1on1ミーティングの目的とは?目的ごとのテーマ例や企業の導入事例を紹介

更新:2022/09/01

作成:2022/08/01

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

上司と部下が1対1で話合う1on1ミーティングは、組織力の強化や人材育成の促進を目的に多くの企業が取り入れています。一方で、1on1ミーティングという名前や仕組みだけが先行して、うまく運用できていない職場もあります。記事では、1on1ミーティングの目的を改めて確認し、目的ごとの具体的なテーマ例、企業の導入事例などを紹介しますので、参考にしてください。

<目次>

1on1ミーティングの目的は?

1on1はもともとアメリカのシリコンバレーを中心にスタートしたもので、上司とメンバーが1対1で実施する定期的なミーティングを指します。日本ではヤフーの導入事例をきっかけに、1on1ミーティングを導入する企業が増えています。

とくに2017年に『ヤフーの1on1:部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社)が出版されて以降、HR分野ではかなり一般的になった手法といっていいでしょう。

そんな1on1ミーティングですが、目的は大きく以下の3つといえます。

メンバーの育成

1つ目の目的はメンバーの育成で、これが1on1ミーティングの最大目的ともいえます。メンバーと中長期的に関わり、フィードバックやアドバイスを通じてメンバーを育成します。1on1ミーティングを行うことで、目の前にある仕事だけでなく、中長期的なキャリアビジョンの形成や成長目標の設定、課題解決を行うことで、人材育成を加速できます。

メンバーのパフォーマンス向上

2つ目の目的は、メンバーのパフォーマンス向上です。1on1ミーティングを通じて業務上の課題やメンバーの懸念や疑問を解消したり、モチベーションを引き出したりすることで、メンバーのパフォーマンスが向上します。

メンバーのエンゲージメント向上

3つ目の目的は、メンバーのエンゲージメント向上です。業務中に話すことがないプライベートな話題や互いの価値観などを話す機会になるため、上司とメンバーの相互理解が深まります。上司との相互理解が進み、また、悩みを聞いてもらったり、キャリアなどの中長期的なテーマを扱ったりすることで、上司とメンバーの信頼関係が構築され、エンゲージメント向上につながります。

1on1ミーティングのテーマ設定における注意点

次章以降では、目的に応じた1on1ミーティングのテーマ例を紹介します。なお、1on1ミーティングのテーマは、基本的にはメンバーが主体的に設定するものになります。通常の業務レビューのように上司が一方的に業務進捗を確認していったり、テーマを設定してミーティングを進行したりするものではないため注意が必要です。

紹介する各テーマも、“上司が設定する”ためのものではなく、“メンバーが設定する”ために提示する選択肢として考えてください。

メンバーの育成を目的とした1on1ミーティングのテーマ例

  • 目標に対する進捗や課題
  • フィードバック
  • キャリア支援

目標に対する進捗や課題

目標に対する進捗や課題の相談は1on1ミーティングでも一般的なお題です。部下本人が感じている問題点や改善点をあぶりだすことで、目標達成に向けた課題解決やアドバイスができるでしょう。

相手の状況やレベルにもよりますが、一方的なアドバイスではなく、コーチング形式で相手の意見や考えを引き出すことが望ましいです。なお、目標や業務に関してメンバーが相談して内容等は、上司からするとメンバーの状況やレベルを把握する場にもなるでしょう。

フィードバック

1on1ミーティングは、メンバーが日常の業務についてのフィードバックをもらう機会でもあります。業務や取組み姿勢のフィードバックをもらうことは、自分の状況や強みや課題を知る機会になり、成長につながります。

ただし、繰り返しになりますが、上司が一方的にフィードバックする場ではありませんので、注意してください。あくまで相手がフィードバックを求めているときに提供する、というイメージです。

キャリア支援

メンバーの将来の展望や今後のキャリア構想について深く聞き、支援することも1on1の主要テーマのひとつです。数年後になりたい姿や目指すキャリアなどを聞き、実現に向けた目標設定などをサポートすることは、メンバーの成長促進とモチベーション向上につながります。キャリアビジョンがないメンバーに上司の目から客観的に見た強みなどを伝えたり、キャリアに関する質問を投げかけたりすることは、今後のキャリアを考えるきっかけになるでしょう。

パフォーマンス向上を目的とした1on1ミーティングのテーマ例

  • 課題や悩み解消につながる話題
  • モチベーション向上につながる話題

課題や悩み解消につながる話題

メンバーのパフォーマンスを上げるためには、まずパフォーマンスを下げている課題や悩みを解消させることが重要です。業務進捗上の悩みはもちろん、人間関係の悩みやプライベートの悩み、仕事の意味や組織への課題感など、業務中には話す機会がない課題を1on1で共有してもらうことで、ストレスの低減と課題解決のサポートができるでしょう。

