従業員のモチベーションアップやキャリア自律を目的に1on1の実施を進めている企業が増えています。モチベーションアップにつながる「1on1」と退職につながってしまう「1on1」は何が違うのか? 400名を対象にしたアンケートデータをもとに、従業員のモチベーション向上につながる「1on1」を解説します。
※本記事は2部構成のvol.2となっています。Vol.1は下記よりご覧ください。
<目次>
- 社内1on1のメリットとデメリット
- 社外1on1のメリットとデメリット
- 社外1on1の導入を相談いただくケースTOP3
- 社内1on1と社外1on1、2階建て構造のススメ
- 社外1on1、キャリア相談窓口「Kakedas」
社内1on1のメリットとデメリット
最近増えている社内の1on1と社外の1on1を併用・活用するケースの事例を紹介していきます。「効果的な1on1は、社内と社外、どちらが良いか?」と聞かれることがありますが、どちらにもメリットとデメリットがあります。
まず社内1on1のメリットとデメリットを整理しました。
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社内1on1のメリットは、会社の人事制度や組織を知っている人が面談するほうが社内でのキャリアパスは明確化される、直接的な支援がしやすいことです。また上司であれば、普段の業務のやり取りや関係値ができていますので、コミュニケーションも短くて済むことが多いと思います。業務知識もあるため、具体的なアドバイスをすることもできます。
いっぽうで、デメリットとしては上司との利害関係です。つまり上司は評価者ですし、また優秀な部下であれば“囲い込みたい”という利害も生じます。これらが相談内容やコメントに影響を与えてしまいます。また、上記のような利害関係がある、また一緒に働く相手だからこそ率直に悩みを話しづらいという心理的な抵抗感・不安も生じやすいです。
そして、1on1は対話だからこそ、上司の技量だけではなく、基礎的な人間関係、そして価値観の相性もあります。相性に関係なく、質の高い対話を実施するには、かなり高い技量が必要となってくるでしょう。
社外1on1のメリットとデメリット
次に社外1on1のメリットデメリットを見ていきます。
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基本的は、社外1on1のメリットとデメリットは社内1on1の裏返しです。
まず最大のメリットは中立的な立場だからこそ、公正なアドバイスが受けられるということです。そして、第三者だから話しやすい、心理的な安全性が確保されることもあります。利害関係がある上司や組織内では言いにくいテーマが、キャリア形成、プライベート、人間関係などです。
ジェイックグループでは「Kakedas」という国内最大級のキャリア面談プラットフォームを運営しています。そこでの相談テーマを見ていると、プライベートやキャリアの相談というのは非常に多いです。とくに20代・30代はキャリア形成の悩みは多いです。また、20代女性の場合は結婚とキャリア形成、30代になると女性はライフイベントや子育てと仕事の両立、また、性別を問わず家庭や介護などの話も出やすくなります。
年齢が高い方はプライベートな相談をしてないかというと、そんなことはありません。シニア層になると役職定年や定年を意識する中で、仕事のやりがい、役職定年後のキャリア、会社をリタイアした後に人生設計などの相談も増えてきます。
また社外1on1のメリットとして、相性マッチングや多様な視点もあります。Kakedasの場合には、従業員は相談の都度、相談テーマや状況に応じて違うキャリアコンサルタントを指名できる形になっています。このような形式であれば、自分と相性が合う相手に相談するということが可能になります。
さらに価値観的な相性だけでなく、テーマに応じて「キャリア相談は職種経験がある人」「英語を使った仕事をしていきたいから海外業務の経験がある人」「マネジメントの相談をしたいから同じレイヤーでマネジメント経験がある人」「子育てと仕事との両立はワーママ経験がある人」「定年への悩みや不安は同世代の人に話したい」といった形で選ぶことができると、有益なアドバイスも得やすいですし、相談者の満足度も向上します。
いまの20代がキャリアに悩んだ時、最も身近で相談しやすく、かつ無料で使えるサービスは転職エージェントのキャリア相談です。しかし、自分の市場価値やキャリア形成への客観的な意見を求めて転職エージェントの面談に行ったところ、「あなたの経験なら、転職すれば待遇UPやキャリア形成できますよ」と転職に誘導されてしまうケースも多くあります。
転職エージェントは、転職支援で成果報酬をもらうビジネスモデルですので、その中で本当に客観的かつフラットなアドバイスを出来るのは高い倫理観と豊富な経験のある方だけです。一般的にはどうしても転職を薦めるポジションになってしまいます。
一方で、社外1on1であれば、企業が費用を負担するからこそ転職を前提としないキャリア相談ができます。キャリアに対する知識や経験値が高い専門家に相談することで、幅広い視点に基づいた客観的なアドバイスが得られるようになります。その結果、キャリア相談を経ることで離職率は下がっていく効果もあります。
こうしたメリットの一方で、社外1on1は社内ではないため、定期的に面談して継続的な支援をすることが難しい場合も多くなります。また、事業内容、社内制度や文化、社内のキャリアパスなどに関しては知識が不足します。その意味で、社外1on1はカウンセリングやコーチング的なアプローチであり、具体的なアドバイスやキャリアパスを明確化することは難しいというデメリットが生じます。
社内1on1と社外1on1、どちらもメリットデメリットがあります。だからこそ、組み合わせることで、社内1on1と社外1on1の良いとこ取りをして両輪で実施することで従業員のパフォーマンスを上げていくことが大切です。
最近は、大手企業を中心に、上司との1on1、キャリア研修+社内面談や社内のキャリア相談窓口に加えて、社外のキャリア面談窓口を作りたいという相談を良くいただきます。まさにメリットとデメリットを踏まえて、「組み合わせる」という考え方です。
