『7つの習慣』における原則とは?『7つの習慣』の基礎原則と人生を成功させるポイント

『7つの習慣』における原則とは?『7つの習慣』の基礎原則と人生を成功させるポイント

 『7つの習慣』は、スティーブン・R・コヴィー博士が執筆した書籍であり、1989年に初版が発行されました。現在では、全世界4000万部、日本国内でも240万部の売上げを誇るビジネス書・自己啓発書の金字塔となっています。多くのビジネス雑誌やアンケートでも「非常に影響力のある」「役に立つビジネス書」として同書は取り上げられています。

 さらに、書籍『7つの習慣』をもとにした研修プログラムは世界147ヵ国で展開され、多くの大企業・優良企業で社員教育に導入されるなど、時代や文化を超えて役に立つ内容として認識されています。

 『7つの習慣』では、人類にとって不変の真理である「原則」に沿って生きることの大切さが繰り返し主張されています。では、「原則に沿った生き方」とは具体的にどういうことをいうのでしょうか。『7つの習慣』の原則をテーマに、『7つの習慣』の基礎原則、そして原則中心の生き方とはどういうことかを解説します。

<目次>

『7つの習慣』と原則

 『7つの習慣』の根底には、人間の有意義なあり方を支配する「原則」が存在するという考え方があります。原則とは何か、なぜ原則が大事なのかを解説します。

『7つの習慣』は原則をまとめた書籍

 筆者であるコヴィー博士は、『7つの習慣』を執筆するに際してアメリカ合衆国建国から200年分の“成功に関する文献”の研究を行ないました。直近50年の間に出版された文献には、社会的イメージ、態度・行動、スキル、テクニックが成功の条件として挙げられていました。

 一方、建国から約150年の間に書かれた文献が成功の条件として挙げていたのは、誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、忍耐、勤勉、質素、節制、黄金律など、人間の内面にある人格的な事柄でした。

 コヴィー博士は、成功に関する文献の研究をもとに「スキルやテクニックは大事ではあるが、人格という土台が備わってはじめて効果が発揮されるものである。継続的な成功を目指すならば、まず土台となる人格を磨くことが不可欠だ」と結論づけています。そして、人格を磨くための基本的な原則を体系としてまとめたものが『7つの習慣』です。

『7つの習慣』における原則とは?

 私たちが何かの物を持って手を離せば、当然のように物は落下します。これは、自然界に引力の法則(重力)が働いているためです。引力の法則をまだ知らない赤ちゃんが手を離しても物は落ちます。私たちが仮に引力の法則を否定したとしても、手を離せば物は落ちます。つまり、私たちが知っているか否か、受け入れているか否かに関わらず、引力の法則は私たちに適用されるわけです。

 自然界の引力と同じような法則が、人間社会にも「原則」として存在します。『7つの習慣』における「原則」とは、人間の成長と幸福を左右する絶対的なルールのことを指しています。人類がたどってきた歴史、長い時間をかけて築いてきた文明、古今東西の人類のあらゆる社会に共通して存在する法則が原則です。

 原則は、人類を導く普遍的な真理、考え方として、長い歴史のなかで証明されてきました。コヴィー博士が言うように、私たちにとっての成功への一番の近道は、人格を磨き、原則に沿った生き方をすることに他なりません。

原則は私たちがすでに知っているものである

 原則の具体例としては、「公正」「誠実」「正直」「奉仕」「貢献」「忍耐」「励まし」などが挙げられます。これらを眺めてみると、原則は時代や国を問わず、私たちの良心に根付いている価値観であることが理解できるでしょう。私たちは普段の生活のなかで原則をことさら意識することはないかもしれません。しかし、原則は常に私たちの内面に大きな影響を与えている存在です。

『7つの習慣』の基礎原則

 『7つの習慣』における原則とは、私たちが豊かな人生を送るうえで嫌でも影響を受ける「重力」や「法則」のようなものです。書籍『7つの習慣』で成長と成功の体系としてまとめられた習慣7つも原則です。そして、『7つの習慣』で紹介される習慣7つを実践するにあたっては、まず大切になるのが「パラダイム」「パラダイムシフト」「インサイド・アウト」という3つの「基礎原則」です。

