社員一人ひとりが自らのキャリアを主体的に考え、組織の中で120%、150%のポテンシャルを発揮できる環境をどう作るか。その実現策として多くの企業で1on1ミーティングが導入されていますが、上司のスキルのばらつき、忙しさによる形骸化に悩む企業は少なくありません。
そんな中、ITソリューションを手がける 世界に「0」をONする株式会社(旧社名:株式会社コンピュータ技研、2026年1月社名変更)は、AIメンターと人間の上司による1on1を組み合わせた独自のマネジメント手法を導入しています。代表取締役の松井佑介氏に、AIメンター導入の背景から実践で見えてきた成果と課題、そして今後の展望を聞きました。
<目次>
- 「個性を活かし合う世界」を目指す組織づくりの土壌
- ワークライフ「バランス」ではなく「バリュー」
- 給与自己申告制度が生む主体性と責任感
- メンバーシップ×オーナーシップという働き方
- 1on1の限界とAIメンター導入の背景
- AIメンターの実践―成果と課題
- AIメンターを有効活用する鍵は「内省力」
- 独自文化を学ぶAIへ
- AIと人が協働する次世代マネジメントの可能性
- 取材協力
「個性を活かし合う世界」を目指す組織づくりの土壌
社員のポテンシャルを120%引き出す環境
松井社長はそう語ります。
世界に「0」をONする株式会社は、「個性を活かし合う世界」というビジョンの実現に向けて、独自の制度と文化を育んできました。組織づくりの根底にあるのは、社員一人ひとりが自分らしく働ける環境を整えること。画一的な働き方を押し付けるのではなく、個々の強みや志向を尊重し、それを組織の力に変えていく。そうした思想が、後述する様々な制度設計に表れています。
ワークライフ「バランス」ではなく「バリュー」
バランスを取ることが目標ではない
象徴的な取り組みのひとつが「ワークライフバリュー(WLV)」という考え方です。松井氏は、「ワークライフバランス」という言葉に疑問を持っていたと語ります。
バランスという言葉には、仕事と私生活を天秤にかけて、どちらかを犠牲にしながら調整するというニュアンスも感じられます。しかし、本来目指すべきは「バランスを取る」ことではなく、仕事も私生活も充実させることであり、「両方の価値を高める」ことではないか。そんな問題意識から生まれたのが「ワークライフバリュー」という概念です。
社内に深く浸透した言葉の力
松井氏は「バランスという言葉を封印し、あえてバリュー(価値)という言葉を使うことで、仕事と私生活の価値をどう上げていくか、お互いがどう循環することが健全なのかを対話する文化を作ってきた」と説明します。
ワークライフバリューという言葉は社内に深く浸透しています。同社のエバンジェリスト 大内勇人氏は、新入社員が学生と話すときに「今、とてもワークライフバリューを感じてて」といった話をしていると紹介します。逆に社内で誰かが「ワークライフバランス」と言ってしまったら、一瞬「え?」となるほど浸透しているといいます。
言葉を変えることは、思考を変えることにつながります。「バランス」から「バリュー」へ。一語の違いですが、そこに組織の価値観が凝縮されています。ワークライフバリューという言葉が日常的に使われることで、社員の意識も「どちらかを犠牲にする」から「どちらも充実させる」という方向に変わってきたといいます。
給与自己申告制度が生む主体性と責任感
プロ野球の契約更改モデル
もう一つの特徴的な制度が「給与自己申告制度(オーナーシップ制度)」です。この仕組みを、松井氏はプロ野球の契約更改にたとえて説明します。給与自己申告制度では、会社が実績を評価して一方的に給与を決めるのではありません。社員自身がやりたいこと、やれること、実現されることを掲げ、それに見合う投資額=給与、を自分で考えて会社に説明します。
年2回の契約更改で、社員は自ら目標を設定し、それに見合う投資額(給与)を自己申告します。従来の人事評価制度とは真逆のアプローチです。会社が社員を評価して給与を決めるのではなく、社員が自分の価値を宣言し、会社がそれに投資する。発想の転換が、組織に大きな変化をもたらしました。
「誰も拾わないボール」を拾う人材が増える
松井氏は、給与自己申告制度の導入で予想外の効果が生まれたと振り返ります。「こういう課題ありますよね。僕がやろうと思ってます」「チャレンジしたいです」という声が出てくるようになり、よくある「誰も拾わないボール」、つまり誰の担当でもない組織課題に手を挙げる人材が増えてきたと言います。
例えば、月に何回か社内で勉強会を開催することも「貢献内容」として認められ、それが自分の仕事になり、会社から投資されます(給与が支払われます)。松井氏は、誰かから「やれ」と言われたからやるのではなく、自ら率先してやることで責任感が生まれ、それが成長実感に繋がっていると分析します。
指示待ちから提案型へ
従来の組織では、誰の担当でもない仕事は放置されがちです。誰かが気づいても「それは私の仕事じゃない」と見て見ぬふりをする、あるいは上司が誰かに押し付ける。こうした構造は組織の停滞を生みます。
組織課題を見つけたら「これ、私が解決します」と手を挙げることが給与に反映される仕組みがあることで、社員が主体的に動くようになるのです。この「自ら手を挙げる文化」が、後述するAIメンター活用の土壌にもなっています。
メンバーシップ×オーナーシップという働き方
ジョブ型は日本になじまない?
