 「7つの習慣 名言集」
- 「チェンジ・リーダーの条件」
- 「プロフェッショナルの条件」
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人間力を鍛えられる研修
人間力を高める「望ましい習慣」は頭で考えるだけでなく、研修でわかりやすく学ぶのが効果的です。HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、さまざまな研修を行なっていますが、以下2つは人間力を効果的に高められる研修です。
・「7つの習慣®」研修
世界のビジネス書売上トップクラスの書籍『7つの習慣』を、中堅中小企業向けにカスタマイズした研修です。『7つの習慣』の内容をわかりやすく嚙み砕き、ワークや事例をふんだんに盛り込んだ内容となっており、人間力の向上をはじめ、組織風土の醸成やチームワークの改善にも効果的です。
カリキュラム例 | 【1日目】・オリエンテーション ・基礎原則 ・第一の習慣 ・第二の習慣 ・第三の習慣 ・振り返りとまとめ
【2日目】 ・前回の振り返り・オリエンテーション ・第四の習慣 ・第五の習慣 ・第六の習慣 ・第七の習慣 ・宿題解説と、全体のまとめ |
・「原田メソッド研修」
目標達成のための思考や行動をはじめ、人間力に必要な習慣が身に付く研修です。
原田メソッド研修は、目標達成と人格形成を同時に実現していく研修です。プロスポーツ選手や芸能人、大手企業をはじめとした500社10万人以上が実践しています。ツールを使いながら実践していくため、誰もが取り組みやすい内容です。
カリキュラム例 | 【1日目】 ・自立型人間の育成とは? ・部下のやる気と主体性を引き出す関わりの極意を学ぶ ・リーダーとしての思いを明確にする「仕事理念」
【2日目】 ・前回の復習 ・「仕事理念」の発表 ・個人パフォーマンス向上の原則について ・成果を生み出す思考法「オープウィンドウ64」 ・成功のシナリオを描く「原田式長期目的・目標設定用紙」 ・研修まとめ
【3日目】 ・前回の復習 ・「原田式長期目的・目標設定用紙」の発表 ・他者を成功に導く技術「ペアコーチング」 ・経営者マインドを学ぶ「アイディールストーリー」 ・研修まとめ |
「人間力を高める」に関してよくある質問
Q.人間力が高い人の特徴は?
人間力の高い人の特徴は様々ですが、全体に共通していることは「自分はこうありたい」という軸があり、自分の軸に基づいて一貫した考え方や行動をしています。
Q.人間力の3つの要素は?
人間力の3つの要素は、内閣府の人間力戦略研究所によって定義されています。
- 「知的能力的要素」
- 「社会・対人関係力的要素」
- 「自己制御的要素」
Q.人間性と人間力の違いは?
性能(spec)と能力(skill)の視点で考えると、下記の違いで表すことができます。
人間力 → 勉強や知識で身に着けることができる
まとめ
人間力はビジネスの場において、望む成果を長期的・継続的に得続けるために必要不可欠な要素です。人格や器量のような概念であるため一朝一夕で身に付けることはできず、以下のポイントを習慣化させる必要があります。
- 主体性を身に付ける
- 影響の輪に集中する
- 多様な見方を知る
- ありたい姿を思い描く
- 自身の判断・行動の軸を明確にする
- 目的意識を持つ
- 振り返りの習慣を持つ
- 他者に敬意を払う
- 他者を理解しようと努める
- 良い習慣を作る
人間性を高めるには書籍や研修も効果的なので、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。