セルフマネジメントはトレーニングによって誰でも高めることが可能です。ここでは、セルフマネジメントを効果的に高める22の方法をご紹介します。ぜひ自分にあったものから取り組んでください。
1.自分を知る
セルフマネジメントを高いレベルで行なうためには、自分を深く理解することが大切です。自分の強みや価値観、信念、できること・できないこと等を明確にして理解することで、自分を統制しやすくなります。
自分の強みや特徴を理解するためには、自分の特徴やパターンに仮説を立て、それをもとに行動、検証を行なっていくのが効果的です。また、新しい役割やルールが求められる場面や大きな変化があったとき、日常の何気ない出来事からも新たな発見や気付きを得ることができます。
2.目標を明確に設定する
自分が携わる業務を理解したうえで、ゴールや目的を明確にします。ゴールや目的が明確になれば自分のやるべきことも明確になり、時間やパフォーマンスをコントロールしやすくなります。
逆に、自分がなすべきことやゴール、役割や期待されている成果が明確でないと、優先順位を付けることができず、周囲の状況や依頼等に振り回されることになるでしょう。
3.タスクブレイクの力を身に付ける
ゴールや目的を達成するまでの流れを考え、やるべき行動を洗い出すことがタスクブレイクです。タスクブレイクの力があると、戦略や施策が決まったあと、しっかりとタスクへと落とし込むことができるため、物事を前に進めることができます。
また、ゴールや実行の流れを想像して、漏れなく拾い上げていくことで、業務の抜け漏れや余計な中断等も生じず、業務の生産性を高めることができます。
4.時間を管理する
セルフマネジメント力は、時間を管理する力でもあります。スケジュール管理と時間管理は似ていますが異なります。予定管理ではなく、時間管理こそがセルフマネジメントでは重要です。私たちに与えられた共通の資源である1日24時間、時間を有効に使うスキルを高めましょう。
優先度や重要度をもとに、「仕事を納期に間に合わせる」「重要だが期限がない仕事を確実に前に進める」ことで、自らの生産性を高めていきましょう。
5.仕事にオーナーシップを発揮する
同じ仕事でも、企業から仕事をさせられている状態と、自分から仕事をしている状態とでは生産性が大幅に異なります。自分事として取り組むことで、課題やハードルに対しても前向きに取り組むことが可能です。
仕事に対する意識の持ち方、また目標に意味付けして自分事として取り組むスキルを身に付けること等を通じて、仕事にオーナーシップを発揮しましょう。
6.成功体験を積み重ね自信を付ける
成功体験を積み重ねることで私たちの自己効力感が高まります。自己効力感を高めることで自分に自信が持てるようになり、さまざまな仕事に積極的に取り組むことが可能になります。
自己効力感はパフォーマンスの向上にも効果的なので、成功体験を定期的に振り返るようにしましょう。成功体験は大きなものである必要はありません。自分との小さな約束を守ることを積み重ねていくことが自己効力感の向上に有効です。
7.自分自身をケアする
セルフマネジメントでは、自分の体調や疲労、ストレスに目を向け、計画的に休みを取ったり、ストレスを解消したりすることが大切です。疲労やストレスを放置すると突然の体調不良で仕事に悪影響をおよぼす可能性があります。
また、心身の状態は仕事に大きく影響をおよぼします。一流のスポーツ選手等と同じように、自分の心身を良い状態に保つための体調管理やストレス管理、習慣作りが重要です。
8.睡眠をしっかりとる
セルフマネジメントには、自制心や意志力が必要になります。睡眠不足では理性を最大限に発揮することはできません。
2021年、経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟国33ヶ国の中でワースト1位です。同じく、2021年、経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本の労働生産性は加盟国38ヶ国中27位と低い結果が出ています。睡眠不足が生産性を下げているという研究報告もあります。
忙しいから寝不足になっているのか、寝不足だから忙しくなっているのか。どちらにしても、回らない頭では、仕事のスピードは格段に下がり、残業する羽目になります。そしてさらに睡眠不足になるという悪循環に陥ります。睡眠時間の確保は、最も大切なセルフマネジメントであり、セルフマネジメントするための最重要要素でもあります。
9.一つずつ始める