給与自己申告制度の背景には、松井氏の明確な問題意識もありました。松井氏は、「欧米で流行っているジョブ型は日本に馴染まないのではないか」と感じていたと話します。
ジョブ型雇用とは、職務内容を明確に定義し、その職務に対して給与を決めて、人を配置する雇用スタイルです。一方、日本の伝統的な雇用形態である「メンバーシップ型」は、人を採用してから職務を割り振る方式で、柔軟性がある反面、個人の役割が曖昧になりがちだと言われています。
松井氏が考えたのは、日本の働き方の特徴である「メンバーシップ型雇用」を否定するのではなく、そこに「オーナーシップ」を追加するという発想でした。組織の一員としてメンバーシップを持つ日本人の気質に、オーナーシップの要素を追加したら、これからの社会に向き合っていける組織・チーム・人材が育つのではないかと松井氏は考えました。
新入社員が「空回りできる」環境
オーナーシップを持って能動的に動こうとする若手社員は、時に空回りすることもあります。しかし同社では、それも成長のプロセスとして捉えています。もちろん空回りを放置するわけではなく、その経験を1on1などでしっかり振り返り、次にどう生かすかを考えてもらうことを意識していると述べています。
失敗を許容しつつ、そこから学びを得られる環境。この「振り返り」のプロセスが、次に紹介するAIメンター導入の重要な文脈になっています。
1on1の限界とAIメンター導入の背景
上司のスキルのばらつきと多忙という課題
こうした組織文化を育む中で、同社は若手の成長を支える仕組みとして、以前から上司と部下の1on1ミーティングを実施してきました。対話の質を高めるため、上司には『対話から学ぶ』などの書籍を読んでもらい、研修も実施してきました。
しかし、運用を続ける中で課題が見えてきました。上司の対話スキルにはどうしてもばらつきがあります。それぞれ多忙な中で、メンタリングやコーチング、カウンセリングの専門家でもない人たちに無理やり1on1をやらせる。それで「幸せになれるのか」と疑問を持ったと松井氏は語ります。
部下側からも率直なフィードバックが上がってきました。「あの人に話を聞かれたところで…」という声や、多忙を理由に1on1をスキップするメンバーも出てきました。松井氏は、「1on1は時間を取られるだけ」という感想を持っている人もいたのではないかと言います。
研修だけでは解決しない構造的な問題
1on1に関するスキル研修を実施しても、対話スキルの習得には個人差があります。そして、日々の業務に追われる中で、1on1を優先度高く捉える。「すべての管理職が、質の高い対話を継続的に提供することは難しい」という1on1を導入した多くの会社で生じる課題が同社でも顕在化していました。
1on1の形骸化は、多くの企業が直面している課題です。1on1を制度として導入することは簡単ですが、意味あるものとして運用することは想像以上に難しい。とくに社員の数が増えるほど、上司一人ひとりのスキルに依存する構造の限界が見えてきます。
同社の場合、オーナーシップ制度による主体的な社員が多いからこそ、形だけの1on1に対する不満が率直に表明されたのかもしれません。「この1on1、本当に意味があるのか?」、その問いかけに経営陣は真摯に向き合う必要がありました。
人とAIの役割を問い直す
そんな中、生成AIの台頭が新しい可能性を開きました。松井氏は、「部下も『上司に言ってもな』と思っていて、上司もうまく質問や傾聴できるかが不安なら、卓越したものに任せたら良いのではないか」と考えたと言います。
松井氏が着目したのは、AIの特性です。AIは感情のぶれも、忖度もなく、問いかけてくれます。聞かれた側も、ズバッと痛いことを言われても相手がAIだからこそ素直に受け止めることができます。松井氏は「AIにはバイアスがないので、フラットに聞いてくれる」と指摘します。従業員も相手がAIだと特別な感情が生まれず、「いや、それは違う」など正直に返せるため、健全な対話ができると松井氏は考えました。
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AIとの対話が生む心理的安全性
