まず新人を育成、若手を定着させる上で、言うまでもなく現場の上司は大切です。
大抵の場合、研修期間中の新人は元気です。しかし、部門配属してから「辞めたい」とか「モチベーションが下がる」と言い始めます。
また、現場の管理職も「育成が難しい」「今年の子は弱い」「人事は何を教えていたの?」と人事に文句を言ってくる人がいるでしょう。
ただ、管理職の方も大変です。前述したように、自分が叩き上げで育ってきた方ほど、自分がされてきた教育とは違う育成手法をしないといけないわけです。
その中で、これからの新しい管理職像として厚労省が出している「イクボス」というモデルがあります。
イクボスというのは、「部下のワークライフバランスを考え、個人のキャリアや人生を支援し、かつ組織の業績や結果を出す」管理職です。
前半だけを見ると、ただの優しい上司のように思えるかもしれませんが、違います。個を尊重し生かすことで組織の業績や結果を出すのがイクボスです。ただ「キャリアを応援するよ」「プライベートを大事にしてね」というのは単なるぬるま湯です。
そうではなくて、「応援するから、一緒に結果を出していこう」というところまでしっかりアプローチできるのがイクボスです。

イクボスになるためには、ある程度の学習も必要です。時代の変化、コミュニケーション技法、異なる価値観への対応といった能力が必要です。
今後の管理職は、仕事をマネジメントするだけでは足りません。部下のキャリア、人生も含めて応援してあげる必要があります。個人の状況、人によっては介護を抱えていたり、病気の人がいたり、勤務形態もさまざまな方が増える中で、個々の人生を無視して「いいから仕事を頑張ってください」というマネジメントは通用しなくなっています。
大切なのは、個々の状況を考え見たうえで、1人1人の強みを引き出して支援することで、チームとして組織として強くなり、組織の業績や結果につなげていくことです。
従来のように正解がどこかにある、上司の知識が正解である、上司が決めてトップダウンで落として実行させれば上手くいくというのは過去の時代です。
今のように変化が激しく、技術進化も早いと、過去の経験を踏まえて上司が正解を知っているわけではありません。いま求められているのは、上司だけが正解という価値観ではなく、チームとして考えて新しい創意工夫をもたらしていくマネジメントです。
先ほどいまの新人・若手は「競争」には興味を示さないが「共創」には積極的と紹介しました。組織のマネジメントにおいても「共創」が重要な時代であり、上司と部下で共に答えを作っていく、決めて、それを正解にしていくことが求められます。
上司の言うことが絶対ではなくて、新入社員であろうが女性であろうが、管理職であろうが、役職も性別も年代も関係なく、全員が本音で話せて意見を言い合えてより良い答えを探していける組織が求められています。
こうした新しいマネジメントを実践できるのがイクボスです。イクボスを育成する上では、アンコンシャスバイアスを払拭していくことも重要です。アンコンシャスバイアスとは、思い込みや決めつけです。
たとえば、「女性って辞めちゃうよね」「今の若い子ってこうだよね」といったものもアンコンシャスバイアスです。なお、ここまで新人の特徴を紹介してきましたが、あくまで傾向です。この傾向を“個人を見ずに決めつけてしまう”とアンコンシャスバイアスになってしまいます。
そして、こういった思い込みや決めつけがあると、みんなが活躍できるカルチャーは生まれません。そして、組織のカルチャーは管理職の言動に紐づいています。
だからこそ、管理職の言動をより良くしていく必要があります。しかし、いま出来ていない管理職の方も「知らない」だけです。自分が育てられたやり方、価値観が通用しない中で、悩まれている方が多数います。だからこそ、丁寧にイクボス研修をして、アンコンシャスバイアスを解除していくと、関わりも変わり、新人や若手の定着率も変わります。