心理的安全性を損ねる4つの因子とは?心理的安全性の高める方法も解説

更新:2022/04/22

作成:2022/03/21

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

心理的安全性を損ねる4つの因子とは?心理的安全性の高める方法も解説

目標達成に向けて協働・共創できるチームを作るには、心理的安全性を意識した組織開発が欠かせません。心理的安全性はGoogleが取り上げたことで一気に知られるようになりましたが、初めて心理的安全性の概念に触れる人は言葉の意味や実現した状態をイメージしづらいかもしれません。

記事では、心理的安全性の概要、心理的安全性の不足が引き起こす4つの不安、心理的安全性を高める4つの因子とポイントを詳しく解説します。

<目次>

心理的安全性とは?

一致団結のイメージ

心理的安全性とは、組織・チームのメンバーが自分の意見や疑問を伝えることに不安や恐怖を抱かない心理状態のことで、Googleがチームの生産性を高めるうえで最も重要な要素であると発表したことで一躍有名になりました。

ここでの自分の意見や疑問とは、「上司やメンバーと異なる意見を述べる」「懸念を伝える」「初歩的な質問をする」「的外れかもしれない意見を言う」「自分の失敗や力不足を伝える」などのチャレンジングなコミュニケーションを指します。

チャレンジング=相手から不快に思われたり、無能やネガティブだと思われたりする可能性がある、という意味です。

「心理的安全性がある=仲が良い、自然体の自分でいられる」といった形で表現されることもありますが、心理的安全性の本質は上記のようにチャレンジングなコミュニケーションを不安なくできることです。

心理的安全性が高い状態になれば、チームのパフォーマンスや生産性が高まるほか、仕事をとおしたスキルアップや成長、自主性・主体性が高まりやすくなるなど個人のメリットも期待できます。

心理的安全性が高いとは「仲がいい組織」のこと?

心理的安全性を理解するうえでは、日本企業に多い「仲がいい“だけ”のチーム」や「優しい“だけ”のチーム」との違いを理解することが非常に大切です。

まず、仲がいいだけのチームの場合、“仲良し”という関係維持が目的になってしまい、率直な意見交換や厳しい指摘などのリスクある行動ができない傾向があります。

また、優しいチームにおいても、ほかのメンバーとの衝突や関係が壊れることを恐れるため、相手のために本音でフィードバックをすることも控えがちになってしまいます。

これは心理的安全性の高いチームで起こる状態とは正反対です。心理的安全性の高いチームでは、「仲がいい」や「優しい」が壊れることへの恐れやジレンマなく、チームのビジョンや目標を達成するために、相手を信頼して率直なコミュニケーションが行なわれます。

心理的安全性の不足が引き起こす4つの不安

心理的安全性が不足すると、先ほどのようなチャレンジングなコミュニケーションをする際に4つの不安が生じます。4つの不安が正直な意見や疑問を述べたり、失敗を開示したり、サポートを求めたりする行為を止めてしまうのです。心理的安全性の不足が引き起こす不安とは以下の4つです。

無知だと思われる不安

一つ目の不安は、ほかのメンバーから「無知」だと思われることへの不安です。「こんな質問をしたら無知だと思われる」「こんなことも知らないのかと他メンバーからバカにされるのではないか」といった不安が生じると無知だと思われることを避けるために、上司やほかのメンバーに不明点の相談や質問をしなくなります。

結果的に、チーム内での質問などが減っていき、理解のズレが生じたり、懸念点やリスクが放置されたままになったりします。また、自己流の方法で作業を進めることで、大きなミスやクレームなどのトラブルにつながってしまうこともあるでしょう。

無能だと思われる不安

二つ目の不安は、自分の欠点をさらけ出すことで「こんなこともできないのか」と言われたり、能力が低いと思われたりすることへの不安です。

例えば、仕事でミスがあったときには、早期の報告・相談でトラブルを最小限にすることが大切になります。しかし、無能と思われることへの不安があると、ミスがあっても相談せずに隠したり、自分の失敗を素直に認められなくなったりするのです。

結果として、ミスや失敗の発覚が遅れて、取り返しのつかない大きなトラブルが起こりやすくなったり、大きな問題への対処は多くの労力を必要とするため、本来目指すべき目標達成にも支障が出てしまったりします。

無能だと思われる不安があると以下のような事象が起こりやすくなります。

  • ・ミスが共有されない
  • ・分からないことを質問できない
  • ・未完成だったり実現可能性が低かったりする意見を提案できない
  • ・思い付きやアイデアを発言できない
  • ・進捗の遅れが共有されない

邪魔だと思われる不安

三つ目の不安は、ほかのメンバーから邪魔や鬱陶しいと思われることへの不安です。言い換えると、自分の「居場所」が失われることへの不安です。

例えば、課題を抱えたチームが改善策を考えるためにミーティングをする場合、異なる視点や価値観からの意見が相乗効果を導き出すことが良くあります。しかし、邪魔していると思われる不安があると、意見が求められている状況でも自発的な発言ができず、ほかのメンバーに賛成するだけになってしまいます。自発的な発言ができない結果、活発な意見交換による効果的な課題の改善方法や、新たなイノベーションなどは生まれづらくなります。