何か新しいことを始めたい、あるいは悪癖をなくしたいなら、1つずつ変えていくことが大切です。2つ以上の変化を同時に起こさない方がよいでしょう。
人の脳は、ただでさえ変化を嫌います。それが2つ以上となると、大きなストレスとなります。結果的にどちらも成功しなくなってしまいます。たとえば、「定期的に読書する」と「ダイエットのために食事制限をする」の2つを習慣化したいなら、一つができるようになってから、もう一つをしていきましょう。
10.小さく始める
人の脳は変化を嫌います。変化が大きいほど、ストレスは大きくなります。つまり、大きな変化ほど実践の難易度は高くなります。従って、何かを変えたいなら小さく始めることがおすすめです。たとえば、資格勉強なら毎日1時間ではなく、毎日テキストを開くことから始めましょう。そして徐々に15分、20分と増やしていきます。
また、先延ばししそうになったら、「毎日30回している腕立て伏せ、今日は1回だけにする」と、ハードルを下げることも一つです。始めてみると、1回のつもりが気づけば30回やれることも良くあります。
11.午前中に重要事項を、午後に作業する
意志力は、時間ともに消耗していきます。そのため、意志力を伴う重要な決定やクリエイティブな仕事は午前中に済ませ、あまり意志力を伴わない作業的な仕事は午後にすることがおすすめです。
意志力の残量を考慮した仕事配分をすることで生産性を高めることができます。また、意思決定を誤りにくくなるでしょう。
12.誘惑は遠ざける、小さくする、制限する
誘惑への対処は、意志の力ではなく物理的な力を借りることがおすすめです。基本は、「遠ざける」「小さくする」「制限する」です。
たとえば、禁煙をしたいならタバコを遠ざける、吸っている人とは付き合わない、タバコを売っているお店に入らない、taspo(タスポ)を処分するなどです。
散財グセを直したいならクレジットカードに制限をかける、財布の中に今日使う分だけの現金を入れるようにする、給料日になったら一部を定期預金に振り込むか自動引き落としで積立投資するように設定するなどです。
スマホ中毒なら、スマホからアプリを消す、タイムロッキングコンテナを使い、物理的に触れないようにします。食べ過ぎを減らしたいならお皿を小さくするなどが有効です。
このように、意志の力だけに頼らず、物理的な環境を準備することで、誘惑に勝ちやすくなります。
13.満たしてから活動をする
空腹時にスーパーに行くと余分に購入してしまうことが分かっています。お金でも同じです。「貧すれば鈍す」という言葉があるように、貧しているときはまともな判断ができなくなり、さらに状況を悪化させてしまいます。
3ヶ月間無収入でも生活できる程度の貯蓄があれば、誤った判断をしにくいでそう。加えて、貯金をすることによって自制心が鍛えられ、その他の活動でもよい影響がもたらされます。
14.コントロールできないことに意識を向けない
会社の方針、政治問題、流行といった、自分ではコントロールできないことに意識を向けても、エネルギーの無駄使いです。それよりも、自分がコントロールできることに意識を向けてください。
世界的ベストセラー『7つの習慣』(著 スティーブン・R・コヴィー)の第1の習慣では、自分がコントロールできない「関心の輪」には意識を向けず、自分がコントロールできる「影響の輪」にだけ意識を集中するようにと説かれています。
「影響の輪」に意識を向けることで成功を収めやすくなり、さらに「影響の輪」が広がっていきます。「影響の輪」が広がることで、いつしか「関心の輪」だった範囲が、自分の影響の輪に入ることもあるでしょう。
15.最大効果を得る方法を探る
スポーツ指導の世界で昔は、「汗をかいても水を飲むな」と言われていました。しかし、今ではパフォーマンスが落ちるどころか、熱中症のリスクが高まる間違った精神論だと捉えられています。
このように、知識が間違っているがために非効率な努力をしてしまう場合があります。たとえば、筋トレと有酸素運動をするなら、有酸素運動を後にした方が脂肪燃焼効果は高いです。朝と夜では、朝に有酸素運動をした方が脂肪燃焼効果は高いです。炭水化物よりも先に野菜を食べた方が太りにくいです。同じ活動や努力でも、順番を変えるだけで効果が変わります。
教科書を2回読んで暗記をするなら、同じ日ではなく1日以上空けてからした方が記憶の定着はよくなります。暗記科目であれば、朝よりも夜に学習する方が記憶の定着がよいです。
ほかにも、定期的な休憩を入れる、入れないのとでは、休憩を入れた方が生産性は高くなります。以下の2つは、効果があるとされている休憩の取り方です。