社外1on1の導入を相談いただくケースTOP3
社外1on1の導入を相談いただく企業に多いのがキャリア自立の支援に取り組んでおり、その中で悩みや課題があったというケースです。以下は、多くご相談いただくケースです。
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まず、キャリアシートを書けないということです。会社としてはキャリア自律支援の一環で、人事制度の中で定期的にキャリアシートを書いてもらっているが、従業員が書けない、もしくは内容が非常に薄いという悩みです。
また、キャリア自律支援を機能させるために社内で相談窓口を作ったというケースもよくあります。社内で国家資格キャリアコンサルタントの資格を保有している人事の方にキャリア相談窓口を設けてもらいます。しかし、「なかなか使われない」「社内の人だと話しにくい」といった課題が出てきて、社外窓口との併用を検討するというケースです。
キャリアの悩みは本人も言語化できていなかったり、ネガティブな悩みや感情から始まっていたりするケースが多くあります。そうすると、社内では相談しにくいのです。結果として社外のキャリア面談、1on1で一度感情を整理、何をしたいかを言語化することで、「何をしたいか明確になったので、社内で人事に相談してみます」となるケースもあります。
他にはタイミングが合わないという問題もあります。いまの大手企業は殆どがキャリア研修を実施しています。50歳になったら初めてキャリア研修をやるという会社や3年目、5年目、昇進した時、などいろいろなタイミングで実施されている企業があります。
実施は社内での実績等を踏まえて、キャリアの悩みが生じやすいタイミングで設定されているわけです。しかし、キャリアの悩みが生じるタイミング、相談したいタイミングは人それぞれです。そのため、定期的なキャリア研修やキャリア面談では個々のタイミングをカバーできません。そのため、各個人が自分のタイミングで相談できる場を作りたいという相談です。
社内1on1と社外1on1、2階建て構造のススメ
どのように社内1on1と社外1on1の両輪を実現するのが良いかを、事例とKakedasのサービスも含めて紹介します。実際に両輪で1on1を実施している会社では、以下のような成果があがってきます。
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社外1on1、キャリア相談窓口「Kakedas」
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我々が提供する「Kakedas」というキャリア面談プラットフォームは、社外1on1、外部のキャリア相談窓口という位置付けになります。利用者のメリットとしては、社内では言えない相談ができますし、第三者からの客観的なフィードバックで自分自身の立ち位置もわかるようになります。
相談相手は、全員が国家資格を取得している専門家であり、言語化のサポート能力があります。Kakedasでは、累計3,040名(2024年10月1日時点)の国家資格キャリアコンサルタントを書類選考・面談してスクリーニングしています。そして、その方々と従業員をマッチング、また従業員自身が経歴や得意テーマで検索して、自分が相談したいコンサルタントを指名できます。
また、Kakedasのような社外1on1は会社側にもメリットがあります。1件1件の面談内容は従業員にとって安心な場を作るため、どういったことを話したのかは会社にはお伝えしません。しかし、コンサルタントのレポートや対話データの分析を通じて、従業員の傾向や他社とのデータ比較、従業員の特徴や悩みを可視化されたレポートを企業に提供しています。
対話データを分析するからこそ、通常の組織サーベイとは違い、スコアが低い/高い裏側にどんな本音があるのかを確認できます。
ある企業では、エンゲージメントサービスの高い部門・低い部門にKakedasを導入することで、サーベイではつかめない実態を確認している事例もあります。企業側としてレポートをもとに組織開発や研修プログラムを改めて設計し直すこともできるでしょう。
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従業員の満足度、面談の質を高めるうえで大事なことは「誰が相談にのってくれるか?」です。相性の合う人、相談したい人を選ぶというプロセスが重要です。
Kakedasでは、パーソナリティ診断を従業員の方に受けていただき、そのデータをもとに個人の価値観と相性が良いキャリアコンサルタントが10名を相談候補としてAIがピックアップします。従業員は10名の詳細プロフィールを見て、また、それ以外のコンサルタントも検索して、相談したいコンサルタントを指名可能です。
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また、Kakedasの強みは前述の通り、社員の本音を他社比較も含めてレポートとして提供するということです。Kakedas上でのキャリア面談は、コンプライアンス・セキュリティ確保および分析の目的ですべて録画しています。
個別データを外部に提供することはありませんが、全対話データを分析し、AIも活用して従業員が多く使っているキーワードが何か、何に対して悩んでいるか等を分析。また面談したコンサルタントの評価も踏まえて、メンタルヘルスや定着可能性なども分析します。
このデータは、組織開発や、社内の定着などに活用できますし、研修プログラムのブラッシュアップに使われている企業も多いです。Kakedasにご興味あればお気軽にお問い合わせください。
本日は調査結果も踏まえて、社内1on1の効果性と共に社内1on1の実態、また、自律型社員の育成に有効な社内1on1と社外1on1の組み合わせについて紹介しました。組織開発の参考になれば幸いです。
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