マインドセットとは?2つの種類と重要性、マインドセット研修の必要性を解説

更新:2023/07/28

作成:2022/06/10

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

マインドセットとは?2つの種類や重要性、マインドセット研修の必要性を解説

VUCAなどの変化が激しい時代に、自社のビジョン実現や事業目標の達成に向けてメンバーが協働・共創していくには、研修などを通して適切なマインドセットを持つことが重要です。

 

マインドセットの概念には、少し抽象的で意味の理解や共有が難しい特徴もあります。また、なかには、マインドセットの醸成は新入社員や若手だけに必要なものであり、長く自社で働く中堅社員や管理職、リーダーには不要と感じることもあるかもしれません。

 

本記事では、マインドセットの意味や概要、社員にマインドセット教育・研修をする重要性を解説します。後半では、社員が持つべきマインドセットを階層別に確認したうえで、おすすめの研修も紹介します。

<目次>

マインドセットとは?

マインドセットとは、物の見方・考え方の「癖」や「思考パターン」のようなものです。マインドセットは、多くの人が無意識に抱える以下のようなものにも影響を与えています。

  • 価値観
  • 心構え
  • 信念
  • 先入観
  • 判断基準 など

マインドセットは、先天的な性格や生まれ育った環境、経験、時代背景などのかけ合わせで形成されるのが一般的です。

マインドセットは、個人だけでなく企業などの組織でも使われる概念です。組織のマインドセットは、「社風」や「組織風土」にも近いものです。組織の場合、以下のようなものがマインドセットにつながってくるでしょう。

  • 製品やサービスの特性
  • 理念やビジョン、バリュー
  • 経験(成功・失敗・不祥事 など)
  • 企業のステージ
  • 人材育成
  • 過去の意思決定
  • 経営陣などの振る舞い
  • 社員のマインドセット など

マインドセットという言葉の使い方

マインドセットは、少し抽象的な概念です。マインドセットという概念や言葉は、ビジネスシーンにおいて、以下のような使われ方をしています。

「社会人としてのマインドセットを身に付けさせる」
「プレイヤーから管理職にマインドセットに切り替えさせる」

上の例文の「マインドセット」という言葉は、「思考パターン」や「考え方の癖」に置き換えれば意味も理解しやすくなるでしょう。

マインドセットにおける2つの種類と注意点

最近のビジネスシーン・人材育成では、上記のような幅広く思考パターンや考え方の癖を示すものではない形で、マインドセットの概念が使われることもあります。

 

この場合のマインドセットは、「成長マインドセット」と「硬直マインドセット」という2つの種類を指すことが多いでしょう。

 

成長マインドセットは、「自分のスキルや能力は、努力・経験で向上できる」とするもので、グロースマインドセットとも呼ばれます。成長マインドセットがあると、自主的な努力、主体的な行動、積極的な挑戦につながりやすくなります。

 

硬直マインドセットは、成長マインドセットと真逆のものです。「自分のスキルや能力は、努力・経験では向上できない」という硬直した考え方になります。一般では、フィックストマインドセットとも呼ばれます。

 

当然、個人や組織に、成長マインドセット・グロースマインドセットを根付かせることが、個人や組織の成長につながります。

社員に対するマインドセット教育・研修の重要性

 

適切なマインドセットを持つことで、適切な判断や行動が生まれます。また、成長マインドセットを社員が持てば、社員の主体性や目標達成への意欲などを引き出しやすくなるでしょう。

 

マインドセットが変われば、行動が変わり、業績や社風も変わっていきます。また、メンバーが共通のマインドセットを持つことで、スムーズなコミュニケーション、価値基準などのすり合わせができ、組織は強くなるでしょう。

マインドセットは京セラ創業者である稲盛さんの公式「 人生・仕事の結果 = 能力 × 熱意 × 考え方 」でいう「考え方」の部分です。

 

組織においてスキル教育(能力向上)は大切ですが、マインドセット教育をしっかり実施しなければ、スキル教育も効果を発揮することはできません。

 

稲盛さんは、能力と熱意は0~100までだが、考え方は-100~100まであるとおっしゃっています。能力と熱意が高くても、考え方、すなわちマインドセットが誤っている、ねじ曲がっていると、ゼロどころか、マイナスの成果となり、周囲に悪影響をおよぼします。

 

その意味でも、研修を通じて、社員と組織に適切なマインドセットを醸成することが大切です。

 

6.人生を考える 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力(稲盛和夫 OFFICIAL SITE )

【階層別】社員が持つべきマインドセット

社員が持つべきマインドセットは、それぞれの階層によって変わってくるでしょう。マインドセット教育を考えるときには、各メンバーの階層に応じて「どのレベルでどのマインドセットを教えるか?」を計画することが大切です。

 

本章では、階層に応じて持つべきマインドセットの例を紹介します。

 

新入社員

新卒社員の場合、以下2つのマインドセットを教える必要があります。

  • プロのビジネスパーソンとしてのマインドセット
  • 仕事を教わるうえでのマインドセット

価値創造・提出が仕事であるプロのマインドセットを身に付けることで、これまでの学生・消費者から社会人としての自覚が生まれます。
また、仕事を教わるためのマインドセットは、以下のような姿勢でOJTを受ける部署に馴染み、成長を加速させるためのものです。

  • わからないことを放置せず、質問できる主体性
  • 指導を受け入れ、悪いところを直そうとする素直さ
  • 自分が知らないことを恥じない「無知の知」

若手~中堅社員

新入社員の頃は、OJT指導者から教えてもらった仕事を身に付け、組織に馴染むことが求められていました。若手社員になると、ひととおりの経験や業務知識が備わった一人前となります。そこでは、下記のようなマインドセットが求められるでしょう。