パラダイム

 パラダイムとは、私たちの物事の見方や考え方、感じ方のことです。パラダイムは人それぞれの経験に基づいて形成され、一人ひとり異なるパラダイムを持ちます。私たちは物事をありのままに見ているのではなく、自分のパラダイムを通じて物事を見ています。

 卑近な例でいえば、「ピーマン」を見て、「おいしそう」と思う人もいれば、「苦そう」と思う人もいます。これは味覚の話ですが、すべての物ごとについて、私たちは過去の経験や価値観に基づくパラダイムを通じて、自分なりに解釈しています。

 パラダイムの違いは、人と人の間で解釈の違いを生んだり、場合によっては争いを引き起こしたりすることもあります。しかし、一人ひとり違ったパラダイムを持っているからこそ、人は多様性に富んだ豊かな社会を築くことができます。

 私たちがパラダイムを通じて物事を見る以上、パラダイムは私たちの行動を左右して、私たちが得る結果を決めます。ピーマンを「おいしい」と思う人は手に取ったり買ったりするでしょうし、「苦そう」と思う人は放置したり遠ざけたりするわけです。また、「育てられる」と思う人はピーマンを育て、1つのピーマンから数十個のピーマンを手にするかもしれません。

 私たちはパラダイムを通じて物事を見て、自分なりに解釈・判断しています。結果的にパラダイムは、私たちの態度や行動を決め、手にする結果を左右します。そして、私たちは一人ひとり異なる人生を過ごしてきたなかで、異なるパラダイムを持っています。これが原則です。

パラダイムシフト

 パラダイムシフトとは、自分が持っていたパラダイムが一気に変化することをいいます。コヴィー博士は、「状況や結果を大きく変えたければ、態度や行動ではなく、パラダイムを変えなければならない」と言っています。

 例えば仕事で何かうまくいかないことがあり、現状を打開したいと思ったとき、行動を変えれば得られる結果は一時的に変わります。しかし、根底にある物の見方や捉え方が変わらなければ、状況が大きく変わることはありません。

 例えば、「仕事は給料のために我慢を重ねる苦役の時間である」というパラダイムを持っている人がいたとします。仮にパラダイムが変わらないとしたら、「職場の人間関係を良くする」「異動の希望を出す」「転職する」といった行動をしてみても、「仕事がつまらない」という状況が大きく変わることはないでしょう。

 新しい経験をして今までと違う視点を得たり、他者の意見を取り入れたりすることで、それまでの自分の常識やものの見方が変わる、すなわちパラダイムシフトが起こります。パラダイムシフトが生じることで、私たちは新しい物の見方を手に入れます。そして、パラダイムが変わることで、私たちは違う行動・判断をして、それまでと大きく違う結果を手に入れられるようになります。

インサイド・アウト

 インサイド・アウトとは、自分自身の内面に目を向け、自身のあり方を自ら変えていくことをいいます。コヴィー博士は「問題が外にあると考えるのであれば、その考えこそが問題である」として、まず問題の原因を自分に求めることの重要性を説いています。

 問題に対処する際、「誰かの責任である」「状況のせいである」と考え、「他人を変えようとする」また「状況が変わるまでの応急処置で済ます」といったやり方では、根本的には問題は解決せず、状況は改善しません。問題を根本的に解決し、状況を変えるためには、自分自身のあり方や行動に責任を求め、自分自身を変えていくことが求められます。

『7つの習慣』の実践と基礎原則

 『7つの習慣』の内容を理解して実践するうえでは、ここまで紹介した3つの基礎原則に従うことが大切です。パラダイムが凝り固まっていると、新たな気付きは得られず、成長も期待できません。まず自分がどのようなパラダイムを持っているのかを客観的に振り返ってみましょう。

 自分のパラダイムを客観的に認識したうえで、思い込みや決めつけを廃してパラダイムシフトを起こしましょう。表面的な行動やテクニックではなく、まず望む結果を得るために必要なパラダイムを身に付けましょう。そして、望む結果を得ることを他人や環境に依存するのではなく、インサイド・アウトのアプローチで自分自身が変わることで実現しましょう。

原則に沿った生き方と人生の成功

 『7つの習慣』には、例えば、「効果的なリーダーシップを発揮するには相手との信頼関係の構築が不可欠であり、信頼関係を構築するためには自らの自立、相手への誠実な関心、信頼の預け入れが必要である」といった原則に沿った具体的な考え方や行動指針が書かれています。記事の最後では、原則中心の生き方をお伝えします。

