
心理的安全性は、抽象的な概念です。しかし、定量化・可視化を通じて現状把握をすることで、改善に向けた対策を講じやすくなります。
心理的安全性は、上図のように7つの質問に各5段階(まったく記載のとおり~まったく記載のとおりでない)で回答してもらうことで測定可能となります。
Q1・Q3・Q5では“スコアが低いほう”が良い、Q2・Q4・Q6・Q7は“スコアが高いほう”を良いと判断します。
ただし、アンケートに本名を記載すると、本音で回答できないメンバーが出てくるかもしれません。チームの正しい現状を把握するには、匿名による実施が理想となります。
この章では、各質問の詳細を解説しましょう。
Q1. チームのなかでミスをすると、たいてい非難される。
自分がミスをしてしまった場合に、他のメンバーがどのような対応するかについての質問です。
他のメンバーが「気にするなよ!」や「大丈夫だよ!」のように励ましてくれたり、ポジティブな言葉をかけてくれたりする場合は、心理的安全性が高いと判断できます。
チームの心理的安全性が高い場合、ミスや失敗が早期に共有され、問題の改善も早くなるでしょう。
一方で、たとえば、「お前、何やってんだ!」「ミスしすぎだろ!」と責められたり、ネガティブな言葉をかけられたりする場合(または本人がそう感じる環境)は、心理的安全性が低めだと判断できます。
心理的安全性が低い場合、メンバーが挑戦を恐れるようになったり、ミスの共有を避けるようになったりするため、チーム内が保守的になるとともに大きなトラブルも発生しやすくなるでしょう。
Q2. チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
課題や問題点といったネガティブな内容は、議論してもすぐに解決できないことが多いです。また、担当者への批判にも聞こえるため、雰囲気が悪くなってしまいがちになります。
心理的安全性が低い状態では、メンバーから嫌われたり雰囲気が悪くなったりすることをおそれて課題の指摘がされにくくなります。
一方で、心理的安全性が高くお互いに信頼し合える関係の場合、解決に向けて取り組むべき課題であれば、伝えにくい内容も快く指摘を行ない、チームで向き合うことができるでしょう。
チームみんなが難しい問題に向き合えると、大きな成果が期待できるようになります。
Q3. チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
性格や考え方は、人それぞれです。ただ、チームでメンバーが協働するには、それぞれの個性や違いを受け入れることが大切になります。
他者を受け入れられないメンバーがいた場合、その他のメンバーは、自分がチームから浮かないようにするために、自分の本心を抑える必要が出てきます。
そうなれば、チームの心理的安全性は下がるでしょう。
また、メンバーの行動や意見が保守的になることから、前例踏襲型の意思決定が増えやすくなります。
一方でチームの心理的安全性が高く、各メンバーにお互いの価値観や考え方を尊重し合う姿勢があれば、異なる価値観に基づく意見やアイデアが出やすくなります。
そうすると、チームの想像力や問題解決力が向上するでしょう。
Q4. チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
チームメンバーの意見に対して異論を唱えたり、厳しいフィードバックをしたりすることには、相手を不快にさせたり関係性を悪化させたりするリスクがあります。
また、初歩的な質問をしたり、突拍子もない提案をしたりすれば、チーム内で無能だと思われる可能性もあるでしょう。
心理的安全性が高いチームであれば、メンバー同士が信頼し合っています。
こうした心理的安全性のチームの場合、自分の「弱さ」や「無能」につながる行動や、相手を不快にして人間関係を悪化させる可能性のある行動をとっても「大丈夫だ」と思えるようになるでしょう。
Q5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
チームは、メンバーのスキルや能力をお互いに補いながら目標達成を目指していきます。
心理的安全性が高く、素直に周囲に助けを求められるチームであれば、チーム全体の実行力は高いでしょう。
これに対して、「自分の役割だけ果たせばいい」というメンバーがいた場合、お互いに困ったときに助けを求めることができず、各メンバーの心理的な負担も大きくなります。
また、ほかのメンバーに助けを求めることに対して、「無能だと思われるのではないか?」と不安を感じてしまうのも、心理的安全性が低い状態といえます。
メンバー同士で助け合いができなくなると個人プレイが増えるため、チーム全体の実行力に期待できなくなるでしょう。
Q6. チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
チームのなかに自分を妬んだり、蹴落とそうとしたりするメンバーがいると、お互いに協力し合うことが難しくなります。
場合によっては責任を押し付けられる可能性もあるため、本来の力を発揮しづらい環境だといえるでしょう。
逆にメンバー同士が信頼し合えている環境では、お互いが不安なく仕事に励めます。
Q7. チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。
お互いの人間性はもちろんのこと、スキルや経験、才能などを尊重し合えるチームは、とても居心地が良いと感じられるものです。
また、自分の強みが活かされることで達成感や自己肯定感が高まり、モチベーションが高い状態で業務に取り組むことも可能になります。
心理的安全性の高いチームでは、メンバー同士のスキルや強みを相互理解することで、助け合いもしやすくなります。メンバー同士の助け合いが増えると、チームの生産性も向上するでしょう。