  • 任せられた仕事をやり抜く責任感
  • 受け身にならない主体性
  • 知識や経験を積み重ねる積極性

一方で、中堅社員は、新人・若手とリーダーをつなぐパイプ役です。この役割を担うには、以下のマインドセットが必要になるでしょう。

  • 周囲に働きかけをするリーダーシップ
  • 次のステージに向けて取り組む成長意欲
  • 周囲に寄り添って、話に耳を傾ける傾聴力

管理職・リーダー

新任のリーダー・管理職になる場合、プレイヤーの「自力で成果をあげるマインド」から、「人を動かし組織の成果をあげるマインド」に変わる必要があります。

 

また、中堅管理職になると、経営層や部長が意思決定した方針を実行する役割・マインドが求められるでしょう。

 

中堅管理職は、上司からの褒め言葉やお客様から直接感謝されることは少なくなる一方で、経営陣と現場の間に挟まれるストレスを感じやすいポジションでもあります。

 

その意味でも、中堅管理職はプレイヤー時代以上にしっかりとしたマインドセットが必要です。

 

中堅管理職からさらにステップアップをして中堅~上級管理職になると、幹部候補の一員として広い視野・視座で物事を考え、組織の全体最適を意識したり、未来を生み出したりするマインドが求められるようになります。

 

管理職・リーダーの場合、プレイヤー時代のように上司からのフィードバックや指導を受ける機会も少なくなります。マンネリ化や成長の停滞を防ぐために、自分自身の殻を破るようなマインドセット教育も必要となるでしょう。

マインドセット研修の実施ポイントとおすすめ研修の紹介

 

階層別のマインドセット教育は「はじめ」にしっかり実施することが大切です。「鉄は熱いうちに打て」ということわざのとおり、吸収する意欲が高いときにしっかりとマインドセットすることが大切です。

 

なかでも特に大事なのは入社時(新入社員・中途)と管理職への昇格時です。また、組織の変革時などにも、共通言語を一気に作るために研修を利用することもおすすめとなります。

 

なお、人は基本的に、学んだことを「忘れる」生き物です。そのため、定期的にマインドセット教育を実施しましょう。定着させるにはそれなりの継続教育が大切です。

 

HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、各階層のマインドセット教育に使えるさまざまな研修を提供しています。以下、各研修の特徴を紹介します。

自分の殻を破る新人研修の決定版「仕事の基礎の基礎」

学生気分・お客様気分を払拭して、社会人の基礎や当たり前、ビジネスマナーなどを、実践を通じて習得させ、新入社員の目に見える行動変化を実現する研修です。

『7つの習慣』をもとにした「新入社員研修PRO」

世界的なベストセラー『7つの習慣』の考え方をもとに、自立したプロ社員を育てる研修です。

 

すでに仕事に対する高い意欲や成長意欲がある新入社員に、プロフェッショナルとして成果を生み出すための姿勢とマインドセットを身に付けさせる研修です。

次世代リーダー・幹部を育てる継続教育プログラム「JAICリーダーカレッジ」

人間力・実行力・コミュニケーション力を磨く3つのコアプログラムを通して、プレイヤーからリーダーとしてのマインドセットを身に付けさせ、周囲をリードして結果を出し続ける次世代リーダーや管理職を育てる研修です。

 

月1回の研修と職場実践を繰り返すことで、学んだことを生きた知恵として身に付ける、成長につながるプログラムになっています。

社員の主体性を引出し、組織風土を改善する「7つの習慣®」研修

新入社員研修PROと同じように世界的なベストセラー『7つの習慣』の考え方を通して、組織全体に成長マインドセットやセルフリーダーシップを根付かせる研修です。

 

ワークや映像をふんだんに使うことで、研修慣れしていない社員でも主体性が引き出されるプログラムになっています。

 

共通言語の獲得、異なる価値観を受け入れる姿勢、相互理解を生み出すコミュニケーションのやり方などを学ぶことによって、企業の競争力や実行力につながる良い組織風土を醸成します。

「目標達成力」と「人間力」を同時に高める「原田メソッド」研修

「原田メソッド研修」とは、目標達成の神様と呼ばれた原田隆史氏が考案したメソッドです。野村證券やキリンビール、ユニクロなどの日本を代表する大企業から中小企業までが導入するプログラムになっています。

 

原田メソッド研修は「成功は技術」であり、習得できる能力であるというマインドセットを身に付けさせ、目標に対する意味付け、目標達成に向けた案出しのフレームワーク、計画を実行していくセルフマネジメントの能力などを学ぶことができます。

まとめ

VUCA時代などの厳しい状況下で、組織が成長を続けるには、メンバーのマインドセットが大切になります。成長マインドセットに基づく適切な思考パターンは以下のようなものを引き出すことにつながります。

  • 社員の主体性
  • 目標達成や成長への意欲
  • 前向きな努力や試行錯誤 など

また、リーダーとメンバーが同じマインドセットを持てば、スムーズなコミュニケーションが実現し、信頼関係の構築や価値基準などのすり合わせができるでしょう。厳しい時代に負けない強い組織をつくるうえでも、マインドセット教育は不可欠です。

 

マインドセットは、新人、若手・中堅社員、管理職と、それぞれの階層によっても身に付けるべきものが変わってきます。効果の高いマインドセット研修を求めるなら、記事で紹介したジェイックの各研修もぜひ検討してみてください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

・新入社員の特徴と育成ポイント
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