目的達成に向けて組織力を強化するためには、チームビルディング研修を取り入れるのがおススメです。記事では、チームビルディング研修の目的とおもな内容を整理したうえで、おススメのゲームや実施プログラムを詳しく解説していきます。
<目次>
チームビルディング研修の目的
チームビルディング研修の目的は、以下の2つです。
- チームをつくること
- チームビルディングができるリーダー育成をすること
ここでの「チーム」とは、「メンバーの協働を通して相乗効果を生み出し、チームの目的・目標を達成する集団」を意味します。チームは「人が集まっただけ」のグループとは大きく異なる概念です。
また、チームビルディング研修は、おもに前者(1)の目的で実施されることが多いでしょう。例えば、年度が変わる際に人事異動があると、新たな目的・目標とメンバーでチームをつくる必要があります。
また、企業の意思決定を行なうボードメンバーやマネジメントメンバーがチームになっているかどうかは、組織全体の生産性に大きな影響を与えます。
一方で、それぞれが担当領域の責任者であるボードやマネジメント層は意外と“チーム”になりづらい側面もあります。したがって、幹部や管理職層を対象としたチームビルディング研修もニーズが大きい分野です。
他にも、ミッションやビジョンの再浸透を目的に組織の全メンバーでワークショップを行なったり、新たなプロジェクトのスタートに際してミッションやビジョンをつくるとともに相互理解を進めたりする取り組み等もチームビルディング研修の一つです。
チームビルディング研修のおもな内容
チームビルディングを行なうシーンは、大きく3つにわかれます。
1つ目は、日常の朝礼や会議のなかにチームビルディングを盛り込む場合です。
2つ目は、研修等の効果性を高めるために冒頭にチームビルディングを行なう場合、
最後にチームビルディング自体を目的として研修等を行なう場合です。
記事では、おもに2つ目と3つ目のケースを中心に解説していきます。
研修等の効果性を高めるために冒頭にチームビルディングを行なう
この場合のチームビルディングは、研修の本編をスムーズに行なうためのアイスブレーキングに近い位置付けです。具体的には、相互理解を深めたり、研修の導入となるような短時間のゲームを行なったりします。15分~60分程度で実施されるものが多いでしょう。
チームビルディング自体を目的として研修を行なう
こちらの場合は、目的を共有して協働によって目標達成する「チーム」をつくること自体が研修のゴールです。一般的には、半日~終日、場合によっては合宿や期間を空けながら何度かチームビルディング研修を実施していきます。
チームビルディング研修は、日常から離れてプログラムに集中するため、社内ではなくオフサイトミーティングの形で実施することが多い傾向があります。
実施するプログラムとしては、相互理解に重点を置いた屋外型の研修、ミッション・ビジョン・バリューや事業計画についてディスカッションするワークショップ型のものが多いでしょう。
チームビルディング研修を行なう際のポイント
チームビルディング研修の実施に際しては、以下の点に注意が必要です。
チームビルディングの目的を忘れない
チームビルディングは、単に懇親を深め、仲良くなることが目的ではありません。そういった要素が含まれる部分も多少はあります。しかし本質は「目的を共有して、協働して目標達成するチームをつくる」ことです。
目的を見失ってしまうと、単なる懇親に近い内容になってしまい、ゴールに向けて協働するチームづくりは難しくなるでしょう。
お互いの違いを受け入れる
チームのミッション、ビジョン、バリュー、目標や計画について真剣に話し合いをすると、必ず価値観や考え方、強みの違いが出てくるものです。
チームビルディングにおいては、お互いの違いを受け入れることが一つのハードルであり、逆にお互いの違いこそがチームとして相乗効果を発揮するための重要な要素となります。各メンバーが萎縮することなく自身の力を発揮するには、多様性も受け入れられる心理的安全性の高いチームを目指す必要があります。
平等かつ本音で話し合うためのファシリテーション
上司等がチームビルディング研修の進行を行なうと、どうしても職場における上下関係が発言等に影響して、メンバーから平等かつ本音の意見が出にくくなることも考えられます。
こうした問題を防ぐためには、目的や状況によっては外部の研修会社等にプログラム設計やファシリテートを進めてもらい、率直な意見を出せる環境をつくこともおススメです。
チームビルディング研修におすすめのゲームやプログラム
チームビルディング研修におススメのゲームやプログラムは、大きく分けて2つに分類されます。
- 研修の効果を高める「チームビルディング」プログラム
- 「チームビルディング」を目的とした研修プログラム
それぞれのプログラムで使えるゲーム例とポイントを詳しく解説していきます。
研修の効果を高める「チームビルディング」プログラム
研修の効果を高める「チームビルディング」プログラムは、研修等の効果性を高めるために行なうもので、研修内で形成された“チーム”や“グループ”のチームビルディング、一種のアイスブレーキングを目的としたものです。
アイスブレーキングは、研修や会議の緊張感や堅苦しい雰囲気を氷(アイス)に例え、緊張や堅苦しい雰囲気を壊すという意味・役割 であり、研修に取り入れると以下のようなメリットが期待できます。
- 積極的な発言が促される
- チームメンバーの相互理解が深まる
- ファシリテーションの支援になる
等
アイスブレーキングに使えるおすすめのお題とは?