《ポモドーロ・テクニック》
25分間作業した後に5分間の休憩を取り、これを4回繰り返した後、15~30分の長い休憩を取る。
《52/17ルール》
52分間集中して作業した後、17分間の休憩を取る。
このように、できる限り投資対効果の高い方法を実践しましょう。1ヶ月で10の効果を得られるのと、20の効果を得られるのとでは、後者の方がモチベーションは維持できます。
16.小目標を設ける
夏休みの終わりが迫ってきて、慌てて宿題をした経験はありませんか? これは、締め切り効果と呼ばれるものです。締切が近づくにつれて、人は集中力を発揮します。この状況を意図的に作ることも生産性をあげる一つの方法です。
目標を掲げたら計画を作り、小目標を設けます。締切効果が発動し、集中力を持って取り組めるようになるでしょう。人は、大きな目標は抽象的に感じるため、先延ばしが起きやすいです。一方小さな目標は具体的に感じるため、先延ばしを抑止する効果があることがわかっています。
目標を分解して、スケジュールに落とし込む癖を作りましょう。
17.記録をつける
事実を把握することはどんなマネジメントでも重要です。家計簿、カロリー記録、行動記録、睡眠記録など、マネジメントしたい事柄に合わせて記録を取ります。
客観的に記された記録を見ることは、改善点を見つけるのにも役立ちます。加えて、努力の軌跡も見えるため、モチベーションの維持にも一役買います。ウォーキングや睡眠などの記録をつけてくれるアプリもあるため、活用するとよいでしょう。
18.紙に書き出す(ジャーナリング)
心がモヤモヤしていたり、イライラしていたりする時は、原因や感情を紙に書き出してみましょう。誰に見せるわけでもありませんから、思いっきり吐き出します。客観的に自分の感情を見つめ直すことで、心や思考が整理され、ストレス軽減にもつながります。
感情を紙に書き出す行為はジャーナリングと呼ばれ、「書く瞑想」として知られています。ジャーナリングは、感情のマネジメントに有効です。また、違うタイプのジャーナリングで効果が高いとされているのが、感謝の日記です。日々の生活の中で、感謝できる点を見つけては書き出すようにしてみてください。
19.ご褒美を用意する
自分で自分のモチベーションを上げる方法に、自分へのご褒美があります。この方法を当たり前のようにできる人と、できない人がいます。できない人は、こう考えている人もいるでしょう。「自分へのご褒美と言っても、ご褒美代は自分が出すわけで・・・。自分の懐を痛めるのでは、モチベーションが上がらない」
そういう人は、懐を痛めないご褒美を考えてみるのもよいでしょう。たとえば、日常的にしているゲーム。これを条件なしに享受するのではなく、ご褒美として位置付けるのです。たとえば、「45分間勉強したら15分間ゲームができる」と。
これなら懐を痛めずにご褒美が用意できます。
20.コミュニティーに入る
人は、社会性を持つ生き物であり、仲間がいた方が頑張れます。お互い励ましあったり、競争したりと刺激になるからです。
読書仲間を集めて読んだ本を紹介しあう。目標をともにする友人とジムに通う。今は、さまざまなコミュニティーがSNS上にあります。仲間を見つけて、互いに刺激し合えれば、モチベーションも維持できます。
いまの時代には、オンライン上で完結するコミュニティーもたくさんあります。そうった仲間とのつながりを上手く使うとよいでしょう。
21.時間ではなく量を意識する
「毎日◯分間の勉強をする」よりも「毎日4ページ進める」としたほうが継続しやすくなります。仮に、「9時から10時まで勉強する」と決めたとしましょう。もし何かの都合で10分遅れたら、それを理由に「今日はなし」としてしまうリスクがあります。
量ならその心配はいりません。ただし、ダラダラしてしまう可能性があります。
理想は、時間と量の両方です。「9時から10時までの間に4ページ進める」と設定すると、締切効果も合わさり、集中して励むことができるでしょう。
22.自分に売り込む
マーケティングや営業が商品のもたらすベネフィットを伝えて、お客様の購買意欲を刺激するように、目標達成した未来を自分自身に伝えてモチベーションを上げることもセルフマネジメントを実践するコツです。
目標達成が叶ったらどんな未来が待っているのか、どんな良いことがあるのかを紙に書き出してみましょう。「これは叶えたい!」と、書く前よりも思えたなら成功です。目につくところに貼って、毎日見返すとモチベーション向上につながるでしょう。