部下にとって、上司はその名の通り「上司」であり、評価者です。上司との対話では、相手の感情や評価、今後の人間関係を気にして本音を言えないこともあります。「こんなこと言ったら評価が下がるかも」「上司を困らせたくない」、そうした心理的な障壁は、対話の質を下げてしまいます。
AIとの対話は、そうした心理的な障壁を取り除く効果があります。AIは評価しません。感情的に反応することもありません。だからこそ、利用者は自分の本音を素直に吐き出せます。
また上司との1on1では、限られた時間で話をまとめなければならないというプレッシャーも生まれます。しかし、AIとの対話なら、自分のペースで考え、言葉を選び、何度でも言い直すことができます。「相手が待ってくれる」という感覚が、深い内省を促します。
AIが得意な「間(あいだ)」、人が担うべき「最初と最後」
松井氏は、AIで上司を置き換えようとしたわけではありません。むしろ、それぞれの得意分野を活かした役割分担を考えたと語ります。松井氏が考えたのは、内省のプロセスをAIに任せ、「どう考えたか」ということを人間である上司・メンターと会話することで、すごく絶妙な役割分担が出来るのではないか、ということです。
松井氏が考える役割分担は明確です。業務プロセスにおいてもAIが得意なのは間(あいだ)の部分、中間プロセスであり、最初と最後は人がやると松井氏は述べています。「最近どうなの?」という問いかけが人で、最後に「そうなんだ、これ頑張っていこうか」と上司が言うだけでも価値があるのではないかと松井氏は語ります。
同社での運用は、まずメンバーがAIメンターとメンタリングセッションを行い、その内容を踏まえて上司と1on1を実施するという流れです。AIとの対話で内省を深め、それを人間の上司と共有しながら次のアクションにつなげていく流れを推奨しています。
この設計は上司の負担を減らしながら、上司にしかできない価値を明確にしています。内省を深める「問いかけ」と「傾聴」をAIに任せ、人間は「共感」と「励まし」という、人間らしい役割に集中できる。AIと人が協働するスタイルのひとつかも知れません。
AIメンターの実践―成果と課題
問いかけ続けるAI、進化による「変化」も
AIメンターは、「答えを与える」のではなく「問いかけ続ける」設計になっています。松井氏は、「キャリアの内省につながるような問いかけをしながら本人に考えてもらう設計であり、具体的な回答を提供したり、アドバイスしたり、すぐに実行計画を作ってもらったりするのではなく、問いかけ続けることをやりたかった」と説明します。
AIメンターとの会話は、「何でもいいから、仕事でもプライベートでも、何か最近起こった出来事を教えてね」というところから始まります。
ユーザーが何か出来事を共有すると、AIメンターは「それについてどう感じたの?」「なぜそう思ったの?」「もし別の選択肢があったとしたら?」といった問いを投げかけ続けます。答えを教えたり、アドバイスしたりするのではなく、ユーザー自身が自分の内面を掘り下げていくプロセスを支援するのです。
AIの進化がもたらす予想外の変化
ただし、運用を続ける中で予想外の課題も見えてきたそうです。松井氏は「使い続けるなかで、AIメンターが学習し同じ挙動をしなくなった。当初とちょっと違う動きをし始めた」と言います。
具体的には、当初は「問いかけ」に徹していたAIが、アップデートを重ねる中で具体的なアドバイスをしたり、計画立案を促したりするケースが増えてきました。「AIから突っ込まれた」とか「AIから計画を立てろと言われた」といったことが最近起こり始めています。
AIの学習と進化は可能性である一方、当初設計した「問いかけ続ける」というコンセプトとずれる可能性もある。AIの状況を見ながら、設計思想を維持するための調整が必要だと松井氏は感じています。
これは、AIツールを組織に導入する際の新しい課題かも知れません。従来のソフトウェアであれば、一度設定すれば同じ挙動を続けます。しかし、生成AIは常に学習し、進化していきます。AIツールを利用するうえでは、その変化を目的に合わせてコントロールすることが重要になってくるのかも知れません。
AIメンターを有効活用する鍵は「内省力」