研修のアイスブレーキングでは、緊張緩和と価値観共有、相互理解につながるお題がおススメです。短時間でできるアイスブレーキングのお題をご紹介します。
お互いの共通点を挙げて、それらをホワイトボードにたくさん書いていくものです。各自の共通点を見つける過程で、コミュニケーションを図れる利点があります。
メンバーの距離感を縮めるには、「あだ名決め」というお題もおススメです。特に企業内での研修においては、呼び方に「役職」等が入ると、発言や場が普段の上下関係に囚われがちです。ニックネームまでせずとも「さん」付けで統一する等は実施することがおススメです。
「仕事で一番大切にしたいことは?」といった質問への答えや、ストレングスファインダー等の診断結果の共有も短時間でできるチームビルディングにおススメです。
チームビルディングを目的とした研修プログラム
本題であるチームビルディング研修には以下のような研修プログラムの実施がおススメです。
チームメンバーの判断基準や価値観のルーツとなる原体験を共有するというものです。前述した「強みや価値観の共有」をさらに一歩進めて、メンバー間の相互理解を深めるものです。
「今の会社に入社した理由」「仕事で最もうれしかったこととその理由」「理想的な仕事のやり方」「最高のチームとは」といった人生の大きな選択や価値観、目標達成に関する体験の共有がおススメです。
チームが機能するためには、目的や目標の共有が必要です。しかし、多くのビジネスシーンで、組織の目標やゴールは事業計画から逆算されて設定されたものであることも多く、メンバー全員が自分事として感情移入した目的や目標ではありません。
そこで有効なのがミッションやビジョンをチームメンバーで協議して決定することです。自分たちで意思決定したミッションやビジョンは自分事としてオーナーシップを発揮しやすくなりますし、議論の過程で価値観の違い等も見えてきます。
また、価値観の違い等も見えてきたなかで、組織として守るべき共通の価値観・仕事の進め方が「バリュー」です。守るべき共通のルールがあるからこそ、お互いの違いを受け入れやすくなります。
ミッション、ビジョン、バリューが明確なチームは、意見の衝突や混乱、対立が生じたときに、すぐに原点に立ち返って解決、意思決定することができるでしょう。
チームビルディングを成功させるうえでは、それぞれが仕事に求める価値や自分にとってのプロジェクトの位置付けといった「意味付け」もチーム内で共有することが有効です。
互いの「意味付け」を理解して、また価値観の違いを受け入れられるようになると、それぞれが不安や恐怖を感じることなく自分の意見や行動ができるようになります。人間関係の質は、思考の質、行動の質、結果の質へとつながります。
チームビルディングが結果へとつながる流れを示す「成功循環モデル」と心理的安全性について、下記の記事でも解説しています。チームビルディングについて詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
ミッション・ビジョン・バリューを決めてチームのあるべき姿やゴールが明確になったら、ゴールを達成するための具体的な目標や実行計画に落とし込んでいきます。ここでの目標は、チームとしてある一定期間で達成すべき状態や数字、到達点を指し、SMARTの原則を踏まえた定量的な目標です。
ミッションやビジョン、バリューを協議して決めることがチームビルディングにつながるのと同様に、具体的な目標と実行計画を自分たちの手で協議して決めることもチームビルディングにつながります。
組織のボードメンバーや事業をけん引するマネジメント層のチームビルディングにおいては、「ドラッカー5つの質問」と呼ばれる質問を協議することもおススメです。
「ドラッカー5つの質問」は、名前のとおり、経営学者であるピーター・ドラッカーが経営において検討すべき問いとして提唱する5つの質問です。
- 第1の質問:われわれの使命は何か?
- 第2の質問:われわれの顧客は誰か?
- 第3の質問:顧客にとっての価値は何か?
- 第4の質問:われわれの成果は何か?
- 第5の質問:われわれの計画は何か?
質問の主語である「われわれ」は、経営や事業運営を個人ではなく、チームで実行する前提を意味しています。
ドラッカー5つの質問は、自分たちが何を成し遂げるのかという共通目的・目標を明確にして、「われわれ」がチームとして協働して実現するのだという自覚を生み出します。
まとめ
チームビルディング研修は、共通の目的・目標を、協働して相乗効果を発揮しながら達成するチームを作るために実施されるものです。
チームビルディングは、
- 日常の朝礼や会議にチームビルディングを盛り込む
- 研修の効果性を高めるために冒頭でチームビルディングを行なう
- チームビルディング自体を目的とした研修を実施する
といった3つの場面で行なわれますが、チームビルディング研修として注目されるのは3つの目のものです。
組織力向上に向けてチームビルディング研修を取り入れる際は、記事で紹介したチームビルディング研修のプログラムも参考にして、目的や状況に合った研修を検討してみてください。
なお、チームビルディング研修は、普段の人間関係やパワーバランス等に左右されることを防ぐために外部のプロ、研修会社に依頼することもおススメです。チームビルディング研修に興味があれば、HRドクターを運営する研修会社ジェイックにぜひお問い合わせください。