チームビルディング研修では、具体的にどのようなプログラムを取り入れれば良いかわからないこともあるかもしれません。本章では、具体的な研修の事例を紹介します。ぜひプログラム設計の参考にしてください。
アイスブレーキング
アイスブレーキングは、研修や会議の緊張感や堅苦しい雰囲気を氷(アイス)に例え、緊張や堅苦しい雰囲気を壊すという意味であり、研修に取り入れることで以下のようなメリットが期待できます。
- 積極的な発言が促される
- チームメンバーの相互理解が深まる
- ファシリテーションの支援になる
研修のアイスブレーキングでは、緊張緩和と価値観共有、相互理解につながるお題がおススメです。短時間でできるアイスブレーキングには以下のようなものがあります。
共通点探し
お互いの共通点を挙げて、それらをホワイトボードにたくさん書いていくものです。各自の共通点を見つける過程で、コミュニケーションを図れる利点があります。
あだ名決め
メンバーの距離感を縮めるには、「あだ名決め」というお題もおススメです。特に企業内での研修においては、呼び方に「役職」等が入ると、発言や場が普段の上下関係に囚われがちです。ニックネームまでせずとも「さん」付けで統一する等を実施することがおススメです。
強みや価値観の共有
「仕事で一番大切にしたいことは?」といった質問への答えや、ストレングスファインダー等の診断結果の共有も短時間で実施できるワークです。
相互理解
相互理解を深めることも、チームビルディング研修で大切な要素です。チーム内の信頼関係や安心感は、メンバーがお互いの価値観や考え方、強みの違いを理解してこそ高まるものです。
たとえば、以下のようなワークショップを行ない、結果を共有したりすることで、メンバーの相互理解が深まりやすくなります。
- ソーシャルスタイル:人のコミュニケーションや立ち居振る舞いの傾向を4つに分類したもの
- ミッションステートメント:自分の人生の目的、ありたい姿を記したもの
- ストレングス・ファインダー(R):自分の持つ34種類の資質(才能)がわかる才能診断ツール
自己開示、内省
普段のビジネス場面ではなかなか話さない自分の原体験などを見出したり、そうしたものを自己開示したりすることで、深い相互理解を生み出すことが可能になります。深い相互理解は、チームの心理的安全性の向上につながります。
「ジョハリの窓」のワークショップなども自己開示に活用できます。内省や自己開示とは、ジョハリの窓でいう盲点の窓や未知の窓に関するフィードバックや自己開示を通じて、解放の窓を広げていくプロセスです。
価値観や原体験の共有
価値観や原体験の共有は、チームメンバーの判断基準や価値観のルーツとなる原体験を共有するものです。価値観や原体験を共有することで、メンバー間の相互理解を深めることができます。
「今の会社に入社した理由」「仕事で最もうれしかったこととその理由」「理想的な仕事のやり方」「最高のチームとは」といった問いへの答え、また人生の大きな選択や価値観、目標達成に関する体験を共有することがよいでしょう。
これらのワークを通じて、普段は知ることのできないメンバーの想い、ポリシー、考え方を理解することができます。
チームのミッションやビジョン、バリューの協議や決定
チームが機能するためには、目的や目標の共有が必要です。しかし、多くのビジネスシーンで、組織の目標やゴールは事業計画から逆算されて設定されたものであることが多く、メンバー全員が自分事として感情移入した目的や目標になっていないことが多いものです。
そこで有効なのがミッションやビジョンをチームメンバーで協議して決定することです。自分たちで意思決定したミッションやビジョンは自分事としてオーナーシップを発揮しやすくなりますし、議論の過程で価値観の違い等も見えてきます。
価値観の違い等も見えてきたなかで、組織として守るべき共通の価値観・仕事の進め方が「バリュー」です。守るべき共通のルールがあるからこそ、お互いの違いを受け入れやすくなります。
ミッション、ビジョン、バリューが明確なチームは、意見の衝突や混乱、対立が生じたときに、すぐに原点に立ち返って解決、意思決定することができるでしょう。
ビジョン構築、計画立案
チームビルディング研修では、チームのビジョンの構築や計画の立案を行う場合もあります。ある程度信頼関係ができているチームであれば、ビジョン構築や計画立案をチームで行うことで、主体的な関わりを促すとともにモチベーション向上が期待できます。
以下のようなフレームワークを使った研修で、チームが目指すべきビジョンや目標、実施計画などを考えていきます。
- GROWモデル
- ブレスト
- マンダラート
- カスタマージャーニー など
チームで協議をして検討するなかでは、意見の相違や衝突も起こります。しかし、意見の相違・衝突自体が、いわばタックマンモデルのプロセスを歩むことになります。
ある程度の心理的安全性が確保されている場合、こうしたビジョンや計画立案のワークショップに本気で取り組むことが有効となります。ただし、心理的安全性が確保されておらず、表面的な意見交換になってしまうと、チームビルディングの深い効果は生まれませんので、チームの状況に応じて選択することが大切です。
ドラッカー5つの質問
組織のボードメンバーや事業をけん引するマネジメント層のチームビルディングにおいては、「ドラッカー5つの質問」と呼ばれる質問を協議することもおすすめです。
「ドラッカー5つの質問」は、名前のとおり、経営学者であるピーター・ドラッカーが経営において検討すべき問いとして提唱する5つの質問です。
- 第1の質問:われわれの使命は何か?
- 第2の質問:われわれの顧客は誰か?
- 第3の質問:顧客にとっての価値は何か?
- 第4の質問:われわれの成果は何か?
- 第5の質問:われわれの計画は何か?
質問の主語である「われわれ」は、経営や事業運営を個人ではなくチームで実行する前提を意味しています。ドラッカー5つの質問は、自分たちが何を成し遂げるのかという共通目的・目標を明確にして、「われわれ」がチームとして協働して実現するのだという自覚を生み出します。