二極化する感想
松井氏は「AIメンターを利用した社員からのフィードバックは二極化する」と話します。
肯定的な意見としては、「考える時間がちゃんと取れる」「感情的なコメントではなく、何のバイアスもない問いかけが来るので思考が深まる」といった声です。
一方で、否定的な意見もあるといいます。とくに「どうしたら良いんですか?」と聞いてしまうと、AIは世間一般的な選択肢を複数提示してきます。そうすると、聞いた側は「そんなことは知っている」「当たり前のことしか言ってくれない」と感じて満足度が下がる傾向にあるそうです。
松井氏は、この差は使い手の姿勢の違いだと指摘します。大事なのは、「何でその行動を取れていないか」という自分と向き合うことです。しかし、それを内省せず、「どうしたら良いんでしょうか」とすぐ聞いてしまうと、「そんなことは分かっている」「気づきはなかった」という展開になりがちです。
答えを求める姿勢では深まらない
AIメンターは「問いかけ」を通じて内省を深めるツールです。しかし、答えを求める姿勢で臨むと、AIは世間一般的な回答を返し、「当たり前のことしか言わない」という不満に繋がってしまうのです。
例えば、「仕事でミスをしてしまいました。どうしたらいいですか?」とAIに聞いたとします。すると、AIは「ミスの原因を分析しましょう」「上司に報告しましょう」「再発防止策を考えましょう」といった誰もが知っているような一般的なアドバイスを返します。
しかし、本当に大切なのは「なぜミスをしたのか」「その時どう感じたのか」「同じような失敗を過去にもしていないか」といった、自分自身との対話です。AIメンターが問いかけるのは、まさにそうした内面的な問いなのです。
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内省力のトレーニングが必要
結果から見えてきたのは、AIメンターを使いこなすには、ある種の「内省力」が必要だということです。松井氏は、「普段から内省したり、自身の内面を深堀りしていくトレーニングをしていないと、AIメンターとの対話も広がっていかない」と述べます。
答えを求めるのではなく、問いと向き合う姿勢。それがAIメンターの価値を引き出す鍵となります。
ただし、これは利用者だけの課題ではありません。同社では、AIメンターを導入する際に「どう使うか」「何を目的にするか」を事前に説明し、内省の意味を理解してもらう取り組みも実施しました。AIメンターを有益なものにするためには、正しい使い方、使う姿勢を浸透させることが重要だと松井氏は考えています。
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独自文化を学ぶAIへ
現在、同社はAIメンターの外販も始めており、その中でさらなる進化の必要性を感じていると話します。具体的には、以下のような方向性を考えていると言います。
企業独自の文化を学習したAI
松井氏は、理念経営を大事にしている会社であれば、自社の理念や独自の文化を学習させたAIを作ることが大切ではないかと提案します。
汎用的なAIではなく、自社の価値観や文化を理解したAI。世界に「0」をONする株式会社であれば、「ワークライフバリュー」や「オーナーシップ」といった独自の概念を学習したAIメンターであれば、より深い対話が可能になるかもしれません。
例えば、社員が「最近、仕事とプライベートのバランスが取れなくて…」と相談したとします。汎用的なAIであれば「ワークライフバランスを改善するために、優先順位をつけましょう」といった一般的な回答をするでしょう。
しかし、世界に「0」をONする株式会社の文化を学習したAIであれば「ワークライフバリューという観点で考えると、今の状況は『バランスが取れていない』のではなく、『仕事と私生活の双方で価値を感じられていない』ということではないですか?それぞれどんな価値を求めていますか?」といった、同社の文化に即した問いかけができます。
組織課題の可視化
個人情報は伏せたうえで、1on1の会話からキーワードを抽出していけば、組織の課題やパターンが見えてくる。そうしたシステムにしていけば、AIメンターの未来は広がるとも言います。
