第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」とは?
本章では人間関係の基本となるコミュニケーションの大切さ、そして、第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」とは何か、相手を理解するためにどのようなことが大切なのかをお伝えします。
良い人間関係の基本となるコミュニケーション
家族や友人、職場の同僚など、普段から接している人に対して、私たちは「相手のことをわかっている」と考えがちです。しかし、本当の意味で“相手のことをわかっている”でしょうか。
仕事のトラブルや私生活のいざこざを振り返ってみると、「もうちょっと相手の話を聞けていさえすれば……」「お互い合意していたつもりが、とんだ勘違いだった」など、コミュニケーションのすれ違いに起因することがたくさんあります。
私たちは多かれ少なかれ、「自分のことをわかってもらいたい」「私を受け入れて欲しい」という気持ちを持っています。しかし、コミュニケーションのなかで自分を理解してもらおうとしたり、会話の主導権を握ろうと考えていたりすると、いつまで経っても好ましい人間関係を築くことはできません。
スティーヴン・R・コヴィー 完訳 「7つの習慣」人格主義の回復
ほとんどの人は、自分を理解してもらいたいという気持ちが先行するあまり、相手を理解しようとして話を聞くことができていません。しかし、コヴィー博士が言うように、人間関係を成功させるためのコミュニケーションには、「まず相手を理解する」という原則があります。第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」とは、このシンプルな原則を示したものです。
相手を真に理解するために必要なこと
相手を理解しようとしない限り、私たちは相手の信頼を得たり、良い人間関係を構築したりすることはできません。相手を理解するうえでは、コミュニケーションスキルや対人関係のテクニックが重要と考える方もいるかもしれません。たしかにスキルやテクニックは、人との関わりで重要となる要素です。
しかし、相手と真の信頼関係を作ったり、相手に影響を与えたりするためには、スキルやテクニックだけでは足りません。
私があなたに心の中を打ち明けない限り、そして、あなたが私という人間や私の独自の状況や気持ちを理解できない限り、あなたは、私にどういうアドバイスや助言を与えたらいいのか分かるはずもないということだ。つまり、あなたの口から発せられる言葉がいくら正しく素晴らしいものであっても、私の状況にあてはまらないものになってしまう。
あなたが私の本質を理解し、それに影響されない限り、私はあなたの助言に聞き従い影響されることはない。だからこそ、人間関係において効果的なコミュニケーションを図りたければ、テクニックだけではだめなのだ。
信頼を築き、相手が本音で話せるような人格の土台の上に、感情移入の傾聴のスキルを積み上げていかなければならない。そして、心と心の交流を可能にする信頼残高を、構築していかなければならないのである。
スティーヴン・R・コヴィー 「7つの習慣-成功には原則があった!」
上記に引用したように、コヴィー博士はスキルやテクニックだけでは相手を真に理解することはできないと強調しています。相手を真に理解するためには、相手から信頼され、相手が心を開いてくれることが不可欠です。そして、相手が心を開いてくれるかどうかは、コミュニケーションの巧拙や話す内容ではなく、人格や人間性にかかっています。
人格を土台にしたコミュニケーション
前述のとおり、コミュニケーションを取るとき、相手はあなたの言葉ではなく人格や人間性を見ています。どんなに優れたスキルやテクニックがあったとしても、例えば、「人によって態度や接し方を変える」「言っていることと実際の行動が一致していない」などであれば、相手はあなたを信頼してくれないでしょう。
もちろん一時的にスキルやテクニックで誤魔化すことはできるかもしれません。しかし、長期的・継続的に誤魔化し続けることはできません。
つまり、誰かを理解するためには、じつは相手から信頼され心を開いてもらうにふさわしい人格が求められるのです。スキルやテクニックはもちろん大切ですが、それよりもまず、自分自身のあり方や日頃の言動を正すなど、人格を磨くことが相手を真に理解するための第一歩です。