自分の「居場所」に対する不安があると、リーダーや声が大きな人の顔色、チームの空気を窺うような状態となり、コミュニケーションも減少しがちですし、独自の意見なども出にくくなるでしょう。

ネガティブだと思われる不安

4つ目の不安は、消極的や否定的といったネガティブな印象をもたれることへの不安です。

ネガティブだと思われる不安があると、リーダーや他メンバーの意見に対する懸念点、リスクなどが発言しにくくなり、十分な議論がされないまま危険な意思決定がされてしまうことにつながります。

また、チームが進化していくためには、従来の方法や考え方を否定しなければならないこともあります。しかし、ネガティブだと思われる不安を抱えたチームでは、従来のやり方や誰かの意見を否定するような発言は生じにくくなってしまい、課題が解決できない、進化できなくなってしまいます。

心理的安全性を高める4つの因子と高め方のポイント

団結するビジネスパーソン

心理的安全性のプロフェッショナルとして知られる株式会社ZENTechでは、心理的安全性を高める4つの因子を定義しています。本章ではZENTechの定義に基づく心理的安全性を高める4つの因子の概要と高め方、リーダーや人事がケアすべきポイントをご紹介します。

話しやすさ

心理的安全性を高めるには、メンバー同士で話しかけたり、なんでも相談できたりと、コミュニケーションを図りやすいチームであることが大切です。

コミュニケーションを活性化させるためには、仕事の相談や連絡をされるリーダーや上司、先輩などが、メンバーにとって話しやすい存在である必要があります。リーダーや上司、先輩などは、一人ひとりのメンバーを尊重し、相手の存在をしっかりと認めることが必要です。

話しやすさを生み出すためには、『7つの習慣』の第5の習慣である「まず相手の理解に徹し、続いて自分が理解される」という傾聴のコミュニケーションが有効です。

メンバーが「自分の話を真剣に聴いてもらっている」や「自分が受け入れられる」と思えるようになれば、無知や無能であることを恐れず、自分の意見や考えを気軽に話せるようになります。

助け合い

心理的安全性の高いチームには、個々のメンバーが競い合うライバルではなく、新たなイノベーションを一緒に生み出したり、課題を乗り越えたりする協働・共創の風土があります。

助け合いができるチームにするには、チーム全体の共通目的・目標が大切です。最終的なゴールを共有した状態から個人の目標設定、各自の意味付けをしていくことで、「競争」ではなく「共創」の風土が生まれやすくなります。

そのうえで、メンバーの相互理解を深めることも重要です。最近では以前にも増して、さまざまな価値観やワークスタイルのメンバーが増えています。こうした状況で協働・共創できるチームをつくるには、朝礼やMTGなどの場を使って相互理解を促すワークを実施したり、社内イベントを行なったりすることが効果的です。

挑戦

心理的安全性が高いチームには、前向きにチャレンジしていく雰囲気があります。挑戦には失敗やミスがつきものです。失敗やミスが起きた場合、同じことを繰り返さないための学びやフィードバックは重要ですが、リーダーや先輩は失敗したメンバーの人格や能力を否定してはなりません。

メンバーが「自分は尊重されている」と思えて、リーダーやほかのメンバーとの間に信頼関係があれば、一度の失敗やミスでへこたれることなく、前向きに挑戦していけるようになります。

ミーティングなどでリーダーが若手にも平等に意見を求めることで、経験が乏しい新人や若手も意見を述べたり、挑戦したりできる雰囲気にすることも有効です。また、リーダー自らが挑戦する姿勢、失敗する姿を見せることも大切です。

新奇歓迎

チームが課題解決や新しい挑戦をするには、今までの自分たちとは異なる価値観やスキル、やり方を取り入れていくことも必要です。一方で、価値観の違いは、意見の衝突や人間関係のトラブルなどにつながる側面もあります。

新奇歓迎の風土を実現するためには、チーム内に視点や価値観の違い、相違点こそが相乗効果をもたらすという考え方を浸透させることが大切です。また、助け合いの項目でも述べたとおり、チーム全体の共通目的・目標を意識させることも有効です。

まとめ

心理的安全性とは、組織のメンバーが不安や恐怖を抱くことなく、自由に意見や疑問を伝えられる状態のことをいいます。

具体的には、

  • ・初歩的な質問をしたり、的外れかもしれない意見を述べたりする
  • ・上司や誰かの意見に異論や懸念を述べる
  • ・従来までのやり方を否定する
  • ・さらには自分の失敗や能力不足を開示する

といったチャレンジングなコミュニケーションを懸念なくできる状態・環境が心理的安全性の確保された状態です。

心理的安全性が不足したチームや組織には4つの不安があり、正直な意見や疑問を述べたり、失敗を開示したり、サポートを求めたりする行為が止まってしまいます。

<4つの不安>
  • ・無知だと思われる不安
  • ・無能だと思われる不安
  • ・邪魔していると思われる不安
  • ・ネガティブだと思われる不安

心理的安全性を高めるためには4つの不安をしっかりと理解したうえで、「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」といった価値観の浸透、風土醸成を実践していくことが効果的です。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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