個人の内省支援にとどまらず、組織の課題や傾向を可視化する。プライバシーに配慮したうえで、AIメンターを組織開発のツールとして活用する可能性も見えてきます。
例えば、複数社員のAIメンターとの対話から「キャリアパスが見えないという悩みが増えている」「特定部署でコミュニケーション不足を感じている人が多い」といった傾向が見えてくれば、先手を打って対策を講じることができます。
個人の悩みは個人のもの、と捉えるのではなく、個人の悩みの集合から組織の課題を読み解く。これは、AIならではの強みを活かしたアプローチです。
高度化されたインターフェース
AIメンターの進化として、AIのキャラクターや擬人化をさらに高度化することも必要だろうと考えています現在はキャラクターを設定したテキストベースの対話ですが、より没入感のある対話体験を提供することで、内省の質をさらに高められる可能性があります。
例えば、音声対応のAIメンターであれば、タイピングが苦手な人でも気軽に対話できます。VR空間の中でアバターとして表現されたAIメンターと対話すれば、さらに深い没入感が得られるかもしれません。技術進化に合わせて、対話体験そのものをアップデートしていける余地があります。
社員教育への展開
同社では、既にジョブカフェ(就職支援機関)へのAIカウンセラー導入支援を行っているほか、税理士事務所向けにも新たな展開を進めています。
いま開発しているのは、経験の浅い税理士や、税理士免許を持っていないが税務補助しているスタッフ向けに、対話していくことで、税務支援に必要とされるお客さんへのコンサルティング知識が身につくようなAIメンターです。
純粋なメンターやカウンセリングとは少し異なりますが、AIとの対話を通じて専門知識を習得できる仕組みです。「問いかけ」を通じて学びを深めるというAIメンターの本質は共通しています。
従来の研修では、知識を一方的に教え込む形式が主流でした。しかし、AIメンターとの対話を通じた学習であれば、学習者は自分のペースで、自分の疑問に沿って知識を深めていくことができます。
AIと人が協働する次世代マネジメントの可能性
役割分担が生む新しいマネジメントの形
同社の取り組みから見えてくるのは、AIと人間が得意分野を分担し合う次世代マネジメントの姿かもしれません。
感情やバイアスなく問いかけ続け、内省を深める「間(あいだ)」のプロセスを担う
最初のきっかけと、行動に向けた最後の励ましを担う
重要なのは、AIが人を置き換えるのではなく、人がより人間らしい価値を発揮できるように役割を再設計することです。AIメンターとの対話で深めた内省を、人間の上司が受け止め、背中を押す。AIとうまく役割分担することで、上司は限られた時間の中で質の高いマネジメントが可能になります。
上司の負担軽減と価値の再定義
従来の1on1では、上司は「問いかける」「傾聴する」「共感する」「励ます」「アドバイスする」といった複数の役割を同時にこなす必要がありました。これらを高いレベルで実行するには、相当なスキルと時間が必要です。
しかし、「問いかけ」と「傾聴」をAIに任せることで、上司は「共感」と「励まし」という人間らしい役割に集中できます。これは上司の負担を軽減するだけでなく、上司の価値を再定義することにもつながります。
「上司はすべてを完璧にこなす必要はない。部下の気持ちを受け止め、背中を押すことに収集すればいい」。この明確な役割定義は、上司の自信醸成につながるかもしれません。
オーナーシップ文化との共鳴
AIメンターの取り組みは、世界に「0」をONする株式会社が大切にしてきた「オーナーシップ」の文化と呼応しています。AIメンターは「自分と向き合う」ためのツールであり、それを通じて社員が自らの感情や違和感に素直になり、主体的にキャリアを考える。「個性を活かし合う」組織づくりの一環です。
「上司が答えを教える」のではなく、「AIとの対話を通じて自分で答えを見つける」。このアプローチは、オーナーシップの思想そのものです。自分のキャリアは自分で考え、自分で決める。その支援をAIと人が連携して行う。この構造が、同社の組織文化をさらに強化していくのでしょう。






