よくある採用課題7選|人材採用でよくある課題と解決のポイントを紹介

更新:2023/09/01

作成:2023/05/15

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

よくある採用課題7選|人材採用でよくある課題と解決のポイントを紹介

採用支援や人材紹介を提供しているなかで、知名度がない中堅の中小企業やベンチャー企業、また、不人気の業種、エンジニア採用などの難易度が高い分野で取り組む企業から採用課題の相談をいただくことが多くあります。

 

本記事では、採用支援サービスを提供している知見を踏まえて、人材採用でよく起こる7つの課題と、問題が起こる理由を紹介します。紹介したうえで、採用課題を解決するために実践したい基本ポイントを解説しますので、参考になれば幸いです。

<目次>

人材採用でよくある7つの課題

人材採用でよくある7つの課題

 

人材採用で相談をいただくことが多い課題には、以下の7つがあります。

 

人材からの応募がない

求人媒体に広告を出稿しているにも関わらず、応募がこない問題です。また、応募はあっても、形成したい母集団の人数には届かない場合もあります。

 

採用したい人材からの応募がない

ほどほどの応募数は集まるものの、選考を始めてみると、自社が求める人材ではない問題です。採用ターゲットにならない人からの応募のほうが多い状態でもあります。

求職者が多く手間がかかる

求人広告を出すと、応募が集まりすぎる問題です。応募数が多すぎた場合、面接に向けて対象者を絞り込むだけも大変な手間になります。また、書類選考が通過したお知らせや、不採用通知を出す手間もかかります。

 

欠席者が多い

会社説明会や採用面接の欠席者が多い問題です。採用活動の効率も悪くなり、人事担当者の負荷も大きくなります。

 

面接で大量の不合格者が出る

書類選考を経て面接を実施してみるものの、面接でNGとなる求職者が多すぎる問題です。

 

不合格者が多ければ、母集団形成からのやり直しが必要となります。ほかの課題と同様に、人事担当者の負荷は大きくなるでしょう。

選考中の辞退者が多い

書類選考⇒一次選考⇒二次選考……と選考が進むなかで、辞退されてしまうことが多い問題です。
 

内定後の承諾率が低く、必要な承諾者数を確保することが難しい状態も含まれます。辞退者が多ければ、内定を出す人数なども計画しにくい状況になります。

 

採用後のミスマッチがある

入社後に配属させてみると、現場のニーズと合わなかったり、価値観が合わず馴染めなかったりするケースです。

 

結果的に早期離職したり、離職までいかなくても成長が停滞したりするケースが連続します。

問題が起きてしまう7つの理由

人材採用において、上の章で紹介した7つの問題が起こる場合、採用活動のなかで以下の理由や原因のいずれかに該当する可能性が高いです。

 

採用したい人材が明確化されていない

自社の採用ターゲット(=どういう人材を求めているのか?)を言語化できていない状態です。もしくは、言語化された内容が、以下のように漠然としたものになっている可能性もあります。

  • 優秀な人材がほしい
  • 次世代リーダーを担える人材がほしい
  • 活躍できそうな人材がほしい
  • デキる営業がほしい など

採用ターゲットを明確化しなければ、母集団形成をするうえでも媒体選びやメッセージ発信がうまくいきません。また、選考過程でも合否や評価が面接官の主観に依存してしまい、結果的にミスマッチや現場ニーズとのズレが生じることもあるでしょう。

採用市場の動向を把握していない

採用市場には、景気や経済動向の影響を受けやすい特徴があります。たとえば、近年の採用市場には、以下のようなトピックやトレンドがあります。

  • オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド採用の定着
  • 新卒市場における早期採用の加速
  • エンジニア採用ニーズの増加による理系採用の難易度アップ
  • いよいよ始まる大卒新卒の少子化
  • 正規雇用からフリーランス市場への人材移動
  • リモートワークや副業の可否などの新たな企業選びの軸
  • ダイレクトリクルーティングの普及
  • リファラル採用、アルムナイ採用、SNS採用などの活性化

