若手社員の離職要因や価値観の特徴を踏まえて、若手社員の離職を防ぐ10の方法をお伝えします。
若手の離職を防ぐ方法① アンケートやサーベイの実施
離職防止の第一歩は、若手社員の本音や組織の課題を把握することです。定期的なアンケートやサーベイを実施することで、従業員の本音や職場に対する不満を早期に発見しやすくなるしょう。アンケートを実施する際には、会社の改善点や要望を把握し、組織として取り組むべき課題を明確にすることが大切です。
また、アンケートを実施する際に重要なのは、従業員が安心して回答できる環境を整えることです。回答内容が人事評価に影響しないことを事前に明確に伝える必要があります。匿名回答にすることを検討しても良いでしょう。
ただし、アンケートやサーベイはどうしても回答が表面的になってしまう部分もあります。場合によっては、社外1on1や社外キャリアコンサルタント等を使って定性の聞き取り調査、面談をすることも有効です。
効果的な離職防止策を講じるためには、まずは現状を把握することです。その上で、改善策を実施して、効果や次に解決すべき課題を把握するという組織開発サイクルを動かすことです。一度きりの調査ではなく、定期的な実施体制を整えることが大切です。アンケートやサーベイ、社外1on1を定期的に実施し、改善施策の効果を測定、継続的な改善につなげましょう。
若手の離職を防ぐ方法② コミュニケーション頻度を増やす
若手の離職を防ぐには、やはり普段のコミュニケーションが大事です。若手をマネジメントする上では、とくにコミュニケーション頻度のコントロールを意識すると良いでしょう。1時間の面談を1カ月に1回するよりも、3分~5分の雑談を毎日する方が、若手の感情やモチベーションの変化を感じ取ることが出来ます。
雑談する時は、上司が一方的にしゃべるのではなく、彼らの話を聴くことが大切です。仕事の話に限らず、趣味でも週末の過ごし方でも何でも良いのです。その中で、普段と違うものを少しでも感じたら、率直にフィードバックして若手の話を引き出しましょう。普段からコミュニケーション頻度を高く保ち、話を聴いてあげることで、「この人は何かあった時に相談できる」という信頼関係が生まれます。
若手の離職を防ぐ方法③ 1on1ミーティングを導入する
マネジメントの世界で「1on1ミーティング」という概念がかなり浸透してきました。『日本の人事部 人事白書2020』によれば、1on1ミーティングを導入している企業は約4割になるそうです。
1on1ミーティングは、名前の通り、上司と部下が1対1で定期的に面談することを指します。1on1ミーティングは、上司が業務報告を受ける場ではありません。上司が話題を指定するのではなく、部下にテーマを設定してもらい、部下の話を聴く場です。
仕事だけではなく、「困っている事」や「相談したいこと」等、プライベート面を含め、しっかりと話を聴きましょう。上司は「せっかくの面談機会だから…」と伝えたいことや確認したいことが色々出てくるものですが、7:3ぐらいの割合で部下に話させて、自分は聴くことを心がけましょう。1on1ミーティングで出てきた話は、部下の許可を取ったうえでメモに残し、必要であれば、次回の1on1ミーティングの時に確認すると良いでしょう。
1on1ミーティングは最低でも1ヶ月に1回以上の頻度で、30分~1時間ぐらいは実施しましょう。優先順位を高め、どうしても外せないスケジュールの時以外は、1on1ミーティングを優先するようにします。1度でもキャンセルしてしまうと、「忙しいから…」とキャンセルすることが習慣化してしまいがちです。気を付けましょう。
若手の離職を防ぐ方法④ やりがいを演出する
離職原因や価値観で解説した通り、いまの若手は「精神的な充足感」や「承認」、「仕事のやりがい」を大切にしています。従って、仕事の意味付けをちゃんと行ったり、やりがいを感じさせたりすることは、若手のモチベーションを高め、離職を防ぐうえで非常に重要です。
人によって、やりがいを感じるポイントは違います。従って、自分がマネジメントしている若手が満足感や達成感、やりがいを感じるポイントが知ることが大切です。上司が、自分の価値観ややりがいを押し付けてしまうことがないように注意しましょう。
たとえば、ゲームが好きで攻略することが楽しいと思う若手社員なら、小さな目標を一つ一つクリアさせるように仕事させれば、仕事にやりがいを感じやすくなるでしょう。仕事での体験だけではなく、プライベートでの体験からでも、やりがいを演出するヒントを得ることが出来ます。
その他にも、「誰かに感謝される」、「上司に認められる」、「頼りにされる」等も若手社員がやりがいを感じやすいポイントです。日々のコミュニケーションや仕事を進める中で、やりがいを感じられるように演出することも離職防止に効果的です。
若手の離職を防ぐ方法⑤ 長時間労働を削減する
現在、残業や休日出勤が常態化している職場は、若手社員の離職リスクが大幅に高まります。ワークライフバランスを重視する若手社員が増え、長時間労働は離職防止を図るうえで大きな障害となってしまいます。そのため、長時間労働が常態化している場合、早急な対応が必要です。
残業時間の実態が把握できていない、「残業しないように」と声掛けをしているが効果が無い、といった場合にはまずは実態の見える化が必要です。職場の状況に応じて、以下のような施策を検討すると良いでしょう。
- 勤怠管理システムの導入、従業員の労働時間管理
- 業務プロセスの見直し・業務の棚卸し
- ITツールや自動化システムなどを導入し、生産性向上を図る
- 部署やチームの業務量を把握し、適切な人員配置を行う