私たちは原則に逆らって人生を送ることはできない

 原則に逆らうということがどういうことかを示すわかりやすい例として、『7つの習慣』でも紹介されているアメリカ海軍の艦長が体験したエピソードを紹介します。

 霧で視界が悪いある夜、アメリカ海軍のある艦長が船を進めていました。すると、船の進行方向に光が見えてきました。艦長が光に向かって進路を変更するよう求めたところ、なんと拒絶され、逆に相手から進路の変更を要求されてしまいました。

 自分が優先権を持っていると思っている艦長は怒りを込めて「こちらはアメリカ海軍の戦艦だ。進路を変更しろ!」と返信しますが、相手からは「そちらが進路を変更しろ。こちらは灯台だ」と返信が届きます。艦長は慌てて戦艦の進路を変更しました……。

 原則は、灯台のように動かすことも変えることもできない絶対の法則です。私たちが相手に譲るように求めても、存在を否定しても、原則を変えることはできません。艦長が灯台を動かすことができなかったように、私たちも原則に逆らった人生を送ることはできないのです。

パラダイムを原則に近づけることで、私たちの効果性は大きく向上する

 先ほどのエピソードに登場した艦長は、「相手も船であり、自分に優先権がある」という自分の思い込みで世界を見ており、自分が進路変更をしなければいけないことに気付いていていなかったわけです。この艦長のように、私たちも自分のパラダイムや思い込みが原因で、間違った方向に進んでしまうことが往々にしてあります。

 原則は私たちが望む結果にたどり着くための羅針盤のようなものです。私たちのパラダイムを原則に近付けるほど、私たちは焦らずスムーズに人生の海を進んでいくことができるでしょう。原則は、私たちが望む結果を得たり、好ましい人間関係を作ったりする礎です。

 原則を理解して自分のパラダイムを原則に近付けることは、表面的な方法や行動を変えるよりも遥かに大きな影響を私たちの人生におよぼします。

「原則中心」の生き方

 いまあなたは何を生活や人生の中心に置いているでしょうか。コヴィー博士は、何を中心にした生き方をするかによって、人生が大きく変化すると話しています。

 例えば、「家族中心」であれば、家族の利益を第一に考えます。素晴らしいようですが、一方で心の安定も家族の状況次第です。また「仕事中心」の人は、常に仕事を優先して物事を考えて高い成果をあげるかもしれませんが、仕事の結果や会社からの評価によって人生の幸せが左右されます。

 あるいは「お金中心」であれば、金銭に価値が置かれ、自分の自尊心や幸福は収入や資産に大きく依存します。他にも「娯楽中心」の人は、遊ぶことが人生の生きがいとなり、刹那的な快楽を優先し、次第にもっと刺激を求めてエスカレートしていくことになるでしょう。

 原則中心の生き方は、上記に挙げたものとはまったく異なります。原則は、限定的な手法やテクニックではありません。個人にも、家族や友人との人間関係にも、仕事にも当てはまる、どのような状況でも応用できる普遍の考え方です。私たちは原則中心の生き方をすることで、人生に安定した土台を築くことができるようになります。

まとめ

 記事では、『7つの習慣』の原則をテーマにお伝えしました。誠意・謙虚・誠実・勇気・忍耐・勤勉・質素・節制などに代表される原則は、時間を超えた不変の考え方であり、ずっと昔から現在に至るまで、私たちを真理へと導いてきた存在です。

 原則は、引力の法則(重力)のようなもので、私たちが知るか否か、受け入れるか否かに関わらず私たちに影響します。だからこそ、私たちは、原則に従った人生を送ることによって仕事や家庭、人間関係で望む結果を手にすることができます。逆に原則に逆らった生き方をすれば、得たい結果からは遠ざかってしまうでしょう。

 書籍『7つの習慣』にまとめられた習慣7つそれぞれも原則ですし、冒頭で紹介される3つの基礎原則、パラダイム、パラダイムシフト、インサイド・アウトは『7つの習慣』を理解して実践するための土台となるものです。記事の内容が原則に沿った生き方を送るヒントになれば幸いです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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