トレンドに振り回される必要はありませんが、上記のような採用トレンドやトピックを押さえることで、自社の求める採用ターゲットの動向を知り、時代に合った採用手法を選択できるようになります。

 

また、大前提として、設定した採用ターゲットの採用の難易度や採用市場での相場観などを知らなければ、現実的に難しい採用計画を組んでしまうこともあるでしょう。

自社の採用力と採用人材に適した採用手法を使っていない

たとえば、データサイエンティストやAIエンジニアなどの高度IT人材を求めているにも関わらず、求人の出稿先が、事務職やサービス業なども取り扱う総合型の媒体求人では、高い効果は得にくいでしょう。

 

また、ネームバリューが低い中堅・中小企業やベンチャー企業、また、不人気といわれるような業界の企業が、大手企業や人気業種の企業と同じように大手の採用媒体に広告を出しても、求職者から注目されづらいです。

 

自社の業種や知名度などに加えて、採用ターゲットに見合った媒体自社の採用力に見合った媒体、そして、採用ターゲットに向けて魅力が伝わる求人広告やメッセージを作るノウハウなどは採用力の一つです。

魅力が表現できていない

たとえば、社員にとって働きやすく、メンバーの満足度も高く、業績も良い企業があったと仮定します。

 

しかし、人事担当者が、自社の魅力を募集要項や面接でうまく表現できなければ、求職者は「注目した企業で働いてみたい!」とは思えません。

 

採用活動のなかで表現すべき魅力は、自社の良いところを箇条書きに並べたものではなく、「採用ターゲットにとっての魅力」である必要があります。

 

採用ターゲットを明確化したうえで、ターゲットが魅力に感じる要素はどのようなものか、自社のどの要素を打ち出すことが有効かを考えて取り組んでいきましょう。

応募・参加プロセスにハードルがある

たとえば、募集要項に以下のようにハイレベルな要件を並べすぎると、大半の求職者が非該当となり、応募を断念してしまいます。

  • SaaSサービスの法人営業経験3年以上
  • 海外拠点での営業経験 もしくは海外留学経験がある人(3年以上)

また、会社説明会や面接の会場がアクセスの悪い場所にあったり、開始時間がかなり早かったりすることもハードルになります。

 

応募当初から志望度が高い求職者が多いわけではない中堅の中小企業やベンチャー企業などは、応募初期のプロセスで、応募・参加プロセスにハードルがあると母集団が減ったり、ステップ率が下がったりしがちです。

 

たとえば、応募プロセスがいまの時代に「履歴書・職務経歴書を郵送」の場合、一気に求職者数は減少します。逆に、ある企業では、求人媒体の応募時に「エントリー理由の記入」をなくしただけで応募数が20%増えたという事例もあります。

 

マーケティングの基本といわれる4Cの一つが「Convenience(利便性)」です。求職者にとって、応募や参加プロセスが「めんどくさい」状態は、自ら採用課題をつくってしまっている状態です。

選考手法や面接官に課題がある

母集団形成まではできているものの、面接官の資質や選考のやり方に問題があると、採用ターゲットの適正な見極め・魅了付けが難しくなります。

 

特に面接官は、求職者にとって企業の顔であり、志望度を左右する存在です。そのため、たとえば、面接官が一方的に見極めるような面接をしていると、選考中の辞退、内定後の辞退が増加しがちです。

 

また、選考手法でも、適切に見極められるプロセスになっていない、面接官のスキルや主観に依存してしまっているケースもあります。

 

また、採用を急ぐあまり、求職者から見て、「安易に内定が出てしまう」ような面接プロセスの場合、“自分がしっかりと見て選ばれた”感覚が得られず、辞退につながりやすいでしょう。

人事部門と現場でズレがある

たとえば、「コミュニケーション力の高い人材がほしい」というニーズに対して、人事部門と現場の認識に以下のようなズレがあると、現場で配属後のミスマッチが生じやすくなります。