また、会社全体で残業時間を削減する方針を明確にすることも重要です。具体的には、管理職が率先して定時退社を心がける、有給休暇を取得するなど、上司から行動する必要があります。上司が遅くまで残業していると、部下も帰りにくい雰囲気が生まれてしまいます。会社全体で長時間労働を是正する文化を作り上げることが、若手社員の定着につながります。
なお、「仕事のやり方は変えない。求める成果も変わらない。その中で働く時間を減らせと指示だけ来る」状態は、逆に社員のエンゲージメントを下げることになります。不要な業務を洗い出して止める、業務を自動化する、そのためのプロジェクトやツールを会社主導で動かすなど、会社として実行するための処置・支援をすることが重要です。
若手の離職を防ぐ方法⑥ 公平・透明な評価制度を確立する
評価制度に対する不満は、若手社員の離職要因となります。公平で透明な評価制度を確立することで、従業員の納得感を高め、離職防止につなげることができます。エンゲージメントサーベイなどを用いて「従業員が人事評価制度に不満を抱いていないか」を定期的に把握することが重要です。現状の課題を明確にし、改善点を特定することで、より効果的な制度改善を図る必要があります。
評価制度の透明性を高めるためには、業績や評価につながるポイントを明確に示し、評価基準を全社員に公開することが必要です。評価基準が不明確だと、不満や不信感が生じやすくなります。
ただし、評価制度というのは本質的には「利益の分配」です。従って、原資がないのに全員の評価を上げることは不可能です。何より大切なのは「透明」な評価制度と、納得感を生むための運用です。評価面談では、評価の根拠を具体的に説明し、若手社員の成長を支援する姿勢を示すことが大切です。
若手の離職を防ぐ方法⑦ 上司のマネジメントスキルを向上させる
現代の若手社員は、ただ命令を受けて働くよりも、「自分の意見を聞いてもらえる」「成長をサポートしてもらえる」と感じる職場を重視する傾向があります。そのため、従来の指揮統制型マネジメントから、対話やサポートを重視した「対話型マネジメント」への転換が必要です。
今の時代に求められるマネジメントスキルには、傾聴力、コーチング、フィードバック、チームビルディングなどがあります。若手社員の価値観や働き方への希望を理解し、個々の特性に応じたアプローチを取ることが重要です。
上司による不適切な言動・ハラスメントも離職の要因です。特に昭和型のマネジメントは、現在はパワハラなどに該当するリスクも高くなっています。管理職向けの研修やトレーニングを実施し、今の時代に合わせたマネジメントスキルにアップデートすることが必要です。
若手の離職を防ぐ方法⑧ 福利厚生を充実させる
従業員のニーズに合った福利厚生を提供することで、従業員満足度の向上と離職防止の効果が期待できます。福利厚生の主な例としては、以下などがあります。
- 住宅手当や家賃補助
- 昼食代補助
- 資格取得支援やセミナー参加補助
- 人間ドックなど健康診断
- レジャー施設優待
- 特別休暇
現代の若手社員に人気の福利厚生には、リモートワークやフレックスタイムなどもあります。若手社員が求める福利厚生の内容を把握し、優先順位をつけて段階的に導入することを検討するとよいでしょう。
ただし、福利厚生の検討で重要なのは「希望する人が多いからやる」ということではなく、「誰に向けて福利厚生をするのか?」、そして、「どんなメッセージを込めるか?」です。
当然ですが、福利厚生には費用がかかります。「定着してほしい社員」に向けて福利厚生を実施する、また「どんな組織、働き方、文化を目指すのか?」という軸を明確にしながら優先順位を決めて取り組みましょう。
若手の離職を防ぐ方法⑨ 成長やキャリア形成を支援する
今後のキャリアに対する不安は、若手社員が離職を考える大きなきっかけとなります。現在の若手社員は、キャリア形成の中で転職を当たり前の選択肢として考えており、キャリアや成長に対する不安が離職の引き金となりやすいといえます。
「今の職場では成長機会が限られている」「今後のキャリアパスが不明瞭である」と感じられると、優秀な若手人材はすぐに流出していきます。キャリア形成への不安を解消することが必要です。
具体的には、
- 定期的なキャリア面談の実施
- キャリアパスの提示
- スキルアップのための研修
- キャリアデザイン研修の実施
などがあります。社内公募制度やジョブローテーション制度、リスキリングの提供なども効果的です。
若手社員が「この会社で働くことは自分の成長につながる」と考え、キャリアビジョンを持つことができ、市場価値を高めながら企業内で成長できる環境を整備することが、長期的な定着に繋がります。
若手の離職を防ぐ方法⓾ 離職防止研修を実施する
若手社員の離職を防ぐ方法として、離職防止研修を実施する方法も効果的です。離職率の高さに悩む企業は対策の一つとして導入するとよいでしょう。
特に若手社員の離職理由として、仕事に対する期待と現実のギャップ、リアリティショックは大きなものです。放置しておくと離職に気持ちが傾いてしまう可能性がありますので、フォローをする必要があります。
またリアリティショックに加えて入社後、職場での人間関係やライフスタイルの変化によるストレス、疲労の蓄積なども重なり、離職を考えやすくなっている可能性があります。こうしたことから、例えば入社1年目の社員に対しては配属して数ヶ月後に離職防止研修を実施するのが良いタイミングだといえます。
入社2年目、3年目の社員に対しても離職防止を考える必要があります。若手社員の入社後の状況に合わせ、離職防止研修を実施することで離職率低下に効果が期待できるでしょう。
離職防止研修の時期と内容、実施のポイントについて、以下の記事で詳しく紹介しています。興味のある方はご覧ください。