モチベーション向上につながる話題

1on1ミーティングは、メンバーのモチベーションを向上させるための機会としても有効です。キャリアの話を通じて仕事に意味づけすることもモチベーション向上につながりますし、成果や仕事への取組み方を褒めたり、社内での良い評判を伝えたりすることも、メンバーのモチベーション向上につながります。

エンゲージメント向上を目的とした1on1ミーティングのテーマ例

  • 相互理解を深める話題
  • 心身の健康チェック
  • 企業や組織に対する要望

相互理解を深める話題

業務外のプライベートな話や互いの価値観などを共有することで、上司とメンバーとの相互理解が深まります。1on1ミーティング開始時のアイスブレーキングとして、相互理解を深めるような雑談を交えるのも有効です。上司との相互理解、良好な人間関係の構築は、エンゲージメント向上の大切な一手です。

心身の健康チェック

定期的に1on1することで、メンバーの精神面や過重労働になっていないかなどを確認することも大切です。パフォーマンス向上のところで少し紹介しましたが、パフォーマンスに影響するのは業務上の課題だけではありません。プライベートの悩みやトラブル、人間関係なども仕事のパフォーマンスやエンゲージメントに影響します。メンバーが置かれた状況を理解して適切に支援することが、パフォーマンス向上やエンゲージメント向上につながります。

企業や組織に対する要望

1on1ミーティングは、企業や組織に対しての要望を聞く機会にもなります。業務上話す機会がないことや、他メンバーの前で言いづらい意見などを教えてもらうことは大切です。メンバーのストレス軽減にもなりますし、職場環境や働き方を改善するきっかけになります。

1on1ミーティングの導入事例を紹介

ヤフー

前述の通り、ヤフーは日本で1on1ミーティングを取り入れた先駆けであり、2012年から1on1ミーティングを取り入れます。

ヤフーの1on1ミーティングの目的は、以下のように定義されています。

  • 経験学習のスキームを導入すること
  • 社員の才能と情熱を解き放つこと

1on1ミーティングの導入は、人事主導で始まったプロジェクトです。導入に際しては、“1on1ミーティングを実施する目的を明確にすること”“効果を伝えること”“経営層にもコミットしてもらうこと”に尽力しています。

その結果、徐々に1on1ミーティングは文化として浸透し、浸透後は約6,000人の社員が、週に1度30分間の1on1ミーティングを実施しているそうです。1on1ミーティングが有効なものとなるように、マネージャーにはコーチング研修を実施して、話の聞き方と有効なフィードバック手法を身に付けさせています。

楽天

楽天では、

  • 相互理解・相互信頼の形成
  • 定期的なフィードバックによる成長支援

を目的に管理職が直属の部下に対して30分の1on1ミーティングを毎週/隔週の頻度で実施しています。

ヤフーと同様に管理職向けた1on1ミーティング研修も実施しており、1on1を適切に実施できるようにマネージャー自身の成長支援を行なっています。なお、1on1ミーティングを上司から部下への一方的な指導の場にしない、人事考課には結び付けないことを重要視して運営しています。

サイボウズ

サイボウズでは、“ザツダン”と称される1on1ミーティングが実施されています。サイボウズでは、ザツダンの目的を、メンバーの成長促進といった難易度の高いものにするのではなく、まずは、コミュニケーションの量を増やし、メンバーの状況を知ることにおいています。但し、ザツダンを導入したことによる効果として、コミュニケーションが活性化したことで、「自発的なメンバーが増え、チーム力が高まった」などという声が挙げられています。

1on1ミーティングを有意義な時間にするためには目的の理解と目的にあったテーマ選びが重要です

1on1ミーティングの目的はおもに以下の3つです。

  • メンバーの育成
  • メンバーのパフォーマンス向上
  • メンバーのエンゲージメント向上

1on1ミーティングを有意義な時間にするためには、管理職やマネージャーへの1on1ミーティング研修を実施して、適切なスキルを身に付けさせると共に、有効な実施テーマを知ってもらって運用することが大切です。

記事で紹介した導入事例のように、1on1ミーティングは正しく機能すれば、組織に良い変化をもたらしますので、ぜひ取り組んでみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

関連記事

  • HRドクターについて

    HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
  • 運営企業

  • 採用と社員教育のお役立ち資料

  • ジェイックの提供サービス

pagetop