  • 人事部門:話す力や交渉力の高い人材がほしい
  • 現場(営業部門):顧客と信頼関係をうまく築ける人材がほしい

上記のような定性的な要件に対するとらえ方のズレはよくありますし、また、高度な専門職の採用や、人事が該当職種の経験がない場合、人事が見極めをすることが難しくなります。
現場の管理職や幹部が選考に関わることも大切です。

採用課題を解決する7つのポイント

採用課題を解決する7つのポイント

 

企業が採用課題を解決し、自社に合う優秀な人材を獲得していくには、以下のポイントを押さえて採用活動を進めていくと良いでしょう。

 

自社の採用力を客観的に認識する

以下のような失敗は、自社の等身大のレベル(採用力)とはかけ離れた活動から起こるものです。

  • 大きな母集団を形成できるほどのネームバリューがないベンチャー企業が、大企業と同じ求人媒体で競い合う
  • 口説く力が著しく低い企業がダイレクトリクルーティングサービスを使い、同じ文面のスカウトメッセージを送りまくる

たとえば、自社の母集団形成力が著しく低い現実がわかれば、大企業と同じ新卒市場ではなく、既卒者や大学中退者などのブルーオーシャンを狙うことも検討できるかもしれません。

 

また、口説く力が低い場合、自社でスカウトメッセージを送るダイレクトリクルーティングサービスではなく、人材紹介などの選択肢もあります。

 

採用活動を成功させるには、上記のように自社の採用力を客観的にとらえて、採用手法を選択することが大切です。

HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、既卒や第二新卒などを採用できる「就職カレッジ」と、大学連携型の「新卒カレッジ」という人材紹介サービス、そして新卒ダイレクトリクルーティング「FutureFinder」を提供しています。
それぞれに特性があるので、以下の資料をダウンロードしてみてください。

求める人材を経営層、現場、人事ですり合わせる

企業の経営層は、たとえば、「2025年までに新営業拠点を開設する ⇒ 開設のときに中核になってくれる営業リーダーが必要」のように、中長期的な視点で人材採用を考えていることも多いです。

 

一方で、現場は「今年の営業目標を達成するために、6月までに営業のプレイヤー層が3人ほしい。現場で育てるから行動量がある人であればいい」といったように短期的な視点で採用を考えることが多くなります。

 

上記のニーズがある企業で、たとえば、人事担当者が経営層のニーズ(営業リーダーの獲得)だけを見て採用活動を行なうと、現場のニーズとズレが生じます。一方で、現場のニーズだけを見て採用活動を行なうと、役員面接や最終面接で連続して不合格になってしまうといったこともあるでしょう。

 

採用活動を成功させるには、中長期的な視点を持つ経営層と、短期的ニーズを訴える現場、そして、採用活動を行なう人事担当者の間で、方向性やレベル感をすり合わせる必要があります。

ターゲット人材に対する自社の魅力を整理する

たとえば、以下のような魅力を求人票に記載しても、記載内容をターゲット人材が求めていなければ、あまり意味がありません。

  • 〇〇業界でトップシェア(2022年実績)
  • アットホームな職場
  • 社員食堂のメニューが豊富

求人票や募集要項に記載する魅力は、採用ターゲットのニーズ×自社の魅力の交わるところで考える必要があります。

 

わかりやすい事例でいえば、たとえば、アルバイト採用の場合、「制服がおしゃれ」「おいしい“まかない”が無料」「家から近い」といった軸で応募先を選ぶことも多いでしょう。企業がこうしたニーズに対して、「業界No.1」「崇高なミッション」を訴求しても母集団は増えづらくなります。

 

上記は極端な例となりますが、こうした「採用ターゲットにとっての魅力」をしっかりと整理しきらずに採用活動が実施されているケースは意外と多いものです。

採用プロセスを見直す

採用プロセスを見直す際に大切になるのが、「自社に応募するなかで、求職者にどのような良い体験をしてもらうか?」という採用CXの考え方です。

 

たとえば、インターネット上などで求人を認知した求職者が以下のようにネガティブな想いを抱いては、採用CXがうまくいっているとはいい難いです。

  • 「人材要件のレベルが高すぎて、自分には応募できない……」
  • 「面白そうな会社説明会だが、会場が遠い。会場まで行くほどではない……」

一方で、求人票を見た求職者に以下のようにポジティブな印象が生まれると、会社説明会への参加やエントリーといった次のステップに進みやすくなるでしょう。

  • 「自分の経験が生かせそうだな……」
  • 「オンライン説明会なら、研究が忙しくても参加できるだろう……」
  • 「説明会に参加すると、業界のことがわかる資料がもらえるようだ……」

実際は状況による部分もありますが、たとえば、認知や応募のフェーズでは、しっかりと魅力を伝えたうえで、応募のハードルを下げることが重要になります。

ただ、もちろん、採用ターゲットではない人ばかり応募してきても、企業にとっては意味がありません。そのため、採用ターゲットに向けたメッセージを発信することが大切です。

 

選考から内定のフェーズでは、適切な見極めを行なうことも大切ですが、最も重要なことは魅了付けです。

 

「内定を出したときに承諾してもらえる」状態までどういうプロセスで志望度を高めていくか、どのような形で内定を出すかから逆算して選考プロセスを設計することが重要です。

対応スピードを改善する

採用活動で、スピードは非常に重要です。求職者は、複数の企業に応募していることが当たり前です。そのため、以下のように「遅い対応」をすれば印象が悪くなりますし、場合によっては、応募を諦めてしまうこともあるでしょう。

  • 自社への問い合わせを1週間以上も放置している…
  • 二次選考に進む人を優先させているため、一次選考の通過者には連絡をしていない…
  • 面接日程の調整に1週間もかかっている…

一般的には、先に面接が進んだり、内定が出たりした企業が優先されることが多くなるので、対応スピードの遅さは辞退の増加につながります。

面接官トレーニングを行なう

面接官は、求職者と直接関わる自社の“顔”です。そのため、トレーニングを通じて面接官の仕事である見極め力・魅了付け力を高めることが大切です。

 

なお、面接官トレーニングをするまでに、自社の採用ターゲットに合った採用基準や質問も決める必要があります。詳しい流れは、以下の記事を参考にしてください。

中長期視点で採用力の向上に取り組む

企業の採用活動は、いま必要な人材を獲得して終わりではありません。採用活動は、企業活動が続く限り、定期的かつ必要なタイミングで行なわれていくものです。

 

そのため、自社の採用課題を本質的に解決するには、以下のように中長期的な取り組みも必要になってきます。

  • 職場や待遇をより魅力的なものへと改善する
  • 求人媒体・サービスを定期的に見直す
  • 低単価で優秀人材を採用できるリファラル採用、SNS採用、アルムナイ採用などに取り組む
  • 人事担当者がコアな業務に専念できるようにする
  • 定期的なトレーニングで面接官のレベルアップを図る
  • 採用基準や面接の質問をブラッシュアップする
  • 内定者フォローの仕組みを整備する
  • オンボーディングの仕組みを整備する

まとめ

今回は、人材採用でよくある「課題」「理由」「解決ポイント」をそれぞれ7つ紹介しました。

【人材採用における7つの課題】
  • 人材からの応募がない
  • 採用したい人材からの応募がない
  • 求職者が多く手間がかかる
  • 欠席者が多い
  • 面接で大量の不合格者が出る
  • 選考中の辞退者が多い
  • 採用後のミスマッチがある
【人材採用で課題が生じる7つの理由】
  • 採用したい人材が明確化されていない
  • 採用市場の動向を把握していない
  • 自社の採用力と採用人材に適した採用手法を使っていない
  • 魅力が表現できていない
  • 応募・参加プロセスにハードルがある
  • 選考手法や面接官に課題がある
  • 人事部門と現場でズレがある
【人材採用の課題を解決する7つのポイント】
  • 自社の採用力を客観的に認識する
  • 求める人材を経営層、現場、人事ですり合わせる
  • ターゲット人材に対する自社の魅力を整理する
  • 採用プロセスを見直す
  • 対応スピードを改善する
  • 面接官トレーニングを行なう
  • 中長期視点で採用力の向上に取り組む

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著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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